着ぐるみウサギがポポポポ~ン♪ 『ラビット・ホラー』 | 蝦夷☆オブ・ザ・デッド

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蝦夷の片田舎より分析しない掘り下げない脱力バカレビューをお届け(ホラー多めほぼネタバレ)

 
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<あらすじ>
大吾は、姉キリコと一緒に映画館で3D映画を鑑賞中、画面から飛び出してきたウサギのぬいぐるみをキャッチしてしまった。
その日以降、大吾の周囲に異変が起こり始め、ウサギの着ぐるみを着用したウサギ人間にたびたび遭遇するようになる。
姉キリコもそれに気付き、納戸に引きずり込まれ遊園地や廃病院が存在する夢の世界に囚われつつある大吾を救うべく奔走するのだが、絵本作家である父は、何故かキリコから逃げるように距離を置こうとするばかりだった・・・。

<レビュー>
(完全ネタバレです。ご注意ください)
少年「大吾」が、学校で飼育されている瀕死のウサギを石で叩き殺すショッキングシーンから物語は始まります。
学校の図書司書として働いている姉のキリコが慌てて駆けつけ止めるのも聞かず、何度も石を振り下ろす大吾。

 

ウサギを潰している場面は直接映っていませんが、ウサギ好きさんにはかなりのカウンターパンチです(瀕死のウサギがリアルなので閲覧注意)。
ウサギの血が飛び散り、大吾と姉キリコの顔を真っ赤に染め上げて行きます。

 

同級生から「ウサギ殺し」と罵られ、その日を境に大吾は学校へ行かなくなってしまいました。
姉キリコは「瀕死のウサギを殺したのは、早く痛みや苦しみから解放して楽にしてやりたいという大吾の高尚な優しさ。周囲に理解を求めようとしても所詮無理な話だ」と思います。
そして弟に「学校よりも大事なものはある」と伝えます。
ちなみに姉キリコ、幼い頃のある事件が引き金となり、言葉を発することができません。
なので、自分の思いを相手に伝える時は筆談です。

ある日、姉弟は仲良く映画を観に出かけました。
流行の3Dで、ちょっと怖い映画。
ショッキングな場面が何度があり、姉キリコは思わず顔を伏せます。
姉が顔を伏せている間、スクリーンでは不思議なことが起こります。
映画の中のウサギのぬいぐるみが3D映像で飛び出てくるのですが、なんとそのぬいぐるみが直接大吾の手に触れたのです。
姉が顔を背けているうちに、急いでバッグにウサギを押し込む大吾。

 

しかし、帰宅してそのウサギを取り出そうとすると、確かにカバンに入れたはずなのに、どこを探しても見当たりません。
あれはすべて夢だったのでしょうか?
・・・これが恐怖の幕開けでした。

ある晩、突然、大吾のもとに現れた着ぐるみウサギ。






 

・・・違うコイツじゃない

 

退場


コチラが着ぐるみウサギですが(いつもいつもすいませんねぇ・・・ホント)
 

コイツは、家の階段途中にある納戸の中に大吾を引き入れます。

 

最初は猛烈に怖がっている大吾ですが、着ぐるみウサギがお茶目な様子で手招きするので、恐る恐るついていきます。
納戸から通じる世界は、不思議の国のアリスを彷彿とさせるもので、はじめは怯えていた大吾も子どもらしい好奇心を刺激され、次第に楽しくなっていきました。

 
納戸は遊園地に続いていた!
 
 
しんと静まり返った暗がりの遊園地が・・・

 
着ぐるみウサギの合図(プラトーンのポーズ)で・・・

 
エレクトリカルパレード状態に!

遊園地で着ぐるみウサギと楽しむ大吾。
そこへ、雨が激しく降ってきます。
着ぐるみウサギと大吾は雨を避け、ある扉の中に避難します。
しかし、次に外へ出た時、今までとは一変した陰惨な世界が待っていました。

 
いきなり廃病院の前に。
着ぐるみウサギの様子もおかしい。

 
えっ!!!しま○ろうの首吊り!!??

廃病院の前には何故か着ぐるみが数体首吊りしています。
あまりにもシュール。
恐怖に慄く大吾ですが、気がつくと家の納戸に戻っており、姉に救出されていました。
今までのはすべて夢・・・?
しかし、階段を降りる大吾の裸足の足跡は泥だらけだったのです。
それからというもの、大吾の前には頻繁にありがとウサ・・・じゃない、着ぐるみウサギが出没して、奇妙な世界に誘われるのでした。

 
ベッドに寝てたらベッド陥没!
ジタバタしながら出てきたところは、なんと着ぐるみウサギの腹。
チャックからコンニチワ!

