小川充オフィシャルブログ -10ページ目

リラックスしたい時に聴きたくなる音楽

とても天気のいい一日でしたが、
今日は恵比寿のHIROKI MODEというところで行われた
『COMFORTBLE Ultmate hearing』という
アフタヌーン・パーティーにてDJ。
女性オンリーのリラクゼーション・タイムを演出
というコンセプトで、
ネイル・サロンやアロマテラピーのフロアもあるというもの。
チルアウト系の選曲でDJをしてきました。

今日はハウス寄りの選曲をしたので
そこではプレイしなかったのですが、
リラクゼーション・タイムにピッタリの1枚を紹介したいと思います。

それはKarma。
カーマともカルマとも呼ぶ人がいますが、
とりあえずここではカーマで統一します。
ラース・ヴェガスとモージョー・トムから成る
ドイツの2人組クロスオーヴァー・ユニットで、
95年に「High Priestess」でデビューし、
それはジャズ、ハウス・シーンを巻き込んでヒット。
その後のクロスオーヴァー・シーンの流れを導き出した
重要なユニットなのです。

今までにアルバムは
『Pad Sounds』と
『Thrillseeekers』という2枚を出していて、
僕は『Thrillseekers』のライナーを書いたり、
そのリリース記念でラースが来日し、
DJツアーに同行して地方を回ったり、
ラース編纂のコンピ『Folky』のライナーを書いたりと、
色々と縁の深いユニットでもあります。

今回リリースする『Latenight Daydreaming』は、
『Thrillseekers』から何と7年振りのアルバム。


別に本業があったり、
色々あって活動を停止していたのですが、
心から音楽を作りたい
という欲求が内から沸き起これば
スタジオに入るという気ままな2人なので、
それはそれで締め切りに追われることなく
自然体で音楽を楽しんでいるのではないでしょうか。

この『Latenight Daydreaming』のライナーを
先日書き終えたところですが、
クラブ畑出身でありながら、
驚くべきことに、
まずダンス・トラックは一切無し。

今までもアンビエントな色合いが強かったのですが、
それでもドラムンベースをやったり、
ジャジーなハウス~ブロークンビーツ系の
俗にフューチャー・ジャズと言われるようなトラックが
アルバムの中に必ず入ってました。
でも、今回のアルバムは完全に
緩いビートのアコースティック系の作品ばかり。
今までのインスト路線も変え
シンガーをフィーチャーしての
フォークやトラッド、ネオ・アコ系の作品が並びます。

印象としては
テリー・キャリアー、ジョン・ルシアン、
キャロル・キング、ジョーン・バエズ、
ジョニ・ミッチェル、トレーシー・ソーン、
さらに初期ピンク・フロイド、イエス、
アジムス、トニーニョ・オルタ、
エリック・サティ、ハロルド・バッド、
ブライアン・イーノ、ケヴィン・エアーズ、
トミー・ゲレロ、レイ・バービー、
ゼロ7、マッシヴ・アタック、
といった要素を一つにしたようなサウンドかな。
聴いてると目の前に田園風景が広がってくるような、
南国の楽園の午後のまどろみの中にいるような、
とてもナチュラルなヒーリング・ミュージックなのです。

で、そうした雰囲気作りやサウンド構築もさることながら、
作曲能力が今までより格段にアップしていることに驚き。
まあ言ってみればかなりサントラ的とも言えるのですが、
例えば「Requiem / All & Everything In Between」という曲は、
スタンリー・マイヤーズの『ディア・ハンター』、
ヴァンゲリスの『栄光のランナー』にも匹敵するのでは。
恐らくこのアルバムを聴いた映画監督から、
次回作のサントラのオファーが殺到しそうな雰囲気です。

女性ヴォーカルものの「The Way You Are」は、
女子フィギュア・スケートのイリーナ・スルツカヤが、
トリノ五輪のエキシビジョンのBGMに使った
サラ・ブライトンの「So Many Things」を
彷彿とさせる素晴らしいナンバー。
本当に切なくなるくらいに美しく、
雄大なスケールを持っているのです。

日頃、現在のクラブ・ミュージック・シーンの
最新潮流、流行、今後の方向性は何か
なんてことを仕事柄気に掛ける自分がいる訳ですが、
このアルバムを聴いてたら
そんなこと、どうでもよくなってきました。
一生の愛聴盤になりそう。

このアルバムのライナーを書くことが出来て、
本当に良かったと思います。
Respect to Karma !!

