ステロイド外用薬による「皮膚萎縮」とは | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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ステロイド外用薬の皮膚萎縮とは


ステロイド外用薬による「皮膚萎縮」とは


こんにちは。橋本です。


ここでは、ステロイド外用薬の副作用として、いちばん代表的なもの。


皮膚萎縮(ひふ・いしゅく)についてお話していきたい、と思います。


副作用は、「必ず出るもの」ではありません。


薬を正しく使って、定期的に肌をお医者さんに診てもらっていれば、防げるものです。


「薬の正しい使い方」は、ほかの記事にまかせるとして、ここでは「皮膚萎縮」について、なるべく正しい情報をあげておきます。


 


「皮膚萎縮」ってどんな現象?


表面にちりめん状の細かいしわがよる。


下の静脈が透けて見える、つまむと薄い感じがする。


このような「皮膚が薄くなる感じ」が症状としてあらわれるのが、皮膚萎縮です。


しかし、直接的な痛み、かゆみがないので、注意して見ないとなかなか気づきません。


症例写真:皮膚萎縮
症例写真皮膚萎縮


 


ステロイド外用薬による「皮膚萎縮」の原因


ステロイド外用薬は、皮膚に炎症をおこす細胞の働きをおさえることで、湿疹を治します。


ただそこで問題なのは、ステロイド外用薬が同時に、炎症に関係のない細胞の働きまでおさえてしまうこと。


具体的には、皮膚線維芽細胞(ひふせんいがさいぼう)というものにまで作用してしまうことです。


それが、皮膚萎縮という副作用につながってしまうんですね。


「皮膚線維芽細胞」は、肌内部の真皮にある細胞。


コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった肌の「弾力」「うるおい」をキープする成分を作り出す細胞です。


この細胞の活動がおさえられてしまうわけですから、カンタンにいえば、家の柱を失うように皮膚が薄くなってしまうのです。


 


「皮膚萎縮」を回復させるには


皮膚萎縮があれば、ステロイド外用薬をストップするのが原則です。


ただし、自己判断でのストップは危険です。


皮膚萎縮はなかなか素人では見分けられるものでないです。


それに、ステロイド外用薬を急にストップすると、一時的に、はれ、赤み、ほてり感などが強くなって、症状が悪化することもあります。


ストップする場合は、必ずお医者さんと相談してください。


回復させるのが難しい皮膚萎縮線条(ひふいしゅく・せんじょう)というもうひとつの副作用とは違い、皮膚萎縮は塗るのを止めると徐々に回復していきます。


回復の早い遅いには、個人差があります。


また、場合によっては、ステロイド外用薬からプロトピック軟膏に切り替えるという手もあります。


同じ皮膚の炎症をおさえる塗り薬でも、プロトピック軟膏の場合は、「皮膚線維芽細胞」には作用しません。


そのため、プロトピック軟膏に切り替えると、皮膚萎縮が回復しやすくなることもあるんですね。


ただし、プロトピック軟膏も、独特な薬です。


薬の特徴や「2歳未満の子どもには使わない」「1回の使用量制限を守る」など正しい使い方を知った上で使わないといけません。


参考記事:

プロトピックってなに?

プロトピック軟膏の「発がんリスク」について



 


皮膚萎縮で何が困るのか?


皮膚萎縮がおこればステロイド外用薬をストップするのが原則です。


そのため、皮膚萎縮があると、ステロイド外用薬を使えないので、それだけ治療が難しくなるケースもありえます。


そして、そもそも皮膚萎縮によって、皮膚が薄くなることにも問題があります。


外部からの刺激に弱くなって、皮膚に炎症がおきやすくなる。


つまり、炎症がぶり返しやすくなるので、これも治療を難しくする原因になります。


そうならないためにも、薬ばかりに頼らない。


「正しく薬を使う」「ていねいにスキンケアする」「生活環境を整える」の3つをバランスよく続けることが大切です。


 


 


 


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