今日は若水会という長年お世話になっている経営者の塾で、山形を訪問していました。

 

 

■ 市長から聞いた、「市民の幸せ」という指標

塾長の井上先生と山形市長が懇意ということで、表敬訪問させていただきました。

山形市の財政状況、これから目指す市のかたち。

そういった話を、経営者の目線で聞かせていただきました。

 

財政が黒字であれば良し、というだけではありません。 税収や行政効率の数字だけでもありません。 最終的には「市民がどう幸せになるのか」という大きな問いがあって、そこから逆算されている。

 

これが、自分にとってはとても新鮮でした。

自分は、会社を売上や利益で見ることに慣れすぎていたのかもしれません。 

事業の良し悪しを、数字の一面だけで語っていなかったか。

 

経営の評価軸は、本当は一つではない。 何を成功と定義するか。 それをどれだけ多層で持てるか。

市の単位で経営を見ると、その問いがくっきり立ち上がってきました。

 

■ けん玉工場で見た、一点突破の凄み

そのあとは、山形工房さんを見学させていただきました。 

 

けん玉の国内シェアトップ。 海外にもコアなファンがいる、業界では知る人ぞ知るメーカーです。

驚いたのは、その絞り込みっぷりでした。

ひとつの製品を、ひたすら深く掘っていく。 ニッチではあるけれど、その世界の中心に立っています。

 

アスクは、これまで300事業に挑戦してきた多角化型の会社です。 方向としては、山形工房さんの経営とは逆かもしれません。

だからこそ、今日は素直に学びました。

一点に絞って、技術と製品を徹底的に深掘りしていく経営の凄み。 そこにしかない強さがあります。

 

そしてこれは、多角化型の会社にもブーメランで返ってくる話だと思います。 

事業を増やすことは、一つひとつを薄くする言い訳にはなりません。

 

広げるなら広げる。でも、一つひとつにちゃんと深く向き合っているか。

 

そう問われた感覚がありました。

 

■ そして、夜は温泉旅館で

夜は経営者同士、温泉旅館で深夜まで語り合いました。 

業種が違うからこそ、フラットに話せる悩みがあります。 

こういう仲間がいるというのは、それだけで幸せだなと思います。

 

■ レイヤーを行き来する、ということ

市の視点。 職人の視点。 経営者同士の視点。

今日は、違うレイヤーの「成功」を行き来した一日でした。

 

経営とは、自分の評価軸を更新し続けることでもあるのかもしれません。 

売上や利益という単一の物差しに閉じこもると、見えないものが少しずつ増えていきます。

 

会社を見るとき、自分は今、何の物差しで測っているのか。 その物差しは、誰の幸せに繋がっているのか。

山形からの帰り道、そんなことを考えていました。

先日、ある経営者とM&A業界の流れについて話していた。

今までのM&A業界は、とにかく専門家を増やす時代だった。

仲介会社が増え、アドバイザーが増え、プレーヤーが急速に拡大してきた。

それが、いま大きく変わろうとしている。

国家資格としての試験の導入が決まり、業界は明確に、数の時代から質の時代へ進化していく。

 

 

■ 厚くなり続ける「安心安全」のレイヤー

数が増えるほど、事故も増える。

反社チェック、eKYCによる本人確認、ISMSのような情報管理。

プラットフォームが担うべき安心安全のレイヤーは、年々厚くなっている。

ここにAIの時代が重なる。

生成された情報の真偽。なりすまし。AIによる過剰な評価や誘導。

新しいリスクが、これからどんどん表に出てくる。

仕組みでカバーする部分は、これからも増え続ける。

これは業界の前提だ。

 

■ ただ、本当の壁は「情報の非対称性」

その経営者と話していて、一番深いと感じたのはここだった。

M&Aの世界は、情報が一部に集まりすぎている。

 

どんな会社が売りやすいのか。

売却金額は、どんなロジックで決まっているのか。

仲介会社と事業会社で、なぜ期待がずれるのか。

 

