ぬうむ -181ページ目

第1部 カトムスへの道(2)

(ブログネタ:ケータイ、毎日どれくらいチェックする? 参加中)


SF小説「あしたの色」 目 次 第1部 カトムスへの道(1)  2008年11月08日
           (3)  2008年11月10日
          (2)  2008年11月16日
          (3)  2008年11月16日
          (4)  2008年11月24日
          (5)  2008年11月25日
          (6)  2008年11月30日
登場人物など(途中まで) 登場人物と地名の整理 2008年11月20日
          (2)  2008年12月07日
          (3)  2008年12月13日
          (4)  2008年12月15日
          (5)  2008年12月20日
          (6)  2008年12月23日
エピローグ            2008年12月24日

いつもはケータイをチェックするのは5~6回だが、今日はもうすでに10回を軽く超えている。なぜなら、昨日タメ子こと為我井という小学校の同級生から久しぶりに、というか、一言も言葉を交わせずに別れて以来12年ぶりに手紙がきて、電話番号が書かれていたから、ボクから電話をしたんだ。昨日はいなかったが、留守電に電話をくれるよう録音したから、いまかいまかと待っていたからだ。


ボクは、地元の中学、地元の高校に行ったあと少し離れた三流大学を卒業して、去年通勤に1時間くらいかかる小さな広告会社に就職した。小学校のときに冒険したあの空き地のことはまだ忘れていなかったが、あれは夢だったんだろうとぼんやり思い始めていた。そんなときにタメ子からの手紙はかなり意外だった。


「拝啓、ぬうむ様。
ご無沙汰しています。黙って転校してしまってごめんなさい。
もうあれから、12年になるのですね。立派な社会人になったと思います。わたしは父母の交通事故で急に北海道の伯父の家に引っ越すようになり、大学に通うようになってからは東京に来ています。
少し離れていますが、もし週末に時間がとれたら久しぶりにお会いできませんか?
わたしのケータイの番号は、090-xxxx-xxxxです。よかったら電話をください。」


今は金曜日の26時。明日は仕事が休みで特に予定もないので、こんな時間まで起きていたが、もうそろそろ寝よう。ベッドに入ったちょうどそのときケータイが鳴った。タメ子からだ。


「もしもし」
「ぬうむ、夜遅くにごめんね」
「タメ子か、久しぶりだなぁ。まだ起きてたから大丈夫だよ」
「久しぶりね。本当はもっと早く連絡したかったんだけれど・・・」
「うん。ボクも心配してたんだよ。突然いなくなって、理由もよくわからなかったからね。加賀美や川本もいなくなっちゃったし」
「そのことで話したいことがあるんだけれど、これから出られない?」
「ちょっと。今もう2時だよ。東京まで行けないよ」
「今わたし、ぬうむの家の近くにいるのよ」
「えっ、タメ子の家はもうなくなってるじゃない。この町にはホテルもないし・・・」
「あの空き地にいるの。出てこない?」


    ◇    ◇    ◇    ◇


夏真っ盛りなので、Tシャツを着てジーンズにはき替え、父母にわからないように静かに家を出た。カレンダーの日付が8月13日になったのが少し気になった。天気がよく、月明かりと街灯の明かりで空き地周辺は比較的明るかった。タメ子は、柵の中にいた。ボクより身長は低く、多分160センチくらいだろう。白いTシャツとジーンズ姿だ。顔の表情はわからないが、ショートカットのヘアスタイルが昔のタメ子のイメージ通りだった。


「やぁ」
「ありがとう、来てくれて」
「12年前のことってどんなこと?」


柵を間にして少し不自然だとは思ったが、12年のブランクを感じさせないにように自然に言葉が口をついて出た。


「ねぇ、こっちに入ってきたら?」
「ああ」ボクはそう言って柵を潜り抜けて、タメ子のすぐ近くまで行った。タメ子の顔が月明かりでよく見えた。まる顔だが、目がくりっと大きい。体も肩幅がやけに狭くきゃしゃな感じだが、足が長くスタイルがいい。小学校のときに比べるとボクなんかよりもずーっと大人になったという印象だ。


