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■プロローグ
ことわざの一つに「火の無い所に煙は立たぬ」と言うことわざがある。
このことわざに僕は少し異議があるのだが、何も揚げ足を取ってやろうと思っている訳でもなければ、理屈を捏ねたい訳でもない。
ことわざに異議と言うより、ことわざの使い方に異議と言った方が正確かもしれない。
ことわざや故事や格言に対して、やたら屁理屈を言いたがる人ってのは、確かにいる。
でも僕は、そういうのを寧ろバカらしいと思う方だ。
なので、この話はことわざそのものではなく、この「火の無い所に煙は立たぬ」と言うことわざの扱われ方については、自分の人生経験から言っても、少し、おかしいと思うと言う話である。
■RCサクセションの『けむり』の歌詞
忌野清志郎さんのハードフォーク時代の曲で『けむり』って曲をご存知だろうか?
下記に1番だけだが歌詞を掲載させて頂いたので、ご覧頂きたい。
『けむり/RCサクセション』(JASRAC作品コード:030-2609-4)
♪火のない所にも けむりは立っている
火のない所にも けむりは立つものさ
ほらごらんよあそこにも 僕のけむりが立っている
よくある事なのさ 僕のけむりが立っている
初めは腹も立ったが 今じゃもう慣れちゃった
火があるならいざ知らず けむりだけじゃ消せないさ
火のない所にも けむりは立っている
火のない所にも けむりは立つものさ
歌詞の内容を要約すると「火の無い所に煙が立っていて、その中に自分の煙も立っている。煙だけで火もないのに消し様がないじゃないか。火なんかなくても煙は立つものなんだよ」って、こんな内容だ。
この曲を二十歳くらいの時だったか、僕の友人は「これは芸能界の事を書いた曲だ」と解釈していた。
この解釈は僕も否定はしないし、その可能性はそこそこ高いと思う。
でも、僕の解釈はこういう事は一般社会でも普通に起こると思っているので、芸能界限定ではないかもしれないと言う意識の方が強い。
■悪意さえあれば、火がなくても煙は立つ
一般社会で普通に起きた例をあげるとすると、自分の身に直接起きた事だけでもけっこうあるし、自分が見聞きした物まで含めば、それこそ数えきれない程ある。
そもそも煙なんてものは、誰かが悪意を持って火をおこせば簡単に立つものなのだ。
そして清志郎さんの言う通り、自分でつけた火なんかどこにもないのに、そんな煙、消し様がない。
■その告げ口や噂話こそ悪口だと気付け!
僕が以前働いてた職場での話だ。
その職場は工場で物作りをする事がメインの会社だったのだが、僕はデザイナーとして雇われていたので、デザイン室のMacの前に座ってする仕事がメインで現場との接点はあまりない部署だった。
僕がいた企画デザイン室と言う部署は、僕が室長と言う立場の管理職で、部下が3人4人になる事もあるが、基本的に僕と僕の部下の二人だけしかいない部署で、僕達二人は、他の従業員と接点も少ないしあまり興味もなかったので、他の従業員の事を話題にする事なんてほとんどなかった。
その部下であるもう一人は子持ちだったので、仕事以外の話と言えば、子供の話題か音楽の話かMacの話をしてるかくらいで、僕たち二人の会話の内容は本当に平和なものだった。
ある日、現場から数人のパートさんが僕達の仕事のサポートに来てくれる事があった。
こういう事は珍しくはないのだが、そのうち初めてサポートに来てくれる若い女の子が少し緊張している様に見えたので、少し笑い話やジョークを交えながら、仕事を開始したその矢先、突然、
その子はその場を逃げる様に出ていったのだ。
しかも、理由も告げずに家に帰ってしまったと言う。
最初は、何か僕達のジョークで無神経な内容でもあったのかと思ったが、心当たりもないし、その場にいた誰もが、そんなおかしな事は言ってなかったと言う。
そんなに大きな会社でもないので、いろいろ経営サイドで聞き取りなど調査をした結果、その子は現場で働く男性社員達に僕達の悪口を聞かされていたらしいのだ。
そいつら現場の社員達は僕達の事を「あの二人は働きながら、いつも現場の人間の悪口を言ってる」と言う様な事を、そのパートの女の子によく聞かせてたらしくて「(僕達のいる)あの部署にヘルプにいくのが物凄く嫌だった」と言うのが何も言わずに飛び出して帰った理由らしい。
