概要
「法務省法制審議会」と「民間法制審議会」が目指すものでは、方針が異なっている。誰のための法制度の設計なのか明らかである。法務省側では、いくつも利権団体に絡むところが関与しており、このままの立法趣旨としては、世界標準のファミリー構造とは大きくかけ離れ、世界に30~40年も周回遅れとなるペースで進んでいる。これでは家族を持つことに対して悲観的な想いにも駆られるし、少子化が進んで貧困となっていくようなことが起こりえるだろう。だからこそ法設計をきちんと学び、国民として民意が通るように心がけていかなければならないと思う。本ページでは、「法務省法制審議会」と「民間法制審議会」を比較し、解説する。
各案の解説
▼民間法制審議会(家族法制部会)の解説
●概要
家族法の民法改正にあたって、子の福祉に関する部分を明文化しており、裁判官の自由裁量によって不当な判断にならないような前例主義になることを防止することが盛り込まれている。
●詳細
☑子どもを育てたくないような育児放棄の状態であるならば、きちんと親権停止という手段を図ることができるし、共同監護計画によって子どものために話し合いをするという姿勢をすることが推奨されている。これは子の利益に沿う形そのものであり、この監護計画が成り立っていないのに子を引き離し、貧困生活を招くというのであれば、子どもへの虐待ともいえる。
☑現代では離婚というハードルが下がり、新たな交際相手との生活を優先したいがために、離婚を選択する家庭も増えてきており、また交際相手から子どもへの虐待をするというケースが非常に多く、今日でも各種メディアで報道がなされている。このような背景から虐待を防止するために別居親が子どもへの結びつきを強くすることを規定した改正が明文化されている。
☑本来であれば、親が子を養育するのは義務であるし、親権を失うのであれば、子どもにとって「見捨てられたのではないか」という心理的な苦痛を伴うものである。心理的なケアのためにも親子の結びつきを公的機関がサポートしていくべきところである。共同監護計画を立てるということは、子の利益をもっとも大事な視点として考慮すべき事案だし、民法766条にも規定されているとおり、「父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める」となされているのだから、協議せずに別居して単独親権を得るという現行の司法運用こそ、制度上の欠陥がある。
☑実際の家庭裁判所では、前置調停で協議が正しく行われているわけでもなく、あえて葛藤があるように見せることができれば、早期離婚や親子交流の頻度低下として裁判所が認めるという傾向にあることから、別居あるいは離婚時に共同監護計画を作ることが望まれる。
☑双方が合意した共同監護計画に大幅な履行をしないとなれば、監護の侵害にもなりうるだろうし、離婚成立として判断すべきではない。また既に不当な離婚が成立しており、未成年者の親権が喪失している親に対しての救済措置について明言している。
▼メンバー
[部会長(座長)]
弁護士 北 村 晴 男
[委員]
長崎大学准教授 池 谷 和 子
臨床心理士 石 垣 秀 之
ボローニャ大学教授・ カテリーナ パシーニ
イタリア弁護士
国際刑事裁判所顧問・ ジェシカ フィネル
フランス弁護士
オーストラリア弁護士 ステファン ペイジ
麗澤大学客員教授・ 高 橋 史 朗
元埼玉県教育委員⾧
イタリア弁護士 フェデリカ バロ
元フランス人権大使・ フランソワ ジムレイ
元欧州議会議員・フランス弁護士
(メンバーに関する出典)
https://chubu-kyoudousinken.com/swfu/d/6.beshi2_20220531.pdf
※共同監護という言葉は、個人的な感想だが、「共同分担責任」というフランスですでに採用されている単語に置き換えられてもよいかもしれない。
法務省(法制審議会家族法制部会)の解説
●概要
法務省案としては、子の監護に要する費用(養育費)に関することが細かく記載されるだけにとどまり、親子交流の在り方については家庭裁判所がどのように子の利益の基準として判断されるかどうかは定かでないし、実質的な監護部分(日常的な子どもを世話をするという部分)はまったく別居親が関われないことを法体系化するような議論に集中している。
●詳細
☑子どもが二人の親から愛されたいという視点における議論になっておらず、ただ単に先に連れ去って監護実績を作るほうが有利となるという実子誘拐(連れ去り)を助長するに過ぎず、同居親および別居親が等しく保護者の地位をもって子育てに関わることに目を向けたものではない。
☑親子交流を促すことができるというものであって、不当な親子断絶に対して回復を命ずるものではないから、現状の運用とほぼ変わらないという実態にあり、意識的なレベルで親子のつながりを大事にしようという気持ちが働く程度ではないかという懸念がある。
☑既に離婚後である場合や、父母が相反するときには共同親権にならないという大事な部分の定義が欠けているに過ぎない。
☑連れ去りのインセンティブが残ったままとなっており、利権団体の収益に忖度した案となっている。
☑具体的な条文改正に関する提案はなく、立法として不明確である。また透明性のある審議が必要であるにもかかわらず、公表することが立法反対の勢力を受けるという建付けとなっており、秘密裡となっているが、そもそも不当な介入があるのであれば、その内容を明瞭化して国民のために審議を図る進行とすべきである。
▼法制審議会の資料
☑『監護及び教育に関する日常の行為』は、保護者として同等の認定地位が明確ではない。親から愛される子育てのため規律化が定められていない。すなわち法務省案については、親権者と監護(実質の監護権)における分権状態となり、片親のみの子育てが優先されることになる。
☑教育的な子育ては、別居監護であっても単身赴任のようにリモート的な働きかけができるはずで、時代錯誤がなされるべきである。しかしこれを妨げる立法になりうるため、先行き不透明である。
☑教育的な関与というのは、同居親優先権となることが案として挙げらる。双方が妨げられず教育に関われるこが正しく記載されるべき。保護者としての権利排除となっていては、ますますの不都合が生じることになる。
☑親子が離れて住むときに、親子関係性を良好にするような親子交流(面会交流)に関する取り決めや着実な実施については、ほとんど変更がない。つまり根本的な改善には至っていない。
☑祖父母や親族において、孫(子)に会いたいならば、父母が協議できない特殊な状況下においてしか司法手続きができない。法の下の平等に照らし合わせれば、通常において祖父母交流が申立できない判例を更に身動きが取れなくなったという条文解釈になるといえよう。
☑従前の契約時効として父母双方が署名した民間の保育園や幼稚園、習い事の契約については継続性の観点から、直ちには取り消せないとも読み取れる。他方で、教育に関わる民法818条の実効性が強いとされた場合には、民法754条の変更について意義がないような立法案ではないかと思う。
☑離婚後単独親権状態で、婚姻中共同親権に戻したいときには、裁判所において親権者変更の手続きにより、子の利益を害さないならば、親権の行使ができる状態となりうる。しかし、原則論として定めがなければ、主張が煩雑化して実務的には虚偽主張や事件数が増えてしまう。だからこそ、例外を除いて共同親権が決まるように明文化が必要なのである。
【外部サイトYouTube】
多少時間が長い動画かもしれないが、的を射る内容である。
▼共同親権について賛成します
↑引用元
▼分かりやすい比較
↑引用元
▼報道令和6年3月
↑引用元