ソウシチョウ(相思鳥 スズメ目ソウシチョウ科 学名Leiothrix lutea)
今年のGWも明日で終わりですね。私は今のマイブームに従って、探鳥散策にあちこち出掛けていました。なかで最もしんどく、かつ楽しかったのは「大阪府民の森」と呼ばれる自然公園のひとつ「なるかわ園地」でしょうか。
近鉄奈良線枚岡駅を降りるとすぐに「枚岡神社」があります。由緒正しい、河内国一之宮。その横からこんな階段を上がり始めるのが山登りのスタート。上の写真が6時30分くらい、野鳥観察は何と言っても朝が大事なのです。
目指すは標高約600mの「ぼくらの広場」。出来れば映像を載せたいくらい、この周囲の森には数多の鳥のさえずりが響いています。それにまず感激し、意気揚々と登り始めたのですが、やはり慣れない登山はしんどかったw。
でも、単なるハイキングでなく探鳥がメインなのでちょうどよかったんです。少し登っては息を整えつつ周囲を眺め、しばらく鳥を観察してはまた少し登る、その繰返しで時間を掛けちょっとずつ。これも早朝ならではですね。
途中、山道ばかりではなく「らくらく登山道」というこんな車道+歩道の舗装道路も整備されてバリアフリー化も進んでおり、鳥見メインの私にも有り難かったです。この道沿いでもたくさんの鳥たちを見ることが出来ました。
そしてこれが目標地点「ぼくらの広場」からの眺め。まさに大阪府を一望の絶景、画面中央にぴょこっと建っているのがあべのハルカスですね。ここまで鳥見をしながら3時間かかりました。そして発見した鳥は12種類ほども。
見た順に、クロツグミ、ツバメ、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、キビタキ、ソウシチョウ、センダイムシクイ、コゲラ、シメ。先々月から始めたばかりの新米バードウォッチャーには感動の内容です。
今回はまた、種類の多さに喜ぶだけでなく色々と想うところがあったんです。ひとつは上の写真、これはエナガの幼鳥ですね。4月1日に芦屋の裏山で見たのは、巣作りの材料を一所懸命に運ぶ親鳥でした。そこから一ヶ月強。
帰って調べたら、エナガの抱卵は12〜14日間。そして孵化から巣立ちまでが20日間前後とのこと。今回見たのは巣立ち直前か直後の幼鳥と思われ、期間は合いますね。何が言いたいかというと「観察し続けることの意義」です。
正直、野鳥観察を始めた最初は「美しい鳥が見られた」だけで満足していました。でも季節の移り変わりと共に鳥達の営みも段々と見えてきて、徐々にその「生態」ということに眼が行き、想いを馳せるようになってきた次第。
自分で言うのも何ですが、これは野鳥観察者として少しだけ奥行を増すことなのでは、と感じましたね。そしてもう一点は、冒頭の写真の美しい鳥、ソウシチョウのことです。この鳥の群れを観察出来たのは大きな感動でした。
でも実はこの鳥、外来生物法で特定外来生物に指定されており、また「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選定されているんです。中国原産で、江戸時代から輸入されていたのが「かご抜け鳥」として繁殖したものだとか。
ウィキには「生息域を拡大することで(中略)天然自然林の生態系が大きく変化することが懸念されるため、特定外来生物に指定された。具体的には、営巣場所が競合するウグイスやオオルリが駆逐される危険があり云々」と。
私はこれまで野鳥観察をしていてそうした事例を考えたことがありませんでしたが、これは実際に日本で起こっていること。しかし、彼ら美しいソウシチョウ自身には何の罪もありませんよね。全ては人間のエゴが招いたこと。
新米バードウォッチャーの私も、観察を通してエナガの育児やソウシチョウの繁殖を肌で感じ、そこから少し「自然と人との関わり」という大きなテーマを意識し始めました。自然観察の中から、そういう想いが芽生えてきた。
下山したのはお昼前、これから登る多くの方々とすれ違いました。皆さん自然を愛するのは素晴らしいこと、でも自然とは野生生物も含めた自然なのですね。改めて「持続可能性」という言葉の重みを感じながらの帰路でした。