リラックスしたい時に聴きたくなる音楽 | 小川充オフィシャルブログ

リラックスしたい時に聴きたくなる音楽

とても天気のいい一日でしたが、
今日は恵比寿のHIROKI MODEというところで行われた
『COMFORTBLE Ultmate hearing』という
アフタヌーン・パーティーにてDJ。
女性オンリーのリラクゼーション・タイムを演出
というコンセプトで、
ネイル・サロンやアロマテラピーのフロアもあるというもの。
チルアウト系の選曲でDJをしてきました。

今日はハウス寄りの選曲をしたので
そこではプレイしなかったのですが、
リラクゼーション・タイムにピッタリの1枚を紹介したいと思います。

それはKarma。
カーマともカルマとも呼ぶ人がいますが、
とりあえずここではカーマで統一します。
ラース・ヴェガスとモージョー・トムから成る
ドイツの2人組クロスオーヴァー・ユニットで、
95年に「High Priestess」でデビューし、
それはジャズ、ハウス・シーンを巻き込んでヒット。
その後のクロスオーヴァー・シーンの流れを導き出した
重要なユニットなのです。

今までにアルバムは
『Pad Sounds』と
『Thrillseeekers』という2枚を出していて、
僕は『Thrillseekers』のライナーを書いたり、
そのリリース記念でラースが来日し、
DJツアーに同行して地方を回ったり、
ラース編纂のコンピ『Folky』のライナーを書いたりと、
色々と縁の深いユニットでもあります。

今回リリースする『Latenight Daydreaming』は、
『Thrillseekers』から何と7年振りのアルバム。


別に本業があったり、
色々あって活動を停止していたのですが、
心から音楽を作りたい
という欲求が内から沸き起これば
スタジオに入るという気ままな2人なので、
それはそれで締め切りに追われることなく
自然体で音楽を楽しんでいるのではないでしょうか。

この『Latenight Daydreaming』のライナーを
先日書き終えたところですが、
クラブ畑出身でありながら、
驚くべきことに、
まずダンス・トラックは一切無し。

今までもアンビエントな色合いが強かったのですが、
それでもドラムンベースをやったり、
ジャジーなハウス~ブロークンビーツ系の
俗にフューチャー・ジャズと言われるようなトラックが
アルバムの中に必ず入ってました。
でも、今回のアルバムは完全に
緩いビートのアコースティック系の作品ばかり。
今までのインスト路線も変え
シンガーをフィーチャーしての
フォークやトラッド、ネオ・アコ系の作品が並びます。

印象としては
テリー・キャリアー、ジョン・ルシアン、
キャロル・キング、ジョーン・バエズ、
ジョニ・ミッチェル、トレーシー・ソーン、
さらに初期ピンク・フロイド、イエス、
アジムス、トニーニョ・オルタ、
エリック・サティ、ハロルド・バッド、
ブライアン・イーノ、ケヴィン・エアーズ、
トミー・ゲレロ、レイ・バービー、
ゼロ7、マッシヴ・アタック、
といった要素を一つにしたようなサウンドかな。
聴いてると目の前に田園風景が広がってくるような、
南国の楽園の午後のまどろみの中にいるような、
とてもナチュラルなヒーリング・ミュージックなのです。

で、そうした雰囲気作りやサウンド構築もさることながら、
作曲能力が今までより格段にアップしていることに驚き。
まあ言ってみればかなりサントラ的とも言えるのですが、
例えば「Requiem / All & Everything In Between」という曲は、
スタンリー・マイヤーズの『ディア・ハンター』、
ヴァンゲリスの『栄光のランナー』にも匹敵するのでは。
恐らくこのアルバムを聴いた映画監督から、
次回作のサントラのオファーが殺到しそうな雰囲気です。

女性ヴォーカルものの「The Way You Are」は、
女子フィギュア・スケートのイリーナ・スルツカヤが、
トリノ五輪のエキシビジョンのBGMに使った
サラ・ブライトンの「So Many Things」を
彷彿とさせる素晴らしいナンバー。
本当に切なくなるくらいに美しく、
雄大なスケールを持っているのです。

日頃、現在のクラブ・ミュージック・シーンの
最新潮流、流行、今後の方向性は何か
なんてことを仕事柄気に掛ける自分がいる訳ですが、
このアルバムを聴いてたら
そんなこと、どうでもよくなってきました。
一生の愛聴盤になりそう。

このアルバムのライナーを書くことが出来て、
本当に良かったと思います。
Respect to Karma !!

発売は10/23
ヴィレッジ・アゲインさんからです。
なお、先行カットの12”は発売中で、
Tony Nwachukwu(アッティカ・ブルース)リミックスがヤバいです。