先日お休みを利用して、仕事とバカンスを兼ねた小旅行にトスカーナ州にあるエルバ島まで行ってきました。エルバ島はトスカーナ諸島の中で一番大きな中心的島で、起伏に富んだ緑の多い地形と、エメラルドグリーンとコバルトブルーの入り混じった美しい海岸をぐるりと周囲にもつ、バカンスにはもってこいの場所です。
ロンちゃんの仕事の関係で年間通じて頻繁にやってくる島ですが、フィレンツェからは車でフェリーの発つピオンビーノ港まで、1時間半、フェリーに乗ってポルト・フェッライオ港まで1時間の計2時間半で着いてしまう、とっても行きやすい場所なのも数多い魅力の一つです。
入り江ごとに小さな港を持ち、漁村間の交通もとても発達しているので、地元のトスカーナの人々は夏が来るとフェリーに飛び乗り、エルバ島で長い夏のバカンスを過ごす人も少なくありません。ワインやハチミツ、オリーブオイルの特産品もあり、南の島特有の椰子の木や大きなサボテンが岩肌に群生していたり、また山中に入ると独特な雰囲気と歴史を持つ村々がところどころにあり、もう文句なしのリゾート地!
ただ夏の間は超混み混みの場所なので、夏のピークはさけて復活祭を過ぎたあたりから、6月の終わりぐらいまで夏を過ぎたら9月以降は込み合わず、割りと余裕で安めのホテルやフェリーの予約が取れます。夏の真っ只中でなくても十分泳げるので、是非バカンスを外して訪ねたい場所!
今回は友人夫婦のマックスさんたちがポルト・フェッライオに所有している海のお家の内装を全面的にリフォームしたので、仕事を終えてから訪ねてみることにしました。
ピオンビーノ港から出たフェリーはマックスさんのお家がある、ポルト・フェッライオの港に着きます。港には既に多くの大型ヨットが準備万端で並んでおり、イタリア人のバカンス好きを象徴しているよう・・・・・・
マックスさんの海のお家は、高台の丘の城壁の中にあり、窓やテラスからは遥か下方にポルト・フェッライオの美しい港が、手の中にすっぽり納まるような大きさでちょこんと見えます。
食事を取る時に、窓から見える可愛い港の風景や後方の青い海、潮風に乗って運ばれてくるヨードの匂い・・・・最高のデザートになりそうです。
近くにナポレオンの家、『VILLA DEI MULINI』があります。皆さんもご存知のように、かの有名なナポレオン・ボナパルトはパリ郊外フォンテーヌブローで皇帝を退位し、このエルバ島に追放されました。
1814年5月3日から翌年の2月26日まで、数人の家来、1000人の警備隊に囲まれてこの島を統治していたんです。
かつてヨーロッパを制覇しその勢力を更に広げようとしていた皇帝ナポレオンの住居としては、信じられないぐらい質素なお家・・・・・ここはナポレオン博物館として使われています。この他にナポレオンの夏の別荘があります。
さて、少しだけマックスさんの新居を覗いて見ましょう・・・・山猫さん、自分の家はさておき、お友達のお宅ばかり紹介して・・・と思われそうですが(すみません、自宅、かなり荒れていますので・・・笑)、イタリア人がバカンスを過ごす海の家というのも、町中で住むお家とはちょっと違って興味深いかしら?と思いまして・・・はい・・・
お家の外側はかなり歴史を思わせる城壁ですが、内部は予想を裏切り、完全にモダンに内装してインテリア、キッチンも全てガラスのような表面加工の白で統一しています。
天井の茶色い木の梁のコントラストが、超モダンで硬質な内装に温かみを添えているようです。
お家を入ったところの応接間です。ここでは全部見えませんが、キッチンと同様、この部屋も表面がガラスのように透明感のある白い家具で全て統一されているので、小さい部屋でも壁の白と家具の白の境が曖昧になり、家具の圧迫感がなく、お部屋がとても広く感じられます。
床はピエトラ・セレーナという砂岩のグレーで、白い壁や家具を引き締めて・・・
キッチンもとってもシンプル・・・・・・イタリアのキッチンは本当に飾りを嫌うものが多く、機能的でありながら全て隠せるものは内部に隠してしまう設計になっているものが多いです。
物をあまり出しておかないと、掃除をする時とても楽!これはイタリア人のお家を訪れるといつも思うのですが、大体美術館のように余分な物がないお家が多いです。
二階のベッドルームもとってもモダンな造り・・・・・この写真では見えませんが、ベッドの正面にガラス張りのクローゼットがはめ込んであります。
さて、お家の見学、訪問も終わり、BELLISSIMA! 、BELLISSIMO!(超素敵!)を連発しまくって少し疲れましたので(笑)お家の直ぐ横にあるエノテーカに行ってみることにしました。
やはり歴史ある城壁内部を利用したエノテーカです。あまり期待しないで行ったので写真も撮る気がなかったのでカメラも持参しようか迷ったぐらいなのですが、ビックリする程素敵で感動!
