- 娼年 (集英社文庫)/石田 衣良
- ¥420
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***この本は2006年の11月頃読了しました***
あのクラブで「情熱」を探すのだ。
もしかしたらそれで、居心地よく退屈な二十歳の檻を破れるかもしれなかった。
二十歳の大学生、リョウは「娼夫」として、女性の持つ様々な欲望を目の当たりにしながら何かを探していく・・・。
最近、歳をとるのが嫌だった。
だけど、なぜだろう。この作品を読んで、歳を重ねていく、それも悪くないのかな、と少し思えた。
様々なマイノリティな部分にも素直に向き合って、偏見せず接していく、そんな風に成長していく主人公に心地よさを感じた。
多種多様の欲望を目の当たりにし、葛藤する。
それに反して、女性への接し方はどんどん大人びていく。
そんな少年とオトナの狭間で揺れ動く主人公の強さ、弱さ、儚さ、がすっと胸に沁みる。
大人の側面の主人公は、スマートさとスィートさを兼ね備えた、まさにオトナのオトコな感じ。
スマート&スイート。TPOに適した振る舞い。それでいて、キチンと女性の痛みがわかる。
おれが目指したい男性像みたいだw
最近流行ってるような執事なオコトにも当てはまるのかな?よぅわからんが。
女性に人気がありそうな小説かと。なんとなくだけど。
こんな主人公がいてほしい、と単純に思うだけでなく、欲望のはけ口を見出せない女性にとっての代弁的な意味合いとも取れるかもしれない、と思うから。
主人公はストーリーの最後にある決断をする。
たとえこの決断が逆だったとしても話としてはキレイにおさまる気がする。
だけど、おれ自身、個人的にはこういう結末で癒された感が・・・。
まぁ、何はともあれ、エロい人とムッツリな人は読んどけ( ´艸`)
彼の過ごしたこの二十歳のひと夏は、十代にすごしたいくつもの夏と変わらなかったのだろうか・・・。
いや、そうは思わない。彼は得られたのだから、限りなく愛に近い何かを。
★★★★
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◇『うつくしい子ども』 ◇『娼年』 ◇『波のうえの魔術師』 ◇『4TEEN』
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