発売は10/23
ヴィレッジ・アゲインさんからです。
なお、先行カットの12”は発売中で、
Tony Nwachukwu(アッティカ・ブルース)リミックスがヤバいです。

the SHAPE of JAZZ to COME@ageHa

昨日は昼間、
Jazztronikの野崎君のFM番組
『JAZZIN' THE NIGHT』に出演・収録をしてきました。

ゲストにはオルケスタ・デ・ラ・ルスの設立メンバーの一人で、
現在は熱帯ジャズ楽団のリーダーとして活躍中の
カルロス菅野さんもいらっしゃって、
ラテン話に花を咲かせてきました。

カルロスさんは本場NYのラテン・シーンを体験してきた人なので、
その話にも説得力があって面白い。
昔のNYのスパニッシュ・ハーレムの
裏社会の危ない話なども聞けて
とても楽しかったです。

ラテン音楽は僕の好きなジャンルの一つでもあるので
いつかラテンの本も出せればいいなと思っているのですが、
でも僕の知識はまだまだなので
カルロスさんのような方のお話を聞いて、
もっと勉強せねばと。

で、急遽の出演だった為、
レコードやCDも持たずに手ぶらで行ったのですが、
結局何か曲を紹介というハメに。
野崎君が持ってきてたレコードを色々見せてもらって、
Airtoの“Mixing”とDonald Byrdの“Xibaba”をピックアップ。
人のレコードを借りて選曲するってのも妙な感じですね。

その後、家に戻ってレコード選びをして
いざageHaへ。
先日告知した『the SHAPE of JAZZ to COME』に出演です。
20:00には楽屋入りしたのですが、
既にスペシャル・シークレットDJとして来ていた
DJ MITSU THE BEATSがセットを終えたところ。

会場内をぐるっと一回りしてみるのですが、
いつものクラブ・イベントと違い、
結構年配のお客さんが多い。
やっぱりJoshua Redmanとか菊地雅章とか
普段はジャズのライヴ・ハウスやコンサート・ホールでしか
見れないアーティストが出演しているからでしょう。
もちろん若いお客さん、女性客も多く、
そうした意味では色んな客層が来てたのではないでしょうか。

僕の前は藤原大輔さんのライヴだったのですが、
もう完全にテクノをやっててお客さんもノリノリで踊ってました。
それで、あ、ジャズとは言っても
テクノでも何でもありなんだと。

最初オファーを受けた時は、
生音のジャズをかけてラウンジっぽく聴かせればいいのかなと、
又はそうしたものを求められてるのかなと思ってました。
ただ、僕の出演するステージはライヴにしてもDJにしても
割と生音ジャズの人が多いので、
そっち方面ばかりになるのもバランスが良くないから、
小林径さんからは
別にジャズにこだわらずに色々かけてもらってもいいよ
と話をいただいてました。

で、実際に蓋を開けてみないと
どういった雰囲気になるのか読めない部分もあったので
モダン・ジャズからフュージョン、
ハウスからブロークンビーツと
色々多目にレコードを持ってきたのですが
結局普段クラブでやってるような踊らせる選曲になりました。

藤原大輔さんのステージが予定より早く終わってしまい、
急遽早目にDJをスタートすることに。
僕がステージに行った時は、
何も音の無い素の状態となってて焦ったのですが、
まあ、こうしたハプニングは大きなイベントの場合は付き物ですけどね。

前のDJからバトンタッチして繋ぐのではなく
バンドの合間にやるDJだと、
しかもこの日のように素になってお客さんも引いてしまった後だと、
一旦前の世界をリセットして
ゼロのところから自分の世界を作っていけるので
それはそれで、やりがいがあるものです。

ロービートのアンビエントな曲から、
ヒップホップ系ビートの曲、
そして徐々にビルド・アップして
アップリフティングなハウスやテック・サウンドにもっていったのですが、
最初はまばらになってしまってたお客さんも
徐々にステージに戻ってきてくれて、
そしていつしか満杯に。
いい感じで踊ってくれてました。

次の菊池成孔さんのバンドのセッティングに時間が掛かっていたので
予定より若干長目にプレイして無事終了。

あとは他のステージを色々楽しもうということで、
最後のquasimodeが終わる朝6:00頃まで
ずっとageHaに残ってました。

どのライヴやDJも、
各々の個性が出たものとなっていて良かったのですが
Nicola Conteバンド
Soil & "Pimp" Sessions
Joshua Redman
菊地成孔バンド
が特に盛り上がってましたね。
SoilとNicolaがやってる頃は、
会場もギュウギュウ状態で、
一番のピークでしたね。

Joshua Redmanのバンドは
ベーシスト無しのトリオで
でも無茶苦茶太くてファンクネス溢れるサウンド。
こうした若い人も来るクラブ系イベントということで
よりダンサブルな演奏を意識していたようで、
実際、恐らくJoshuaを聴いたことのないような人までも踊ってました。

そしてDJではやはりGilles Peterson。
アリーナの大きなステージで、
DJブースはフロアから離れた高いところにあるのですが、
でもお客さんの意識を一手に集中させ、
うまくコントロールしていくところは
まさに司祭者。