もとはメディチ家時代頃・・・・兵隊たちが駐屯していた要塞で、100年ぐらい前まではミリタリーの目的で仕様されていたものです。中の内装は全て当時のオリジナルを修復したもので、実際カウンターとして使われているバンコにはメディチ家の紋章が・・・・・
入り口から通路に沿って片側にはエルバ島と写真や説明とテーブル、反対側にはガラスケースの中に土地のワインやハチミツなどが陳列されています。ちょっと博物館のような雰囲気・・・・
長い通路を抜けると奥にポッコリと灯りのともる穴倉が見えてきます。ところどころに大きなワイン樽やブリキで作られたオリジナルのキャンドル・ホルダー、ポットなどが置いてあり当時の様子を再現するのに一役かっているようです。
オーナーはとっても落ち着いて親切なエルバ島の方・・・・エルバ島で作られたワインを中心に品揃えがしてあるので、その説明を丁寧にして下さいます。いつも思うのですが、ワインの専門家、エノテーカのオーナーさんやソムリエのイタリア人は、陽気で大声のイタリア人の一般的イメージとはかけ離れて、往々にしてとても物静かでお上品な方が多いような気がします。
エルバ島は赤ワインも白ワインもいろいろな種類が作られていて、特にELBA ALEATICOという干しブドウを使ったデザートワインはとても有名です。色は濃いルビー色で、少し甘口のアロマティックなワインです。
今回は食事前のアペリティーヴォを飲みに来たので、普通の赤ワインを頂きました。ご主人のお勧めはACQUA CALDA社から出している赤ワイン・・・・店内には自由に目を通せるように、沢山のエルバ島の歴史の本や写真集、図鑑などがあって、静かに時を過ごすことが出来ます。
おつまみを適当に・・・・・とお頼みしたら・・・・・エルバ島で作られた自家製ペコリーノチーズ(羊のチーズ)をこれもエルバ島の特産のハチミツを添えて・・・ハチミツは熟成タイプのチーズからミルクの風味を100%引き出します。コクがあってとても赤ワインにあうチーズです。
自家製プロシュット・クルード(生ハム)3種・・・・丁度よい塩加減で食事前の胃袋を刺激します。
自家製のパンでできたトマトのブルスケッタ・・・・・・自家製パンがスゴイ大きさでびっくりしました。ちょっとお写真が多くなるので載せませんでしたが、1メートルぐらいあるパンを少しづつ手で切り分けていらっしゃいます。
トマトはご主人がご自分のプライベートの畑で育てられているものを今日収穫してきたもの・・・・・お塩、自家製オリーブオイル、塩、コショウのシンプルな味付けが余計にトマトの甘味と旨みを引き出しているようです。
エルバ島はハチミツやオリーブオイルも特産品・・・・山猫は来るたびにワインと一緒に購入することが多いです。
これだけ飲んで美味しい物をつまんで、一人5ユーロ・・・・フィレンツェだったら考えられないお値段です。
カウンターのある逆側は採光用に全面ガラス張りになっていて、コバルトブルーの海を行き来するフェリーやヨットが間近かに・・・・・・
室内インテリアは最小限でとてもシンプルにしている為、当時の要塞の雰囲気を十二分に引き出し、ちょっとタイムマシンに乗って1500年代に迷い込んでしまったような錯覚を覚えてしまいます。
最近は日が長くなってきたので、太陽が落ちるまでにかなり時間があり、夕食も後ろに押されがち・・・・折角なので、エルバ島を車で一周してから、予約したレストランに行くことにしました。