こうした構造的な情報は、一般の経営者にはほとんど届いていない。

仲介会社のビジネスモデルは、成約手数料。

クロージングしない限り、収入が立たない。

そうなると当然、インセンティブはオーナーとはまた別のところで働く。

これは仲介の人が悪い、という話ではない。

完全にオーナーに寄り添える状態を作りにくい、構造そのものの問題だ。

ここを理解しているかどうかで、オーナーの判断は大きく変わる。

 

■ 仕組みだけでは、解けない

TRANBIはここ数年で、安心安全の仕組みを積み上げてきた。

ISMS、eKYC、反社チェック。

仕組みでカバーできる範囲は、しっかりやる。

 

ただ、AI時代に入って改めて感じるのは、仕組みだけでは追いつかない領域がある、ということ。

最後は、経営者自身が判断できる側に立てるかどうか。

自分の会社の価値を、自分のロジックで説明できるか。

仲介会社の立ち位置を、構造として把握できているか。

 

そういう「賢い当事者」を増やしていかない限り、業界の質は本当の意味では上がっていかない。

TRANBIが成約にこだわらないサブスク型に振り切ったのも、ここに理由がある。

クロージング数を追わない代わりに、コミュニティを通じて経営者の学びを積み上げていく。

中小企業から生まれたプラットフォームだからこそ、できることだと思っている。

M&Aの安心と成功率は、最後は当事者の解像度で決まる。

仕組みと教育、この両輪でしか進めない領域がある。

 

■ 業界の次のステージ

質の時代の本丸は、専門家を増やすことではない。

オーナー自身が、自分で意思決定できる状態を持つこと。

情報を一部に閉じ込めず、開いていくこと。

プラットフォームの役割は、これから明らかに変わっていく。

情報を取り次ぐ場所から、情報を開き、経営者を育てる場所へ。

派手な変化ではない。

ただ、業界の中心がどこにあるのかは、確実に動いていくなと感じる。

今日はある経営者とランチミーティング。 中小企業の事業承継支援をしている会社の社長で、AI時代の経営のあり方について話し込んだ。

業界は違っても、見ている景色はほとんど同じだった。

 

 

■ 情報の粒度が、変わった

AIのおかげで、今までとはレベルの違う粒度で社内の情報が取れるようになった。

社員の日報も簡単に整理できる。 満足度やモチベーションの動きも、以前よりずっと早く拾える。

経営判断のためのインプットが、一段深くなった感覚がある。

社員一人ひとりの状態を、解像度高く見にいける。 これは地味だけれど、ものすごく大きな変化だなと思う。

 

■ AI化のスピードは、死活問題

どれだけはやくAI化を進められるか。 経営者にとって、もうそれは死活問題になっている。

「やるかやらないか」を議論する時期は、たぶん終わった。 「いつまでに、どこまで」入れ込めるか。論点はもうそっちに移っている。

スピードが遅れた会社から、静かに置いていかれる。 そういうフェーズに入った気がする。

 

■ ただ、AIが届かない場所もある

一方で、AIにほとんど影響を受けない仕事もある、という話になった。

たとえば、デパートの祭事販売。 売り場で、人と人が話して、その場でお客様になっていく現場。

人と人の信頼を積み重ねて事業を作っていく営業。 このあたりは、置き換えようとしても置き換わらない。

便利になるところと、便利では片づかないところ。 その境目が、思ったよりはっきりしてきたなと思う。

 

■ 自分たちの事業でも、同じだ

これは、自分たちの仕事でも同じだと感じている。

TRANBIで言えば、オーナーとの面談。 会社を託す、託さないを決めるあの瞬間は、データではなく人を見て決まる。

長年の顧客との関係維持も、専門家との関係づくりも、結局は人と人。 最後の意思決定の手前には、必ず「この人だから」という温度がある。

 

フロントに立つ仕事は、最後まで人が残る。

 

