子どもの連れ去りの実態と統計的な分析 | 子の連れ去り被害に遭わないために。親子断絶防止(共同養育)するために。

子の連れ去り被害に遭わないために。親子断絶防止(共同養育)するために。

有責配偶者による子どもの連れ去りを防止。また親子断絶にならないように法律を学び、より良い世の中に変えていく。共同親権、共同監護、共同養育を大切に。子にとって親という存在は一番の宝物。ツイッター(@hanabizone)でも情報発信中。

【概要】

子どもの連れ去りが起きている現状としては、多くの連れ去り被害があります。その根拠として説明するために、まずは別居親から多くの人へアンケートを実施しました。二重投稿を防ぐために匿名におけるSurvey Monkeyのシステムを使って調査しました。別居親側からの視点として、どのような傾向になのかということを纏めていきます。

 

【調査手法】

●調査期間:2022.7.28~2022.8.14

●調査方法:匿名アンケート(Survey Monkey)

●調査告知:別居親(当事者)同士でのアンケート依頼、SNS、団体など

●重複回答防止:Survey Monkeyのシステムによる

 (不正操作の防止の観点から、ここでは説明を省略する)

●設問数:10問

 

【調査リンク】

●10問の統計調査(別居親用)に回答(期間終了)

 

【統計学上の信頼性】

●1億2484万人[令和4年7月]なのでざっくり、母集団が1億2500万人いるとしましょう。

●その母集団するにあたって、標本誤差(アンケート回答した割合の誤差)を7%とします。

●その母集団を推定するにあたって、97%は推定自体が確からしいとします。なお一般的に優位水準は5%(設定した仮説が間違っていると判断する確率、つまり仮説を棄却する可能性の割合)ですので信頼性は95%でもよいです。マーケティング手法におけるざっくりアンケートは90%でも成り立ちます。

●回答比率は、事前に分かっている場合に設定します。ここでは未知という情報なので50%を採用します。

●その母集団を推定するにあたって必要な統計人数は241人となります。

●したがって別居親からみたときのアンケートとしては、別居親数が不明ですが、明らかに「日本の人口数>別居親数」ですので統計学上の根拠があると考えてよいはずです。

 


●統計の参考文献(外部サイト)

 

 

【調査結果】

●2022.8.14時点の回答結果を以下に示す。

●参加者数:247名

 

↑連れ去りは、自宅から連れ去られたケースが7割程度でした。

 

↑別居時は、「子どもが状況を理解していない」「子どもが不安・辛そうである」の回答が約8割でした。

 

↑別居後、子どもの気持ちが離れているように感じる方々は、6割程度でした。

(上記に該当しない条件としては全く会えていない人の数字を含みます。)

 

↑別居親が一番相談できた人は、家族のようです。

 

↑別居親が抱える一番辛い心身状況としては、不眠が多いようです。

 

↑警察署等に伝えた方は、合わせて57%のようです。その警察へコンタクトを図った後の割合をみていきます。進行中の方もいるかと思いますが、告訴(事件)までたどり着いた人は9.2%です。つまり民事不介入としての対応が多いような印象を受けます。つまり、刑法としては捜査されるかどうかまで到底、実態確認はなされないということが多い印象です。現時点ではそのような状況ですが、今後の法の運用解釈によって推移していくかどうかは気になる点です。

 

参考ですが、一般的な事件処分の起訴率を以下に示します。民事不介入の色が強いような気がします。

 

●引用元:横浜

 

●引用元:さいたま

 

↑別居親としては、同居親もしくは別居親からの法的な手続きにて何らかの司法手続きが約9割あるという状況です。決して司法手続きが少ないというわけではなさそうです。

 

↑配偶者による支援措置を受けた人は、それなりに多いようです。

 

↑面会交流ができるようになるまで、それなりに時間を要していることが多く、また会えていない人もいるようです。(※3か月~6か月に該当する方の選択肢がないため、一部の方が上記に該当しないとしています。回答の選択肢が一部不手際であったことをお詫び申し上げます)

 

↑別居親としては、ほとんどの方が共同親権を賛成しています。その割合は94.3%でした。シンプルな傾向だと思います。
 
【スコア分析】
ここで247名分の傾向分析を行います。相関関係としての強さを求めることはできませんが、点数付けをすることによって傾向を見極めることができます。
 
↑全体数の把握によると、別居後、一番初めに会えていない期間が長くなるにつれて、子どもが不安になっているのではないかという傾向になりました。
 
 
↑全体的に別居がもたらすのは、別居親と子どもの心理が遠ざかる負の傾向にありますが、会えていない期間が長いほど、引き離されたという傾向がみえてきます。※会えていないというのを更にベクトルの大きさを取ると、さらに相関関係が大きくなるものと思われます。
 
↑会えていない期間が長いほど、警察に相談している傾向です。これは民事訴訟法による解決ができないから刑事訴訟法としても方向を探っているような傾向という仮説を立てています。※仮説の立証には、更なるアンケート実施が必要です。
 
↑別居親と子どもの心理的な距離は、警察に相談していないほうが良いという傾向になりました。仮説としては、警察の介入により、子どもへ与える心理的な負荷が高くなると思えます。※仮説の立証には、更なるアンケート実施が必要です。
 

 