今日は思いっきり朝から思いっきり晴れ上がっていて、最高のバカンス日和・・・エルバ島はトスカーナ州の島で本土からもそれ程離れていないのですが、海はコバルトブルーとエメラルドグリーンを混ぜた様な、素晴らしい透明度を持っています。
ご存知の方も多いと思いますが、サルデーニャ島やシチリア島、南イタリアも海が信じられない程美しいのですが、フィレンツェからだと何分にも遠いのがネック・・・・・島だから、船か飛行機を使わねばならず、ちょっと1日行って帰ってくるという距離ではないんですね。
サルデーニャ島はエメラルド海岸を中心に夏場は世界中のビップが押し寄せるので、島の北東側はサマーシーズンだとホテルやレストランのお値段もかなりお高くなりますが、エルバ島はやはり地元トスカーナのイタリア人たちの憩いの場所という色が強く、夜のクラブなどの大資本が投入されていないので、ノンビリできますね。
冒頭でも述べましたが、とても起伏に富んだ島なので、内陸には緑が豊かな山々があり、その内部に点在する村々を訪ねてみるのもなかなか面白いです。
ぐるりと車で回っても島の周囲はそれ程距離がないし、今の時期は車も殆ど走っていないので、夕食までに余裕で回り切れてしまいます。
さて、マックスさんたちのお家がある、ポルト・フェッライオに戻ってきました。港のメイン・ストリートにある魚専門のレストランへ・・・・
アンティパストはイワシのフライ・・・・・・ちょっとかしらと思ったら、セコンドピアットに出来るほど量が出てきてビックリ・・・・とても新鮮で美味しく揚がっています。お魚に味があるので、レモンだけを軽く絞って・・・・
ズッキーニと海老のリゾット・・・・ズッキーニの味が海老の味に押されず、意外と全面に出ているのに感心しました。大きめにカットされてあるせいかもしれません。なかなか絶妙な組み合わせなので、味を覚えておいて、家に帰ってから再度挑戦してみたい組み合わせのリゾットです。
レストランに行く目的の一つは、なんといっても美味しいものを食べて、友人などと一緒にたわいない会話をリラックスしながら楽しむことにあるのですが、山猫はお料理の味や素材を覚えておいて、できればシェフさんやオーナーさんに大体のレシピを訊く機会を狙って家で同じ物を試してみたい・・・・・ことなんです。
もちろん同じようにできるはずもないのですが、ネットや本などで似たようなレシピを調べてみて実際自分で作ってみたり、味を調整してみたり・・・結構お料理が面白くなる瞬間です。
セコンドはバッカラ(干しダラ)のクリームポテト敷き・・・・・干しタラはイタリアでは生のものよりもポピュラーで、海辺の新鮮なお魚をだすレストランでも、よく出てくるメニューです。塩抜きして使うのですが、やはり独特の塩味と生魚にない歯ざわりがあり、ロンちゃんの大好きなお魚の一つ・・・・・
トマトソースで煮たり、牛乳で煮込んだりと、いろいろなレシピがあります。
デザートは島の特産であるレモンを利用した、レモンケーキ・・・・・レモン100%を使ったと本当にわかるレモンクリームをサンドした、柑橘系の香りたっぷりのケーキです。粉砂糖とスポンジが軽くて美味しいので、ドンドン食べられてしまいそう~・・・
本日は復活祭のお休みを利用したエルバ島への小旅行について綴ってみました。お付き合い頂いてどうもありがとうございます。
次回は翌日の朝から夕方にかけてフィレンツェに戻るまで、ポルト・フェッライオの港でのことをブログを少し綴りましたので、宜しかったらご覧下さい。
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