AIで効率化できるところは、徹底的にやる。 でも、人がやるべきところを安易にAIに渡してしまうと、信頼の積み上げのほうが途切れる。

 

■ 経営者の仕事は、「見極め」になる

これからの経営者の仕事は、たぶん「見極め」だと思う。

どこをAIに任せて、組織を軽くするか。 どこは人で勝負して、信頼を積み上げるか。

その線引きを、誰よりも早く・正しく引ける経営者が、これからの数年で残っていくんだろう。

情報処理や効率化は、AIに任せていい。 でも、信用と信頼は、最後まで人が作るものなのかもしれない。

フロントは、人。 その前提だけは、ぶらさずに持っておきたいなと思う。

今日は長野で、月に1回のASK Holdingsの経営会議だった。

 

事業数は15。 KPIの進捗を一通り確認するだけで、けっこうな時間が過ぎていく。

そこから各チームが挙げた議案を議論していくと、毎回1時間半から2時間。 だいぶ長いこと続けている運用だけれど、毎回しっかり中身が詰まる時間になる。

 

 

事業をまたいで議論できる場所は、結局ここしかない。 だからこそ、この月1を大事に積み重ねている。

 

■忙しい事業と、そうでない事業

15も事業があると、当然、波がある。 忙しくて回りきらない事業と、少し余裕のある事業が同時に並ぶ。

その差をどう埋めるか。 余裕のある事業から、回らない事業へ人を派遣することもあるし、足りなければ採用に動くこともある。

 

ここは毎回、わりと生々しい議論になる。 誰を、どこに、どのくらい動かすのか。 事業の境界を越えて、ヒトという一番動かしにくいリソースを動かしにいく。

会社全体の地図を持っていないと、ここの判断はできない。

 

■役職ごとに、見える範囲を合わせていく

最近の経営会議で意識していることが、もう一つある。

役職ごとに、何が見えていて、どこまで語れているか。 そのレベル感を、定期的に合わせにいく作業だ。

 

担当者として語るのか。 事業責任者として語るのか。 それとも、会社全体を見ながら語るのか。

同じ数字を見ても、立っている場所によって意味が変わる。 そして、立っている場所は、本人の意識だけで決まるものではない。

 

「役職に応じて、何を見て、どう語ってほしいか」を、こちらから言葉にしていく。

これをやらないと、立場と発言のレベルがずれたままになる。 キャリブレーションというのは大げさだけど、感覚としてはそれに近い。

 

■「回す側」の経験を、どう渡していくか

そして最近のテーマが、この経営会議そのものを、若手にどう回してもらうか、ということ。

参加するのと、回すのは、まったく違う筋肉を使う。 議題を組み立てる。 時間配分を決める。 誰に何を聞き、どこに議論を寄せていくか。

 

回す側に立って初めて、見えるものがある。 というより、回す側に立たないと、絶対に見えないものがある。

だから、いまは少しずつ、一部のテーマや時間を若手に任せはじめている。

 

最初はもちろん、ぎこちない。 予定の倍の時間を使うこともあるし、議論が拡散することもある。 でも、それはたぶん必要なコストだと思う。

 

■痛みを伴う場が、いちばん人を育てる

15事業のKPIを毎月ひっくり返して見ていく、というのは、正直、楽な運用ではない。 でも、ここでしか身につかない視点がある。

事業の境界を越えてリソースを動かす感覚。 役職に応じて、自分の語り方を選ぶ感覚。 そして、場全体を回すという感覚。

 

痛みを感じながらも続けている、この月1の場が、たぶん次の経営層を育てる場所になる。

参加する会議から、回す会議へ。 静かに、でも確実に、その移行を進めていけたらと思う。

 

今日は東京信州経済人会で渋谷へ。

会場は GMOインターネットグループ の渋谷フクラス本社。
長野県出身の 熊谷社長の配慮で開催された。

 

 

最初はスタートアップ3社によるピッチイベント。
その後、熊谷さんの講演。

30分予定だったものが、気づけば1時間近く。
それだけ熱量のある内容だった。

 

