「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」

 

本日から無料公開始めます。

 

もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。

 

★Amazonのレビューでは5つ星の4.5、レビューは149レビュー(2022.8.11時点)頂いています。

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5つ星のうち5.0 読んでいるうちに心が自然と楽になる本

2022年6月2日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

目から鱗、さらに心からも鱗雲が落ちたように感じております。後半のクライマックスは言葉では表せない面白さ。身体、心、魂の3つの奥の深いお話です。この本は、YouTubeで知りました。推奨します。

 

 

★お読みない方は、学識サロン(登録者51万人)さんが作ってくれたこの画像(約10分)をご覧いただけると、どんな本かお分かりになると思います。(感謝!)

 

 

 

 

 

それでは、「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」をお楽しみ下さい。

 

 

第1話『運命の出会い』

 

 

 

 

やあ、こんにちは。

 

 僕はジョン、猟犬さ。

 

 

 

僕は、ご主人様の銃の音が大好きだ。

 

あの、乾いた音。

 

空気を切り裂く、鋭い音。

 

あの音は僕を駆り立てる号砲。僕はあの乾いた音を聞くと、思わず走り出したくなって、いてもたってもいられなくなるんだ。

 

 

なぜかって?

 

そう、そこからが僕の出番だからさ。

 

 

ご主人様はイノシシや鹿、熊といった大きな獣だけじゃない、足の速い馬や小さなキツネやウサギ、空を舞う鷹だって逃さない。

 

僕は号砲と共に、手傷を負った獲物に一目散に走って行って、ガブリと噛みついてドドメをさし、それから大きな声でご主人様を呼ぶ。

 

するとご主人様がやって来て、とっても喜んで僕においしい干し肉やごほうびをたくさんくれるんだ。

 

僕の生きがいはね、ご主人様の笑顔とごほうびの干し肉。

 

あの笑顔とごほうびさえあれば、僕はどんな強敵にだって立ち向かっていける。

 

 

ご主人様は、僕のことをすごくかわいがってくれる。なぜなら僕は、七匹いる犬たちのリーダーで、一番足が速く、一番賢く、そしてなによりも一番勇敢だから。ふふふ。

 

 

 

でも…

 

そう、あの日…

 

あの日を境に、僕は変わってしまった。

 

何がどう変わったかって?

 

 

 

それを今から話すよ。

 

まあ、焦らないで。

 

 

 

あの日…そう、忘れられないあの日…僕はいつもと同じようにご主人様と一緒に狩りに出かけた。

 

雲ひとつない、抜けるような青空がどこまでも広がっている、とっても素晴らしい日だった。

 

あの日、ご主人様は森に入る手前の草原で立ち止まり、注意深く森を眺め始めたんだ。

 

 

 そして、ふっと目を細め、同時に銃をかまえた。

 

 

 

獲物を見つけた?

 

僕のセンサーが反応した。

 

よし、僕の出番だ

 

 僕は、いち早くダッシュの身構えをした。

 

 

前足をかがめて力を抜き、ちょっとお尻を上げるんだ。

 

それから後ろ脚に力を入れ、後ろ脚の爪でしっかりと大地をつかみ込む。

 

この準備がスタートダッシュの差を生むのさ。

 

 

ご主人様の帽子についている大きな鷹の羽の飾りが、ふわりと風に揺れ、銃身が獲物を追って流れるように水平に動いた、そのときだった。

 

 

 

パーン!

 

 

僕の大好きな乾いた号砲が響いた。

 

 

 

僕は他の犬たちをあっという間に抜き去り、銃身の指す方向へと飛び出した。

 

獲物は、草原から森の変わり際へ少し奥に入ったところにいるようだ。僕の直観が、そうささやいている。

 

足のギアがトップギアに入る頃には、他の犬たちはもう僕に追いつけない。

 

 

 今日も僕がごほうびをいただきだぜ。

 

 

僕は優越感を感じながら風のように走る。なんて気持ちがいいんだろう、僕は最高だ。

 

森の中に少し入ったところで立ち止まり、周囲を窺った。

 

 

 

血の匂いだ…

 

あたりには血の匂いが立ち込めていた。

 

 これだけの血のにおいがするんだ。かなりの手傷を負ったに違いないぞ。

 

五感のアンテナを最高レベルに上げ、周囲をゆっくりと見渡した。

 

すると、視野の左端に赤いものがよぎった。すばやくそこに注目すると、大きな血痕が目に入ってきた。即座にそこに走り寄り、クンクンと匂いを嗅ぐと、さらに用心深く周囲を窺った。

 

 

手負いの獲物ほど、危険な相手はいない…

 

僕は数々の強敵との経験から、手負いの獲物の恐しさを痛いほど知っていた。

 

 

