- さまよう刃/東野 圭吾
- ¥1,785
- Amazon.co.jp
***この本は2006年3月頃読了しました***
長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。
(Bookデータベースより)
「葛藤」
この本には様々な葛藤が描かれていると思った。
復讐を誓った父親の、子どもを想う母親の、警察の、主人公を助ける女性の、登場人物一人ひとりの・・・、そして読み手である自分も常に葛藤を感じることを強いられた。
そして、読了した後もその「葛藤」の正しい答えを見つけることができず無力感を覚えた。
結局、人は自分と、そのほんの少しの周りのことしか考えられない。
自分達の生活さえ良ければ、見も知らないあかの他人がどうなろうと・・・。
どこかで殺人が起ころうと、戦争が起ころうと。
真剣に考え、実際に行動をする人などほとんどいない。
かくいう、自分もその中の一人なのだろう。
法律とは・・・、少年法とは・・・、更生とは・・・、被害者の心の傷は・・・。
犯人を裁く権利は一体誰にあるのだろう?
葛藤、やりきれない思い、様々な問題提起を読者に、社会に投げかける一冊。
現実に将来自分の身にも起こりうる可能性が否定できないこのような事件。
もし、自分が当事者になってしまった場合・・・
その時おれは、どうするのだろうか・・・。
★★★★
その他の東野圭吾作品
◇『卒業』 ◇『11文字の殺人』 ◇『名探偵の掟』 ◇『どちらかが彼女を殺した』
◇『悪意』 ◇『白夜行』 ◇『片想い』 ◇『レイクサイド』 ◇『さまよう刃』 ◇『夜明けの街で』
◇『新参者』
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今は文庫本も出てますね
- さまよう刃 (角川文庫)/東野 圭吾
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