印象的だったのは、熊谷社長のAIに対する強い危機感。
ここまで大きな会社を作られた方でも、「いまは危機感しかない」と話されていたのがとても印象に残った。

 

AIがほとんどの産業を変えていく。
その変化に適応できるかどうか。
そこをかなり強く語られていた。

 

また、ご自身でもClaudeと会話しながらアプリ開発を進めているとのこと。
経営者自身が実際に手を動かしている。

 

やはりこの変化は、知識として理解しているだけでは難しく、実際に触り続けているかどうかが大きいのだと思う。
触っている人と触っていない人の差は、これからさらに広がっていくのかもしれない。

 

その後の懇親会では、 阿部知事のご挨拶もあり、長野に縁のある方々と色々な情報交換をした。

 

東京に出てきていても、皆さん長野への想いが強い。
どうやって長野に貢献していくか。
どうやって地域を良くしていくか。
 

自然とそんな話になる。

自分としては、やはり起業家育成や企業支援。
その領域で少しでも貢献していきたいと思う。

 

長野には、人の距離感の近さや、挑戦する人を応援する空気がある。
そこにAIという大きな変化がどう重なっていくのか。
これからが少し楽しみでもある。

日曜の朝。

最近、作業がだいぶ捗っている。 AIに助けられている部分も大きい。 気づくと、同時に色々なものが並走している。

 

 

アスクの組織改革とGPTWに向けた動き。 TRANBIの事業フェーズの進化。 全社へのClaude浸透と、AIを前提にした組織への移行。 そこにEO、長野、家族のことも重なる。

一つひとつは別物だけれど、自分の頭の中では同じテーブルに乗っている。

 

■ アクセルが効いているとき、走り続けてしまう

捗っている、というのは気持ちがいい。 朝起きてから、頭がよく回る。 やりたかった整理が一気に進む。 昨日まで止まっていた判断が、すっと前に動く。

 

ただ、こういう状態が一番危ない気もしている。

アクセルが効いていると、走り続けてしまう。 立ち止まる理由が見つからない。 今日の自分が、どこに向かっているのか。 何のためにこのスピードを出しているのか。

そういう問いを、自分にぶつけるタイミングを失う。

 

■ 棚卸しは、タスクではなく気持ちの確認

だから今日は、棚卸しに時間を使うことにした。

何が同時に進んでいるか、を書き出す。 それぞれに対して、自分は今どう感じているか。 楽しんでいるのか、義務でやっているのか。 誰のために、何のためにやっているのか。

 

これはToDoリストの整理ではない。 気持ちのキャリブレーションだ。

数字や進捗を確認する作業は、平日でもできる。 週末にやるべきは、その手前にある「自分の状態」を確かめることだと思う。

 

■ 苦しい時ではなく、調子がいい時こそ

整える時間が必要、というのは多くの人が意識している。 ただ、それは大体「焦っているとき」「うまくいっていないとき」の話だと思う。

自分もこれまで、そういう文脈で書いてきた。

 

でも今日改めて感じているのは、本当に難しいのは、調子がいい時に立ち止まることだ、ということ。

うまくいっているときは、止まる必要を感じない。 むしろもっと進めたくなる。 そのまま走り続けると、ある日ふと、自分がどこに向かっていたのか分からなくなる。

 

経営者として、ここの習慣の差は大きいと思う。 不調なときに整えるのは、誰でもやる。 好調なときに整えられるかどうか。 そこに、長く走り続けるための差が出る気がしている。

 

■ 週末を、何もしない日として設計する

週末はできるだけ何もしない。 予定を入れず、振り返りに当てる。

そう決めてしまうと、楽になる。 平日のスピードのまま週末まで走ろうとすると、結局どこかで折れる。 最初から「整える日」と決めておくほうが、来週に向けてちゃんと走り出せる。

 

これは個人の話というよりも、リズムの設計の話だと思う。

仕事の質は、走っている時間だけでは決まらない。 止まっている時間の質も含めて、自分のリズムができている。

 