僕の眉間の間にある三日月の傷は、西の森の王と言われた巨大な白馬『白帝』に前足で蹴られたときのもの。

 

半分にちぎれた尻尾は、北の谷の主と言われた屈強なイノシシ『ガルドス』に食いちぎられたものだ。

 

僕はその強敵たちを確実にしとめてきた。

自慢じゃないけれど、この近隣では僕の名前はちょっとは知られているんだよ。

 

注意力を総動員して用心深く周囲を見渡すと、細々とだけれど、点々と続く血痕が目に入ってきた。

 

 この先に獲物がいる。第六感がささやく。

 

僕は獲物に襲い掛かって最後のトドメを指すべく、身をかがめ、両足の筋肉を縮め、牙をむき出して臨戦態勢に入った。

 

 

血痕は五メートルほど続き、高さが僕の背丈ほどある草むらの中に消えていた。

 

注意深く草むらに入り、約十歩ほど進んだ。すると、倒れている獣の姿が見えてきた。

 

 イノシシではないな…鹿でもない…。

 

 犬に似ているが、それにしてはちょっと大きいぞ、かなり大きい。

 

 

近づいて倒れている獣を見ると、大きな犬のようだった。

 

その犬は全身黒っぽい銀色の毛におおわれ、身体は僕の倍ほどもある巨大な大きさだった。

 

僕も身体は大きいほうだけれど…こんな大きな犬は見たことがない…

 

 

僕は倒れている大きな犬に近づき、立ち止まった。

 

こんな大きな犬を見るのは初めてだ。ご主人様は犬を撃ったのか…?

 

 

獲物を見ると、胸から多量の血が流れ出て、地面に大きな血溜りを作っていた。

 

ご主人様の弾丸はこの大きな犬の胸を貫いたのだ、さすがご主人様。

 

 

大きな犬は口からも血を滴らせ、その周りの地面に血溜りを作っていた。もう頭を動かすことも出来ないようだった。

 

ヒューヒュー、と苦しそうな息をしながら、うっすらと目を開けた。

 

 

深い蒼色をしたその瞳が、静かに僕を見つめたその瞬間…僕の背筋にゾワゾワっと何かが駆け上がった。

 

 

「おお、お仲間さんか」

 

その犬は苦しそうな口元をやや緩めて言った。その声は不思議な温かさに満ちていた。

 

「…」

 

僕は、なんて返していいか分かなかった。だっておまえは獲物なんだ。

 

僕はおまえを殺しに来たんだぞ。

 

 

「そういう顔をしなさんな。誰にでも死は訪れるものだ。

 

今日は俺が死ぬ日だったということだ。

 

俺の最後を看取ってくれるのが仲間のお前さんで良かったよ。

 

お前さん、名前はなんと言うんだい?」

 

 

 

 「僕は…ジョン」

 

 「そうか、ジョンか、いい名前だな。

 

俺はダルシャ。

 

まあ、もうすぐあっちに行くから、名前はあまり関係ないがね。ふふふ」

 

 

そう言って、ダルシャは口元をゆるめて笑った。

 

この犬、死に際に笑ってる?…僕はおずおずと聞いた。

 

 

 「君はいったい…」

 

 「俺は犬じゃない。狼さ。狼を知ってるか?」

 

 「いいや…」

 

 「そうかい、狼ってのは、君らの兄貴みたいなもんだ」

 

 

 ダルシャは苦しげではあったけれど、親しげに言った。

 

 「狼…」

 

 狼を見るのは初めてだった。

 

 

 

 ダルシャは大きく澄んだ蒼い瞳で僕を見つめ、大きく息を吸うと唐突に聞いた。

 

 

 「ジョン、お前はなんだ?」

 

 

 は?

 

 

なに、言ってんだ?

 

 

 「…なんだって?」僕は聞き返した。

 

 

 「だから、ジョン、お前はなんだ?」

 

 「ぼ…僕は猟犬だ」

 

 「ほう、猟犬…か」

 

 「そうだ、だから何だってんだ」

 

 「そうか、お前は猟犬なのか」

 

 「そうだ、だから何だってんだ」

 

 

 ダルシャは、ゆったりとほほ笑んで言った。

 

「ジョン、お前は人間に『飼われている』んだろう」

 

 『飼われている』という言葉が、なぜだか心の奥底にチクッと刺さった。

 

 

「そ、そうだ。それがどうした」

 

 

 

なぜだ?

 

 

 

お腹の下の方、奥の方が騒がしい。 

 

なぜだ、なぜ腹の底がざわざわするんだ?

 

飼われているからって、なんだっていうんだ!