と、大盛況の内に無事
『the SHAPE of JAZZ to COME』は終了しました。
総合プロデュースをした小林径さん
どうもお疲れ様でした。

こうした複合型イベントのいいところは、
自分のお目当てのバンドやDJを見に行って、
でもそのお目当てじゃないアーティストのサウンドも聴いて、
あ、これもいいな、面白いなと思う機会がある点です。

今回の場合だと、
恐らく菊地成孔さんのファンと
渋さ知らズオーケストラと
Soilやquasimodeのファンは
かなりかけ離れたところにあるはず。
また須永辰緒さんやNicola Conteのファンと
Moodymannやchari chariのファンも被らないでしょう。

でも、そうした普段のクラブ・イベントでは交わることのない線が、
一夜限りではありますが、交わった
そんなイベントだったのではないでしょうか。

そして、remixの小泉さんとも話をしていたのですが、
こうしたイベントは継続して続けていくことが重要だと同時に、
これをきっかに
もっとクラブ・ジャズとメインストリームのジャズ・シーンの垣根を取っ払う
そんなフェスティバルが増えればいいなと思いました。

来たるべきジャズ

来たるべきジャズ。
それは本物のジャズと
現在進行形のクラブジャズによる、
史上最強のジャズフェスティバル。




これは今週22日(金)にageHa@STUDIOCOASTで行われる一大ジャズ・フェス
『the Shape of Jazz to Come - NEW JAZZ 2006』のキャッチコピーです。
公式サイトはこちら→http://www.newjazz.jp

メインストリーム・ジャズのライヴあり、
クラブ・ジャズ系バンドのライヴあり、
シーンを代表するDJも国内外から多数出演といった感じで、
今までに無かったようなイベントになることでしょう。

ざっと出演者は
Joshua Redman Elastic Band
Gilles Peterson
菊地雅章 The Slash Trio
Nicola Conte Jazz Combo
Moodyman aka Kenny Dixon Jr.
Antti Eerikainen
菊地成孔クインテット・ライブ・ダブ
渋さ知らズオーケストラ
松浦俊夫
Soil & "Pimp" Sessions
cahri chari
fujiwara, daisuke quartz-head con-ver-sa-tion 02
quasimode
須永辰緒
JAZZY SPORT
Routine Jazz Sextet (produced by 小林径)
etc.

ジャズと一言で言っても
それは実に広い世界で、
ちょっとシーンが違うと
中々顔を合わせる機会が無いものです。

そうした意味で、
これだけ幅広いメンツが揃うのは
前代未聞なことなのです。

僕もISLAND STAGEというところで21:10-22:00でDJをしますが、
自分のDJはそっちのけで、
他の人のライヴやDJを見ることの方で、
今からワクワクしています。

残念ながら
当初予定されていたIdea 6のライヴは中止になってしまったようで、
その代わりにプロデューサーであるPaolo ScottiがDJで来るようです。
Paoloは僕の友人でもあり、
久々に会うのも楽しみです。

イベントは18:00-5:00という長丁場で、
ステージも3つあって色々楽しめると思います。
秋の夜長のジャズを満喫していって下さい。

Gilles Peterson@Yellow

今日も中々ハードな一日でした。
まず、ランブリング・レコーズさんから発売となる
ドイツのGOGO MUSICのコンピのライナーを仕上げ、
その後マーキー誌のレヴュー5本を完成。
それからもう1本、Pヴァインさんから発売となる
キンドレッド・スピリッツのコルトレーン・トリビュート・アルバムのライナーを書いて送信。

これらが完了したのが深夜0時を回った後で、
でも今夜は色々なパーティーが目白押しなので、
出掛ける準備を。



今夜のメイン・イベントは、
Yellowで行われる松浦俊夫さんpresents Gilles Peterson Japan Tour 2006。
1時過ぎにYellowに着いたのですが、既に入場制限を行っているという盛況ぶり。
Yellowは今日からメイン・フロアの営業も出来るようになったみたいで、
ラウンジ、フロア、バーカウンター共に満杯状態。

そして、本日のスペシャル・ライヴということでSleep Walkerのステージがスタート。
ライヴ・ハウスとは違い、Sleep Walkerにとって万全の音響環境とは言えなかったけど、
でも、メタモルフォーゼでのファラオ・サンダースとの共演を通じ、
一回りも二回りも大きくなった、その雄姿を見せてくれました。


クラブ・イべントということもあってか、全体的にファンキーな演奏と堅めの音色でした。
僕的にはジャズ・ロック風のインプロヴィゼーションが展開された「Southern Cross」が良かったかな。
あと、マサやんのテナーはリヴァーヴを掛け過ぎてたきらいがあったけど、
ソプラノ・サックスの音色は突き抜けた感じで良かったです。
吉澤さんのフェンダー・ローズに比べ、藤井さんのドラムの音が大きかったけど、
そこはクラブでのライヴに設定された音響によるところが大きいからということでしょうか。



