「父親たちの星条旗」~戦場と祖国の想いの違い
アメリカから見た「硫黄島の戦い」。戦闘力も資金も圧倒的有利なアメリカ。のはずなのに、実は長引く戦況にアメリカ国民は嫌気がさし、資金も乏しくなってきていた。そこで、国旗を6人の兵士たちが支えあって掲げる感動的な写真を元に若者3人を、資金集めのキャンペーンに借り出し、各地で祭り上げることにした。しかし兵士は「英雄」という言葉に苦しめられる。その後の人生まで後々影響を与えたようだ。実際の戦場では「英雄」は存在しないのだ。日本兵はほとんど姿を見せないこの映画なのだが、色彩が灰色でモノクロとも思える映像、音響も響き壮絶な戦闘シーンと、帰国後の国民の熱狂ぶりを交差させながら映画は進む。この落差の激しさに、兵士の苦悩が見える。「まともな精神だ」と思った。友人たちを戦場で亡くし、自分の命さえ危うい戦争なのに国に帰れば自分の意思とはうらはら「英雄」。自分は生き残って、歓声を浴びてそれでいいのか・・という葛藤。普通の戦争映画とはちょっと違う。クリント・イーストウッドらしい映画だな、と思った。感動を与えるドラマティックな場面も抑えてあり、でもじわじわ伝わってくる。ただ、アメリカは勝利しているわけで、やはり苦悩と言っても日本人のそれとは比べようもない感じはするのだが。映画館はお年寄りも結構来ていて、どんな気持ちでこの映画を観ていたのか知りたいな、と思った。日本 戦死者20,129名(島民から徴用された軍属82名含む)。 アメリカ 戦死者6,821名、負傷者21,865名。 (ウィキペディアより)これが硫黄島の戦争の数字だ。映画はハリウッドらしく艦隊など日本の戦争ものと格段に違ってスケールが大きいのだが、実際はもっともっと飛行機も飛び交い、空爆、戦闘がすさまじいものだったと思う。エンドロールで実際の写真が次々と映し出されるのだが、私はこの写真を食い入るように見た。日本側の悲惨さを想像してしまった。次の日本から見た“硫黄島の戦い”「硫黄島からの手紙」、アメリカ人イーストウッドがどの視点で映画を撮るのだろうか。すごく、楽しみである。製作年度 2006年上映時間 132分監督 クリント・イーストウッド出演 ライアン・フィリップ 、ジェシー・ブラッドフォード 、アダム・ビーチ 、ジェイミー・ベル 、バリー・ペッパー 、ポール・ウォーカー