◎東京・春・音楽祭2024 ヴェルディ《アイーダ》(演奏会形式)2024年4月17日 [水] 14:00開演(13:00開場)@東京文化会館大ホール


出演

指揮:リッカルド・ムーティ
アイーダ(ソプラノ):マリア・ホセ・シーリ
ラダメス(テノール):ルチアーノ・ガンチ
アモナズロ(バリトン):セルバン・ヴァシレ
アムネリス(メゾ・ソプラノ):ユリア・マトーチュキナ
ランフィス(バス):ヴィットリオ・デ・カンポ
エジプト国王(バス):片山将司
伝令(テノール):石井基幾
巫女(ソプラノ):中畑有美子
管弦楽:東京春祭オーケストラ
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:仲田淳也

※当初出演を予定しておりましたラダメス役(テノール)のクロディアン・カチャーニは都合により出演ができなくなりました。代わりまして、ルチアーノ・ガンチが出演いたします。詳細はこちら


曲目

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》(全4幕)






もう正直、アイーダを「聴く」のは封印したい…。

そんな音楽的充実、…いや、イタリアオペラという芸術の極致を、「若くこれから経験を積んでいく人材」だけで具現化するとは…。

そんなイタリアオペラ"最後の巨匠"リッカルド・ムーティの、至芸を余す事なく堪能できた、本当に一生に何度体験できるかわからない、宝物のような舞台だった。


遡る事昨年の『仮面舞踏会』に度肝を抜かれ、

今の「イタリアオペラの伝道師」と化したムーティの

ヴェルディを観逃すこと時代が人生の損失と感じたほどの

凄まじい音楽にノックアウトされた。


今年度のアイーダ。

実は作品としては全く好きな部類ではない。

…というか、主役2人が頭が悪すぎるし(すみません。個人の感想です💦)

見せ場はあんまりないし…。

あるといえば豪華絢爛な音楽だと思うし、

ムーティでそのヴェルディの豪華絢爛な音楽を堪能できるなら

それはもちろん最高の贅沢だし。

…ということで迷わずチケットは取った。


さて、音楽は言うまでもなく、

アバドやシノポリ亡き後、地上に遺された最後の巨匠の極上の音楽が広がる。


冒頭のヴァイオリンから身震いが止まらなかった。

確かに、若手とはいえ日本最強の俊英たちを集めたオケだ。

当然と言えば当然であるが。

抑揚の付け方。バランス感覚。難所の押さえ方。

どれをとってもマエストロの全て意中で、手のひらに音楽が展開される感じ。


そして何より圧巻のドラマツルギー…!!

どこで抑えて、どこでフルスロットルを見せれば観客が感動するか

全てがマエストロの音楽的演出効果で

アイーダの世界観から一刻たりとも放してくれない。

特に1幕「ナイルのほとりで」が始まる辺り、

あまりにも美しい音が降り注いできて泣きそうになった。

2幕の凱旋のスペクタルを聴いて、もうアイーダは「聴か」なくていいと思った。感激。

※お芝居としては今後も観ると思うが…

また特筆すべきは4幕のマトーチュキナ扮するアムネリスと

ガンチ扮するラダメスの丁々発止のやりとり。圧巻だった。

一つ心残りとしてはタイトルロールの弱さだったが、

個人的にドラマ展開上どうでもいい、

酸素のようなヒロインなので、まぁこれでいいですw


昨年から、春祭、ローマオペラと極上のイタリアオペラ体験を重ねて

ああこういう舞台に居合わせることが幸運だと

ますます感謝を募らせた一日でした。

本当に最高だった…。

今日の音楽体験は本当に一生モノの財産。

もしかしたらマエストロ・ムーティのアイーダは

これが最後と、チラッと感じつつ。






極め付けは今日までの唐揚げタダ券を消費にヱビスバーへ。

美酒も堪能し、最高の休日の締めくくりでした。