そして、その後はお待ち兼ねのジャイルス・ピーターソン。

まず、ジャイルスがプレイする前に、

僕の『スピリチュアル・ジャズ』の本をプレゼント。

僕がスピリチュアル・ジャズを聴くきっかけになったのが

ファラオ・サンダースの「You've Got To Have Freedom」で、

それを初めて聴いたのはジャイルスのコンピ『Jazz Juice』でのこと。

なので、ジャイルスがいなかったらこの本は無かった訳です。

言ってみれば、ジャイルスは僕にとっての恩人でもある訳です。

今日はジャイルスに本を渡すことが目的の一つでもあり、

それを無事完了。

あとはジャイルスのDJを楽しむだけ。



僕はDJブースにずっといたのですが、
やっぱりジャイルスのDJは凄い。
完全にエンターテイナーとしてのDJを体現していると言うか、
いつも以上にオーヴァー・アクションで、
またお得意の『Worldwide』ジングルやMCを入れ、
とにかく盛り上げる。

華がある。





ブラジルものの旧譜を延々とかけるパートがあったのですが、

ミルトン・ナシメントの「Para Lenon E McCartney」のイントロでお客さんが沸いた後、

一旦音を止めてMCを入れ、その間レコードを逆回し。

もちろん、スピーカーからはバックスピン・ノイズが。

そしてまた頭のイントロからかけ、

リズムが入るところで縦フェーダーを一気に上げ、

フロアは大盛り上がり。



シヴーカの「Ain't No Sunshine」では、

頭のワン・フレーズを延々とループさせ(CDRに焼いてかけてたので)、

それはまるでCDが音飛びしてるような状態だったのですが、

これまたやけに盛り上ったのでした。

でも、実はそれはハプニングで実際音飛びしてたらしいのです。

そんなハプニングもパフォーマンスの一環としてプレイしてしまうところが、やはり凄い。



あと、今、日本でこれだけブラジリアンをかけるDJがいるのだろうかとも思いました。

一時、日本では猫も杓子もブラジリアンというような時期もあったのですが、

そんなブームが過ぎたら手のひらを返したように誰もかけなくなってます。

でも、ジャイルスにしても、パトリック・フォージにしても、

そんな流行は自分には全く関係ないよ、という感じで、

自分の好きな音をずっとかけ続ける。


彼らは飛び切りトレンディーなんだけど、

でも決して自分がそのトレンドに飲み込まれることはありません。

トレンドを生み出す人は、

そのトレンドに対し極めてクールで、

トレンドとは関係のない自分自身のアンテナや信念を持っているのです。


アフロ・ハウスも結構かけてましたが、

今、日本ではこの手の音はあまり支持されていません。

でも、この日はアフロ・ハウスでメチャクチャお客さんは踊ってました。

アフロものは今流行から外れてるからダメとか、

自分も含め勝手に決め付けてる日本の音楽シーンですが、

かけるDJが良ければ、

うまいタイミングで挟み込めば、

皆踊るんだなと
改めて思った次第です。



意外な選曲もジャイルスの魅力で、

昨夜はダビーなキューバものをかけてるなと思ったら、

マーヴィン・ゲイの「Sexual Healing」の歌詞が出てきて、

あっ、カヴァーなのかと。

これ、一体何だろう。

で、訊いたらHot 8というニューオーリンズのブラス・バンドもの。

音が無茶苦茶分厚く、

ベースはまるでレゲエのサウンド・システムみたい。

CDが出てるみたいなので、早速チェックせねば。


Hot 8
Rock With the Hot 8


それから、電気処理されたチープな声がコラージュされた

ファンクともロックともエレクトロともテクノ・ポップとも判断がつきかねる、

不思議な、でもとってもカッコいい曲をかけてて、

何だろう、ひょっとしてサー・ラーあたりかなと思ったら、

これが何とポール・マッカートニー。

80年発表の『MacCartney Ⅱ』に入ってる「Check My Machine」という曲で、

元々は「Waterfalls」というシングルのB面に収録され、

アルバムには未収録だったのが、

CD化に際してボーナス・トラックとして収録されたらしい。

この当時のポールはテクノ・ポップに行ったなんて酷評されてたけど、

今聴くと意外とイケてるのかも。

これも早速チェックです。


Paul McCartney
McCartney II



あと気になったところでは

CDRでかけてたカナダのKarizmaの「Twist This」という曲。

デトロイト・テクノっぽいアンダーグラウンドな曲なんだけど、

ビートがわざと引っ掛かるような変則的なもので、

ジワジワと行きながらもピークまで持っていける

とてもカッコいい曲でした。

更に、Simbadの「Soul Fever」に、
自分のラジオ番組である『Worldwide』のジングルを乗せて作った
特製トラックなんかもかけてました。


ということで、もっとジャイルスを聴いていたかったのですが、
Loopで福富幸宏さん・富田恭弘君・瀧澤賢太郎君のやってる
『A New Dimention』にも顔を出す約束があったので、
4時半頃にYellowを後にしてLoopへ。