「これから12年前の話をする前に、わたしと一緒にまた林の中に入ってくれる?」
「えぇっ。林の中は真っ暗で転んじゃうぞ。誰も見たり聞いたりしていないからここで話せないのか」
「うん、林の先に今日話したいものがあるのよ」

(なんかいやなパターンだな)と思いながらも、別に構わないかと思った。女の子と2人きりになるのはあまり経験がないので、ちょっと面白いと考えたのかもしれない。

「よし、じゃあ行って話を聞くよ」


月の明かりは思ったよりも明るく、傾斜になった木々の間で多少は滑ったが、転ぶことなく2人は林を抜けた。

・・・湖だ! そう、12年前、最初に見た湖が木々を抜けたあとに見えた。


「なんてことだ。4人で来たときにはこの辺は雑草が生えていたのに」とボクは思わずひとり言を言った。
「そう。ここは本当は誰にも見えない湖なの」
「えっ。だってボクや君には湖が見えてるじゃないか」
「ある条件がないと本当の姿は見えないのよ。わたしゃぬうむにはその条件があるの」
「なんなんだ、その条件というのは?」
「そうねぇ、簡単に言うと選ばれし者っていうわけ」
「そんなんじゃわからないよ」
「12年前に、ぬうむはここにきたから分かると思うけれど、ここは地球の人から見て『宇宙人』が1200年くらい前から居留地にしているの」
「ちょっと待てよ。宇宙人なんているわけないだろう。だいたいがボクが選ばれし者っていうのもわけわかんないし、タメ子はちょっと・・・」
「おかしくなんかないわよ。あなただって少しは感じているんでしょう?小学校のときに2回来たけれど、私たち3人以外にそのことを誰にも話さなかったし、今だって普通ならこんな時間にこんな場所まで来ないでしょう」


確かにそうなのかもしれない。5年生のときに宇宙人がいると思った記憶は確かにあるし、それからは宇宙人とかUFOのニュースなんかをよく見るようになったし、今でもここに宇宙人がいるという考えは否定しきれないでいる。


「本当は、選ばれたのはあなただけなのよ」
「じぁあ、タメ子はなんなんだ?まさか宇宙人だと言い出すんじゃないだろうな」
うつむいたタメ子は、小さい声で「そう。わたしは宇宙人・・・。簡単にいえば宇宙人よ」
「うー。そんなバカな。なんか証拠はあるのかよ」
「地球ではわたし達も地球人と同じくらいの能力なのよ。証拠は・・・。見せたくないけれど、仕方ないから見せてあげる」とタメ子は言うと、ジーンズのポケットから縦10センチ、横5センチくらいの金属の薄いプレートを出した。左手に持って、右手の人差し指でそれをなぞる。


まただ。目がくらむ光の渦につつまれた。左手を目に当てると同時に、すぐ近くにいたタメ子の左手を右手でつかんだ。しかし、すぐに意識を失った。


    ◇    ◇    ◇    ◇


気がつくと、廻りを木々で囲まれた広場のようなところにいた。(これは4人で見つけたUFOが着地した跡があるところだ)と思った。


「どう、ここがどこだかわかるでしょう」タメ子の声が聞こえてきた。
「わたしたち4人で来たところよ。ここはさっきまで見ていた湖があるのと同じ場所で、一種のパラレル・ワールドになっているの」
「なんだって」ボクにはまったく意味がわからなかった。
「わたしの母星は高度に技術が進化していて、ある場所とほかの場所への移動点を作り出すことができるの。ぬうむも入ったことのある湖の中心にある穴は、実はわたしの母星のある地点に通じているの」
「(まさか!そんなことがあるはずがないじゃないか)・・・」
「普通の地球人にはわからないように、今の景色と実体にしてあるの。これはどこから見てもただの林の中のちょっとした盆地だけれど、わたし達にとっては大切なドアなのよ」


