旧日本百目での本種のページはココ

 

この日(2012年11月中旬)は早朝から高速に乗って熊本へ。目的は緑川水系のイチモンジタナゴ。

初めて訪れる場所だったので、分布しているはずの田園地帯の用水路にまずは行ってみた。

やはり時期的に水は少なく、なかなか魚影が見つからなかったが、しばらく探しながら歩いているとようやく少し深くなったポイントに魚がかたまっていた。

見るとギンブナらしき群に混じって小型でフナよりも色の薄い魚がいることがわかった。イチモンジの可能性はある。

8時頃から釣り始めた。仕掛けはたなご専用ウキにたなごバリ極小のウキ仕掛けで、シマノのホリデー小継の穂先5本に結んだ。エサはマルキューのヤマベチューブハエで始めた。

農道側からなるべく驚かさないように投入するが、なかなかアタリがない。そして時折あるアタリで釣れて来たのは全てイトモロコだった。

よく見ると田んぼ側の壁の下に隙間があってそこから魚が出入りしているので、少し水路に近づいて壁際ぎりぎりに流すが、それでもアタリがない。

エサを通販で買った赤虫に替えてみると、ギンブナが一尾釣れて来たが後が続かない。

そこで田んぼ側に移り、魚よりも下流から身を隠して頭だけ出して投入するようにした。まるで渓流釣りだ。

エサをヤマベチューブハエに戻し、何度も何度も同じ所を流すが、ほとんどアタリがない。そのうちこちらの姿が見えにくいせいか、あるいは水温が上がってきたためか、底でヒラ打ちが見られ始めた。イトモロコと思われる細長い姿が多いが、時折菱形のヒラもあるので、ここで粘ってみることにした。

そして赤虫に再び替え、底ベタで流すようにしたところ、アタリが増え、イトモロコとギンブナ数尾の後についにたなごが釣れて来た。

手元に寄せてくると、青い独特のストライプが目に映った。イチモンジだと確信し、「釣れたー!」と思わず叫んでいた。釣り始めてから二時間近く経っていた。

 

初めて釣ったイチモンジタナゴ。オスだろう。たなごというよりも体高の高いモツゴといった印象を持った。

 

この初物の写真を撮っているうちに雨が落ちてきたので、これで納竿とした。苦労したがちょうどオスが釣れてくれてよかった。

イチモンジタナゴは琵琶湖のコアユの移植に混じって熊本に定着し勢力を広げている国内移入種だが、琵琶湖では捕獲も飼育も禁止なほど減少しているという。皮肉な話だが、とりあえず琵琶湖へ行くことなくイチモンジを釣ることができたことを素直にうれしく思ったものだった。

これで九州に生息するアブラボテヤリタナゴカネヒラセボシタビラカゼトゲタナゴバラタナゴ、イチモンジタナゴの7種全てのたなごを釣ることができた。他にシロヒレタビラがわずかだがいるらしいが、これはセボシタビラと亜種同士の関係にあるので対象とはしなかった。これ以降は魚種に関係なくたなご釣りを大いに楽しもうと思ったものだった。

 

2016年1月に熊本の緑川水系で釣った人生二尾目のイチモンジタナゴ

2016年4月に岡山県内で釣れたイチモンジタナゴのオス (上) とメス (下)

2017年11月に福岡県内で釣れたイチモンジタナゴのオス

2018年9月に四国では初めて釣れたイチモンジタナゴ

 

イチモンジタナゴのハビタット

 

イチモンジタナゴの俯瞰

 

イチモンジタナゴの腹側

 

2021年4月上旬の熊本遠征で釣ったイチモンジタナゴたち

 

2021年秋の遠征で最後に寄り道した熊本で新規開拓したスポットから釣ったイチモンジタナゴ

 

2022年春の遠征の初日に熊本で前年と同じスポットで釣ったイチモンジタナゴ。そのうちの最も色の出ていた個体で、婚姻色たなご揃い踏みの写真を入れ替えた。

 

一年後には少し上流にハビタットが移っていた