今日は静かに過ごす。 頭の中の棚卸しをして、心と体を整える。 来週からの並走を、もう一度、自分の意思で始めるために。

最近、自分の中で奇妙なことが起きている。

自分で作ったものを、作ったこと自体、忘れてしまうのだ。

 

 

ウェブアプリ、企画書、資料、ツール。 AIと一緒に手を動かすようになってから、思いついたものをすぐ形にできるようになった。

それ自体はありがたい。 ただ、作成する量があまりに増えすぎて、自分が何を作ったのかを覚えていられなくなってきた。

 

■ 管理しないと、消えていく

最近、自分が作ったものを一覧化するスプレッドシートを作った。

何を作ったか、いつ作ったか、誰に渡したか。 記録しておかないと、自分の頭から消えてしまうから。

 

書きながら気づく。 これは少し異常な状態じゃないか、と。

本来なら、一つ作ったらそこから次のステップに入るべきものたちだ。 渡して、磨いて、運用に乗せて、改善する。 そういうサイクルがあって初めて、作ったものに価値が生まれる。

 

なのに、作った瞬間に放置してしまっている。 作ったことすら忘れて、また別のものを作りに行っている。

作ることが、目的になってしまっている。

 

■ 速くなった分、考えなくなった

少し前まで、自分は何かを作るときにもっと丁寧だった気がする。

AIが入る前は、一つ作るのに時間がかかった。 だから、作る前に「これは本当に作るべきか」「誰に何を届けたいか」を、自然と深く考えていた。

 

今は違う。 思いついたら、その瞬間に手が動く。 検討より、手のほうが先になっている。

便利になったのは間違いない。 ただ、検討の時間が削られた分、無駄なアウトプットが確実に増えている

 

作る速度が上がったぶん、「とりあえず作ってみる」のコストが下がった。 コストが下がると、人は深く考えなくなる。

これは個人にも、組織にも、同じことが起きていると思う。

 

■ 速い時代こそ、行き先を決める

ここで気づいたのは、シンプルなことだった。

速く動けるようになったからこそ、動き出す前に「どこへ向かうか」を決める時間を、もっと取らなければいけない。

 

自分はこの先、どこへ向かいたいのか。 会社をどこへ連れていきたいのか。 社員一人ひとりは、何のためにその仕事を選んでいるのか。

ベクトルが曖昧なまま手を動かせる時代になった。 だからこそ、ベクトルを明確にしている人と、そうでない人の差が、これからどんどん広がっていく気がする。

 

経営者としてだけの話ではない。 社員一人ひとりも、自分が何のために何を作るのか、解像度を上げて持っておく必要がある。

行き先を決める。 そこに至る道筋を、自分の言葉で描く。

 

地味で、退屈で、すぐには成果に見えない作業だ。 でも、これがないまま手を動かしても、また忘れられるものが一つ増えるだけになる。

便利になった時代だからこそ、立ち止まる時間が要る。 そんな当たり前を、自分はAIによって改めて気づかされているなと思う。

今日はEOのモデレーターフォーラムメンバーで集まり、ミニリトリートだった。

 

リトリートというのは、普段と違う環境に身を置くことで、日常では掘り出せない自身やメンバーの思考や活動を共有し、TAV(TakeAwayValue)として持ち帰る、という時間。

 

 

EO Centralは、創業経営者だけが入れる経営者のクラブだ。 それなりに色々な波を乗り越えてきたメンバーが集まっている。 中にはプライム市場上場を果たした経営者もいる。

 

そんな彼らと、経営の深い話、組織づくりの話、戦略の話を、肩書きを脇に置いて腹を割って話せる。 こういう機会は、本当に貴重だなと思う。

 

■ 場を変えると、人の別の顔が見えてくる

今日、一番の持ち帰りはこれだった。

普段、自分たちは効率の中で生きている。 スケジュール、KPI、意思決定、次のミーティング。 その流れに乗っていると、目の前の人を、どうしても「役割」や「肩書き」で見てしまう。

