目のまわりは、「ステロイド眼軟膏」じゃないとダメなの? | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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目のまわりは、「ステロイド眼軟膏」じゃないとダメなの?


こんにちは。橋本です。


目のまわりの皮膚、まぶたや目の下、それから目のキワのあたり。


そこに、アトピーによる湿疹がある場合は、ステロイド外用薬プロトピック軟膏などを適切に使うと、効率よく炎症がおさまります。


で、もしステロイド外用薬を使う場合。


「ステロイド眼軟膏」という種類のステロイド外用薬が処方されることがあります。


しかし、目のまわりに使うステロイド外用薬は、必ず「ステロイド眼軟膏でなければいけない」「ステロイド眼軟膏でなければ困る」というわけではありません。


むしろ、ステロイド眼軟膏以外の選択肢をなくすと、皮膚の炎症をきちんとおさえられないケースさえあります。


症例写真:アトピーによる眼瞼炎(がんけんえん)
症例写真アトピーによる眼瞼炎(がんけんえん)


 


ステロイド眼軟膏とは?


眼に使われるステロイド外用薬には、プレドニン眼軟膏リンデロンA軟膏などがあります。


プレドニン眼軟膏は、眼瞼炎(がんけんえん:まぶたにおきる皮膚炎)眼と粘膜の炎症など


リンデロンA軟膏は、眼と粘膜の炎症などに、おもに使うことができます。


ステロイド眼軟膏:プレドニン眼軟膏


 


ステロイド眼軟膏による効果の強さは?


しかし、これらの眼軟膏の炎症をおさえる力は、とても弱いです。


30種類以上あるステロイド外用薬は、効き目の強さによって「5段階」のランクにわかれているのですが。


その中でも最も弱いランクにあたる、ウィーク・クラス(弱め)よりさらに弱いのが、ステロイド眼軟膏です。


 


製品名が誤解のもとになることも


ステロイド眼軟膏のひとつ、リンデロンA軟膏。


リンデロンA軟膏は、眼、それと眼の粘膜の炎症などに、おもに使われます。


リンデロンA軟膏

ステロイド眼軟膏:リンデロンA軟膏

 


 


一方で、眼軟膏ではなく、ストロング・クラス(5段階中、上から3番目の強さ)のステロイド外用薬に、リンデロンV軟膏というのもあります。


赤ちゃんや子どものアトピー治療では、リンデロンV軟膏は、顔ではなく、おもに体に使われるステロイド外用薬ですね。


リンデロンV軟膏

ステロイド外用薬:リンデロンV軟膏

 


 


この製品名が誤解のもとなんですが。


人によっては、リンデロンV軟膏を眼に使えるようにしたのが、リンデロンA軟膏だと勘違いするかもしれません。


しかし実際には、リンデロンV軟膏とリンデロンA軟膏に配合されているステロイドは、それぞれ違うもの。


炎症をおさえる強さも、かなり違います。


眼の粘膜にも使えるリンデロンA軟膏は、体に使えるリンデロンV軟膏に比べて、皮膚の炎症をおさえる力は、数千分の一とみられています。


アトピーのように強い炎症によって、湿疹やかゆみが出る症状では、このような強さのステロイド眼軟膏では、症状がきちんとおさえられないことも考えられます。


きちんと炎症がおさえられず、炎症が繰り返すと、目の周りに黒い色素沈着が残ったり、シワが目立ってしまったりします。


さらには、きちんと炎症がおさえられないと、ステロイド眼軟膏を長期間、ちょこちょこ使ってしまうことにもなりかねません。


いくら弱いステロイド外用薬といえども、目のまわりの皮膚は薄いので、長期間、ちょこちょこ使ってしまうと、副作用が出ることも考えられます。


 


顔用のステロイド外用薬を使うなら、塗り方に気をつける


アトピーのような皮膚の炎症を考えると、目のまわりの湿疹でも、きちんと顔用のステロイドを使うのも選択肢のひとつです。


たとえば、ミディアム・クラス(やや弱め)ウィーク・クラス(弱め)のステロイド外用薬ですね。


もうひとつの選択肢として、2歳以上の子どもなら小児用のプロトピック軟膏を使うという手もあります。


プロトピック軟膏なら、皮膚の薄い部分でも、皮膚萎縮などの副作用が出ませんからね。


ただ、その時も、一度ステロイド外用薬で炎症をおさえて、肌をすべすべにしてから、プロトピック軟膏に切り替えたほうが、プロトピック特有の刺激感を感じなくて済みます。


どれを使うかは、症状の強さに合わせて、それぞれの薬のメリット・デメリットを比較しながら、お医者さんとよく相談して決めるのがベストです。


ただし、ステロイド外用薬は、ひんぱんに目に入ると眼球内の圧力(眼圧:がんあつ)を上げてしまうことがあります。


眼圧が上がった状態が続くと、緑内障(りょくないしょう)になって視力が落ちたり、場合によっては失明にいたることもあります。


そのため、目のまわり、とくに「目のきわ」に塗るときは、目の中にステロイド外用薬が入らないように塗る必要があります。


なるべく湿疹の部分だけに薬がのるように、ていねいに塗ったり、はみ出た部分は、ふき取ったりする、ちょっとした気づかい、工夫がいるわけですね。


 


定期的に眼科の検診を受ける


ただし、どんなに気をつけて、塗っても、目に入ってしまうのは、しかたがありません。


こればかりは、どうしようもないので、目の周りにステロイド外用薬を使う場合は、眼圧の上昇がないか、定期的に眼科の検診を受けることが重要です。


視力が落ちることは、子どもにとって大きな QOL の低下につながってしまいますからね。


眼圧が上がっても、「痛い」などの自覚症状は、ふつうありません。


いちばん怖いのは、視力の低下に気づいてから、対応することです。


きちんと定期検診で、眼圧の異常に気づくことができれば、ステロイド外用薬を一旦中止することで、眼圧はすみやかに正常に戻ってきます。


また、目のまわりの湿疹がかゆくて、ひんぱんにこすったり、たたいたりすると、白内障のリスクが高くなることも指摘されています。


そういう意味でも、目の周りの湿疹を治療している期間は、定期的に眼科の検診を受けることが、重要なんですね。


 


きちんと保湿剤でフォローアップ


目のまわりは、「ステロイド眼軟膏」ではなければいけないということはありません。


症状をよく診察してもらい、それに合わせた薬を、お医者さんとよく相談して決める。


適切にケアができれば、炎症はスムーズにおさまり、カサカサしていた肌がすべすべになります。


そしてそこで終わりではなく、炎症がおさまっても、保湿剤ですべすべの肌をなるべく長くキープしてあげるのも大きなケアのポイントです。


 


 


 


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