「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」無料公開です。

【動画・英語版】

(エピソード2公開しました)

 

 

(予告編)

 

(エピソード1)

 

 

(本篇)

第1章「旅の始まり」

第2章「三つの存在」

第3章「恐れ」

第4章「エゴ」

第5章レグードゥの森

第6章女神シャーレーン

 

本で読みたい方は。

 

もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。

 

最初からお読みになりたい方は、こちらからお読みくださいね。

 

 

前回㊺は…

 

前回は傷ついた鹿を助けに向かったジョンたち三人が、シーザーの部隊に囲まれたところでしたね。

 

さて、その次はどうなるのでしょう?

 

 

㊻『愛してほしい』

 

 

「ジョン、また会ったな」

 

 

シーザーは、低く艶のある声で静かに言った。

 

「今からでも遅くない。投降を勧める」

 

 

「断る」

 

「そう言うと思っていた。一応、お前に対する敬意を示したまでだ」

 

シーザーはそう答えると、ニヤリと笑った。

 

 

 

 

そして、ヴェルキンとゲトリクスに向かって冷たく言い放った。

 

「我々はこの馬を欲している。

 

この馬は我々の獲物だ。

 

抵抗せずにおとなしく渡すのだ。

 

馬を守るために狼が命を落とすとは、笑い話にもならんぞ」

 

 

 

「おい、黒いの、良く聞け」

 

ゲトリクスはニヤリと笑いながら言った。

 

「命だけは勘弁してやる。

 

しっぽを巻いておとなしく人間たちの所へ帰れ」

 

 

 

 

シーザーも口元に笑みを浮かべながら返した。

 

「この状況でその言葉を言うとは大したものだ。

 

いや、ただ単に状況が分かっていない愚か者かもしれんが」

 

 

 

ヴェルキンがシーザーに聞いた。

 

「なぜ人間は、このお方を欲するのだ?」

 

 

「私が欲するものを、人間が欲しているにすぎない」

 

 

 

「ほう、おぬしは自らの欲するものと、人間が欲するものを混同しているようだな」

 

 

「混同ではない。同一なのだ」

 

 

「それでは聞くが、もしこのお方を手中に納めたなら、おぬしは何を得るのだ?」

 

 

「私たちの戦歴に、またひとつ大いなる勲章が増えることになる」

 

 

「勲章…勲章を集めて、いったい何になるのだ?」

 

 

「比類なき者としての証が、さらに積み重ねられることになる」

 

 

 

僕はヴェルキンがシーザーに話しかけながらシャーレーンの治療の時間を稼いでいることに気づいた。

 

シャーレーンを見ると、治療は終わりに近づいている。

 

僕も論戦に参加した。

 

 

 

「シーザー、君はもう十分に比類なき者だよ。

 

みんな認めているじゃないか。

 

それじゃ聞くけど、君が君のいうところの比類なき者になったら、次はどうするんだ?」

 

 

 

 

「ジョン、私たちは伝説になり、永遠の生命を得るのだ」

 

 

「ケッ、馬鹿らしい」

 

ゲトリクスが吐き捨てるように言った。

 

 

シーザーはゲトリクスを鋭く睨みつけ、言った。

 

「志の低い者には、分かるまい」

 

 

 

 

(シーザー、あなたはまだ、学ばなければならないことが沢山あるようですね)

 

唐突にシャーレーンの声があたまの中に響いた。

 

いつの間にかシャーレーンの治療は終わり、静かにシーザーを見つめていた。

 

 

シーザーは周囲を見渡し、シャーレーンが言葉ではなく、心に直接話しかけていることを察知して驚きの表情をしたが、一瞬で気を取り直し、シャーレーンに向かって言った。

 

 

「不思議な力を持つ者よ。

 

おとなしく我が軍門に下るが良い。

 

そうすれば、お前の哀れな部下の命は救ってやる」

 

 

 

 

シャーレーンはその言葉には答えずに、春の小川のようにやさしく投げかけた。

 

(シーザー、あなたはいったい何で、そんなに傷ついているのですか?)

 

 

 

 

「傷ついている…? 私が?」

 

 

 

 

思いがけないシャーレーンの言葉に、シーザーは一瞬、混乱した。

 

 

 

 

(そうです。

 

私たちを攻撃し、傷つけ、殺さなければ癒されないほど、

 

あなたはいったい何に傷ついているのですか?)

 

 

 

 

「何を言っている…? 

 

傷ついているだと? 

 

私は、何者によっても傷つけられることはない。

 

そして、過去に傷ついたこともないし、未来も傷つくことはない」

 

 

 

(違います。

 

すべての攻撃は、愛してほしいというこころの声なのです。

 

私には、あなたが助けを呼ぶ子犬にしか見えません。

 

あなたは、自分でそれが分からないのですか?)

 

シャーレーンはやさしく、諭すように話しかけた。

 

 

 

「な…何だと…!」

 

 

 

その場にいる全員が、シャーレーンとシーザーの会話に聞き入っていた、まさにその時だった。

 

ギャン!

 

鋭い悲鳴が響いた。

 

 

 

「シャーレーン様、こちらへ!」

 

ヴェルキンが叫ぶ。

 

見るとヴェルキンの足元に二匹の小隊長がうずくまっていた。

 

小隊長と一緒に囲んでいた犬たちは浮き足立ち、ぽっかりと包囲網に穴が出来ていた。

 

 

シャーレーンは、そこに隙ができることをまるで知っていたかのように、すばやく駆け抜けた。

 

 

 

㊼へつづく

 

 

 

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手術に至る経緯

開頭手術

集中治療室の素晴らしい夜と気づき

病室から「さとりの窓」へ

⑤異次元へ、ぐう~ぽん!!

リハビリから退院へ

 

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(シンプリーライフさんのみ)

ご紹介頂き、光栄と喜びの極みです(^-^)

 

 

 

★僕は、死なない。シンプリーライフさん

 

 

 

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よくご質問いただくので、以前書いた記事をリンクしておきます。

おすすめのお茶や飲み物など

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オススメの本①(読むと元気になる)

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おススメ本③(生還者たちの体験記)

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●YouTube(トネちゃんねる)

我が家のワンコ、可愛いふたり💛見て下さい💛

その他

 

 

 

 

 

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