 
ついでに姉まで引き込まれています。
姉の頭部わしづかみの着ぐるみウサギ。
「お姉ちゃんをどうするの!?」
だんだん雲行きが怪しくなっていきます。

 
遂に着ぐるみウサギが神秘のベール(頭部)を脱ぐ!
そこには、納戸の中で見た写真と同じ女性が。
ウサギに入っていたのは、死んだハズの大吾の母だった!

 
母の遺体が入るお棺に閉じ込められる大吾。
死んでいるハズの母が大吾を見つめ、血の涙を流す。

  
着ぐるみウサギの眼が大充血!
ウサギの正体は大吾の母(故人)・・・彼女は大吾を連れて行こうとしている!

 
遂には小学校にまで出没する着ぐるみウサギ。
もう、ぶっちぎりのマジモードで追い掛けて来る。
ふと思い立つ大吾、姉キリコに提案。
「ぬいぐるみのウサギを映画館で手にした時からおかしなことが起こり始めた。お姉ちゃん、映画館だよ!映画館に行って、ウサギを元の場所に戻すんだ!」


以前観た3D映画(ちなみ本作品と同監督の『戦慄迷宮』と言う映画)のウサギが現れたシーンでぬいぐるみを返そうと試みる大吾。
しかし、スクリーンのほうからどんどんコチラへ近づいて来て、遂に大吾が画面に吸い込まれる!

 
半狂乱の姉キリコ。
スクリーンに向かって手を差しのべ、大吾を救出しようとするが・・・
一般のお客さんにとってはその姿、マジキチ。

 
拘束着を着せられ、精神病院に収容される姉キリコ。
父に訴えようとするも、何も聞いてもらえず。

ここで、姉キリコが言葉を失った原因と大吾の母の死因が同時に明らかにされます。

 
「キリコちゃん、はじめまして☆」

姉キリコ幼少時、実母亡きあとに父の恋人が挨拶に来る。
彼女のおなかにはすでに赤ん坊がいるらしい。
玄関先で父の恋人に対し邪険に接するキリコ。
その時、鏡が倒れて来て、父の恋人とキリコは同時に下敷きに。
「大丈夫か!!!」
父が駆け寄ったのは、身重の恋人のほうでした。
手に鏡の破片が突き刺さり、血だらけのキリコは呆然とします。
・・・父が大事なのは私じゃない!
ショックで部屋に引き篭もったキリコ、ふと父の恋人と同じロングヘアの自分がイヤになり、泣きながらハサミでジャキジャキセルフ散髪。
このあたりのシーンは大変切ないです。

そして、キリコの誕生日。
父とキリコは遊園地へ来ていました。ベンチに並んでお昼を食べる2人。
しかし、父の恋人が作ったお弁当が許せなくて、キリコは弁当箱の蓋を閉じてしまいます。
そんな娘にうんざりしたかのように、「飲み物買って来る・・・」と父はベンチを離れます。
弁当箱を再び開け、泣きながら父の恋人が作ったおにぎりを頬張るキリコ。
そんなキリコの後ろに、誰かの気配が・・・。



キリコの後ろに立っていたのは、大きな白い着ぐるみウサギ。
ウサギは「一緒に遊ぼうよ」とでも言いたげに、キリコに向かって手を差し伸べます。

 

 
着ぐるみウサギと楽しくメリーゴーランドに乗るキリコ。
気がつくと、遊具の柵の外に父が居て、キリコに向かって手を振っています。
手を振り返すキリコ。
しかし、ウサギも手を振り返しています。
この中に入ってる人は一体・・・?

 
着ぐるみウサギが頭の部分を取ろうとします。
そして・・・

 
「ふぅ~。あっつい☆」
なんと出てきたのは、自分が毛嫌いしている父の恋人!

 
彼女はキリコの誕生日サプライズのために着ぐるみに入っていたのでした。
ちょっとやりすぎだぞ!!!

 
「キリコちゃん、お誕生日おめでとう☆」
うさぎのぬいぐるみを手渡す父の恋人。

 
「イヤッ!!!キモい!!!このバカチンが!!!」
半ば反射的に、父の恋人を突き飛ばすキリコ。

 
「うわぁぁ!!!」
・・・ドシーン!グチャッ!
父の恋人転落、遊具に挟まれ血が飛び散る。
 
 
父の恋人ほったらかし、キリコは淡々とした様子でメリーゴーランドから離れます。

 
その手には赤ん坊が!!!
ちょっとお前それどっから連れて来た!?
 
 
病院に運ばれる父の恋人。
見ての通り、もう絶望的です。
ちなみにこの病院、先ほどベネッセ代表(しま○ろう)が首吊りしていた廃病院。

 
赤ん坊を抱っこしていたキリコ、
ふと見ると赤ん坊は父の恋人がメリーゴーランドの上でプレゼントしてくれたウサギのぬいぐるみ(血まみれ)に変わっていました。

 
「キシャーーー!!!」
ハッピーツリーフレンズ並にヤバイ顔になるぬいぐるみ。
ここでキリコ覚醒。
父の恋人と共に、おなかの赤ん坊(大吾)は死んだのだ。
大吾なんて弟、最初からいなかった!!!

