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冬なのに「アレルギー性結膜炎」で目がかゆい?


こんにちは。橋本です。


一般的に、目がかゆくなるアレルギー性結膜炎(アレルギーせい・けつまくえん)というと、花粉の飛ぶ時期…とくに春になるとおこる病気だと思われがちです。


しかし、アレルギー性結膜炎は、寒い冬にも悪化する要素がひそんでいる病気。


つまり、「アレルギー性結膜炎がひどくて目がかゆい!」っていうのは、冬場でも十分ありえるのです。


冬:アレルギー性結膜炎


 


冬に飛ぶ花粉とは?


アレルギー性結膜炎は、アレルゲンによって、白目が充血したり、まぶたの裏の粘膜にブツブツができたりする病気。


まぶたがはれたり、目やにや涙が多くなったりもします。


アレルギー性は、かゆみが強いのが特徴です。


春にひどく悪化するアレルギー性結膜炎は、花粉が原因、アレルゲンであるケースが多い、というのももはや常識になっていますよね。


くしゃみ、鼻水、鼻づまりがやっかいな、アレルギー性鼻炎とあわせて、花粉症とよばれている症状です。


「冬は花粉が飛んでないから花粉症はおこらない」


そう思われがちですが、冬もわずかながらですが、花粉が飛んでいることが観測されています。


たとえば、イネ科の雑草は、花粉が夏や秋にとくに多く飛散し、冬にも少ないながら飛散します。


ブタクサとよばれる雑草も同様に、夏や秋に多く飛散し、冬にもわずかに飛散することが知られています。


参考サイト:

花粉カレンダー(政府広報オンライン)


こうして、花粉は冬にも飛んでいるわけですね。


とはいっても、より多く飛ぶのは、やはり他の時期です。


とくに春、そして夏、秋です。


だから、花粉によるアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎が、冬に一気にひどくなるとは、通常、考えにくいんですね。


ブタクサ


 


冬なら、原因はハウスダストかも?


目がかゆい。冬にひどく悪化するアレルギー性結膜炎…。


その大きな原因のひとつは、ハウスダストだろうと考えられます。


ハウスダストといわれると、あのモコモコした「わたぼこり」がチクチク刺激して、目がかゆくなるんだろう、と思ってしまいがち。


ですが厳密にいうと、そうではありません。


ハウスダストとは、日常生活でできあがるチリやホコリ。


その中身は、繊維くず、髪、フケ、ペットの毛、昆虫の死がい、フン、砂、排気ガス、食べかす、カビ、細菌などなど…すべてをひっくるめたものです。


参考サイト:

勘違いされやすい「ハウスダスト」の意味


そのハウスダストの中でも、とくにアレルゲンになりやすいものは、ダニの死がいフンです。


ただ、夏や梅雨時期に比べ、冬はダニが増えにくい時期のはずです。


ところが、このダニの死がいやフンをはじめとしたハウスダストが舞い上がりやすい状況。


それが冬にはあるのです。


ハウスダストの中身


 


温風がハウスダストを舞い上げる


冬は寒いので、ついつい窓は閉めっぱなし。


エアコン、ファンヒーターなどを使う家庭も増えてきます。


そうすると、その暖かい風に乗って、家のホコリが舞い上がります。


その温風がダイレクトに子どもに当たれば、そのホコリが目に入るなんてことも、当然考えられるわけです。


また、温風の当たるところは、高温を好むダニも繁殖しやすくなり、それもホコリとともに舞い上がります。


「冬に目がかゆくてたまらない…」


そんな場合は、こうした理由によるアレルギーも考えられるんですね。


 


「目のまわり」と「目」…それぞれの治療


で、「目がかゆい!」というと、すべて一緒くたにしがちですが、症状は人それぞれです。


大きくわけると、「目のまわり」のかゆみ、それと「目」のかゆみ。この2つにわけられます。


「目のまわり」のかゆみや湿疹を、専門用語でいうと、眼瞼炎(がんけんえん)、もしくは眼瞼縁炎(がんけんえんえん)とよんでいます。


眼瞼縁炎というのは、「瞼(まぶた)の縁(ふち)の炎症」という意味ですね。


それに対し、「目」そのものの炎症、かゆみが、アレルギー性結膜炎


アトピーをともなうアレルギー性結膜炎のことを、アトピー性角結膜炎(アトピーせい・かくけつまくえん)とよんだりもします。


つまり、ひとくちに「目がかゆい」といっても、かゆいのは


「目のまわり」なのか?(眼瞼炎)

「眼球」なのか?(アレルギー性結膜炎)

・ それとも両方なのか?


これを見極めて治療する必要があるんですね。


なぜかというと、「目のまわり」か「眼球」か、炎症がどこかで治療が変わってくるからです。


眼瞼炎であれば、おもに塗り薬を使って炎症をおさえた後、保湿剤でケアをしていきます。


目の周り:塗り薬


アレルギー性結膜炎であれば、おもに目薬(点眼薬:てんがんやく)や眼軟膏(がんなんこう)で治療していくのが普通です。


ステロイド:目薬


 


「いつまで経っても良くならない」にならないために…


たとえば、アレルギー性結膜炎でかゆくて目をこする。


それで目のまわりが湿疹になっていたとしたら…。


目のまわりを塗り薬で治すだけでは、アレルギー性結膜炎は良くならないはずですよね。


目の中の炎症は、おさまっていないわけですから。


そうなれば、せっかく治したまぶたも、またかいてしまう、なんてことの繰り返しになることも。


アレルギー性結膜炎は放置すると、思春期などでは、春季カタル(しゅんきカタル)という重症になってしまうこともあります。


春季カタルになると、症状もひどく、それだけ治療も難しくなってしまいます。


「眼瞼炎なのか?アレルギー性結膜炎なのか?」


これをきちんと見極めて治療することが、「いつまで経っても良くならない」にならないためにも大事なんですね。


なので、場合によっては、皮膚科と眼科など、複数のお医者さんに診察してもらったほうが、治療がスムーズにいくこともあります。


眼瞼炎:アレルギー性結膜炎


「目がかゆい」ということで、ひとまとめにされやすい「眼瞼炎」と「アレルギー性結膜炎」。


この2つをきちんと区別していくことで、より適切な治療、ケアができるんですね。


また、ウイルスによる結膜炎、いわゆる「はやり目」など、ほかの病気をアレルギー性結膜炎と勘違いしないためにも、専門のお医者さんに症状を診てもらうことは重要です。


 


冬のアレルギー性結膜炎:生活環境の対策


冬にアレルギー性結膜炎がひどくなる場合ですが。


ハウスダストによるアレルギーをおこしているとなると、目薬などを使って治療することも大事ですが、それだけでは症状を繰り返してしまうこともあります。


ファンヒーターなどで、ハウスダストが舞い上がっている中で生活していれば、症状が何度も繰り返すことも当然ありえるわけです。


ファンヒーター:子ども


そうならないためには…


ファンヒーターのまわりにカーペットをひかない

温風をカーテン側に当てない

温風が子どもに直接当たらないようにする

なるべく床付近から風を送るようなファンヒーター以外の暖房を使う

適度に掃除をする

時々、換気をする


などなど、温風やダニに対して、できる範囲で対策をしていくことも大事です。


「これで劇的に症状が改善する!」という方法はありませんが、ちょとした工夫でできることはしておきたいですね。


 


 


 


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