学術的論文の観点から親子問題を紐解く | 子の連れ去り被害に遭わないために。親子断絶防止(共同養育)するために。

子の連れ去り被害に遭わないために。親子断絶防止(共同養育)するために。

有責配偶者による子どもの連れ去りを防止。また親子断絶にならないように法律を学び、より良い世の中に変えていく。共同親権、共同監護、共同養育を大切に。子にとって親という存在は一番の宝物。ツイッター(@hanabizone)でも情報発信中。

【概要】

学術的論文の観点から親子問題(家族問題を含む)を紐解いていく。「社会分野」、「教育分野」、「法律分野」、「医療分野」などの要素から横並びのつながりを意識し、より良い生活の実態を考える。書籍や論文などの文献調査を参照して考察を纏めていく。※本ページのリンク先は、パソコン(ブラウザ)ではないと上手く閲覧できない場合があります。

 

【内容】

▼発達心理学の観点

本参考文献によれば、兄弟の状況によっては、それに伴って他の兄弟が受ける心理状況の変化が報告されている。兄弟によって年齢が違うため、子どもにとっては家族問題に対する認識度が違うことが予想される。親の紛争を子に伝えるときには、その兄弟の年齢差を意識した伝え方を行い、段階的な心理ケアがなされるほうよいため、心身ともに記録していくことがポイントとなる。もし子どものうち一人でも、引きこもりのような状況に落ち込むことになって周りへ攻撃的な形となってしまうと、その周りの兄弟ともに疲弊してしまう。一時的に距離を置くということがなされたほうがよいということもある。だがその意思決定には、親の意向と家族状況というものをしっかり見極めなければならない。その判断としては、親だけではなく親戚としての関わりも重要な要素である。親戚間の関係性が疎状態ではないことが健全性となる。複数の立場の人からアドバイスを受けるということが大切であるからだ。一般的に引きこもってしまう子どもにとっては、自己肯定感が失われていることが多いので、なるべく否定しないように接していくことが親の意識として大切である。もちろん回復プロセスを迅速に行っていく。

 

 

↑(上記の参考文献:発達心理学研究2016年第27巻第1号「ひきこもり青年のきょうだいが家族から自立していく過程:自律を援助するおよび社会文化的影響」より)

 

本参考文献によれば、別居(or離婚)に伴う子の葛藤する状況について調査結果が示されている。同居親が子に対して別居親へネガティブな発言をしていくことで、子の発達とともに別居親と交流が無くなっていく。一方、同居親に対しては、それについてネガティブな感情を抱くことや回避したりする。またこの場合、同居親に対して温かさを感じず息苦しさを感じることがあり、逆に別居親に対してポジティブな感情が期待となって表れていく様相もある。(おそらく別居前における育児への関わり方によってケースが分かれるところだと思う。)

 

▼法律分野(憲法学)の観点

本参考文献によれば、子の福祉について述べられており、ドイツでは1997年に法改正がなされ、単に離婚というだけではなく親としての関わりとして考えると、一親によって他方親を一律で排除することができないという見方となった。親権というもの自体が、子の福祉に叶うものとして育成の観点から諸科学の見地も必要であることを指摘している。

 

本参考文献によれば、各国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務報告書として纏められている。

 

 

本参考文献によれば、ドイツでは、子の福祉の指導理念からの親の配慮として1979年に親権制度が見直されてきた。その後、1997年に親子法改正、2009年に家事事件に関する改正により、実態と手続きの観点から福祉に適う法体系を確立している。ドイツ法では、子独自における判断で面会交流(親子交流)が決められる第1684条1項がある。

 

本参考文献によれば、子は父母双方により監護・養育を受ける権利をもつことを出発点として考えることに焦点を当てていく。海外の例では、離婚前は弁護士の法律外の観点から子の利益を考える視点の機会がある。オーストラリアでは、情報提供だけではなく教育的なカウンセリングやメンタルヘルス対応も含めた設置機関があり、このなかで法律相談が行われている。ワンストップサービス(裁判外の話し合いからスタート)させる事例がある。何かの家庭問題が起きたときに、まず夫婦でカウンセリングを受けに行くということが体制として整っている。日本の構造のように法による突然のジャッジではなく、改善するというプロセスが先になされるという観点は、とても見習うところがある。

 

本参考文献によれば、台湾では面会交流に費用がかからずに会えるということが実践されている。共同親権を導入しているが、単独親権もあり、男女比の割合がほぼ同等である。

 

