※ こちらの記事は、トカゲ類やヘビ類の画像が、混載されています。
苦手な方は、閲覧を控えてください。
こんにちは、<アラフェネ>です。
今回は、<コモドオオトカゲ>の記事になります。
トカゲの中では、最大種で、こわもてな見た目と、圧倒的な大きさと力強さから<現代の恐竜>などと呼ばれることもあり、
最近では数十年ぶりに、日本の動物園<東山動植物公園>で展示されて、話題となっています。
今回は<コモドオオトカゲ>とはどんな動物なのか、<分類、生息地、形態、生態>などを細かく見ていきたいと思います。
分類
まずは分類です。
一般にコモドオオトカゲと呼ばれるのは、<爬虫綱有隣目オオトカゲ科オオトカゲ属>
に分類される、最大の肉食爬虫類です。
有隣目は、<双弓類>とも呼ばれ、トカゲ類の大半が属する<トカゲ亜目>と、ヘビ類の大半が属する<ヘビ亜目>に大きく大別されています。
ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)
グリーンイグアナ
エダハヘラオヤモリ
パンサーカメレオン
<トカゲ亜目>には、パンサーカメレオンやジャクソンカメレオンなどの<カメレオン科>、インドシナウォータードラゴン、エリマキトカゲなどの<アガマ科>、エダハヘラオヤモリなどの<ヤモリ科>などが属しており、その数は約4500種以上の
からなり、有隣目の中だけでも種の数が非常に多いです。
その中のオオトカゲ科には、<レースオオトカゲ>、<ナイルオオトカゲ>、<ミズオオトカゲ>が属しており、
科名の通り、大型のトカゲ類が多く属し、全長70㎝~200㎝以上の個体が属しています。
生息地
続いて、生息地です。
コモドドラゴンは主にインドネシアの南東部にある群島の一つ、<コモド島>を主な生息地としており、その周辺の島々に生息してます。
コモド島は<小スンダ列島>の島の一つで、多数の島々が連なっており、<大スンダ列島>の2つを合わせ、<スンダ列島>と呼ばれており、この島々を現地語で<ヌサ・トゥンガラ諸島>と呼ばれています。
ルサジカ
アオウミガメ
コバタン
島周辺は70%は海域で、陸海多数の様々な生物が生息しており、
哺乳類ではルサジカ、イノシシ、コモドネズミ、ジュゴン、クジラ、イルカ、鳥類では、コバタン、ツカツクリ、トサカハゲミツスイ、爬虫類では、アオウミガメなどの希少な動物も多数生息していることで知られています。
そのため、1991年にユネスコ<国際連合教育科学文化機関>の<世界自然遺産>に登録されている国立公園で、
1977年に<生物圏保護区>に登録されています。
生息しているのはコモド島のみならず、フローレス島、ティモール島にも生息していることが確認されていますが、
定住性が高く、そこで生まれ育った個体はほとんど島外へでることはあまりありません。
理由としては、島の間の海流が急だったり、繁殖はうまくできなかったり、豊富な餌が取れないなどが考えられています。
コモド島では肉食動物はコモドオオトカゲのみとされており、生態系ニッチの頂点に君臨しています。
形態
続いて、形態です。
<コモドオオトカゲ>はトカゲ亜目の中では最大種です。
全身、暗褐色や黒色に覆われたざらざらしたうろこを持ち、強靭な筋肉と足で歩行しながら、二又に分かれた特殊な舌を常に出し入れしながら、獲物を探しています。
走るスピードは、思った以上に早く、時速20km/hで、ヒトが走っていても追いつかれてしまいます。
〇全長
図は他のオオトカゲ科の全長を比較した表です。
図を見ても明らかなように<コモドオオトカゲ>は、全長200㎝~310㎝、約体重70kg、にもなり、オスのほうが大型になる傾向があります。
オオトカゲ科の中でもだんとつで大きく、全爬虫類の中でも最大種と呼ばれており、
大きさがとても近い<レースオオトカゲ>や<ナイルオオトカゲ>の大きさを比べてみても大きな差があります。
なぜ、コモドオオトカゲはこのように大型なのかですが、かつて分布域に生息していたゾウを捕食していたため、合わせて大型化したのではないかとされています。
赤ちゃんの大きさは25~56㎝と成体と大きな差があります。
〇口・特殊な舌
頭部はトカゲらしい見た目をしており、小型で細長く、口は太く短いです。
嗅覚は非常に鋭く、口から二又に分かれた特殊な舌を常に高速で出し入れしながら、
匂いを嗅いでいおり、4km以上先の死骸も察知することが可能となっています。
また、鋭利な歯と強力なあごで獲物の肉を引きちぎって捕食したり、
柔軟なあごの筋肉のおかげで、獲物を丸呑みすることも可能です。
〇毒牙
コモドオオトカゲの歯の間には毒腺が集中しており、噛みつくと同時に、
毒を注入します。
毒は<ヘモトキシン>と呼ばれる出血毒で、血液の凝固を阻害し、赤血球や細胞を破壊する効果を持ちます。
これは、<ヘビ亜目クサリヘビ科>の<マムシ>などにも同様の毒を持っていることが知られています。
<生態>で詳しく後述しますが、その毒を利用し獲物を弱らせてから捕食することが知られています。
生態
続いて、生態です。
〇好む環境