 

でも、場所と時間の使い方を少し変えるだけで、その人の感情、迷い、好きなもの、過去の傷、これからの欲求のようなものが、ふっと出てくる瞬間がある。

 

ああ、この人にはこんな側面もあったのか、と気づく。

 

そして、それは相手だけの話ではない。 自分自身も、普段は出していない部分が、自然と出てくる。

 

人間というのは、本来もっと感情的で、もっと深い生き物なのだと思う。 忙しく生きていると、自分も他人も表層しか見なくなる。 それは効率ではあるけれど、関係性としては、たぶんとても薄い。

 

リトリートは、その薄さに気づかせてくれる装置だなと感じた。

 

■ 出会いを「設計する」というEOの仕組み

EOの面白いところは、メンバー同士の新しい接点を、構造で作ってくれることだ。

 

フォーラムは固定。 LALAは年単位で変更。 運動会は毎年メンバーが変わる(今回、自分は初参加)。 メンターメンティー制度も、毎年新しいメンターを紹介してくれる。

 

つまり、ずっと同じ仲間と深まる場と、毎年新しい出会いが生まれる場が、両方ある。

 

これがすごい設計だなと思う。 人は放っておくと、心地よい関係の中だけで時間を使うようになる。 でも、毎年強制的に新しい接点が差し込まれることで、ネットワークが広がるだけでなく、自分の中に新しい視座が立ち上がる。

 

偶然の出会いを偶然のままにせず、構造で起こしにいく。 これは、組織にも応用できる発想だと思う。

 

■ 貢献できるレベルに、自分を磨く

そして何より、こういう場に身を置くと、自分がこのEOに貢献できるレベルに成長しないといけない、というプレッシャーが自然に生まれる。

このプレッシャーが、自分を磨いてくれているのだと思う。

 

肩書きや会社規模ではなく、「自分は今、誰かのTAVになれる存在か」と問われ続けている感覚。

社員のみんなにも、こういう場を一つでも持ってほしいなと思う。 気の合う同期でも、業界のコミュニティでも、社外の勉強会でも、なんでもいい。 腹を割って話せる関係資本は、長く効くキャリアの財産になる。

そして、そういう関係は、効率の外側でしか育たない。

 

少しだけ場を変える。 

少しだけ役割を脱ぐ。

 

 それだけで、自分の中にも、相手の中にも、まだ知らない深さが残っていることに気づける。

そういう一日だった。

ASKには「委員会活動」という仕組みがある。

 

全社横断で動く活動で、5S推進や改善推進などをテーマにしている。

 若手の育成と、組織のコミュニケーションを円滑にすることも、大きな目的の一つだ。

 

 

先日、その中の一つ「サンキュー改善活性化委員会」の月例会に参加した。

 

■ 15年続いてきた、小さな積み上げ

サンキュー改善活性化委員会の活動は、たしかもう15年ほどになる。

小さな改善を、コツコツ積み上げてきた活動。 派手ではないが、こうやって長く続けてこられたこと自体が、組織の文化になっている。

 

■ 今日のテーマは「ありがとう」

今回の発表は、「ありがとう」という言葉についてだった。

ありがとうは、他人を幸せにする。 そして同時に、自分自身も幸せにする。

そんな話だった。

 

特に印象に残ったのは、こんな指摘だった。

幸せというのは、ベースにあるものほど、無くなってから初めて気づく類のものだ。

 

健康、家族、仕事、仲間。 当たり前に存在しているうちは、それが「幸せ」だと意識することは少ない。

 失ってから、はじめてそれが幸せだったと気づく。

 

■ ありがとうは、センサーになる

ここに、ひとつの仕掛けがある。

普段から「ありがとう」と言える場面を、意識して探す。

 それは、自分が今どれだけ幸せに囲まれているかを、自分自身に気づかせるセンサーになる。

 