現実にやっと気付いたキリコに父の電話。
「今ねー、大吾と遊園地来てるんだー☆」
そんなはずはない。父は大吾の存在がなかったことを最初から知っていたはず。
ふと、父(絵本作家)の作業机を見ると、ビックリするほどカオスな絵が!

 
なんじゃこりゃ!?サイコパスが幼少期に描いた絵か!?
ほっこりファンタジー絵本作家の父が描くとは到底思えない、おどろおどろしい絵!
「私の妄想が現実に漏れ出て、父のもとに現れたに違いない。父が危ない!」
そう思ったキリコは、遊園地へ走ります。
しかし、探せども探せども父の姿はない。
そこで「あの廃病院だ!」と思い立ち、病院へ向かいます。
 

病院には意味不明の果てしない螺旋階段が。

 
そこに、ウサギのぬいぐるみを手に薄ら笑いを浮かべる弟が!
「お姉ちゃん。ボクを消したかったらボクを刺して。お姉ちゃんはボクなんだから。」
謎の言葉を発してキリコに近寄り、ナイフを手渡す弟。
ナイフの形状は、父が絵本に描いていた「人魚姫」に出てくるナイフそっくりです。

 
弟はいないんだ・・・意を決して弟を刺すキリコ。溢れ出す血。
しかし、血が出ているのはキリコの胸でした。
弟が言った「おねえちゃんはボク」、それは自分が姉の妄想の産物で姉自身でもあると言う意味だったんでしょうか。
弟を消すと言うことは、弟の存在を創り出した姉の存在をも消してしまうと言う意味なんでしょうか。
この辺りは、個々の解釈に委ねられていると思います。
「バイバイ、おねえちゃん。」
悪魔の微笑みを浮かべ、なんの躊躇もなく姉を螺旋階段から突き落とす弟。

 
落ちて行くキリコ、次第に身体が泡になっていきます。
この辺りは、童話「人魚姫」がモチーフになっています。
以下、Wikiより転載
人魚の王の6人の娘たちの内、末の姫は15歳の誕生日に昇っていった海の上で、船の上にいる美しい人間の王子を目にする。
嵐に遭い難破した船から溺死寸前の王子を救い出した人魚姫は、王子に恋心を抱く。
その後偶然浜を通りがかった娘が王子を見つけて介抱した為、人魚姫は出る幕が無くなってしまう。
人魚は人間の前に姿を現してはいけない決まりなのだ。
だが彼女はどうしても自分が王子を救った事を伝えたかった。
人魚姫は海の魔女の家を訪れ、声と引き換えに尻尾を人間の足に変える飲み薬を貰う。
その時に、「もし王子が他の娘と結婚するような事になれば、姫は海の泡となって消えてしまう」と警告を受ける。
更に人間の足だと歩く度にナイフで抉られるような痛みを感じる事になるとも・・・。
王子と一緒に御殿で暮らせるようになった人魚姫であったが、声を失った人魚姫は王子を救った出来事を話す事が出来ず、王子は人魚姫が命の恩人である事に気付かない。
そのうちに事実は捻じ曲がり、王子は偶然浜を通りかかった娘を命の恩人と勘違いしてしまう。
やがて王子と娘との結婚が決まり、悲嘆に暮れる人魚姫の前に現れた姫の姉たちが、髪と引き換えに海の魔女に貰った短剣を差し出し、王子の流した血で人魚の姿に戻れるという魔女の伝言を伝える。
愛する王子を殺す事の出来ない人魚姫は死を選び、海に身を投げて泡に姿を変え、空気の精となって天国へ昇っていった。
しかし、王子や他の人々は人魚姫が空気の精となって天国へ昇っていった事は誰一人も気付く事はなかった。

 
キリコが声と引き換えに得たものは一体何だったのでしょうか。
最期は完全に泡になって消えてしまいます。
・・・と、思いきや。

 
ドーン!!!
マジ落ちでフィニッシュ。

 
廃病院を後にする、キリコの父と弟の大吾。
キリコは存在自体を自分の妄想に乗っ取られたのでしょうか。
とりあえず後味最悪、そして、サイコパスのような絵を描き大吾の存在が認識出来ている時点で、キリコの父もマジキチ確定でしょう。

途中で何回も「ありがとウサギ」って打ち間違えました。
ありがとウサギのほうが怖いです!
3Dで観賞した方々にはなかなか好評だった模様。
映像がきれいなので、満島ひかりファンの方には彼女の長編PVだと思えば楽しめるでしょう。

<超主観的評価>
ストーリー★★ スリル★★ テンポ★ バカ★ グロ★
総合★★

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