●勘違いされやすい「ハウスダスト」の意味。
ども、こんにちは。橋本です。
それにしても帰省ラッシュ、すごいですね。渋滞に巻き込まれた方も多いと思いますけど。
今日のお話は、それと同じくらいイラつくほど長いですが、さらっと軽くお付き合いください。
さて。
アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎など。
アレルギーが疑われる病気では、病院で血液によるアレルギー検査をすすめられることが多いですよね。
んで、実際結果を見ると紙には、アレルギーの原因になるもの。アレルゲンがずらっと書いてあり、それぞれのスコアが示されています。
このずらっと並んだアレルゲンの中に、“ハウスダスト”っていうのがありますよね。
“ハウスダスト”は、専門用語です。
「“ハウスダスト”なんて、カンタンにいえば“家のホコリ”のことでしょ」
これは、確かに正解です。
“ハウスダスト”を訳せば、“家のチリ、ホコリ”になりますから。ようは、室内にたまるホコリのことですよね。
でも、アレルギーの子供にとって、ここからイメージするものは、なんでしょうか?
・ わたぼこりを吸ったために、ゴホゴホ、鼻水ズルズル。
・ ホコリが目に入って、かゆかゆ。
・ 汗と一緒に、ホコリが皮膚について、かゆかゆ。
あなたは、こんな光景をイメージしていますか?
アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などでは、確かに“家のチリ、ホコリ”に対して、アレルギー反応をおこす。症状が悪くなる場合が多いです。
ですが。
厳密には、目に見える“ホコリ”に対して、アレルギーをおこしているのではなくて、その中身に対してアレルギーをおこしている。
これが、ほんとの正解です。
- 土、砂
- 繊維くず
- 金属の粉
- 毛髪
- 頭のフケ
- 体のあか
- 食べかす
- ペットの抜け毛
- ゴキブリ
- ガ
- 昆虫のフン
- 昆虫の死骸
- カビ
- 細菌
- ダニの死骸
- ダニのフン
- 花粉
- タバコの煙
- 排気ガス
- などなど
ハウスダストの中身は細かくいうと、こういうものなんですね。
実際のアレルギー検査では、「ハウスダスト(1)」「ハウスダスト(2)」なんていう項目があります。
ここでちょっと余談ですが、この検査用アレルゲン。日本製ではありません。
「ハウスダスト(1)」は、グリアー社 Greer Labs。
「ハウスダスト(2)」は、ホリスター・スタイアー社 Hollister-Stier Labs。
2つの米国の会社により、それぞれ調製されたハウスダストエキス。検査用アレルゲンを輸入して使用しています。
「ハウスダスト(1)」「ハウスダスト(2)」を比較すると、使用されているアレルゲンの種類、濃度に、わずかな違いがあります。
しかし実際のところ、“チリダニの死骸、フン”がハウスダストアレルギーの大きな原因です。
チリダニは、犬や猫についているような、「刺すダニ」とは種類が違います。
チリダニの体の大きさはミクロン単位なので、人の目には見えません。ハウスダスト1g中には、ダニが数百匹~数千匹検出されます。
チリダニには、いろいろ種類があるんですが、“ヤケヒョウヒダニ”と“コナヒョウヒダニ”。舌をかみそうですが(笑)、この2種類が多く検出されます。
季節では寒冷期には少なく、温度と湿度の高い夏から秋にかけて、最もダニの死骸やフンなどのハウスダストが増加します。
ダニに対して陽性(+)反応がある場合、ハウスダストも陽性(+)となる確率は、とても高いです。
この場合、ハウスダストとはいっても、主にダニに反応しているんですね。
ハウスダストが陽性(+)でダニが陰性(-)の場合は、ネコふけ、イヌふけ、ゴキブリなどに陽性を示すことが多いと報告されています。
ただ注意してほしいのは、アレルギーの検査は、まだ「100%正確」ではありません。検査結果は、参考程度にとどめるべきです。
参考とは、ダニに陽性(+)ハウスダストに陽性(+)の場合、まずはダニ対策に取り組んで様子をみる、ということ。
つまり、検査結果のみで「ダニのせいでアトピーがひどくなっている」と決めつけないことです。
アトピーの場合、悪化の原因が複数にわたるので、原因アレルゲンの特定は難しいのが現実です。
そして、そもそも血液によるアレルギー検査は、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、じんましんなどの即時的アレルギーを見るのに適した検査です。
アトピーのような遅延型アレルギーに対しては、結果通りとは限りません。
それに、検査で出たアレルゲンを完全になくせたとしても、劇的に症状がよくなることは、まずありません。
この「アレルギーの型」については、少し難しい話なので、ここではやめておきます。
大事なのは、「ハウスダスト陽性(+)・陰性(-)」という検査結果を、「どう受け取るか」です。
毎度くどいですが、アトピーの正しい治療をおさらいしておきましょう。
まずは、ていねいなスキンケア、正しく薬を使って皮膚の炎症を抑える。
そうして湿疹をよくしたうえで、「ダニ」「カビ」「ペット」の3つに対策をうって、様子をみるのが、正しい順序です。
湿疹がひどいのに、室内のホコリを掃除することだけに全力を注ぐ、というのはナンセンスなんですね。
順序が違います。
小さなことに、あまりにもとらわれすぎると、大きなものが見えなくなってしまいます。
こういうのを、「木を見て、森を見ず」というのでしょうか。
大地をみる大空の鳥のように、アトピーの治療を大きな視点でみることが大事です。
そのうえでも、「ハウスダスト」の意味をもう一度、再確認しておいてくださいねー。