【共同親権が望まれている割合の計算】

●①別居親からみたときの共同親権が望まれる割合は、94.3%です。その他(選択制を含む)を5.7%とします。

●②同居親からみたときの共同親権が望まれない割合(単独親権が望ましい割合)は、60.8%です。その他を39.2%とします。この数値は、本ページの下部にある【参考】のデータを参照しています。

●その他には、共同親権か単独親権かどうかの標本数が少なかったり、意見が定まらなかったりしている数が含まれていますので、このまま誤差を含んだ統計とさせてください。

●ここで死別を除き、別居親数と同居親数は、同数いるものと考えます。50:50の割合で正規化するのが妥当性があるといえます。①②を正規化してみましょう。同数比ということは0.5を乗算して双方を加算することになりますね。

●ここで①の選択制も単独親権が望ましいとして一括りにすると、正規化すると「共同親権が望ましい77.5%」、「単独親権が望ましい22.5%」ということになります。

●もともと共同親権導入はテレビ放送で視聴者投票がございました。共同親権導入(選択制を含む)賛成は72%、反対13%、どちらともいえない15%です。これをどちらとも言えないを除いて、正規化すると「共同親権が望ましい(選択制を含む)84.7%」、「単独親権が望ましい15.3%」ということになります。

●なぜこのようなシンプルな質問に対してばらつきが出てしまうのでしょうか。それは容易に推測できます。シングルマザー関係の団体のアンケートの結果について、「共同親権の選択制を含む」ということがその他の割合に入ってしまったからといえそうです。正しい実態の統計がなされるべきだと思います。共同親権が望ましい77.5%/84.7%の比で考えると9.5%のずれがあります。これは、標本誤差7%を最初に定義したわけですから、これを外れる割合は3%です。つまりたまたまなのかもしれませんが、その割合でアンケートの誤差がでます。

日本は、民主主義の国ですから多数決の民意に基づきます。いずれの正規化した計算でも、「共同親権(様々な形を含む)>単独親権」という構造になるわけですから、さらにきちんとした調査に基づいて論理的に法制審議会で議論されるためには、今後もう少しきちんとした国の統計が取られるべきだと感じます。そもそも民間に任せてそれぞれが統計が取るわけではなく、裁判所を利用した当事者にアンケートを通して正しく統計が取られるべきではないでしょうか。

 

 

【参考】

●法制審議会に提出されたシングルマザーサポートのアンケートも分析します。なお離婚後のシングルママ・パパが標本のようです。URLを2点ご紹介します。懸念事項(疑義点)も解説します。

 

▼1点目

https://www.moj.go.jp/content/001378053.pdf

 

※懸念事項

→司法統計に比べて協議離婚の割合が少ない。葛藤が多い親がアンケートに多く参加しているのではないか。

→別居したことにより、年収が下がるとする調査は無いのか。

→別居した側の有責配偶者という項目がないのはなぜか。

→親子関係と夫婦関係と問題が別になっているが、単独親権制度により、一定数の子どもが巻き込まれて離婚していることが明らかではないか。

→面会交流が行われていない理由として、「相手方が言ってこない」の選択肢があるが、そもそも「同居親が提案した or しない」の2択の設問がないのは何故か。

→子どもを連れ去って出たのが54%もあり、監護権を取得するための実力行使があるといえるのではないか。同居中から調停するべきではないか。

→2022年5月の養育費の支払われていないのが58.2%、全く支払いがないのが36.2%とあり、この差については支払い義務が完了した方もいるのではないか。会わせたくないから養育費をもらわなかった方も多くいるが、そのような設問の選択肢がないのは何故か。

⇒養育費をもらわなかった人は、司法手続きを行っているのかどうかは明確になっていない。

→医療・教育などの認知の観点から、共同親権を選択したくない、どちらかというと選択したくないという方を足し合わせると81.2%である。これは共同親権というよりは、共同監護させたくないということではないか。

→子の認知の観点から、共同親権を60.8%の方が否定的である。この理由について詳しく知りたい。 

 

▼2点目

https://www.moj.go.jp/content/001377911.pdf

 

※懸念事項

→有責配偶者による連れ去りついては一切触れられていない。

→子の安心・安全の確保の点については述べられているが、同居親の監護の問題点については懸念性が触れられていない。同居状態における虐待の有無について統計をきちんと取るべきである。

 

【別居親のアンケート(親子ネット様)】

●法制審議会第18回(参考資料)

⇒養育費を払う義務はあるのに、子に会える義務がないため、切り離されているケースもある。

 

 

【統計で大切なこと】

諸外国の文献に比べて、日本はそもそも子供に対してどのような心理的な影響があるのかということを深く調査が行われていないような気がします。同居親もしくは別居親に関するデータしか調査対象に目を向けられていないような気がします。子ども視点から「家族をどのように考えているのか」、「学習意欲としてはどのようになっているのか」、「社会生活に向けては充実した生活が送られているのか」などといった相関関係を導出するための調査があってしかるべきではないでしょうか。

 

【他の統計】

引用元

 

●離婚や別居に伴う「別居親」の実態(外部サイト)

 

●別居に伴い生じる各当事者の心理的影響(片親疎外感など)

 

●日本の司法統計をきちんと読む

 

●ブログのTOPページへ戻る

 

●免責事項