この記事は3553文字です。(読破予想時間:約8分27秒)
アーティストと言う肩書きを便宜上、職業とする事も多いけど、実際の所アーティストと言うのは職業ではなく生き方である言う話をこのブログでも何度か書きましたが、その辺りを少し広げてみたいと思います。
アーティストが職業でないのなら、アーティストではなくミュージシャンと言う肩書きならどうだろう。
それは、職業とする事に何の問題もない肩書きと言えると思う。
プロとは何だ?
職業とは何だ?
それは、個人の捉え方で変化する物でなく、普遍のものだ。
需要と供給の上で成り立っているものが職業・プロと言うものである。
中には、そうでないものをプロと呼んでる場合もあるが、まさにそれは、呼んでるだけのものであって、正確には職業でもなければ、プロでもない。
そこを広げると、一つの記事として成り立ってしまうくらい、話が広がるのでこの件はこれ以上触れないでおく。
以前、アートとは何だと言う記事や、他人の意見やセンスを加えてしまうとそれはアートではなくなると言う記事でも散々触れて来たが、プロである限り、そこにはクライアント(顧客・依頼主)がいる訳で、それを無視して、自分のセンスを押し付ける訳にはいかない。
誰も欲しがらないものを、好き勝手に作って売ろうと並べ続けても、誰一人買わない様では、それを仕事とは呼ばないし、その人をプロとも呼ばない。
プロである限り、それに関わったスタッフ全員に利益が出る様に儲けなくてはいけない責任も生じる。
その為には、自分のやりたい事など二の次で、より稼げるもの、より売れるものを、創って送り出す事を優先させる必要が出てくる。
要は、世の中のニーズに従って、創っていかなければならないのが、プロであり、それがプロの責任でもあると言う事だ。
この時点で、アーティストとプロミュージシャンは相反するものと言える。
では、お金を稼いでる人は皆、アーティストとではないのかと言えば、そうではない。
アートを追求した結果、人気がたまたま出て稼げるなんて事もある。
自分のやりたい事と世の中のニーズが、たまたま合致した結果だ。
つまりその場合、稼げた事は、そのアーティストにとって結果でしかないのだ。
通常、アーティストと呼ばれる人達は、世間と少し違った感性を持っている事が多い。
世間に既に出回っているものと同じ様なものを作りたいと言う欲求を持って創作に挑んでる限り、本人がいくらアーティストを名乗ろうが、世間がそれを認めようが、実際にはそれはアーティストと呼べる存在ではない。
要は、アーティストとは、売れると言う観点からは思いのほか遠い存在だと言う事だ。
勿論、世間が今までになかった一人のアーティストのセンスを気に入って一気に人気が爆発する事もあるが、大抵の場合は、世間は、そのアーティストのセンスを理解出来ないままで終わる。
或いは、世間の感覚が遅れてついて来て、そのアーティストが亡くなって何年もしてから、ようやく世間の理解が追いついたりする事も珍しくはない。
アーティストとクリエイターと言う分け方自体、僕が自分の経験から勝手に線を決めた分け方ではあるが、アーティストが何かを狙って創作をした時点で、それはアーティストではなくクリエイターの分野に入ってしまう。
それで稼げる様になったのなら、それはプロのクリエイターと言う分野に属する事になる。
ならば、アーティストである限りプロのミュージシャンにはなれないのかと言えば、そうではない。
自分の思うがままに創作していく事と、たまたま世の中のニーズが合致してしまって、プロとして成り立ってしまうなんて例は、過去にもたくさんある。
ではたまたまではなく、アーティストでありながら、プロミュージシャンを目指すと言うのは可能なのだろう?