久々に『A New Dimention』にお邪魔したのですが、
今は3人のDJが2曲交代で次々と曲を繋ぐバック・トゥ・バックでずっとやってるそう。
遅い時間に到着したのですが、
いい感じでお客さんも踊っていて、
何だか暖かなヴァイブが。
DJも皆気持ち良く酔っ払いながら、プレイしてました。

他にもWombの大沢伸一さんのパーティーでSwitchが来日してたりと、
寄りたいところもあったのですが、
さすがにこれ以上は無理といったところ。

ワインやらシャンパンやらショットやら、
お酒も色々浴びて、
そして、家に帰って来たのは朝6時。
6時間後には起きて仕事です。
我ながらタフだな~と思った一日でした。

休みのようで休みじゃない日

僕の場合、
店は休みの日でも
何だかんだで個人的な仕事があったりします。
完全にOFFになる日はなかなかなく、
休みのようで休みじゃない日、
それが僕の休日であったりします。

今日も店は休みで休日だったのですが、
午前中は有線放送用の録音を済ませ
午後に某レコード会社にてとある企画の打ち合わせがあり、
そちらに参加して来ました。

まだ具体的なことは明かせないのですが、
年末にリリースされるものの企画ミーティングで、
今後シリーズ化していきたいということなので、
コンセプトや方向性など諸々をブレイン・ストーミングしてきました。

大雑把に言って
若い人たちに昔のジャズを紹介して聴いてもらおうというような内容なので、
自分なりの知識やセンス、
今までの経験から得たものなどを
フィードバック出来ればなと思います。
でも、ますます忙しくなりそうな予感大。

で、その後気分転換に
表参道のラルフ・ローレンまで洋服を買いに行ってきました。
秋冬物が色々入ってきていて、
そろそろ買いたいモードも高まっていたので。

色々と試着して最終的に決めたのは
黒のペンシルストライプ/3つボタンのスーツと
それに合わせた薄紫のダブルカフスのシャツ、
こげ茶のスエードのレザー・ジャケットやらで、
何だかんだで結構買っちゃいました。

他にもチャコールグレーのピンストライプ/ピークドラペル/2つボタンのスーツで欲しいのもあったけど、
パープル・レーベルなので一際高い。
来月のカードの支払いが恐ろしいことになりそうなので
今日は我慢して帰りました。
来月にはブラック・レーベルのコートも色々入るそうなので
そちらも興味大。

着丈や袖丈、パンツの丈直しや
パンツの渡りを絞ってもらったり、
ウェストのサイズを合わせるなどの直しが色々あるので
1~2週間後に手元に届くのですが、
袖丈は右腕と左腕では、
僕の場合は右腕が2cmほど長いので、
直しが出来るところでは調整してもらうことが多いです。
また足も右足が若干大きいのです。

おそらく中学・高校と部活で剣道をやってたので、
その影響だと思いますが、
大体の人間の体は右と左でサイズが結構違うものです。
特にスポーツをやってた人はそうですね。
テニスをやってる人も、腕の長さはかなり違いますね。

話がとりとめなくなってきたのですが、
まあ、たまにはこういった買い物で息抜きというか、
ストレス発散もいいものです。
自分へのご褒美でもあるし、
次、あれが欲しいから仕事頑張ろうという気にもなってきます。

ということで、今日もこれからライナーノートの原稿に取りかかりたいと思います。

我が家の観葉植物

秋の気配を感じる今日この頃、
我が家に置いてある観葉植物の枯れ具合が気になります。

色々とグリーンを置いてるのですが、
全体的にどうも元気がない感じです。

水不足なのか、
はたまた水をあげ過ぎなのか、
日にちゃんと当ててないからか、
風通しをよくしてあげてないからなのか、
今ひとつきちんとした原因がつかめていないのですが、
なかなか年間通してきちんと育たない植物が多いのです。

玄関に置いてあるトクサも御覧の通りで、
半分くらい枯れてきてかなりヤバい状態。


この春、トクサがここに来る前には大きなパキラがあったのですが、
1年持たずにご臨終。
比較的丈夫なはずのパキラなのですが、
最後は干からびてミイラのようになってしまいました。汗
パキラは小さいのもあって、こちらは元気です。

