◎NHK交響楽団/ファビオ・ルイージ[首席指揮者]/リーズ・ドゥ・ラ・サール[ピアノ]
2025年5月5日(月・祝)16:15開場/17:00開演@所沢市民文化センター ミューズ アークホール
NHK交響楽団
ファビオ・ルイージ[首席指揮者]
リーズ・ドゥ・ラ・サール[ピアノ]
《ヨーロッパ・ツアー記念プログラム》
武満徹:3つの映画音楽
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98
【ソリストアンコール】シューベルト/リスト編:音楽に寄せて
【オーケストラアンコール】ベートーヴェン:交響曲第8番から 第2楽章
今年ゴールデンウィークは遠出をせずにせっせとN響欧州遠征一人壮行会w
でも私がルイージ×N響に霊感を得て、「シェフになって欲しい!」と思った伝説の(?)ブラ4が再演されるというのだから行くしかないw
ちなみにかれこれ聴いたのは8年前だとか!ビックリw
あの頃は若くて、パーヴォ・ヤルヴィに鬱憤が溜まっていたらしい。
若い頃の自分辛辣wwやっぱ若い頃の自分、尖ってますねえ。叱ってやりたいなww
やっぱり「ちょっと苦手だな…」と思っても粘り強く聴くのは大事らしい。
その後の手のひら返しは当ブログを参照されたいw
さて、前半は事前の曲目発表では「ほか」とされていて、薄々やって欲しかった欧州遠征Dプロ:
プラハ、ドレスデン、インスブルックで披露される武満徹の弦楽のための『3つの映画音楽』と武満徹では最もポップな演目。
これがもうビックリ!!
実はあんまり外国人指揮者のやる武満に感心したことがなくて、
代表例がサイモン・ラトル。
あー、やっぱ日本的なああいう侘びとかサビとか、苔むした湿気と竹林の芳香って再現できないよな、と。
それが今回、なるほどこういう攻め方かと感心した。
例えていうなら「コッテリ濃厚ジェノヴェーゼ(シェフのお袋の味)を和風出汁、魚醤、紫蘇と
和の食材をふんだんに使い、芳醇な芳香も楽しめるよう仕上げました…」的な創作料理的な武満。
これがまたN響の弦セクションという東洋最高の素材の美質を余すところなくふんだんに使う。
そしてルイージ様の美しく滑らかな振り姿は、時に艶やかさを感じさせ、聴衆を魅了して離さない…。
特に2曲目「黒い雨」の葬送の音楽では、よく現れる武満の和声が物凄く湿気を帯びてしっとりと響く…。
やっぱりこの人の根幹には「芳香」が潜んでいて、
多分日本で嗅ぎ取った香りを分析して音に変換しているのか?と思ったほど。
でも3曲目の「他人の顔のワルツ」は明らかに西洋人のふくよかさのそれ。
でもってN響の弦の昨今の柔軟さをそのまま引き出すので、あざとさは全くないのに濃厚な舌触りのみ残るという…。
いやあ、素晴らしい!これには驚いた。
ルイージさん、この独自路線でいいから武満徹沢山演ってくださいな!オネシャス!w
この前プロの終了後、周囲のお客さんからため息と共に「凄い…」とつぶやきが漏れたほど。
これ聴いた上記3都市の聴衆は度肝抜かれるでしょうよ。
続く中プロのグリーグのピアノ協奏曲。
これもリーズ・ドゥ・ラ・サールのピアニズムと不思議なほど噛み合った快演で舌を巻いた。
…え〜、このままラ・サールさんで欧州でも演った方がいいのでは←
ゲフンゲフン
ラ・サールの独奏は膨よかさもあるがとにかく強靭で、情熱一途!ロマンティック!!で伴奏するルイージ×N響に全くビクともしない音造り。
昨年秋山×田久保の名演がまだ記憶に新しいが、打鍵技巧は田久保に一歩譲るもののラ・サールのN響の厚みに全く揺るがぬ姿勢は見事この上ない。
またらサールの膨よかさがルイージの、今日の徹頭徹尾ロマンティックに耽溺する響きにうま〜く接続していく。
見ものはカデンツァと、何より2楽章!
この前のベルクとマーラーでもそうだが異様に弱音に拘るルイージ。
それに発音をハッキリさせて応えるラ・サールの美音…。
う〜ん、この2楽章だけあと100回お替わりしていいぞ!ww
嗚呼…コレも音源化して配って欲しいぐらい…。
こういうのが音楽の一期一会。
本当の醍醐味なんでしょうが…。
それにしてもベルクといい、このグリーグといい、コンチェルト出来過ぎでないか??
こりゃ予定調和なら後半のブラ4霞みそうww
アンコールはAn die Musikのリスト編。
これは先ほどの強靭なグリーグからすると驚くほど繊細。
この人の引き出し面白いなあ。
秋に読響でガーシュウィン演るらしいけど、ちょっと興味湧いてきた。
(ガーシュウィンよりシューマンとか聴いてみたいけどw)
さて、メインのブラ4。
これに関してはリハの短さゆえちょっと荒削りさもあって予定調和的な演奏。
…ともあれ前述の通り、コロナ前の名演宜しく大満足な演奏!
やっぱり第1ホルン福川さん、上手いわ。戻ってこないかなあ←
8年前と違うところは、やはり弦の精度と弱音への拘り、それに応える団員の反応力。
とにかく弦の精度と音の引き出しの多さはちょっと尋常ではない。
弦から色んな音のヴァリエーションが出る。
時にウィンズ、ブラス、オルガン的な音すら(特に4楽章のパッサカリアでは…)出てくる。
…う〜ん、これだけで充分欧州遠征で頭角を表せるのでは…?
少なくとも私はこれと同じ感覚があるにはもはやウィーン・フィルとチェコ・フィルくらい??
(言い過ぎかな。まあウィーン・フィルの弦はちょっと別格…)
そんな弦の凄みを聴かせられたらあっという間に曲が終わってた。
…う〜ん、響きの洗練でねじ伏せましたな…パワープレーっちゃ、パワープレー。
アンコールが有るのが、今日はオルガン横P席だったので譜面をチラ見してわかったが、これは全曲聴いたことのあるベト8。
所沢の聴衆も明らかに前回のブラ2より熱狂。
とは言え収穫は前半2曲かな?素晴らしかった。
これは文句なく欧州で日本代表を名乗れますね。
さて、最後に小ネタ。
前半は欧州のプログラムの都合もあり、B定に続き郷古がコンマスに座ったが
前半終了後、休憩のホワイエで隣にいたご夫妻が
「コンマスカッコよかったね!若いのに良いね」
…でしょでしょ!と言いたくなった。N響自慢のスーパーコンマス。
今日も終始ルイージの熱に呼応して体が動く郷古コンマス。
ここまでN響が熱いオケに成れてきたのも彼の存在は本当に大きいと思う。
彼は本当に日本クラシック界の大谷翔平みたいなもの。
願わくばN響コンマスをもう少しで良いので長く続けてください🙏
(N響欧州遠征本邦公開鑑賞記 完)