だめだ。タメ子が言っていることはSF小説なら理解できるが、実感がない。それにどうして今そんなことを言い出したのか?加賀美や川本のことも急に思い出した。

「加賀美君や川本さんは、大丈夫。空き地の中に入った記憶だけ消させてもらったけれど、2人とも家族と一緒に普通に暮らしているわ」
「今2人のことを考えたんだ。ひょっとしてボクの考えていることがわかるのかい」
「いいえ、そこまではわからないわ。多分2人のことが心配なんだろうなと思って話しただけよ」タメ子はくすくす笑いながら話した。

「ボクは君のことをなんて呼べはいいんだ?」自分でも思ってもいなかった言葉が口をついていた。
「タメ子でいいのよ。わたしは、全部で5人いる『空き地』の管理役のひとりだけど、代々地球人と同じようにここで生まれて、ここで生活して、なじんでいるから。ほとんど地球人よ。」
「でも、何でボクにそんなに大切なものが見えるんだろう?」
「それは、そのうちわかるわ。今日一日は今言ったことだけでも理解してほしいの」
「わかった。考えてみる」と言ったとたんに意識を失った。


    ◇    ◇    ◇    ◇


ベットで目がさめた。8月14日だった。
昨晩の空き地でのタメ子との再開から、湖のことなどが鮮明によみがえってきた。しばらくベッドに横になったままそのことを考えているとケータイが鳴った。


「おはよう。今日は目覚めも良かったでしょう」とやけに元気なタメ子の声。
「うん?うん、そうだね。まぁ、いつもどおりかな」
「今日会える?」タメ子のそんな無邪気な言葉にちょっとどきっとしたボクは、
「あぁ、いいよ。うちに来るか?」
「今は東京に戻ってるの。こっちに来てくれると嬉しいな」
「あの後まっすぐ帰ったんだ?」
「まあね。それは秘密。12時に渋谷に来てくれればお昼ご馳走してもいいよ」なんだかタメ子は昨晩のことはすっかり忘れているように気軽に話している。
「うーん、わかった。それまでには行けるからご馳走してもらおうかな」
「じぁあ、決まりね。それじゃ、後でね」


    ◇    ◇    ◇    ◇


東京までは、快速電車で1時間半かかる。渋谷の待ち合わせ場所に12時ちょうどに着くとタメ子はもう来ていた。ボクが来たことは前から分かっていたらしく、近づく前からボクを見てニコニコしていたみたいだ。


「おなか空いた?」小学校のときはちょっと暗いイメージだったのに、明るく無邪気に聞いてくる。
「座ってるだけだったんで、あんまりだけど、タメ子が空いているなら十分付き合えるよ」
「よかった。じゃあ、早速食べに行きましょ」とすたすたボクに先立って歩いて行く。でも、10メートルも行かないうちに振り返ってボクと並び、ボクの左腕に右腕を絡ませてきた。なんだかドキッとしてしまった。


タメ子が選んだ店は、あるビルの地下にある少し落ち着いたイタリア料理の店だった。メニューを見ると安かったので安心して食べることができた。食後のコーヒーを飲んでいると、


「ねえ、ドラえもん知ってるよね」とタメ子。
「あぁ、マンガのやつなら知ってるけど、映画とか見たことないよ」
「『どこでもドア』ってあるでしょう。空き地の先にある湖の穴って『どこでもドア』みたいなものなのよね。ただし、持ち運べないし、行先はひとつしかないけれどね」
「ひょっとして、タメ子の母星には空間屈折でつながっているの?」自分でもタメ子=宇宙人説をすんなり受け入れていることに驚いた。
「ううん、むしろ感覚的には物質転送に近いわね。わたしの母星『カトムス』には50か所位にあるんだよ。そっちのは行き先を選べるんだけど」
「ふうん。でも、なんだかまだ信じられないんだよな。タメ子がそのカトムス星人だなんて」
「そうよねぇ。その気持ちもわかるわ」
「で、地球人とカトムス星人は仲が悪くないんだよね。共存し合ってるの?」
「うーん、共存関係ではないわね。ほとんど相互不干渉なのね。ただ私たちは地球人にわからないようにしているし、地球人は私たちの存在自体を知らないわ」
「でも、ボクなんかが知ってるんだから他にも知っていそうだけれどなぁ」
「いいえ。他にはいないわ、って言いたいけれど本当はね、前にもあったの。100年近く前のことだけど、『空き地』の管理役の1人が地球人に恋してしまって、どうしようもなくなって打ち明けてしまったことがあるの」
「ふうん。カトムス星人って地球人みたいなの?っていうかタメ子も変身とかするの?」
「あはははっ。バカみたい。変身なんてできないわよ。管理役の一族は、地球の環境で暮らし始めて1200年もたっているんだからかなり地球人に近くなっているわ。わたしは今までカトムス星に5回行っているけれど、もともとのカトムス星人とは違うのよ」