主に薄明薄暮(朝方と夕暮れ)に活動し、乾燥した落葉樹林やサバンナ、海岸などの水辺が存在するところに生息しており、
人慣れして管理されている個体などは、人が多くいる場所でも見ることができます。
また、個体の体格によって臨機応変に過ごしやすい場所を変えており、幼体や小型の個体は樹上、大型の個体は地中など穴を掘ることもあります。
泳ぎも割と得意で4mほど深く潜水することができます。
爬虫類の為、外気の温度に合わせ体温を変化させる<変温動物>です。
その為、本格的な活動に入る前に一度、夜間冷え切った体温を日光浴などによって、
活動が可能な温度になるまで体温を上昇させます。
本種に限らず、爬虫類である変温動物ならではの行動で、ビタミンD3を多く作り、カルシウムの吸収を助け、骨や生理的機能を高める効果があり、この日光浴を行うか行わないかで健康面に大きな障害がでてきます。
これは、ペットの爬虫類<カメ、トカゲ、ヘビ>を健康的に飼育するために、バスキングライトや紫外線ライトなど、温度計などを設置して温度管理を徹底するのはその為です。
〇食性
完全肉食性で、生息域に生息する、<イノシシ、ルサジカ、スイギュウ、ヤギ、ネズミ>などの大型哺乳類、鳥類、爬虫類であればヘビ、ウミガメ、それらの動物の死体など、対象が動物の肉類や卵であればなんでも捕食対象にし、
幼体は昆虫などの小型生物も食べることもあるそうです。
獲物の捕食方法ですが、まず、獲物を見つけ、噛みつくことで、毒を注入し
獲物を弱らせるまで待ちます。
スイギュウなどの大型の動物は気を失うまでにはかなりの時間を要するのですが、
獲物への執着が非常に強く、1週間も待ち続けることができるそうで、
一度食事を終えると、1か月弱何も食べなくても生きていくことができます。
変温動物の特徴として、夜間の気温が低い場合はそれに合わせて体温を低く調整
出来るため、恒温動物と比べ、体温維持による1日のエネルギー量は少ない傾向があり、
少ない食事量でも生きていけると言われています。
〇繁殖
繁殖様式は卵生で、斜面やツカツクリなどの他の動物の巣穴を利用し、
約20~30個の卵を産みます。
繁殖期は、メスをめぐり、オス通しが取っ組み合いを行う<コンバット行動(コンバットダンス)>を行い、優位なオスがメスと交尾を行います。
春先に孵化し、幼体は他の成体に襲われる危険性があるため、樹に登り過ごします。
大体成熟は5~7年です。
・単為生殖
2006年にイギリスの<ネイチャー誌>で、チェスター動物園、ロンドン動物園のコモドオオトカゲが、初めてオスとの交尾を行わずに産卵する、いわゆる<単為生殖>と呼ばれる繁殖行動が確認できたそうです。
仕組みは生物学の話になるので省きますが、日本のキノボリトカゲ、オガサワラヤモリも同じような繁殖が可能といわれています。
生息状況
コモドオオトカゲは、現在、IUCN<国際自然保護連合>では、<EN:絶滅危惧IB類>
に指定されており、国際取引制限が最も厳しい<ワシントン条約付属書Ⅰ>に
登録されています。
〇要因
現在の生息数は7千頭ほどで、要因としては人による農地開発、森林伐採による生息地の破壊、捕食動物の密猟などによる獲物の減少により数は大幅に減り、パダール島では絶滅しました。
また、地球温暖化などによる気候変動などの環境的要因も示唆されています。
〇保護状況
世界各国の動物園で保護繁殖を行う<域外保全>や<コモド国立公園>として保護区を指定し、絶滅した地域に繁殖個体などを放獣して監視する<域内保全>が行われています。
また、幼体から育てられた個体などは、目の届きやすい場所に置くことで
管理していることもあるそうです。
その為、現在は、生息数は一定かやや回復傾向がみられています。
コモドドラゴンの被害
コモドオオトカゲの行動範囲と人の生活圏が重なることが多く、過去に何人かが襲われるなどの被害が出ています。
1974年に成人男性が襲われ捕食された事件があり、外国人観光客30人ほど襲われ、
うちの5人が死亡した事例や家畜などが襲われた事例もあります。
このように、人の生命、身体、財産脅かす可能性が非常に高いことから、
日本では、<特定動物>として指定されており、一個人が愛玩目的での飼育は全面的に
禁止されました。
久々に<コモドオオトカゲ>が日本に!
現在、コモドオオトカゲは、<東山動植物公園>で展示されており、
観察することができます。
名前は<タロウ>で、全長270㎝、体重80kgのオスで、シンガポールの動物園から<上野恩賜動物園>へ移送する予定でしたが、スペース上の問題で、<東山動植物公園>での展示が決まりました。
過去には、<上野恩賜動物園>や<円山動物園>で飼育されていましたが、
飼育展示は数十年ぶりです。
是非一度、動物園で現代の恐竜たる、力強い様を見てみてはいかがでしょうか?
本日内容は以上となります。
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最後までご購読ありがとうございました。
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