これは本当に寝耳に水だった。
まさに、火の無い所に煙を立てる典型の様な話だ。
そもそも、僕達二人しかいない部署の会話を誰が聞けると言うのか。
僕達当人の二人以外、誰も知り様の無い事だ。
そして、僕らの間では申し訳ないが、彼らの事は話題にすら上がらない程、興味が薄い存在だ。
そいつらから何かして貰った訳でもないし、された訳でもないので、当然、好きでもなければ、嫌いでもない。
バカにもしてなければ、尊敬してる訳でもない。
勿論、プライベートの付き合いなど皆無だ。
そんな何も知らない連中の何を話題にすればいいと言うのか、こっちが訊きたいくらいだ。
そして、その女もそんな状況の中で「あいつらはいつも現場の悪口を言っている」と言うその言葉こそが悪口なんだと気付けよ!と言いたくなる。
以前、愚痴を主題にした記事でも書いた事だが、僕は、誰々があなたの事をこんな風に言ってますよと、善人面してわざわざ知らせに来る人間が大嫌いだ。
でも、案外、それそのものが悪口だと気付かない人間は多い。
それを言ってるその瞬間、言われてるその人は被害者なのだ。
■ことわざの意義
結局、何者かが悪意を持って行動すれば火の無い所に煙なんて簡単に立たせる事が出来るのだ。
と言っても「火の無い所に煙は立たぬ」と言うことわざを完全否定している訳ではない。
「火の無い所に煙は立たぬ」と言うことわざは性善説の上で成り立っている様な気もしないでもない。
或いは、「自分が火元の可能性はないか、もう一度チェックしてみましょう」と言う意味も込められてる言葉なのかもしれない。
確かに、火をつけたのが自分以外も含むと言うのなら、「火の無い所に煙は立たぬ」はどこも間違ってない事にはなるが、現実にはそういう解釈をされてることわざではない。
くどい様だが、僕はこのことわざそのものが問題だと思ってる訳ではない。
さっきも書いたが、我が身を今一度振り返る為には役立つことわざではあるのだ。
おそらくことわざの類いは全てそうで、自分を戒める為、謂わば自己チェックに使うもので、これが全てに当てはまるとかってものではないのだと思う。
■何を言っても無駄なテンプレート人間達
でも、さっきの職場であった実例でもそうだったのだが、その会社の社長の結論はまさに「火の無い所に煙は立たぬ」で、そのことわざを引用して僕達二人に反省を促す結末で幕を閉じた。
職場放棄をしたパートや悪口を言ってた現場社員達にはお咎めなしで、僕達二人だけが長時間に渡って、大きな声を出されたりネチネチと説教をされただけで、その社長は、聞く耳は全くと言っていい程、持ってはいなかった。
ことわざをやたら使いたがる人の中には、ことわざで言われてる事は絶対だと思い込んでる人が少なからずいる。
そういう人は、ニュートラルな状態で物事を見ようとしない事が多い。
「煙が立ってるんだから、お前が悪いに決まってる」
「ことわざがそう言ってるんだから、間違いない」
そんな論理である。
問題なのは、ことわざそのものではなく、こんな風にしか活用出来ない、自分で物を考えようとしない人達だ。
『アドバイスにならないアドバイス』って記事でも書いたが、何も考えずにパターンで思考・行動を決定してしまう『テンプレート人間』が問題なのだ。
これは自力で脱っする事は可能だと僕は思っている。
そもそも、ことわざや格言や故事には、案外、それと真逆の事を言ってるものも存在する。
「一石二鳥」に対して「二兎追う者は一兎も得ず」などがそうだ。
こういう事を少し考えれば、分かる事だと思うのだが、それを考えようとしないのもテンプレート人間の特徴なのだ。
要は、ことわざや格言や故事などは、全てに当てはまる訳ではないって事で、昔の偉い人が言ったのだから間違いないとか思い込む事自体、その偉い人の意図すら汲み取れてないって事なのではないだろうか。
■エピローグ
何事も、自分の五感で感じて、自分の頭で考えると言う事が大事なんだと思う。
何も考えなくても、この通りしていればいいなんて、楽チンなテンプレートなんておそらくないと思う。
この記事は、そんなテンプレート人間達への説教ではなく、「大丈夫!分かってる人間はどこにでもいる」という、煙を立てられた被害者達へのメッセージの意味合いの方が強い。
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