- 父からの手紙 (光文社文庫)/小杉 健治
- ¥680
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***この本は2009年7月に読了しました***
家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。
しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。
十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。
婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。
姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。
完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。
(Bookデータベースより)
結婚を控えた麻美子、その婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕される。
弟を救うため、そして、失踪した父の影を追い求めるうちに驚くべき真実へと突き進む・・・。
時を同じくして、9年前に警察官を殺害し刑務所から出てきた男、秋山圭一。
焼身自殺をした兄と、残された義姉。二人を助けるために殺人を犯したのだが、その本当の理由を調べるうちに驚くべき真実が・・・。
麻美子中心のストーリーと、圭一中心のストーリーがそれぞれ交互に展開されていきます。
2つのストーリーそれぞれに謎がある2本立てのミステリーです。
まったく別のストーリーだったはずの2つの話が、真実が明らかになるにつれ一つになっていく・・・。
別々の2つの路線の列車が一つしかない驚くべき真実に向け、1本に収斂していきます。
ちょっと残念だったのが、あまり感情移入しきれなかったというところです。
ミスリードさせたいためなのか、かなり説明ったらしいので、途中で滅入っちゃいそうになりました。
もう少し感情の説明なりを少なくするなり、感情や考えがあっちこっちに飛ばないようにするとかした方が良かったかも。
読者にいわゆる「行間を読ませる」ような工夫なり書き方の方が良かったように思えます。
また、ミステリー的な部分で言えばオチが途中で想像できてしまった。
ま、ミステリーと言うより、感動モノとして読んだ方が正解です。
親子の絆を「手紙」と言うものにのせて書いている。
「絆」の一言で済ませて良いのか分からないほどの想いが詰められています。
手紙の海の中にいる、そんなシーンを思い浮かべ俯瞰すると目頭を熱くさせられました。
自分が同じ立場であればと想像すると心が軋みます。
結果的な方法としては疑問が残りますが、親から子への底知れぬ愛情に心揺さぶられました。
自分の一生をずっと子供を見守りながら送っていく。
手紙を書き記しているときの父親は、きっと幸せな顔をしていたに違いない・・・。
★★★
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