僕は、それはやりようによっては十分可能な事だと考えている。
以前、アーティストとクリエイターと言うものは、対極にあると書いた事があるが、では、アーティストがプロを目指すと言う事自体が、絵に描いた餅であると言う事なのかと言えば、僕は、それは違うと思っている。
例えば、The Beatles(ビートルズ)と言うバンド名を聞けば、年代を問わず、何曲かの有名なナンバーが頭に浮かぶと思うが、彼らのアルバムを聴くと、数々の有名ナンバーからは程遠い様な、難解なナンバーがあちこちに収録されている。
もっと分かりやすい国内を例に挙げると、僕は詳しく知らないのだが、サザンオールスターズだったか、桑田圭祐さんのソロだったかで、随分前にレゲエナンバーだけのコンサートを開いて、大きな会場を満員にして、大成功をおさめたと聞いた事がある。
ビートルズにしろ、サザンや桑田圭祐さんにしろ、そのネームバリューがあってこその成功だ。
ビートルズと言う名前が世間に知られてもいない段階で、しかもあの時代にそれらの難解な曲を発表していたとしても、おそらく、世間からは何の反応も返って来なかっただろうと思う。
サザンや桑田圭祐さんの場合も、サザンや桑田圭祐と言うビッグネームだからこそ満員に出来た訳で、いくら実力があろうとも無名のバンドがレゲエナンバーだけで、あの時代に大きな会場を埋め尽くすなんて不可能な事だ。
何が言いたいのかと言うと、全く同じ事をしようと、全く同等の力を発揮しようと、無名の人間への評価は低く、ビッグネームを持つ人への評価は、その何十倍・何百倍も高くつくと言う事だ。
要は、やりたい事はビッグネームを掴めばほぼ自由に出来ると言う事が言いたかった訳で、言い換えれば、まず、売れなければ、やった事の評価も貰えないし、やりたい事をしてお金も稼げないと言う事だ。
そして、売れもしない実績もない人間が、ビッグネーム達をいくらこき下ろそうが批判しようが持論を垂れ流そうが誰も耳を傾けてはくれないと言う事でもある。
念の為、断っておくが、ビートルズやサザンがそう言う意図を持って動いたとは言っていないし、そんな事は僕は知らない。
言いたい事は、実績を作れば、好きな事をしやすくなると言う事だ。
そういう事に気付いたのは、20台後半くらいだっただろうか?
随分昔の事だが、気付いたからと言ってトントン拍子と言う訳にはいかなかった。
まず、それに気付いたからと言ってどうすればいいのが分からない。
結局は、売れる為に売れ線へ移行した所で、売れ線=売れるではないし、売れるには売れ線へ移行する事が正しいのかどうかさえも分からない。
いろいろやってみた結果、行き着いた先が、ソロになる時に出した結論だ。
何度も書いてて、どこの記事に書いたかちょっとあやふやだが、それならいっそ原点に帰って狙って作るのはやめようと言う事だ。
いろいろやって結果が出なかった末の結論がこれだ。
何の事はない。
結局、振り出しに戻っているだけだ。(°д°;)
勿論、今でも、売れる術があるのなら、それを優先するくらいの気持ちはある。
その術を自分は持ち合わせていないので、それを持っている人となら、喜んで組みたいとも思う。
かと言って、その誰かを探す事を最優先した活動は、過去に散々やって、それは単なる他力本願である事にも気付いたので、今は、結局、自分らしさを作品に込めて発表し続けるしかないなって所だ。
誰かと組む為だけに活動するより、その方が有意義でもある。
その結果、誰かと組めれば、それはそれでいい事だとも思うので、視野から完全に外しはしないが、今は、それがメインではない。
何かうまくいく方法が書いてあると思って読んだ人には申し訳ないが、そんな方法ネットに載っているくらいなら、苦労はない。(;^_^A
そもそも、こういう世界は人が一度通った道に、2枚目の成功の切符はもう存在しないものだ。
その切符は同じ所にはもうないが、大体、どういった所に落ちているのか、そのセオリーを知り尽くしているのが、音楽業界、つまり売る側の人達と言う事なのだろう。
レトロなキャッチコピーで言うと「あなた売る人、僕創る人」的な、その二つのバランスが、ウィンウィンの関係で成り立てば、それは最強のコンビなんだろうなとも思う。
しかしながら、今は、アーティスト側が業界に不信感をかなり抱いてしまっていると言うのも事実で、そのバランスは崩壊しつつある様な気がしないでもない。
最近、アーティスト側が、メジャー離れをしていると聞くがそれも不信感の現れと言ってもいいのかもしれない。
話はかなり逸れたが、結論としては、アーティストである事とプロミュージシャンである事は対極にありながら、その二つを併せ持つ事は可能だろうと思うと言う事だ。
それには、まず、自分のネームバリューを高める事と言うのが、僕の結論だ。
どんな分野でも、実績のない人間には誰も見向きもしないし、耳も傾けないのは同じと言うところだろうか。
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