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6月21日に発売していた『女性セブン』さんにて
ヘアケア業界で最近新たにトレンドとなりつつある「ノンカチオン」について取材を受けた記事が掲載されています!
ページは13~15ページですね!
皮膚科の先生と一緒に『カチオン』という成分のメリットやデメリットについてお話していました。
21日発売なのに告知が遅いぞ…といわれても仕方ないのですが、
なぜか発売日にかずのすけ宅に届いた見本誌が前の号で、こちらが一昨日くらいに届いたため
こんなタイミングになっちゃったのです…(^^;)
とはいえ女性セブンさんの知名度で考えれば
僕のブログで告知してもさしたる販促効果は見込めないので…(苦笑)
あくまで話題としてご理解頂けると幸いです!;
本誌ではやっぱり広告としての都合もあってノンカチオンを良しとする雰囲気の記事になっているんですが、
このテーマについては結構色々とひとことで言い表せないややこしい事情がありまして…。。(;^_^A
こちらの女性セブンさんではあくまで聞かれたことに答える、ということしかできていなかったので
ブログではこの「ノンカチオン」について僕の見解を詳細にお話しておきたいと思います。
◎「ノンシリコン」に次ぐトレンドになる?!「ノンカチオン」ブーム到来か
10年ほど前からヘアケア業界で爆発的なトレンドになり一世を風靡した
『ノンシリコンブーム』というのがありました。
ノンシリコンとはその名の通りシャンプー(やトリートメント)に「シリコン」という成分を配合しないこと。
シリコンというのは「ジメチコン」や「シクロペンタシロキサン」などが有名どころですが、
正式名『シリコーン』と呼ばれる油性成分のことをさします。
メイクアップコスメでも頻繁に使われているほど安全性が高くとても優秀な成分にも関わらず、
シャンプーやトリートメントに配合されるとなにがしか悪い影響があるとまことしやかにささやかれて悪者扱いされてきました。
髪のダメージになるとか毛穴に詰まって薄毛の原因になるとか、毒性があるとか…
色々言われて大変だったのですが。。
実際には某ヘアケアメーカーが仕組んだトレンド商法というかなんというかで、
根も葉もない噂が増長して伝わり今の悪評に繋がっています。
現在では実際にはシリコーンそのものが肌や髪に悪さすることはないことは消費者にも広く伝わってきていて、
昔ほどの勢いはもうなくなってきているように僕は感じていますが…
それでもかたくなに「ノンシリコン」にこだわる人が残っているのも事実です。
実際にはシャンプーの善し悪しはシリコンの有無では全く評価できるものではなく、
単純に洗浄力や刺激の強い成分を使っている安価なシャンプーだと使用感が悪くなるからシリコンを入れる必要があったというだけで、
当時から主成分の洗浄成分にこだわったヘアケア製品はシリコンを入れないのが基本でした。
(トリートメントには普通に入ってますが)
低価格の「ノンシリコンシャンプー」の多くは洗浄成分が良くないものを使っているにもかかわらず
シリコンを配合しなかったため、とても使用感が残念なものになっているケースが多かったのです。
結局使用感面で疑問を抱いた消費者も多くて今では下火になりつつあるように思います…。
さらに詳しくは大昔に書いたノンシリコンについての記事を読んでみてくださいね!
▶『ノンシリコンシャンプー』と『シリコンインシャンプー』について
というわけで、
最近「ノンシリコン」があんまり売れなくなってきたね……、、
ということで次に上記の某メーカーさん中心に新たに仕掛けてきた新トレンド(?)こそが、
『ノンカチオン』
です。
ノンカチオン以外にも「カチオンフリー」や「カチオンゼロ」などの呼び方がある様子。
「ノンカチオン」とは一体何なのか?
かずのすけが詳しく解説します。
◎「カチオン」とは「陽イオン界面活性剤」のこと!
『ノンカチオン』というからには「『カチオン』が入っていない」ということを言い表していると思います。
では「カチオン」とは何なのか?というと、
これは一般に『陽イオン界面活性剤』という成分のことを指しています。
陽イオン界面活性剤は『柔軟剤』の主成分に使われている成分で、
柔軟剤関係の内容は以前詳しく特集していますね!