1年ほど前に来たヒメヤシですが、
元々は青々としていたのが茶色くなってしまいました。


ココヤシに至っては葉が全部無くなってしまってます。
悲惨。


大きな葉が4本あったセロームも、
今では・・・。

下から小っちゃな葉っぱが出てきてるところが、
また何とももの寂しいです。

このドラセナ・コンシンネは2代目で、
1代目は最後葉っぱが全部抜け落ちてご臨終でした。
今はまだ葉っぱも沢山ありますが、
1代目も最初はこんな感じに葉が茶色くなってきて、
それがどんどんと全体に広がっていきました。
これから秋~冬の季節が要注意です。


もう、何もかも枯らしてしまってる感じですが、
でもちゃんと元気なのもあって、
サンスベリアとかは殆ど手入れいらずで
すごく丈夫な植物ですよ。

丁度鉢が一個空いてたので、
今日ブレクナム・ギッバムを買ってきました。
スーパーで700円と安かったです。


でも、これもアジアンタムとかと一緒で、
水をこまめにあげて乾燥させないようにしないと
すぐ枯れてしまうものらしい。
・・・頑張ります。

スケジュール調整

9月に入って、一気に仕事の依頼が集中してます。
一昨日はライナーノートの依頼が3本同時に入ってきて、
大体納期が2~3週間の内なので、
まずそのスケジュール調整をしなくてはならないです。

それからリミックスやマーキー誌の連載もあるので、
出来るものから早めに手をつける。

DJも2本ほど入ってるし、
毎月やっている有線放送用のミックスCDも4時間分作らなくてはならない...。

更に、先日あげたライナーノートについて加筆の依頼があったので、
それも対応しなければ。

来週は某レコード会社にてミーティングの約束も入ってるし、
10月のDJのブッキングも入ってくるわと、
何だか一気に忙しくなってしまったのです。

こういった時はジタバタしても仕方ないので、
まずはスケジュールの整理からですね。
そうすると、この日はこれをやって、
この日までにこれをあげて、
あ、まだこれは余裕があるなとか大体つかめてきます。

基本的に頼まれたものはキャンセルしたくないので、
まずスケジュールを見直せば、
大体収まるところに収められるものです。

で、忙しい時に限って、
何故か急に読みかけだった本を読み始めたりしてるのです(笑)。

ということで、今はミックスCDの録音の合間に書いてます。

Kentaro Takizawa 『Gradual Life』

先日、瀧澤賢太郎君から直々にいただいた新作
『Gradual Life』のプロモを聴きました。


彼は2年前、
23才の若さで『Impressive Time』というアルバムでデビューし、
昨年はそのリミックス・アルバム+新曲集『Impressive Time Remixes』も発表しています。

25才になった今年、
レーベルをFlowerへと移籍し、
心機一転して臨んだのが『Gradual Life』なのです。

前回に引き続いてのゲスト・シンガーBwana-Kことカオル君に加え、
海外からLisa Shaw from Naked Music、
DJ Kawasakiの作品でもお馴染みのKarin、
Soul Sourceのアルバムにも参加するMedbyといった女性シンガー陣、
更にSleep Walkerの吉澤はじめ、
KJMでベースを弾くイケッチこと池田憲一(Roots Soul)、
といった面々を迎え、
かなり歌ものの比重がアップ。

DoCoMoの新携帯FOMA N902iX HIGH-SPEEDに、
着うたフルOR楽曲としてプリインストールされる
「Starship」でアルバムは幕開け。
この曲は吉澤さんがフェンダー・ローズを弾き、
ColdfeetのLoriさんが歌詞を書き、
Medbyが歌うという豪華作。

そのタイトル通り宇宙旅行に飛び立つような、
心も体もウキウキと弾むギャラクティック・ブギー・ハウス。
アナログで12インチ・カットもされます。

Lisa Shawの歌う「Make It Right」もキラー。
ダンス・クラシック的なメロディー、
軽快なカッティング・ギターやフルートに乗せて、
甘くドリーミーなLisaのヴォーカルが聴く者に微笑みをもたらす。

Bwana-Kが歌う「Future Lies Within Me」は、
Blazeあたりを彷彿とさせるNY的な王道歌ものハウス。
同じ彼のヴォーカルでも「All The Time」はかなりポップで、
音色とかメロの感じとか、
僕はバグルズの『ラジオスターの悲劇』を一瞬思い浮かべました。

インストでは師匠の福富幸宏さん譲りとも言える未来的なテック・ハウス「Undulation」、
初期シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノにちょっとディスコ・ダブっぽい要素も入った「Knuckle Dub」と、
このあたりは彼のトラック・メイカーとしての能力が
格段に進歩していることを示しているでしょう。

ハウス以外の曲もやっていて、
Medbyが歌うダブ・ミーツ・ソウルな「Close My Eyes」、
Karinが歌うラヴァーズロック調の「Floating Memory」、
フルート・ダブとでも言うべきフローティングな「Sazanami」と、
このあたりはFlowerの高宮永徹さん周辺からの影響も感じさせます。