本当はものすごいことなんだけど、こんな他愛もなく会話がはずんだのはボクが小学校のときから異星人を心の中で受け入れていたかもしれない。その日の帰りぎわに渋谷駅でタメ子が言った。


「今日は付き合ってくれてありがとう。言いにくいことなんだけど、わたしは12年前のあの事件のせいでカトムス星に戻っていたの。昨日から明日の昼までは特別に与えられた自由時間で、もう2度と地球には来られない。今日は最後のいい思い出になったわ。ありがとう」涙を隠すようにタメ子はうつむいた。
「なんだって。そんな・・・。ボクのせいでタメ子がどっかに行っちゃうなんて・・・」
「わたしは全然だいじょうぶ。カトムス星人だから・・・。昨日も会ったけど、今日はどうしてももう一度ぬうむに会いたかったの。ありがとうね」


ボクはそのあとでなんと言ったのだろうか。思い出せなかった。そう、気がつくとボクの部屋のベッドにいた。渋谷の駅で最後に時計を見たのが4時半で、今は6時になっている。本当にあったことなんだろうか?ボクにも確信が持てなかった。ケータイを取り出して着信履歴を見たが、タメ子のものは発信履歴も含めてなかった。そうだ、手紙だ。引き出しに入れたはずなのにない。こんなことってあるんだろうか?


ただひとつはっきりしていることがある。タメ子がいたことは事実なんだ。

崖っぷちランキング(第31節)

今日は、アウェーの大分戦という大きな一番。昨日下位チームが軒並みに勝っているので、暫定とはいえ自動降格圏に落ちてしまったジェフは勝たなければいけない試合。ともに天皇杯で主力を温存したことで批判もあるが、ジェフは降格を阻止しなければならず、大分も2冠目指しての対応で、批判の前に日程を考えた方がいいんじゃないかと私は思ったりする。


前半を0-0で折り返し、後半も双方点が入らず0-0の引き分けに終わってしまった。
新潟は鹿島と0-0で引き分け、ヴェルディは神戸に0-2で敗れたため、31節を終わって次のようになった。


順位 チーム名   勝点  得点  失点  得失点差
11 京都サンガ   40   33   39   -6
12 横浜マリノス   39   32   31    1
13 大宮アルデ   38   32   42  -10
14 アルビ新潟   38   27   41  -14
15 ジュビロ磐田  36   37   43   -6
15 東京ヴェルディ 36   37   45   -8
17 ジェフ千葉    35   30   45  -15
18 コンサ札幌   17   34   65  -31
 (17、18位は自動降格、16位はJ2の3位と入替戦)


結局、順位変わらず。勝ち点差1にジュビロとヴェルディ、同3差で大宮と新潟と言うことになった。勝ちたかったなぁ。残すところ3試合。がんばれー!

第1部 カトムスへの道(1)

ブログネタ:あなたに大きな影響を与えた土地は? 参加中)

SF小説「あしたの色」 目 次 第1部 カトムスへの道(2)  2008年11月09日
           (3)  2008年11月10日
          (2)  2008年11月16日
          (3)  2008年11月16日
          (4)  2008年11月24日
          (5)  2008年11月25日
          (6)  2008年11月30日
登場人物など(途中まで) 登場人物と地名の整理 2008年11月20日
          (2)  2008年12月07日
          (3)  2008年12月13日
          (4)  2008年12月15日
          (5)  2008年12月20日
          (6)  2008年12月23日
エピローグ            2008年12月24日

