概要
令和6年2月19日、予定より一週間遅れで、自民党は、民法改正案を了承した。本内容は、法務省で法制審議会に諮問された内容であり、自民党の5つの提言が条文としてきちんと反映されることがほぼなく、スピード承認された。まるで調整済であったかよのような速さだった。明文化されないとなれば、あとは運用解釈によって行政・司法に望みを託すほかない。(あとは審議会や総会の承認もあるが、実質的には、これまでそこが修正に関わることは殆どない)
法案によれば、以下のような大きく四つの懸念事項があり、法案修正の余地があるし、また段階的な次の法改正を直ちに行うべきではないかと予見されるような内容であった。
①同居親優先の監護が前提となっており、親権<監護権という構図から、監護者次第によって親権の行使の意向も妨げられることを危惧する。民法第308条「子の監護費用の先取特権」においては、扶助も監護の一部であることからすると、監護者の定義を本来見直して、子の養育に関する共同的な履行ができるように法の定めをなすべきである。もし「先取特権」があるとすれば、子育て(監護)の先取りとして触れ合う存在(教育的関わり)もすぐにできないと、協力義務として子育てにつながらないし、親としても子の育児を放棄してはならないはずである。
②一度、親権の審判になると取り下げが任意ではできなくなり、当事者双方(父母)の話し合いによる自己解決性が硬直化することを懸念する。
③「他の一方が親権を行うことができないとき」というのは、本来、危篤状態など致し方がない場合を想定している。しかし父母が片方の意思によって意図的に協議もしないということで、(2)の類推適用をしようとした家庭裁判所の経緯があることから、これでは同居監護の優先原則性が成り立つため、親権ではなく子の監護権を巡っては実子誘拐(子どもの連れ去り)が無くならないという可能性を有する。そういう意味では「子の監護の分掌」というのは行動を制限されるものとなるであろう。本来であれば、監護の分担の役割が偏らないことの監護履行を法において解釈されるべきである。
自民党法務部会を通過した法案の概要(A/I要約)
●親権は、未成年の子について、その子の利益のために行使しなければならず、扶養しなければなりません。
●父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使や義務の履行において、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。
●父母は、子の健全な発達を図り、その子の人格を尊重しながら、子の年齢や発達の程度に配慮して養育しなければなりません。
特定の事項に関する親権の行使については、父母間の協議が必要ですが、協議が調わない場合で子の利益のために必要がある場合には、裁判所が親権の行使を一方の父母に委ねることができます。
●離婚や認知の場合、親権者として父を定めることができます。
●父が認知した子に対する親権は、母が行使することになりますが、父母の協議により両方が親権を行使することもできます。
●具体的には、子の監護の費用と関連する内容が含まれています。改正では、子の監護費用の先取特権についての規定が追加され、定期金債権の各期における子の監護に必要な費用として相当な額が定められます。
●他の条文の改正も行われ、特別養子の定義が変更されたり、夫婦間の協力や扶助の義務に関する規定が修正されたりしています。
●子の監護に関する義務や親族との交流に関する規定も変更されています。
施行前の経過措置(遡及適用)
令和6年2月21日の報道によれば、施行前においても共同親権に合意ができれば、可能となる報道があった。司法実務の負荷平準化のために、このような措置をとられたと思われる。しかし別居中の婚姻中共同親権である状況からすると、共同親権が平等な行使になるように配慮が必要であり、親権は名ばかりではなく、自然的な親子の権利義務として事情を鑑みることが司法や行政などへ働きかける改正を望む。
↑引用元
自民党法務部会の資料原文
※本ページの資料
自民党法務部会の民法改正の条文(承認された内容)
※本ページの資料
↑引用元
▼自民党総裁選(令和6年9月27日)
高市早苗さんは、石破茂さんよりも党員・党友の得票数で僅かながらリードしていた。これが本来なら民意であるため、総理大臣に選出されてもおかしくない。むしろ決戦投票でその声はかき消された。
↑引用元