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<あらすじ>
ハンギングロックへピクニックへ訪れた女生徒と教師、計4名が山中に入ったまま失踪した「ハンギングロック集団失踪事件」をもとに作られたと言われる作品。
ハンギングロックは奇岩が林立する標高150mの岩山。
ある日ここへ、近くの女学校から生徒と教師の一行がピクニックへやって来た。
その時、一部の生徒が山に入り、まるで何かに憑かれたように奇岩の間に消えて行く。
その中で、唯一正気を保った生徒が1人逃げ帰る。
彼女が帰途すれ違った教師も、ズロース(パンツ)一枚の異様な姿だったという。
一週間後、1人が衰弱して発見されるが、残る3名の消息はついにつかめないままである・・・
<レビュー>
この作品を観た人は口を揃えてこう言います。
「なんだかよくわからないけど、怖かった」
『なんだかよくわからない』というのは、実は一番怖いのではないかと思います。
殺人鬼が出てくるなら恐怖の対象も分かりやすいですが、正体が良くわからないものに翻弄される不気味さは不安感を極限まで煽り立てます。
これは実話をもとに作られた小説を映画化したと言われ、巷ではフィクションとも言われていますが、当時の新聞記事には何処にもこのような事件は載っていなかったそうです。
それを聞いてなんだツクリモノだったかーと安堵するや否や、今度は「新聞に載せなかっただけで、似たような事件が実際に起こっていた」という情報もあって、なんともいえない不安な気持ちにさせられます。
この物語の「漠然とした恐怖」はこのあたりに起因していると思われます。
登場人物の少女達は本当にきれいです。
単純にきれいというより、絵画を切り抜いたかのような美しさです。
この世にこんなきれいな人間が存在するんだなぁと思わずにはいられません。
神様不公平!
劇中で「ボッティチェリの天使」と形容される美少女ミランダ。
(*ボッティチェリ サンドロ・ボッティチェリ。イタリアの初期ルネサンス、フィレンツェ派の画家。代表作に「ヴィーナスの誕生」などがある。「ヴィーナスの誕生」は貝殻の中に女神が立ち、長い髪の毛で股間を隠しているあの絵です。)
この人は「マドモアゼル」と呼ばれてました。
ピッタリです。
少女たちの美しさもさながら、装飾品も徹底した耽美主義です。
レース、フリル、お花、リボン・・・小物もすべて繊細なヴィクトリアン調。
ケーキまで、白とピンクのハート型。
顔半分が目の少女コミックの世界ですね。
しかし、その中で学校長の存在感は圧倒的でした。
学校長
レースとフリルは徹底されていますが、中身はやり手ババアみたいです。
それにしても、この髪型はどうやって作るのか気になって仕方がありません。
黒柳徹子海外版といった感じです。
女学生たちはハンギングロックという岩山へピクニックへ出かけます。
学校の厳しい規律から少し離れて、束の間の開放感を味わう彼女たち。
数名の女学生が「岩山へ断層を見に入りたい」と引率の教師に申し出、ハンギングロックへ登っていきます。
しかし、登るにつれ、何かを悟ったような表情になっていく少女たち。
靴下を脱ぎ、靴を脱ぎ捨て、更に山の奥深くへ入ろうとします。
ひとりだけ正気の少女がいて、金切り声で叫びます。
「やめてよ!どこ行くの!?行かないで!!!」
しかし、少女たちの耳にはその声も入らないようです・・・ガン無視?
ひとりだけ、取り残されパニック状態の少女。
それが写真右の女の子。
えーととりあえずなんかニックネームが必要かと思うので、ジャイ子と呼ぶことにします。
このジャイ子の悲鳴がものすごい。
可聴域を軽く超えてそうで、イルカがいっぱい集まってきそうです。
この悲鳴を聞いて、私ははじめて戦慄を覚えました。
ここでひとつ気になる点が。
「美少女たちは神に愛されて神隠し」という説がありましたが、では、無事だったこのジャイ子は神に愛されなかったんでしょうか。
神は平等でなければならないはずなので納得いきませんよー!!!
(ジャイ子に感情移入し過ぎ・・・私!)
ジャイ子の他に、事件後数日経って、ひとりの少女が山中で発見されます。
でも、記憶喪失になってしまっていて、何も思い出せません。
そんな彼女に級友たちが迫ります。
「何が原因なの?」「なんであなたは帰ってこられたの?」
回復した彼女にひとことのねぎらいの言葉もかけず、全員が詰め寄るのです。
私にとってはこの場面が一番イヤでした。
なんと、ジャイ子までが怖い表情で詰問しています!
あーあ幻滅だよジャイ子良い子だと思ってたのに
この映画、サスペンス形式なら事件を捜査する段階まで細かく描写したのでしょうか、それがほとんどありません。
事件解決にあたっては、高慢な態度の地元警察が目撃者にやはり高慢な職質をしているだけです。
謎解きは一切ありません。
スリルを味わいたい人には明らかに物足りないでしょう。
どんなカテゴリーにも属さない、映画と言うよりは「不気味で美しい、一枚の絵画」
できれば可能な限りきれいな画質で堪能したい、そんな作品です。
<超主観的評価>
ストーリー★★★ スリル★ テンポ★ バカ★ グロ★
総合★★
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