小学生のときに学校の裏にあった空き地の話をしよう。といってもただの広い空き地ではなかった。道路側はただの雑草が茂る空き地だったが、奥に行くと林になっていて、その先に何があるのかよく見えない。柵もしてあったし、親や先生にはもちろん、近所の大人からはそこに入ることは「絶対にダメだよ」といわれていた。 ボクも特に入ろうなんて気を起こさずに普通に5年生になった。

5年生の夏休み、8月13日のことだった。暑さとお盆などで、近所の人があまり外に出ていなかったんだろうと思う。なぜかは忘れたが、ボクは昼過ぎの暑いときに家に帰るところだった。同級生の加賀美に後ろから声を掛けられた。加賀美とはいつも話をするというわけではないが、体がでかい割りに結構いいやつだ。ボクのクラスの中では運動はトップクラスだ。

「なあ、ぬうむぅ。どうせ暇なんだろう、空き地で冒険しないか?」
「でも、あの空き地には入るなといわれてるじゃん」
「大丈夫だよう。誰も見てないし、林まで行けばカブトムシが獲れるぞ」

そんな魅力的な誘いにイヤといえないほど当時は昆虫に夢中だった。思案していると、またまたクラスの副委員長の川本とタメ子こと為我井がこっちに歩いてきた。

「こんなに暑いのに外でなにしてんの」と川本。いつも強気でうるさい女だ。
「ああ、ぬうむと冒険の話をしてたんだよ」加賀美は思ったことをすぐ口にするタイプだ。
「またなんか変なこと考えているんでしょう」
「変なことじゃないよ。理科の宿題で昆虫を見つけようって話してたんだよ」
「なら、わたしたちも一緒に行くことにするわ」

そんなこんなで、加賀美と川本、それに乗り気でなさそうなタメ子を入れて4人で冒険をすることになった。

    ◇    ◇    ◇    ◇

空き地はすぐそばだった。柵も古く子どもがすり抜けるのは簡単だった。ボクらは加賀美を先頭にどんどん奥の林に向かった。なだらかに下り始めると木々がより一層高く見え始め、ついに最初の木まで10メートルのところに来た。なんとなく風が涼しくなってきた。

「よし!いよいよ冒険開始だー!」加賀美は相変わらずテンションが高い。 ボクの少し後ろにいたタメ子が、 「わたし、、、なんか怖いわ」とか細い声で言った。じゃあ帰れよとも言えずにボクは思わず「大丈夫だよ」といってしまった。それがどんなに無責任な言葉だったのかはあとになって知るのだが、そのときはほんのなんとなく言ったんだ。

木々の間に入り始めると急に傾斜がきつくなる。それでも加賀美は幹につかまったり、身軽に飛び跳ねては次々と障害を越えて奥に分け入っていく。川本、ボク、タメ子の順で遅れた3人はついに加賀美を見失ってしまった。 3人で大声を出して呼んでみたが、返事はない。仕方ない、加賀美の行った方に行ってみるしかない。川本も少し心細くなったみたいで、いつの間にかボクの後でタメ子と一緒にいる。

「加賀美を探してくるから、ここで少し待っててよ」とボク。2人は、はぁはぁ言いながらうなずいた。
「おーい、加賀美ぃ。返事をしろよー」大声で呼んでもやはり返事がない。もう少し行ってみよう。と足を一歩進めたとき、枯れ枝を踏んだらしく滑ってしまった。傾斜が急でつかまるものも近くになかった。(やばい)と思ったことは覚えている。

どのくらい経ったのだろうか、気がつくと目の前に湖があった。何だここは?ボクらの町には湖なんかないはずだ。でも、目の前には大きな湖がある。頬をつねってみた。痛い。やっぱり夢なんかじゃない。あれっ、湖の真ん中あたりにボートがある。人が乗っているようだ。結構遠くだったので、目をこらして見た。そうだ、あれは加賀美だ。

「おーい、加賀美ぃ。こっちだよー」大声で呼んだ。聞こえないはずがないのに何にも反応がない。ボクの足元は丸い石が転がっているので、ボートには届くことはないだろうが、ボートに向かって投げてみた。割と近くに波紋ができたのに、ボートに乗っている加賀美は気がつかないようだ。どうしたんだろう。

