Isabelle Antena | 小川充オフィシャルブログ

Isabelle Antena

あっと気がつくともう8月の31日。
このブログを始めて1ヶ月余りですが、
ちなみに今回の記事が8月の13個目。
毎日更新するのは無理としても、
2日に1回のペースとして、
出来れば15個はいきたかったのですが...
なかなか難しいものです。

さて、先日Isabelle Antena(イザベル・アンテナ)のニュー・アルバムのサンプルをいただきました。
タイトルは『French Riviera』で、
9/20にゲート・レコーズさんからリリースされます。


このアルバムは、
福富幸宏さんがトータル・プロデュースを行い、
各楽曲プロデューサーとして
Kyoto Jazz Massive
須永辰緒
吉澤はじめ
Jazztronik
藤本一馬(orange pekoe)
沖井礼二
安田寿之
の各氏が参加しています。

メロディーとトラックを各プロデューサーが作り、
イザベルが歌詞とヴォーカルを担当という、
一種のコラボレーション・アルバムなのです。

KJMはマンフレッド・フェストの「Brazilian Dorian Dream」をカヴァーし、
辰緒さんはヨーロピアンな生ジャズで、
吉澤さんはブラジリアン・ブロークンビーツで、
ジャズトロはメロウなサウダージ・ソウル、
安田さんはエレクトロニカ的アプローチでといった具合に、
各々の個性を生かした楽曲が勢揃い。
藤本君がオレペコ以外で初プロデュースというのも注目です。

福富さんはもちろんハウスもやってるけど、
吉澤さんのピアノをフィーチャーして
ワルツ曲を作ったりという意外な面も。
でも、これが凄くいいのです。

最近始まった福富さんのブログで
これから各曲がアップされたり、
野崎君のMy Spaceでも
ジャズトロの曲が聴けたりと、
発売前に色々チェック出来ると思うので、
皆さん
是非聴いてみて下さい。
(もちろん、CDが出たら買って下さいね)


で、今回の企画は、
福富さんにとっても
とても思い入れの深いものだったのではないか、
と僕は勝手に想像しています。

元々イザベルの「Playback」を
福富さんがカヴァーしたことから交流が生まれ
今度はイザベルが
福富さんの『Equality』に参加して「Love is to blame」を歌ったり、
イザベルの作品を福富さんがリミックス、
ということは記憶に新しい。

アンテナというユニットは、
80年代初頭にフランスで結成され、
ベルギーのクレプスキュールからアルバムをリリースしていた
伝説のユニットです。
その顔であり、
リード・シンガーだったのがイザベルなのです。

ニューウェイヴに
エレクトロ・ポップ、
フレンチ・ポップス、
ジャズ、
ボサノヴァといった要素を混ぜ
独特のクールで
エスプリのきいた世界を作っていたアンテナ。

恐らく、
福富さんも多大な影響を受けていたはずでしょう。

実は僕と福富さんは同い年なのですが、
大体僕らくらいの年代の人は、
音楽的原体験として
皆ニューウェイヴを通過してきていると思います。

そうした世代のクリエイターの特徴として、
批判精神が旺盛なこと、
個性を重んじること、
新しもの好きであること、
アウトサイダーであること、
と僕は勝手に解釈しています。

つまり、
ひねくれものが多い。

でも、これは僕としては
最大の誉め言葉なのです。
クリエイターたるもの、
一般人と同じ視点しか無かったら
ものは作れません。

ニューウェイヴを同時体験した人は
どこかひねくれてます。
更に福富さんは、
イーノやケヴィン・エアーズが好きだったと
昔何かの雑誌で話していた記憶がありますが、
この辺りのアーティストが好きという時点で
やっぱり普通の人とは感覚が違うと思います。
(言っておきますが、これはあくまで僕の一方的な思い込みなので、
福富さんが実際にそういった人かどうかとは全く別ですから)
ちなみに、僕もイーノやケヴィン・エアーズは
昔ハマって本当によく聴きました。

そうした原体験は、
現在ものを書いたり作る上でも
もう自分の拭い切れない性格の一部のようになっていると思うのですが、
自分はそんな原体験があることを
とても誇りに思っています。

ビートルズやドアーズ、
Tレックスやヴェルヴェット・アンダーグラウンドは同時体験出来なかったけど、
でもニューウェイヴを体験できたことは
自分の人間性を形成する上で
とても大きなことだったと思います。


話しは大きく逸れましたが、
このアルバムは
福富さんにとって
自分の原体験を再確認するような
そんなアルバムだったのではないか、
ふとそんなことを思いました。