▶柔軟剤の柔軟成分【陽イオン界面活性剤】を比較してみる(前編)
簡単に言うと、
水中でマイナスの静電気を帯びて「洗浄」を得意とする【陰イオン界面活性剤】とは逆に、
水中でプラスの静電気を帯びて「吸着・柔軟化」を得意とするのが【陽イオン界面活性剤】です。
僕は基本的に日本人なので日本語で「陽イオン」という風に言うことが多いですが、
(あと字からプラスであることが分かる)
ヘアケア業界では陽イオン界面活性剤のことを「カチオン界面活性剤」とカタカナ呼びすることが多いです。
(ちなみに陰イオン界面活性剤は「アニオン界面活性剤」です。)
◎どうして「カチオン」はダメなの?
なぜこのカチオン界面活性剤=【カチオン】を配合しない製品が生まれてきたか?というと、
それはカチオン(陽イオン系成分)には潜在的な皮膚刺激や毒性があることが原因と思われます。
(マンガでわかる かずのすけ式美肌化学のルール p.88「界面活性剤は危ないもの?」より)
(オトナ女子のための美容化学 しない美容 p.185「トリートメントが頭髪に及ぼす影響」より)
人間の体細胞はマイナスの静電気を帯びているため、
プラスの静電気を帯びた物質は細胞膜を破壊できます。
このため陽イオン界面活性剤の多くは皮膚に刺激になったり痒みの原因になる場合があります。
特に【セトリモニウムブロミド】や【ステアルトリモニウムクロリド】などの
『第四級アンモニウム塩』
と呼ばれるタイプの陽イオン界面活性剤は
高濃度のものだと肌荒れや身体のニキビなどの原因となる場合があります。
そういった背景から
かずのすけも以前から【カチオン(陽イオン界面活性剤)】の問題点については口酸っぱく発信してきたつもりで、
僕自身カチオン成分にはとても注意して化粧品やヘアケアを選んでいます。
これを考えれば「ノンカチオン」というものが出てきたということは
業界全体としてカチオンへの注意が増してきたということなのではないか?と思うところで、
この流れ自体はとても歓迎されるべきことではないかなと思っています!
◎しかし【カチオン】そのものを全て悪として捉えるのはやはり問題ありか
ただし、
『ノンカチオン』という風に【カチオン】という成分を全てまるっと悪者扱いしてしまうのは
やはりどうなのかな?と僕は感じています。
カチオンには先ほど紹介した【第四級アンモニウム塩】の他にも
敏感肌配慮型の【第三級アミン塩】というタイプの成分があります。
(どんな敏感肌でも美肌になれる!オフスキンケア p.121「トリートメントが肌荒れの原因になるという事実」より)
他にも【ポリクオタニウム-○】や【クオタニウム-○】、
第四級アンモニウム塩でも
【ステアルトリモニウムメトサルフェート】などの低刺激タイプが数多く開発されています。
他にも
・カチオン化ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム)
・カチオン化ケラチン(ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン)
などのようにカチオン化した毛髪保湿成分や毛髪補修成分というのもあります。
髪はダメージを受けるとマイナス帯電しやすくなるためこういった成分がとても効果的に働きます。
(とても高分子のため皮膚刺激はほとんどありません)
【カチオン】すべてを悪としてしまうと、
これらの非常に優れたヘアケア成分も配合できないことになってしまいます。
何よりシャンプーによってマイナスに帯電した髪の静電気を中和しないと
髪は当然ギシギシパサパサになってしまいますので…
これを中和出来る何らかの成分を配合しないことには
使用感がとても悪いトリートメントやコンディショナーが出来上がってしまいます。
確かに低刺激であることは間違いないのですが、
トリートメントしても髪がギシギシになる商品なんて誰も望んでいないのではないでしょうか…?
カチオン成分に目を向けて低刺激化していこう!という試みはとても素晴らしいことだと僕は思います。
でもだからといって全部×にしてしまうのは、
それは「ノンシリコン」と同じく問題の根幹を取り違えていないか?
と心配になります…。
◎「ノンカチオン」と書いてあっても「カチオン」が入ってるものがある?!
