『卒業』  東野圭吾 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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卒業 (講談社文庫)/東野 圭吾
¥620
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***この本は2010年1月に再読しました***
大学4年の秋。就職、恋愛に楽しく忙しい仲よし7人組・その中の一人、祥子がアパートの自室で死んだ。部屋は密室。自殺か、他殺か!?残された赤い日記帳を手掛りに、死の謎を追及する友人たち。だが、第二の全く異常な事件が起って…。錯綜する謎に挑戦する、心やさしき大学生・加賀恭一郎。卓抜な着想と緊密な構成で、現代学生のフィーリングを見事に描いた、長篇ミステリーの傑作。
(Bookデータベースより)


卒業を控えた大学4年の秋。仲間の一人祥子が突然アパートの自室で死んでいた。
自殺か?他殺か?しかも当時、祥子の部屋は、密室状態であった。
同級生の加賀恭一郎は、恋人の沙都子とともに真相究明に乗り出す。
しかし仲間が集まった茶道のお茶会での最中にまたもや死者が出る事件が発生する・・・。



著者の「新参者」 が加賀恭一郎シリーズだったので、ちょくちょく再読しようかと思い立ち、まずは一作目から再読してみました。
自分と同じことを思う人が多いんでしょうか?新装丁になって発売されたみたいですね。
しかもタイトルも「卒業」だけになってる。
ちなみに自分の手元にあるのは副題があり『卒業―雪月花殺人ゲーム』です。古めかしい面白くもなんとも無い装丁のやつです。時代を感じますな・・・。


内容も時代を感じるシーンがちらほら。しかも全体的にかなり硬派な感じです。
それでも質は高く、キッチリカッチリとした伏線の回収も見事で、無駄やアソビがないイメージです。
まぁそれに加えて加賀恭一郎の性分が余計に角張った印象を与えたのかも知れません。
著者の初期の作品なので、どうしても昨今の作品と比べて人の描き方や読後の味わいも若干弱く感じてしまいました。


それでも加賀の生い立ちや性分が窺い知れ、まさにルーツはここにあり、と言った感じです。
それにしても他の加賀シリーズを読んでいた人が読むと、いきなりの衝撃だと思います。
なんてったって加賀の衝撃的なセリフから始まるこの作品。
最近の加賀シリーズを読まれてから読む人にはちょっとした驚きじゃないでしょうか(笑)
ちなみに本作で大学生の加賀は、卒業後の仕事として教師と刑事のどちらかにしようか思い悩み、教員試験を受けることを決めています。



物語中盤からタイトルにある「卒業」が意識されてきます。
犯人は自分達の仲間の中にいる。
仲間を疑いたくない気持ちと、死んだ仲間のため真相究明しなければという気持ちの葛藤。
学生時代仲間だった繋がりも「卒業」したあとの付き合いは、個々の価値観に左右される。
その価値観の違い故の、そして若さ故の犯行動機や心情が、切なく響いてきます。
トリックが難解で理解しづらいため、そっちに頭が持ってかれそうになりますが、学生時代の仲間達との友情を考えると、やるせない気分にもなります。
ミステリーとしての謎解きよりは、青春小説として読んだ方が面白いかな。


加賀だけでなく、登場人物一人ひとりの人生の岐路を想うと、卒業というタイトルがまた胸に沁みます。



★★★



その他の東野圭吾作品
『卒業』  ◇『11文字の殺人』  ◇『名探偵の掟』  ◇『どちらかが彼女を殺した』  
『悪意』  ◇『白夜行』  ◇『片想い』  ◇『レイクサイド』  ◇『さまよう刃』  ◇『夜明けの街で』
『新参者』  


加賀恭一郎シリーズはこちら
『卒業』
『眠りの森』
『どちらかが彼女を殺した』
『悪意』
『私が彼を殺した』
『嘘をもうひとつだけ』
『赤い指』
『新参者』



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