ありがとうを言うために、自分のまわりを見渡す。 

すると、見えていなかった支えや、つながりが、ふっと浮かび上がってくる。

 

幸せに気づくセンサー。

 

それを、組織として意識的に育てていく仕組みが、この委員会活動なのだと思う。

15年続けてきた意味は、まさにここにあるのかもしれない。

 

■ 発表してくれた社員に、感謝

最後に、こうやって素晴らしい発表をしてくれた担当の社員に、心から感謝したい。

そして、長年、地道にこの活動を支えてくれているメンバーにも、ありがとう。

 

無くなって初めて気づく、では遅い。 

今、ここにある幸せに、ちゃんとセンサーを向けていこうと思う。

今日はEOのLALAで、自分が担当する回だった。

LALAはライフラインを発表し、メンバーで共有し合う集まり。

 

 

EOメンバーは経験の濃い経営者が集まっているからか、みな色の濃いライフラインを持っている。

今回、他のメンバーの発表に即発されて僕もこれまでの資料を大きく見直すことにした。

 

生まれた時から今まで、どんな人生を送ってきたか。 改めて細かく振り返ってみる、そんな作業をした。

久しぶりに時間をしっかり取って自分の過去と向き合っていると、普段は忘れているような場面が、いくつも想起されてくる。 

中でも、今回特に強く浮かび上がってきたのが、自分が経営者を目指した、その原体験だった。

 

■ シカゴで聞かれた「Soはどう思う?」

大学生のとき、自分はシカゴに留学していた。 

ホームステイ先のホストファーザーは、ある上場企業の副社長。父も経営者だった。

たしか父がシカゴに旅行に来た際の移動の合間だったと思う。ホストファーザーと父が、家の一室で経営の話を始めた。

そこに、当時大学生だった自分も座っていた。

 

二人が話し込んでいるうちに、ホストファーザーがふと自分の方を向いて、こう聞いてきた。

「Soはどう思うんだ?」

 

それが、本当に嬉しかった。

旅行中、家の一室でずっと座って話し込む二人。 それが、かっこよく見えた。 

そして、そのかっこいい経営の輪に、大学生の自分が混ぜてもらえた。そんな感覚があった。

 

その時に、自分も経営者になりたいと思った。 こんなかっこいい人たちの仲間になりたい。

あの瞬間が、自分が経営者を目指すことになった、本当のスタートだったんじゃないかと思う。

 

■ 経営を「教えられた」わけではない

振り返ってみて気づくのは、自分が経営者を目指すきっかけは、何かを教えられたからではないということ。

経営の中身を解説されたわけじゃない。 苦労話を語られたわけでもない。 起業のセオリーを諭されたわけでもない。

 

ただ、子ども扱いせずに、対等に意見を聞かれた。 それだけだった。

でも、それで十分だった。

説教や教育では、たぶん志は生まれない。 対等に扱われた、仲間に入れてもらえたという体験。

そこにこそ、人を動かす力があるんだと思う。

 

■ 今、自分は聞く側にいる

今の自分を、その視点で見てみる。

アスクやTRANBIの社員と話すとき。 TRANBIで起業を志す若い人と接するとき。 長野や講演で出会う学生と話すとき。 そして、自分の息子や娘と向き合うとき。

 

自分は、「どう思う?」と聞く側に立っている。

 

その問いが、相手にどう届いているか。 普段はあまり意識してこなかったけれど、あの日の自分のように、何かが芽生える瞬間が、もしかしたらあるのかもしれない。

 

■ 親と先代から受け取ったもの

自分が今やっていることは、結局のところ、親や先代がしてくれたことを、もっと強いメッセージにして、より多くの人に渡そうとしている、その作業なんだと思う。

 

経営の素晴らしさ、楽しさ、面白さ。 それを、ちゃんと伝えられる存在になりたい。

ライフラインを見直すと、こんな景色まで降りてくる。 

やっぱりこの時間は、自分にとって必要な時間だなと思う。