さらなる問題としては、
現在商品化されているノンカチオン系トリートメントでは
・アルキル(C12,14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCl
などのような「両性イオン界面活性剤」をpH調整して疑似カチオンとして配合しているケースが多いですが…、
まぁこれだけでの柔軟効果や帯電防止効果には限界がありますので…。。
これだけではまとまらない使用感をなんとかするべく
シリコーンを10%近く入れているようなトリートメントもありましたし、
場合によっては一見分からないけど
「セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク」
のようなカチオン成分をしれっと入れちゃってる商品もあります。
これは普通のカチオン界面活性剤ではないですがこれも一応第四級アンモニウム塩なので
結局カチオン界面活性剤と同じような働きをします。
▶セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク
他にはポリクオタニウムシリーズを入れちゃってるやつもありますね。
まだ業界的にもどこからどこまでを【カチオン】とするのか具体的な定義がない状態なので、
各メーカーごとにカチオンの定義がバラバラなのかもしれません。
ただ僕が思うには「ノンカチオン」や「カチオンゼロ」と言ったからには
そういった微カチオン成分や低刺激型カチオンであっても入れてはいけないのでは?と思います。
(こういう成分なら入っていても刺激があるわけじゃないし全然良いんですが、単純にキャッチコピーが足を引っ張ってると思います。)
ノンシリコンと言いつつシリコン入れてるみたいなものですから…。
でもこの制約はノンシリコンなどよりも圧倒的に難しいですよ。
ことトリートメントに関して言えば、カチオンは「主成分」とも言える成分です。
シリコンの代わりになるような油なんていくらでもありますが、
カチオンについては同様の効果を発揮してしまえばそれは全てカチオンです。
【ノンカチオン(陽イオン界面活性剤不使用の)トリートメント】とは、
つまり【洗浄剤(陰イオン界面活性剤)不使用のシャンプー】と言っているようなもの。
これを達成するのはそう容易いことではありません…。
逆にこれを達成しちゃうと殆どの場合「使用感がとんでもないトリートメント(?)」が出来上がってしまいます。。
◎カチオンは確かに刺激があるが濃度や成分を吟味すれば問題なし!
ブログ歴が長い方はご存じの通り、
かずのすけも「カチオン」は正直あんまり好きではないです。
でもだからといって完全悪として無配合をゴリ押すのはさすがにやり過ぎではないかな?と思っています(^^;)
僕の個人的な結論としては、
たとえ第四級アンモニウム塩(セトリモニウムブロミドやベヘントリモニウムクロリド)配合でも
特に敏感肌でもなければ問題なく使えるケースがほとんどです。
現在では第四級カチオン成分はかなり刺激が強いということで濃度も控えめに配合されるようになってきていますし、
今までトリートメントで肌荒れとかしたことない人は特にこれを意識して避ける必要はないと思います。
地肌や肌に付かないように使用したり、身体や顔は最後に洗うことでかなり刺激などを緩和できます。
なんだかんだ言って第四級アンモニウム塩が一番しっとりさらさらになりますし…。。
とはいえ、成分の一番最初に上記の成分が書いてあるものには必ず注意して欲しいと思います。
それはちょっと濃度が高すぎるので、敏感肌でなくても地肌のトラブルなどをもたらす原因になる場合もあります。
そして敏感肌やアトピーを自覚している方や、地肌に何かトラブルを抱えている場合は、
「ステアラミドプロピルジメチルアミン」等の第三級アミン塩や
その他の低刺激タイプのカチオン成分が採用されているものを選ぶと良いと思います。
まぁ刺激性に関して言えば「ノンカチオン」と言っているものはほぼ確実に低刺激になっていると思いますので、これを選んでも良いと思います。
(使用感は保証できませんが…。)
もしくは、
シャンプーを両性イオン系の帯電しないものにして、トリートメントは使わないというのも手です。
こういうシャンプーはベビーシャンプーなどに多いですね。
という感じで、
最近は「ノンカチオン」という新たなトレンドを押してきているメーカーさんもあるようなのですが…
個人的には消費者にはそこまでの認知がないし、
カチオンを全く配合しないものを求めている消費者がそんなにいるのか?というと実際怪しいような気がしてます;
正直カチオンは高濃度だとシリコンなどよりよっぽど刺激になる成分ですが、
これがないとまともなトリートメントとしては成り立たないので
今後ヘアケア業界を席巻していくトレンドとなるかというとかなり微妙なのではないか、
と僕は思っています。(^_^;)
実際ノンカチオン系トリートメントを最近いくつか使ってみてるんですが、
まだまだ実用に足るレベルのものはない印象です。
(こっそりカチオン入れてるやつ以外は)
僕としてはノンカチオンが今後無理に発展するよりも、
低刺激型カチオンがもっと主流になっていけば良いんじゃないかなと思っていますね!
(※先ほど新規の解析依頼を集め終えたので、集計して後日発表します!記事更新までしばらくお待ちくださいませ!)
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