『名探偵の掟』  東野圭吾 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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名探偵の掟 (講談社文庫)/東野 圭吾
¥620
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***この本は2009年4月に読了しました***
ハワイに行く時の飛行機の暇つぶし用に成田で買って読みました( ´艸`)


完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。
フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。
すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?
本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。
(Bookデータベースより)


ドラマ化もされるという帯を見て買ってみました。
レビューあげる前にドラマは終わっちゃいましたが・・・。
テレ朝系、金曜23:15~でした。松田翔太主演。
結局、二度だけ見ました。(時刻表トリックの回と、童歌殺人の回ですね)
やっぱり映像化されると厳しいものがありましたね・・・。



頭脳明晰・博学多才・行動力抜群の名探偵「天下一大五郎」。
彼が挑むのは12の難事件。
そして名探偵天下一の脇役として登場するのが、県警捜査一課なのにダメ警部な大河原番三。
このコンビが、ミステリーの定番?となっている、密室殺人・時刻表トリック・バラバラ死体・ダイニングメッセージ・フーダニット・ハウダニット等の事件を、ときに読者やその小説を書いている著者までも皮肉りながら解き明かしていきます。


個人的に好きなのが、大河原警部ですね。
たまに天下一より先に事件の謎を解明していても、それを知らんぷりしたり、挙句の果てには天下一にヒントまで出すという徹底的な脇役ぶり。
たまに天下一と一緒に本音で揶揄するメタフィクション的な発言がさらに面白く、ときに心を抉ります。


ただ、読んでいるとこうもミステリーのお約束事をとことん皮肉って大丈夫なのか、とも思いました。
でもそれは杞憂というか、要らぬお世話でした。
著者の本作以降の作品を見ても、自分で自分の首を絞めてる訳ではないことが一目瞭然だからです。
ちなみに自分は、読者への批判については甘んじて受けます。
自分はミステリーは好きですが謎解きが好きで読み漁ってるわけでなく、著者が皮肉る読者そのままで、犯人が誰かやトリックの種を当てるとかそういう読み方はあまりせず、物語自体を素直に読む、と言った感じだからです。



解説で村上貴史氏が言っています、「本書は読者の「本格観」を問い直す作品なのだ。」と。
ミステリー好き、または密室殺人等の本作に出てくるトリックが好きな人なら一度は読んでおくべき作品でしょう。
著者の鋭いアイロニーをあなたはどう捉えるか。





以下、帯に書いてあった著者の言葉を抜粋です。

何を出しても売れなかった頃、やけくそで書いたのが本書だ。
読者に一泡吹かせてやろうと思い、小説のルールをすべて無視した。


作者が示してくれる解決をただぼんやりと口を明けて受身で待つ読者と、著者自身を含めた小説作家に対する痛烈な皮肉タップリの本作を世に出した後、自らその答えとなる一級品を書き続ける著者はさすがだと思いました。





「小説の真の面白さとは、先がどうなるかわからない、というところにあるんじゃないのか」



★★★★


その他の東野圭吾作品
『卒業』  ◇『11文字の殺人』  ◇『名探偵の掟』  ◇『どちらかが彼女を殺した』  
『悪意』  ◇『白夜行』  ◇『片想い』  ◇『レイクサイド』  ◇『さまよう刃』  ◇『夜明けの街で』
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