↑(上記の参考文献:社会関係研究第24巻第2号2019年3月「離別後の親権についての日台比較研究②」より)

 

本参考文献によれば、面会ができないことにより、別居親が経験した価値や考え方を、子が知ることができないということが例として記載されている。子のアイデンティティを確立するためには、現状の面会交流の条件や面会交流頻度では不足しているのではないかということが記されている。面会交流の安全性を考えるのであれば、段階的な面会交流の条件にすべきところである。親子関係に問題がなければ頻回の面会交流とし、若干の問題があれば立ち合いなどの面会交流、事実として著しく問題があった場合には面会交流制限というようにケース分けすることが提言されている。

 

本参考文献によれば、面会交流の起源は、昭和39年の審判とされている。離婚調停で親権者となった父親に対して、原審では月1回の面接交渉(面会交流、親子交流)を認めたもので、これが初めての判例となっている。ただし、後に抗告審では棄却している。実際、月1回の面会交流が最も多いとされているのは、この判例によって前置主義として定まっているだけであり、個々のケースにおいて養育に必要とされる親子交流の頻度を満足するものではない。

 

本参考文献によれば、「子の年齢により異なるとは思うが、もっとも大切なことは子の利益に真に貢献できる父母の一方が親権者として適切であるということである。819条1項と766条1項と並列的に規律した条文体系であっても、子の利益を最優先させた工夫が内在する以上、条文の趣旨を生かして解釈すべきである」とある。子の利益という解釈が曖昧であり、また正当な評価がなされないまま単独親権になったと思われる。共同親権は、子供が主役である法として捉えることができるような姿であってほしい。

 

▼教育学の観点

本参考文献によれば、祖父母の協力によって父母の子育てが安定するということであれば、子にとってよいという状況を生み出すことが述べられている。また祖父母の時代の遊び方も知ることができるというメリットもある。一方で、祖父母の依存型になってしまうと、甘やかし(自由にさせること)が、我がままな性格を助長させるような養育にもなることも懸念事項として挙がっている。先読みするのであれば、監護補助者がメインの子育てになってしまったときに、相対的に父母の養育時間が減るということであれば、4,5歳程度において思い通りにならないときに癇癪を起こす傾向が強くなるとされる。これは、何か思い通りいかなくなったときに、自分の意見や気持ちを伝えるという機会が減り、自己表現を妨げる要因にもつながるというようなケースもあると思われる。

 

本参考文献によれば、親の教育に関する責任(意識や考え方)と子どもに対する成長について統計的に調査された内容となっている。双方の親が養育できるようになれば、子の成長が安定する相関傾向になっている。すなわち1か0か思考ではなく、バランスのよい形で養育ができるような計画を作っていくことが最も大切ではないかと考えることができる。これはファイナンシャルプランナーの資格とよくマッチするのではないか。どのように育てたいかという観点から長期の計画を立てることに意義があるように思える。

 

本参考文献によれば、子どもの気持ちを優先するほうが、自己否定感は低くなる。親の意向を優先すれば、学習面の統制は図れることもあるが、幸福感がないことが示された。子どもの利益とは、子どもの気持ちに寄り添うことであるといえよう。

 

本参考文献によれば、別居と離婚に伴う影響について同性親との考えに対する影響度合いも大きいと数値が出ている。同性ならではの目線が子育てと関わる影響もあるのではないかと思う。

 

 

 

▼発達教育学の観点

本参考文献によれば、自己肯定感の低さから子の引きこもりを起こすことの一つにもなっており、「他者からの過敏性」や「自己否定・不全感」、「孤立傾向」にあると指摘している。これを防ぐための根本としては、サポーターとして養育する環境を極力維持し、子の自己肯定感を上げることが大切である。子の生活状況が分かれば、良いところを褒めるということを続けていくとよいと考える。

 

本参考文献によれば、父親の関わりが児童期の社会に及ぼす影響が示されている。子どもへの積極的なコミュニケーションを図る姿勢そのものが、子どもの社会性に及ぼす影響があると述べられている。おそらくこれは性別によらず、親として子へ関わる意欲や関心の高さから、子の人格形成にもたらす効果ともいえるのではないだろうか。

 

 

▼心理学(教育)の観点

本参考文献によれば、中国では孫が小さい時に父母が働かざるえないから、祖父母が育児を行うことがある。そのときに祖父母と父母の対立があれば、特に母の心情が子に与える影響が大きいとされている。世代間の育児方針の不一致によって、子の生活の満足状況が低下することが記述されている。この文献を掘り下げるのであれば、監護補助者が大きな助けができるということだけでは、現状の日本の司法判断としては監護の適性を総合的に判断するときに勘案されるべきことではないだろうか。