タイトル曲はギターが美しいアンビエント作品で、
これもかなりダブっぽいテイストが効いてます。

1stは、ただもう
がむしゃらに作って、
リミックス・アルバムでは色々なリミキサーと接して勉強をし、
そして本作はそうした経験を基に、
じっくりと腰を据えて作った印象がします。
それも、とても誠実に。

賢太郎君のいいところとは、
そうした誠実さであったり
謙虚さであったり
ひたむきなところかなと思います。

変にひねたり斜に構えたところがなく、
自分の感じたこと、
思ったこと、
影響を受けたことをストレートに音に出している。

いい意味で業界に染まってないというか、
何だか今だにアマチュアらしさが漂っているのです。
でも、このアマチュアらしさって
僕はとても重要なことだと思います。

そもそも音楽家をプロ、アマと分ける基準って、
何なんでしょう?

音楽で食っていければプロ?
趣味でやってればアマチュア?
プロの作る音楽は良くて、
アマチュアのは所詮お遊び?

そんな境界線、
一体誰が決めたのでしょう?

いい音楽を作るのに、
プロもアマも関係無いと思います。

むしろ、アマの方が純粋に音楽を楽しみたいと思ってやってる分、
いいものが出来ることも少なくありません。

でも、そうしたアマがプロになっていく内に、
音楽がお仕事となり、
いつしか音楽で楽しむことを忘れてしまう。
プロになることとは、
そうした危険性も孕んでいます。

賢太郎君は
今、プロとして軌道に乗り始め、
これからが勝負というところでしょう。
プロの音楽家として
これからも色々と学ばなければならないこともあるでしょう。
でも、そういった厳しいプロの世界にあっても、
アマチュアらしさというか、
フレシュな気持ちをずっと大切にしていって欲しいと思います。
いや、彼なら出来るでしょう。

DJ Kawasaki リリース・パーティー

昨日はYellowで
DJ Kawsakiの1stアルバム『Beautiful』のリリース・パーティーがありました。
DJ KAWASAKI
Beautiful

バンドでのライヴもあったのですが、
僕は時間を勘違いしていて、
到着したのはライヴが終わった後。
なので、今回はライヴ・レポートはありません。汗
(川崎君ゴメンなさい)

イエローは今、B2のメイン・フロアの営業に時間制限があり、
DJブースもB2のバー・コーナーに設置されるという変則的な形態。
でも、そうした状況にも負けずに盛り上がってました。

DJは川崎君、
沖野さん兄弟、
そしてスペシャル・ゲストでフィル・アッシャー、
という豪華メンツ。
B1のラウンジはJoyrideチームです。

フィルのDJはハウス・セットで(でも、スリープ・ウォーカー・ヴァージョンの「Eclipse」とかもかけてた)、
割と分かり易い選曲。
でも、エフェクターを使いまくりで、
その辺りの盛り上げ方はさすがです。

で、やはり主役はDJ Kawasaki。
アルバムからの曲を連発していたのですが、
「Beautiful」ではフロアの熱気も最高潮に!
サビの部分ではクラウドも総ハンズ・アップ状態で、
すごくいいヴァイブが漂っていたのでした。

川崎君の作る曲は、
サビのメロディーが覚え易いものが多く、
1回聴くと忘れられなくなります。

ハウス・ミュージックの命綱とは
ミニマルなビートと
覚え易いリフにより、
人間の体の奥底に眠っている原初的な衝動を突き動かしていくことにあります。

川崎君の曲の場合、
そこに情感を喚起するという要素が加わり、
つまり体と頭の両方を刺激する音楽となっているのです。

その情感も
切なさとか、
愛おしさとか、
日本人の琴線に触れるもの。

川崎君に限らずですが、
日本のハウス・クリエイターはメロディー・センスが良い人が多く、
それは国産ハウスの特徴の一つとも言えるでしょう。

何故そうなのか?
歌謡曲や演歌とか、カラオケの影響なのか?
今度、考察してみたいテーマでもあります。


パーティーでは日頃からよく接する人、
久々に会う懐かしい人、
クラブでよく会って挨拶するけど、名前も訊いたことがない人、
初めて会話をする人など、
色々な人にも会うのですが、
結構「ブログを見てますよ」って言ってくれる人がいて、
励みにもなるというか、
新しい人の輪が広がる感じでいいことです。

また、色々とプロモをいただくことも多く、
昨日は瀧澤賢太郎君から
ニュー・アルバム「Gradual Life」のサンプルをいただきました。
9/20にFlowerさんから発売になるのですが、
賢太郎曰く、
「今回はじっくり練り上げて作った自信作」
とのこと。