それは、3個目の石をボートに向かって投げたときに起きた。まぶしい目がつぶれるような光があたりを容赦なく照らし出した。もちろんすぐさま目をつぶった。それと同時に足元の地面が落ちた。当然自分の体も落ちると覚悟したが、なんと空中をふわふわ浮いているようだ。

ようやく目が開けられるようになった。思わず「あー」という大きな声が出てしまった。ボクの体が湖の上を浮かんでいる。水面すれすれに。少しずつだが、湖の中心に向かって移動していることが周りの木々を見てわかった。自分で動く方向は変えられないが、手足や首から上は自由に動くようなのでボートを探してみたが、どこにもない。

(一体どうなっているんだろう。みんなはどうしたんだろう)と考えているうちに、スーッと止まった。下を見るとなんと!直径1メートルくらいの穴が開いている。水が落ち込んでいないのが不思議だ。体はゆっくりその穴に向かって移動をはじめ、やがて真っ暗な穴へ入った。上から光は差しているが。周りは黒くて何も見えない。それでもまだ体はゆっくり下降している。

下降が止まったとき、しっかりしたコンクリートのような平らな床であることがわかった。上から差していた明かりもいつの間にか全く見えず、周りは真っ暗闇になっていた。(やばい。どこが出口かわからない)そんなことを考えるあいだに急に意識が遠のいていった。

次に目が覚めたとき、なんと自分のベッドにいた。絶対に夢なんかじゃない。カレンダーを見てみると8月13日になっている。昨日(?)じゃないか。

    ◇    ◇    ◇    ◇

なんか釈然としない感じがして、加賀美の家に行った。玄関のチャイムを押すとすぐに加賀美本人が出てきた。

「おぉ、めずらしいな、ぬうむじゃないか。今日はどうしたんだ」
「いや、昨日のことだけど、林からいつ出てきたんだ?」
「何のことだよ。林なんて行ってないぜ」
「あの空き地に川本とタメ子と4人で行ったじゃないか」
「なに寝ぼけんだよ。空き地なんか行ってないぞ」
どうやら加賀美は全く覚えていないようだ。
「じゃあ、これから行ってみないか?」

なんとか誘い出して、加賀美と空き地に向かう途中で川本とタメ子に出会った。

「やあ。これから加賀美と空き地に行くんだけれど、一緒に来ないか?」
「あそこって、みんなに行っちゃだめだと言われているじゃない。ぬうむにしては珍しいこと言うのね」とまんざらでもなさそうな川本。タメ子は、下を向いて黙っている。
(そうだ!)「理科の宿題で昆虫を見つけようって話してたんだよ」とボク。
「なら、わたしたちも一緒に行くことにするわ」
「よし、決まり。じゃあ、4人で行こう」

話はすんなり決まって、柵を通り抜け林の手前まで来た。

「別行動はだめ。4人で固まって行くよ」とボクは念を押した。
下り坂の木々の中を4人はあまり離れずにゆっくり下りて行った。しばらく下りて行くと急に木がなくなり、盆地のような周りを木で囲まれた日当りのいい平らな場所に出た。雑草が腰くらいの高さまで伸びていて、おそるおそる雑草を踏みつけながら中心に向かっていく途中、1メートル四方くらい真四角になった場所の雑草が押しつぶされていた。

「これって、円盤の足があったところじゃない」と川本。
「そうかもしれないな。他にもあるか探してみようぜ」加賀美は元気よく言って、一人で先を急ぎそうになったが、
「4人でまとまって探そう」とボクが言ったのには渋々したがってくれた。昨日(?)体験したことをボクは林に入る前に3人に話していたので、別々にならないということをみんなは理解してくれている。

さらに中心に向かって雑草を踏み分けていくと中心と思えるところにも直径20メートルくらいの丸い雑草が踏み固められたところに出た。

出し抜けに加賀美が「おい、やっぱりUFOだよ、これは」と言い、
「ぬうむは宇宙人に一晩だけさらわれたのかもしれないね」と川本が言った。

一瞬のことだった。あの光がまたたき、ボクは気がつくと自分のベッドに寝ていた。日付は8月13日。

    ◇    ◇    ◇    ◇

釈然としないまま、だからと言ってまた空地に行こうとは思わなかった。その日は外に出ず、父や母にもこのことは黙って過ごした。

夏休みが終わり、始業式の日。加賀美と川本の席は空いている。タメ子は来ていたが、お互いに暗黙の了解みたいなものがあって、あのことについては何も話さないうちに先生がやってきた。

