子供が不登校になると
学校に行かないならせめて外に出て欲しい
家に閉じこもっているのではなく,外に遊びに行ってほしい
そのように思って,子供を外に連れ出して一緒にご飯を食べたり
公園で遊んだり,ドライブしたりといった経験がある親御さんはいらっしゃると思います.
そのときに,ぜひ自分の心に問いかけてみていただきたいのが
心からそれをやりたいと思ってる?
子供に何か期待したりしていない?
ということです.
私も,息子が不登校になった頃,2人で公園に野球をしに行きました.
これ,私が「息子と野球をやりたい」と心から思っているときはいいんです.
とても楽しい時間を過ごして帰ってくるんです.
でも,息子に誘われたとき
やりたくない気分の日もあるわけです.
この後仕事だから,それまで家でゆっくりしていたいのに…
腰が痛いから動きたくないのに…
ひとりでコーヒーでも飲みに行きたいのに…
でも,外に出たいという息子の思いを何とかしてあげたい…
そうやって,やりたくないのに息子の主張に負けて一緒に遊びに行くと
たいてい,私が我慢をする展開になりました.
体が痛いのを我慢
空振りばかりの息子が徐々に不機嫌になり,楽しくない雰囲気で一緒にいなければならないのを我慢
こちらは終わりにしたいのに,勝手なルール変更でどんどんゲームが長引くのを我慢
やたらとお金を使わされて
~したくないのに,断らずに息子の気持ちを優先していました.
要するに,自分に我慢をさせているわけです.
なので,我慢をしなければならない現実が次々と起こるわけです.
また,自分から誘ったのに,その後苦痛を感じることもありました.
今になって考えてみると,その場合は,たいてい私の中に
息子に元気になってもらいたい
外で走り回っている姿を見たい
笑顔を取り戻してほしい
と言った希望がありました.
それが軽い希望ならいいんです.
「○○になって欲しいけど、そうならなくてもしょうがないよね」という、どっちでもいい程度の軽い希望なら。
でも,私の心の中は
息子のそのような姿を見て安心したい
つまり
息子に,そのような姿を見せて私を安心させてくれ
さらに
ここまでやってあげるのだから,私を安心させろ
というマイナスの意識を息子に送っていたのですね.
そのような意識で接しているので
息子に対して変に気を遣ってしまい
それをキャッチした息子は不快を感じるので,テンションが上がるわけもなく
逆に不機嫌になり,それをなだめるのにまた気を遣い…
結局こちらも苦痛になってしまうという悪循環だったように思います.
どちらの場合も,息子と境界線を引けていなかったということです.
課題の分離ができていなかったのですね.
子供は親に「自分のために我慢してほしい」とは思っていません.
子供は親に「笑って欲しい」と思っています.
そして,不登校とか関係なく,単に「我が子」として接してほしいと思っています.
だから,こちらが我慢する必要などないのです.
やりたくないときは「イヤ」と言っても,怖いことは起こらないのです.
さらに,やりたくないのにやってあげるのは,相手を「気遣っている」のではなく,
相手の言動に振り回されていて「気を遣っている」状態なので,マイナス意識の行動なのですね.
だから,多くの場合「不快」となって自分に返ってきます.
そして
元気のない我が子に元気になって欲しい
沈んだ顔をしている我が子に笑顔になって欲しい
親だったら,そう思うのは当然だと思います.
でも「元気になって欲しい」「笑顔になって欲しい」に執着してしまうと
実はそれは「元気ではない」「笑顔ではない」ということにフォーカスしすぎていることなので
元気になって欲しいと願い続ける現実,笑顔になって欲しいと願い続ける現実が続きます.
元気になって欲しいのは誰のためですか?
笑顔になって欲しいのは誰のためですか?
子供は,元気がなくても,沈んだ顔をしていても,そこからちゃんと学びを受け取っています.
そして,子供には,元気がない顔をする権利もあれば,沈んだ顔をする権利もあるわけです.
そのような気持ちを子供にしっかりと感じさせてあげることも,親として大切なことではないでしょうか?
それが,「子供の課題を取り上げない」ということでもあるのです.
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