 

 

 

僕は、内心の動揺を隠すように言い返した。

 

 

 

「それが何だっていうんだ!」

 

 

 

ダルシャは気にせずに言った。

 

 「俺の命はもうすぐ終わる。最後にお前さんに会ったのも何かの縁だ。

 

いいことを教えてやろう。

 

でも、これを決めるのはジョン、おまえ自身だ」

 

 

 「なんだ」

 

 

 「俺たちは誰かに『飼われる』ために生まれてきたんじゃない。

 

俺たちの本質は『自由』だ」

 

 

 

なんだって? 

 

 

飼われるために生まれたんじゃない? 

 

 

 本質は自由?

 

 

 なに言ってんだ?

 

 

ダルシャは続けた。

 

 

 

 「ジョン、お前さんはご主人様が撃った獲物の命を奪い、くわえて帰るのが仕事だろう?」

 

 「そうだ、それが猟犬ってもんだ。それがどうだって言うんだ」

 

 「それは、ほんとうのお前さんなのかい?」

 

 「…なに?」

 

 

 

 ほんとう?

 

 ほんとうってなに?

 

 

でもそのとき、僕はふと、気づいてしまった。

 

いや、ほんとうは気づいていたのかもしれない。

ご主人様の銃の音に無条件にただ単に反応して走り出してしまっている、いつもの自分自身を。

 

そして、なんの疑念も痛痒もなく、無慈悲に命を奪ってきた残酷な行為の数々を。

 

 

絶望の目をしたウサギ、必死に生きようとしていた牡鹿…

 

そして、死の直前の、あの白帝やガルドスたちの、すべてを受け入れたような落ち着いた静かな瞳……。

 

 

それは、気づかないように重い蓋をして隠していたものが、予期せぬ衝撃でいきなり開いてしまったような感覚だった。

 

 

 「いいか、お前さんは人間に仕えるため、飼われるために生まれてきたわけではない。

 

お前さんが生まれた環境が、たまたまそうだっただけのことだ」

 

 

 「環境?」

 

 

 

「そうだ。そして、残念ながらお前さんはそれ以外の生き方を知らない。

 

まるで知らない、何も知らない。

 

だからお前さんは自分の頭では何も考えられず、ごくごく小さな世界の中で習慣的・機械的・反応的に、だだ生存しているだけだ」

 

 

 

 「なんだと~!」

 

 

 

 僕が、何も知らないだと?

 

 僕が、何も考えられないだと?

 

 僕が、機械的? 習慣的? 反応的?

 

 ただ、生存しているだけ?

 

 なに言ってんだ、こいつ!

 

 

 

 僕はジョン、あの、白帝やガルドスを打ち取った、あのジョンなんだぞ。

 

 瞬間的にいつもの僕が、心の中で反論を始めた。

 

 

 

「お前さんは、ほんとうの自分を知らない」

 

ダルシャの蒼い目が僕を貫いた。

 

 

 ほんとうの、自分???

 

 

第1章・旅立ち②へ続く

 

 

 

(昨日のワクワク)

チョコレートケーキの誘惑に負けました…

今回は妻とではありません(笑)

 

 

 

チョコは美味しい。

 

仲のいい友人と食べると、さらに美味しい、豊かな時間。

 

 

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ベストセラーになりました。

 

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★講演会など

その①

心理学(TA・交流分析)無料ZOOMセミナー

またまた、やります!!

今年1月と2月に開催して大好評だった、心理学TA(交流分析)の無料ZOOM講座をまた開催します。

◎8月20日(土)13:30~16:30(zoom)

(同じ内容を2回開催します)

 

お申込みはこちらのページから出来ます。

https://strokefullife.org/application_form

 

前回参加された方は良くお分かりだと思いますが、この講座では、いわゆる無料セミナーによくある「ほかの講座の案内」や「広告宣伝」などは、ほぼありません。

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がっつり3時間、TAを学びます。

『心理学に興味がある、もっと自分を知りたい、自分のエゴの特徴を知りたい』

こういったことにご興味のある方は、ぜひいらしてください

 

その②

無料お話し会「リーラの会」

8月26日(金)20時~22時(ZOOM)

 

「がん」を含めて(ガンでなくても、もちろん歓迎)、病気や気持ちや環境など、その中で感じていること、悩んでいることなどを語り合える仲間がいるだけで、心が軽くなります。

人は、話すことによって癒されるのです。
(カール・ロジャース談)

 

7月26日は約55名の方がいらっしゃいました。

本音で語り合える仲間って大事だと思います。

 

 

 

その③

「時空の杜」リボーン(再誕生)・リトリート

9月2日(金)~4日(日)

生きているうちに、1回死にましょう!

リボーン・リトリート案内

お申込みはこちらから

 

その④

またまた長崎に行きます。

 

その⑤

「時空の杜」サレンダー瞑想キャンプ

10月20日(木)~23日(日)

サレンダー瞑想キャンプ案内

お申し込みはこちらから