「さあ、今日から新しい学期が始まります。もうじき6年生になるのですから、しっかり勉強しましょうね。ところで、さみしい話があるのですが、お父さんのお仕事の関係で、加賀美君と川本さんが転校しました。今日は最後のご挨拶をしたかったのですが、遠くに行かれたので、残念ですが来ることができませんでした。もうじき手紙が来ると思いますので、皆さんも返事を書きましょうね。」

授業が終わると早速タメ子のところに行った。

「タメ子は加賀美と川本と一緒に空き地に行かなかった?8月13日なんだけれど」
「ううん、その日はお盆でお父さんとお母さんと一緒に田舎に行ってて、16日に帰ってきたよ」
「でも、13日に川本と一緒に歩いていたって誰かが言ってたぞ」
「そんなのウソよ。北海道に行ったんだからこっちにいるわけないじゃない」

釈然としないボクはさらにいろいろ聞きだそうと思ったが、タメ子はこっちにはいなくてわからないの一点張りだ。そこで、職員室に行って担任の真壁先生を探した。机に座って何か書いていた。

「先生、加賀美と川本はどこに行ったんですか?いつ行ったんですか?」
「ぬうむ君ねぇ、2人は8月の中ごろに先生の所にお父さんから電話があって、加賀美君は中国に、川本さんは九州の鹿児島に行くっていうことだったけれど、今は忙しいので引っ越しが終わってから改めて連絡をくれるっていうことだったのよ。でもねぇ、まだ連絡先もわからないの。あなた何か知ってる?」と逆に聞かれてしまった。

2人の連絡先もわからないまま4月がきて、6年生になったときにはタメ子も転校していなくなっていた。

ボクは今でもあの空き地の前を通ることがあるが、大人たちが入っちゃだめだよと言っている理由がなんとなくわかるような気がしてきた。この空き地の先の林を抜けたところに宇宙人が住んでいるんだということが。

日本代表ピンチ

衝撃的なニュースが次々と伝わってきました。


1.中村俊輔が左ひざを痛め現在2試合欠場中

2.昨日は、GKの楢崎正剛が左足首の負傷で今日カタール戦の出場を辞退

3.そして今日の対京都戦で中沢佑二が右股関節を痛めて前半で交代というアクシデント


なんと言うことだ。GK、DF、MFの各位置での要と言える選手が次々に故障するなんて。今日テレビで柏対名古屋戦を見ていたが、玉田も完全とは言えない様子。


参った。もちろん他にも優秀な選手はいるだろうが、これら3人は精神的な支柱ともいえる選手たちなので、俊輔と中沢にはなんとか回復して好調に近いコンディションで臨んでもらいたい。


※AFC U-19選手権「対韓国戦」速報  前半を終わって0-1で韓国がリード。
 (この試合に勝つと、来年のU-20ワールドカップに出場できる)


※今日のJリーグの試合の結果、暫定だが、ジェフ千葉は自動降格圏の17位に後退した。明日あの大分とアウェーだが勝たなくっちゃ!

ブログネタ:現実にあったらいいなぁ、と思う乗り物



ブログネタ:現実にあったらいいなぁ、と思う乗り物 参加中


●月まで行けるエレベータ
    多少狭くてもホテルのスイートルーム並みの施設があればいうことないね。
    できれば運行する側になりたい。片道5,000万円でどう?

《次点群》
○自宅と目的地を直結する動く道路
    座席付き。乗り降りのときにこけるかもしれないので次点
○タケコプター
    クビが凝りそうなので次点
○マスタードラゴン
    ん?乗り物じゃないかぁ。強い敵と戦わなくてはならないのが面倒なので次点
○乗用むく犬
    二回りくらい大きくて、それように訓練されているもの。えさ代がかかりそうなので次点