ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女(2012) | つぶやキネマ

つぶやキネマ

大好きな「映画」について「Twitter」風に
140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

テーマ:

★注意!!! 作品の内容に触れています★


ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女(2012)


 「サイコ」の大ヒットを受けて次回作「鳥」の準備を
進めていたアルフレッド・ヒッチコック(トビー・ジョー
ンズ)は、妻アルマ・レヴィル(イメルダ・スタウントン)
に言われてTVコマーシャルに出演していた金髪のモデル
を見る。緊張した面持ちで事務所に来たその金髪のモデ
ルのティッピ・ヘドレン(シエナ・ミラー)を一目見て気
に入ったヒッチコックは、彼女を主演に抜擢し7年の専
属契約を結ぶ。演技経験のないティッピ主演には脚本家
のエヴァン・ハンター(コンラッド・ケンプ)が難色を示
すが、ヒッチコックは自分が育ててみせると取り合わな
かった。ヒッチコックはティッピのスクリーン・テスト
や演技指導を繰り返す内に自身の秘めていた欲望を解放
し始め、ティッピは撮影が進むにつれて強まる求愛的行
動に戸惑いを覚えていたが、撮影現場に向かう車の中で
ヒッチコックに強引にキスをされ逃げ出し自宅へ戻って
しまう。アルマやヒッチコックのアシスタントのペギー
・ロバートソン(ペネロープ・ウィルトン)の助言を受け
撮影に復帰したティッピに対し、撮影中の事故にも謝罪
が無かったり故意に撮影方法を教えない等の過酷な扱い
にティッピは深刻な状態に陥るが、ヒッチコックは次に
製作する予定の「マーニー」の脚本を渡し主演に決まっ
た事を告げる。「鳥」の大ヒットで一躍スター女優とな
ったティッピに対しヒッチコックの執着は強まり、これ
までとは違う夫の行動にアルマも疑念を抱くようになる
...というお話。ドナルド・スポトーの「Spellbound by
Beauty: Alfred Hitchcock and His Leading Ladies」
を原作にしたTVムービーで、アンソニー・ホプキンスの
「ヒッチコック(2012)」に便乗したような作品でありま
す(注1)。巨匠を貶める目的で書かれたとしか思えないド
ナルド・スポトーの原作はそもそも評判が悪く、事実と
は違う噂話やティッピ・ヘドレンの発言を面白可笑しく
歪曲してヒッチコックを異常者のように描いていて、本
作でもそういう部分ばかりが強調されていて気分が悪く
なります。ヒッチコックの異常な行動や言動、性的コン
プレックス、アルマの家出等を詳細に描いているのに対
し、ティッピ・ヘドレンは異常者に最後まで抵抗し負け
なかったヒロインとして描かれ、私生活にはあまり踏み
込んでいないのも不自然な感じ...ティッピ・ヘドレンに
は気を使い故人には冷たいというあたりがネェ。映像的
に凝った場面も多くて撮影の舞台裏を再現した映像はナ
カナカ面白かったし、俳優さんたちも熱演していて素敵
なのだが、ゴシップ好きしか楽しめないような描写が多
くてウンザリしてしまう(注2)。ヒッチコックは、なかな
か本心を明かさない上に強烈な皮肉屋でブラック・ジョ
ークや下品な小咄が大好き、ごく平凡に人生を送って来
た人たちには理解出来ない所があったのは事実。そうい
う事から奇人・変人と思われる事が多かったし、インタ
ビューや対談でも刺激的な噺を披露してインタビュアー
が吃驚するのを喜んでいたとも言われている...ヒッチコ
ックの家族やホントの友人たちもそれを笑ってみていた
ようだしね。という事で、要するに本作は「ネタにマジ
突っ込みをしてるアホなジャーナリスト」が書いたよう
な話なのであります。


●スタッフ
監督:ジュリアン・ジャロルド
製作:アマンダ・ジェンクス
製作総指揮:リアン・クライン
原作:ドナルド・スポトー
脚本:グウィネス・ヒューズ
撮影:ジョン・パルデュー
音楽:フィリップ・ミラー


●キャスト
トビー・ジョーンズ、シエナ・ミラー、
イメルダ・スタウントン、コンラッド・ケンプ、
ペネロープ・ウィルトン、ケイト・ティリー


◎注1; 原作者のドナルド・スポトーは、俳優や監督等
のゴシップ的伝記で財を成した作家で、映画人に対す
る愛情が感じられない作品ばかりなので熱心な映画フ
ァンには評判が悪い。本作ではヒッチコックの特殊な
性癖のような表現になっているが、好みの女優をキャ
スティングして何とかしようと考えるのは、昔のハリ
ウッドのプロデューサーや監督としては特に珍しい事
ではないし、女優の方も役を得るためにプロデューサ
ーや監督を誘惑する事は日常茶飯事だった。特に本作
でも肖像写真や名前が登場するグレース・ケリーの人
気は凄く、ヒッチコック以外にもメロメロだった巨匠
が沢山いる...そういう監督の方が女優さんたちを綺麗
に撮ったりもするんだよね。

◎注2; ティッピ・ヘドレンが電話ボックスで鳥の襲撃
を受けるシーンの撮影の再現はウソっぽかったけど、屋
根裏で鳥に教われるシーンはオリジナルのフィルムを使
ったのかと思えるほど良く出来ていて感心してしまう。
全体的にカメラワークも良くて素敵な画面が沢山出て来
ますが、とにかくストーリーがどうしようもないので勿
体ない感じ。ヒッチコックを演じたトビー・ジョーンズ
は、顔や体型があまり似ていなくて残念だが、声の出し
方や喋り方はかなり研究したようで声だけ聞いていると
ヒッチ先生御本人の顔が浮かんできます。それに対して、
妻のアルマ・レヴィルを演じたイメルダ・スタウントン
は笑っちゃうほど御本人そっくりで、ほんの少ししか残
っていない御本人の映像と見比べても遜色が無いぐらい
で吃驚であります...あまりの成りきりぶりに「ハリー・
ポッター・シリーズ」のドローレス・アンブリッジ先生
だった事に気がつかなかったぐらい。ティッピ・ヘドレ
ンを演じたシエナ・ミラーは、クールでちょっと冷たい
感じだった御本人とは顔立ちも雰囲気も違うし演技的に
もかなり違和感があったのだが、実質的な主役という事
でほぼ出ずっぱりだし、とにかく可愛かったからこれで
いいのだ。全編通して魅力的に撮られているので彼女の
ファンは必見だと思いますね...「G.I.ジョー(2009)」
バロネス役をまたやってくれんかねぇ。ティッピ・ヘド
レンのアシスタントのリタ・リッグスを演じたケイト・
ティリーがナカナカ可愛く雰囲気も良かったので調べて
みたら、出演作はまだ少ないようでポール・ウォーカー
の「逃走車(2013)」等に小さな役出てているようなので、
今度チェックしてみよう。


PS: 以下のサイトも運営しています、よろしかったらどうぞ。


★ 漫画を中心とした同人サイト

「日刊...かもしれないかわら版」

http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/index.html


★伝説の漫画誌「COM」についてのサイト

「ぐら・こん」ホームページ

http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/home/gracom/g_home.html

★「ぐら・こん」掲示板

http://gracom.bbs.fc2.com/


★Facebook「Teruhiko Saitoh」

https://www.facebook.com/#!/teruhiko.saitoh.3