この人の真似だけはやめて! | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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みなさんはシーザー ミランというドッグトレーナーをご存知でしょうか?

 

アメリカでテレビ番組「Dog Whisperer with Cesar Millan」という番組が、

2002年から2012年まで10年間も放映され、

非常に人気を博したカリスマ ドッグトレーナーです。

 

私もシーザーの番組を興味深く感じ、

彼の著書『犬と幸せに暮らす方法55』も読みました。

 

彼のやり方は非常に独特で、

基本は彼が『エナジー』というところの体から出るオーラで、

犬を威圧し制御するというものです。

 

その上で「シッ!」と言いながら手刀を首元に叩き込む『タッチ』で、

犬に抵抗は無意味だと教え込みます。

 

 

さらには『スリップ リード』と言われる、

チョークカラーとリードが一体化した犬具でショックを与え、

散歩時も飼い主に同調して脚側を歩くことを教えます。

 

 

他の犬に吠え掛かったり攻撃的になるケースでは、

E-Collar(イーカラー)と呼ばれる電気ショック首輪で

タイミングよくショックを与えて攻撃する意欲を削ぎます。

 

 

私たちのように心理学をベースにトレーニングを行う者は、

犬が喜ぶこと(好子: こうし)と名前や言葉を同時に出す(対提示する)ことで、

犬の心に古典的条件づけをしますが、

シーザーは手刀で突くという犬が嫌がること(嫌子: けんし)「シッ!」を対提示することで、「シッ!」と言っただけで痛みを思い出し、飼い主のいうことを聞くようにしつけます。

 

これもまた古典的条件づけとして有効ではあるのですが...

 

 

ただ、シーザーの行う『嫌悪刺激』(犬が嫌がる刺激)を使ったやり方は、

シーザーのように犬の考えていることを経験的に読み取れる才能を持った者が、

シーザーの指導の元で適切な痛みの量を適切なタイミングで与えなければうまく作用しません。

 

なぜなら、タイミングが遅ければ犬には何に対して罰せられたか理解できず、

痛みが強すぎれば不可解で予測不能な『攻撃』と受けとるだろうからです。

 

そのため飼い主は冷静にタイミングよく適切な強さで犬を痛めつける専門家にならなければならないのですが、多くの飼い主さんにはそんなことできるわけがありません。

 

大抵感情が入ってしまい体罰はエスカレートして失敗するでしょう...

 

しかもその体罰に対し犬が対抗してくる気力を削ぐほどのオーラを身にまとうなど、

一般のおじさまやおばさまには到底できることではありません。

 

シーザーのように「やべ、このおっさん怒らせたらマジただで済む気がしねぇ...」

と犬に感じさせるマッチョなルックスと鋭い眼力を身に付けるには

かなりの修行が必要そうですしね。

 

初めは犬もびっくりしておとなしく振る舞うかもしれませんが、

飼い主の攻撃にいつまでも甘んじている犬ばかりではありません。

 

 

ある日反旗を翻して咬みつく犬も出てくるでしょう。

 

そこで飼い主がびっくりして体罰を止め、咬まれた手の怪我の手当に専念すれば、

犬は『咬んだら嫌なことをされなかった』ということを学習し次も咬む行動が増えるという

『負の強化』が起き、ついには『咬み犬』と呼ばれるようになるのです。

 

 

 

というわけで、番組を見て見事な解決っぷりに感動し、

うわべだけシーザーの真似をすることは実に危険なのです。

 

よくドッグランなどで「シッ!シッ!」言って手刀を首元に突き刺し、しつけている人がいますが、

はたから見ててとても滑稽(こっけい)です

 

決して真似しないでください。

 

シーザーのやり方はシーザーにしかできない

魔法だと思ってください...

 

 

 

 

 

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