 

▼心理学(臨床)の観点

本参考文献によれば、離婚が子どもに影響を及ぼすものとして、両親の離婚後の関係性についても触れており、不仲であることによって不安を引き起こす影響が論述されている。これを少しでも緩和させるための取り組みとして、事前にケアプログラムが必要ではないかということが提唱されている。事前に取り決めがなされないことによる離婚手続きがなされることで、それがその先のパートナーシップを図ることに対して高葛藤になっている部分もあるように感じる。

 

●大正大学の論文によれば、以下の調査報告がある。、同居親が、他方親のことを悪く言う片親疎外という症状について触れられている。APA(アメリカ精神医学会)では、診断基準が存在しないものの、「両親の不和に影響される児童」「親子関係の問題」「児童への心理的虐待」に当てはまるのではないかとされている。興味深いのは、2022年に実施された面会交流(親子交流)の実施有無であり、祖父母の実施率も記載されている。また子の監護に関する費用の按分及び親子交流がなされたほうが、子の就業状況が良いということを示している。

 

▼保健医療の観点

本参考文献によれば、別居してしまうと仕事面での影響に出ることも記載されている。昇進をあきらめて司法対応に追われたり、休職するケースが見受けられる。また別居親と子どもの関係性が良好であることに危機感を抱いた同居親やその実家が面会交流を妨害し、こどもとの関係性を崩すこともある。こうした中で、婚姻中でも納得できる面会交流(親子交流)ができていれば、離婚を決めるという場合もあるし、他方で、親子関係が盛んでない場合については、離婚をしないという意思表示をする別居親もいる。いずれにせよ、生活環境のケアできるような法改正が継続的に求められることになるだろう。

 

●大正大学の論文によれば、以下の調査報告がある。

次に別居親と子どもについて居住地まで移動が1時間以上かかるケースが5割であることが分かる。

 

またコロナ禍における場所の制限があったが、緊急事態宣言解除後は緩和されていると推測する。交流方法は、外食、自宅、商業施設、公園が多い。

 

 

▼現代社会の観点

本参考文献によれば、奈良時代には、祖父母も含む親権という見方があった。現行法の制定は、1947年である。そもそも親権というのは、子供のためにあるものと帰属する考え方から「親の権利」ではないのではないかという議論があった。つまり監護権そのものが子育てをするという権利として尊重されるべきではなかったのだろうかということが背景にあったと思われる。

 

本参考文献によれば、未婚、離婚(死別を含む)、婚姻中、というカテゴリでみたときに、離婚経験者の自殺に対する肯定感が強いことが窺える。心理的なケアプログラムが必要である。

 

▼海外文献の観点

本参考文献によれば、ストックホルム大学のスウェーデンにおける164580人を調査対象にしたところ、ひとり親よりも別居後に双方ともに育て上げたほうが健康状態が良好であるというを結論付けた。15歳よりも12歳のほうが思春期前であるケースもあることから、その親同士の関係性が及ぼすスコアが高いということが述べられている。このように日本でも子に対してどのような心理的な影響があるのかということを深く学術的なリサーチがなされるとよいと考える。

 

▼医学文献の観点

本参考文献によれば、親子の関わりとしてオキシトシンのホルモンが関わっていることが説明されている。親が不安定であるときには、保育を活用して虐待を少しでも減らせるようなアプローチも考えられる。

 

▼未分類の学術研究

本参考文献によれば、「親用片親疎外尺度(PASPJ)の作成と信頼性」として、海外文献の類推ではなく日本での実態が調査された。この結果、因子の関係性が明確になった。別の視点だが、別居親との交流頻度が記載されている。これが現状なのだろう。

 

 

▼家族関係に関する研究のある大学機関の例

大正大学、玉川大学、東京大学、立命館大学、白梅学園大学、東京都立大学、杏林大学、神戸女子大学、立教大学、東京国際大学、駒沢大学、静岡大学、東北大学、名古屋大学、早稲田大学、常葉大学、その他多数

 

日本の科学研究費助成事業のデータベースで、大学機関も調査することができます。

●直リンク①(外部サイト)

●直リンク②(外部サイト)

 

●国内外の文献調査のまとめ(海外サイト)

 

●論文紹介 スペインのEPT法の影響(外部サイト)

 

●早稲田大学における論文(外部サイト)

 

●CORE(論文検索サイト:共同親権)

 

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