現時点では未聴ですが、
いずれ感想などもアップしてみたいと思います。


さて、今日これからは
とある作品のライナーを書かなくてはなりません。
リリースはまだちょっと先のものではありますが、
とても重要な作品であり、
また僕自身にとっても凄く期待すべき作品です。

ということで、
いつも以上に気合を入れて臨みたいと思います。

Isabelle Antena

あっと気がつくともう8月の31日。
このブログを始めて1ヶ月余りですが、
ちなみに今回の記事が8月の13個目。
毎日更新するのは無理としても、
2日に1回のペースとして、
出来れば15個はいきたかったのですが...
なかなか難しいものです。

さて、先日Isabelle Antena(イザベル・アンテナ)のニュー・アルバムのサンプルをいただきました。
タイトルは『French Riviera』で、
9/20にゲート・レコーズさんからリリースされます。


このアルバムは、
福富幸宏さんがトータル・プロデュースを行い、
各楽曲プロデューサーとして
Kyoto Jazz Massive
須永辰緒
吉澤はじめ
Jazztronik
藤本一馬(orange pekoe)
沖井礼二
安田寿之
の各氏が参加しています。

メロディーとトラックを各プロデューサーが作り、
イザベルが歌詞とヴォーカルを担当という、
一種のコラボレーション・アルバムなのです。

KJMはマンフレッド・フェストの「Brazilian Dorian Dream」をカヴァーし、
辰緒さんはヨーロピアンな生ジャズで、
吉澤さんはブラジリアン・ブロークンビーツで、
ジャズトロはメロウなサウダージ・ソウル、
安田さんはエレクトロニカ的アプローチでといった具合に、
各々の個性を生かした楽曲が勢揃い。
藤本君がオレペコ以外で初プロデュースというのも注目です。

福富さんはもちろんハウスもやってるけど、
吉澤さんのピアノをフィーチャーして
ワルツ曲を作ったりという意外な面も。
でも、これが凄くいいのです。

最近始まった福富さんのブログで
これから各曲がアップされたり、
野崎君のMy Spaceでも
ジャズトロの曲が聴けたりと、
発売前に色々チェック出来ると思うので、
皆さん
是非聴いてみて下さい。
(もちろん、CDが出たら買って下さいね)


で、今回の企画は、
福富さんにとっても
とても思い入れの深いものだったのではないか、
と僕は勝手に想像しています。

元々イザベルの「Playback」を
福富さんがカヴァーしたことから交流が生まれ
今度はイザベルが
福富さんの『Equality』に参加して「Love is to blame」を歌ったり、
イザベルの作品を福富さんがリミックス、
ということは記憶に新しい。

アンテナというユニットは、
80年代初頭にフランスで結成され、
ベルギーのクレプスキュールからアルバムをリリースしていた
伝説のユニットです。
その顔であり、
リード・シンガーだったのがイザベルなのです。

ニューウェイヴに
エレクトロ・ポップ、
フレンチ・ポップス、
ジャズ、
ボサノヴァといった要素を混ぜ
独特のクールで
エスプリのきいた世界を作っていたアンテナ。

恐らく、
福富さんも多大な影響を受けていたはずでしょう。

実は僕と福富さんは同い年なのですが、
大体僕らくらいの年代の人は、
音楽的原体験として
皆ニューウェイヴを通過してきていると思います。

そうした世代のクリエイターの特徴として、
批判精神が旺盛なこと、
個性を重んじること、
新しもの好きであること、
アウトサイダーであること、
と僕は勝手に解釈しています。

つまり、
ひねくれものが多い。

でも、これは僕としては
最大の誉め言葉なのです。
クリエイターたるもの、
一般人と同じ視点しか無かったら
ものは作れません。

ニューウェイヴを同時体験した人は
どこかひねくれてます。
更に福富さんは、
イーノやケヴィン・エアーズが好きだったと
昔何かの雑誌で話していた記憶がありますが、
この辺りのアーティストが好きという時点で
やっぱり普通の人とは感覚が違うと思います。
(言っておきますが、これはあくまで僕の一方的な思い込みなので、
福富さんが実際にそういった人かどうかとは全く別ですから)
ちなみに、僕もイーノやケヴィン・エアーズは
昔ハマって本当によく聴きました。

そうした原体験は、
現在ものを書いたり作る上でも
もう自分の拭い切れない性格の一部のようになっていると思うのですが、
自分はそんな原体験があることを
とても誇りに思っています。

ビートルズやドアーズ、
Tレックスやヴェルヴェット・アンダーグラウンドは同時体験出来なかったけど、
でもニューウェイヴを体験できたことは
自分の人間性を形成する上で
とても大きなことだったと思います。


話しは大きく逸れましたが、
このアルバムは
福富さんにとって
自分の原体験を再確認するような
そんなアルバムだったのではないか、
ふとそんなことを思いました。