以前ここに「集い住む家」と題して「サービス付き高齢者向け住宅」の案件のことを書きました。確か昨年の3月でしたね。続報をしばらく書いていませんでしたが、その後着実に計画は進行し、昨年秋から工事が進行中です。

 

地上2階地下1階、地階が鉄筋コンクリート造、地上は木造の建物。延床面積約220坪という、私も今まで手掛けた中で最大の木造建築です。冒頭の写真はその現場、2階の状況です。勾配天井の断熱面が見えてきていますね。

 

ちなみに、これまでの設計事例で最も大きな木造は150坪の高齢者グループホームで、その次が65坪の保育園でした。お年寄りや子どもたちのための建物こそ木造であるべきと考える私には、とてもありがたいお志事なんです。

 

さて、一年以上この建物のことをブログに書いていませんでしたが、その間に色々と計画上の変化がありました。ひとつは何と言っても建築確認申請にからむ変更です。床面積も高さも、各種規制によってだいぶ減りましたね。

 

そしてもうひとつは、上記とも関連するのですが、規制によって部屋数が減ったことへの運営上の対応として、このサ高住に別棟の「分室」をつくることに。しかもそれを「古民家改修」の工事でつくることになったのでした。

 

実はこちらの建物のことも、さらに以前(2021年1月)に「作法をさぐる」と題してここに書いています。その時には「古民家カフェ」をつくろう、というご要望で計画を進めたのでしたが、それは残念ながら実現しなかった。

 

その後古民家は暫定的にグループホームとして使用されていました。それを今回、サ高住の分室として改修整備することに。何と言っても場所は新築サ高住から歩いて1分もかからないすぐ近くなので、まさに分室という感じ。

 

 

そして、こちらの改修工事の方も新築と並行して進んでおります。既存の内装や傷んでいた水廻り等を解体撤去し、構造体が露わになりました。古民家改修では、この状態が見えて初めて検討できる部分がかなりあるんです。

 

それは主として「古い柱や梁などの構造体をどう見せるか」ということに関わります。お施主さまからも「ここは見せたい」とのご希望をお聞きし、ではどういう空間に仕上げるのかを、現場で監督や職方さんと共に考えます。

 

新築の方は220坪もありますが、事前に設計作業は大部分完了しています。対してこちら改修志事は、規模は40坪ほどですけれど、事前に設計できる範囲が少なくて、いわばアドリブ勝負という感じ。非常に対照的なんですね。

 

なので今は週に2回は現場へ行って様々な打合せをし、時にはお施主さまもご参加で決め事を進めていく日々となっています。でも建物が出来ていくというのは、何度やってもやはりとてもワクワクする刺激的な出来事ですよ。

 

改修工事の方が半年ほど後から工事開始となりましたが、でもこの2つのサ高住は、ほぼ同時に竣工する予定になっています。新築と古い建物の改修という全く違う作り方の、でも同じ用途の2つの建物が、一緒に出来上がる。

 

日々工事を進行させながら、まだまだある要決定事項の打合せ、そして現場で起こる変更への対応と、やるべきことはいくらでもあります。2023年の夏は、かなり熱い夏になりそうな予感がしますが、それもまた楽し、ですね。

 

via やまぐち空間計画
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