【時代劇局長のズバリ感想文】

早くも30回だ。本当に早い!こうしてあっという間に終わってしまうんだろうなぁ~と思いながら・・・今週の感想文にいきましょう。

①茶室は戦場

冒頭の言葉は、『茶室は戦場』。戦国時代において、茶室がどのような存在であったかをコンパクトに分かりやすく紹介していた。まだ歴史を詳しく知らなかった子供の頃、なぜ茶人である千利休が殺されるの?と思ったが、今日の解説で、まさに茶室は戦場というのがよく分かった。今までだったら素直に聴いていた利休の話も、天下を統一したら、もう用はないとばかりに死に追いやる。やがて朝鮮に出兵する秀吉だが、秀吉がいかにワンマン経営だったかがよく分かるエピソードのひとつだと思う。弟の秀長が生きていれば、また違ったであろうが・・・。

②仕方がない手法

豊臣秀吉が全国を統一した事で、戦乱は一応の終わりを迎えた。上杉軍は越後へ凱旋。兼続もようやく平和が訪れると喜んだ。しかし、秀吉による国主の妻を上洛させよという命令が下された。景勝は菊姫を説得。しかし、菊姫はそれを拒否した。結局は上洛する菊姫であるが、日本各地で、同じようなやりとりがあったのではないかと思う。通信手段が数日かかる書状しかない時代。妻を人質にとるのは、仕方がないといえば仕方がない手法だったのかもしれない。

③天下統一はまだまだ・・・

年が明けると、景勝と兼続は再度上洛する。妻を連れてこなかった事に対して、今しばらく猶予を・・・と秀吉に許しを得る兼続だが、弟の大国実頼によると、各国主の妻は続々と上洛し、北政所と淀に取り入れようと必死になっているらしい。だからこそ、『遅れをとってはなりませぬ』と、景勝、兼続に忠告をするのであった。天下は統一されたが、自分を守るために、ただひたすら自分の事だけを考えている時代・・・。本当の意味での統一はまだまだこれからが先である事を感じさせた。それはそうと、大国実頼が、総髪から月代になっていた。

④”義”の利休

京では、秀吉がますます隆盛を誇る一方、千利休が反逆の罪に問われて屋敷に監禁されていた。反逆というよりは、秀吉の行動を危険視してのフィードバックしたのであろうが、秀吉にはもう聴く耳は残っていなかった。秀吉の命により、利休邸の警護を命じられた景勝と兼続。これは、弟子の大名たちが利休奪還を図る恐れがあることからとされている。利休を訪ねた景勝と兼続だが、利休は、茶の湯の心を守るため、運命を受け入れる覚悟でいた。そして、二日後、利休は切腹する事になる。後日、三成は『謝れば済んだ』と語ったが、もしそんな事をしていたらら、千利休の名前は現代に残らなかったかもしれない。まさに利休も、”義”を持っていたといえる。そんな父の死に口惜しさを隠し切れないお涼は、兼続の胸で泣くが、この2人の関係は今度どうなる?

⑤景勝への愛

上洛を拒否し続ける菊姫にお船が説得にあたった。再び断る菊姫であるが、そんな時に2人目を身ごもっていたお船に陣痛が・・・。出産に立ち会った菊姫は、お船が無事に次女・梅を産んだ後、改めて『母になってみたい』という気持ちをより強く持つのであった。そこには単なる母になる事だけではなく、景勝への愛があった・・・。ご存知の通り、菊姫は世継ぎを産む事が出来なかったが、女性としての心情がとてもよく分かる回だったと思う。そんな菊姫の心内については、引き続き⑦で・・・。

⑥力があれば・・・

納得できない兼続は三成を訪ねて問い詰めた。『政にたてつく者がおってはならない』と答える光秀。『人の命をなんとも思わぬのか?人の情というのもを持てぬのか?』と反論する兼続だが、『ここで情に流されていたら、また戦国の世に逆戻り。太平の世のためにやむを得ない』と返す三成。三成も秀吉のために必死なのは分かるが、この徹底振りが、よく言えば”義”であり、悪く言えば”融通の利かない”男にしてしまったといえる。兼続の言った『情を忘れれば人はついてこない』が、まさに関ヶ原での大敗につながってしまうとは・・・。人は”力があればいいというものではない”それを映像を通して改めて教えられた気分だ。

⑦女性には”好き好き!”

越後に戻った景勝と兼続は、仙桃院も含めて利休のことを持ち出して菊姫を説得した。しかし、菊姫は応じなかった。そんな菊姫に、ついに主命として上洛を命じた景勝だが、もう既に菊姫の覚悟は出来ていた。死を選ぶという事だ。なぜ死を選ぶのか?そこまで菊姫が思いつめるのはなぜか?それは、子供を身ごもる事もなく、ただ人質として利用される自分自身の存在意義に疑問を持ったのでは?のちに上洛を了承した菊姫に景勝は、『わしはそなたを想うておる』と言うが、その時の菊姫のホッとした顔といったら・・・。これは現代にも通じる事で、女性には常に『好きだ好きだ・・・』と言ってあげるなど、大切にする気持ちが必要なんだなぁ~と思った次第だ(笑)。

⑧兼続、お船を尊敬

菊姫の上洛に、お船がお供する事になった。兼続は、生まれたばかりの子供を置いて上洛するお船に驚き、難色を示す。しかし、これも”義”だと感じた兼続はお船の行動に納得。快く送り出す事にした。なんて素晴らしい夫か。お船は『この上洛が子どもたちの幸せにつながる』と語っていたが、まさにその通り!天正19年(1591年)7月、菊姫とお船は京へと旅立った。夫婦生活に大切なの事のひとつに”我慢”という項目がある事がよく言われるが、戦国の世は今とは比べ物にならない我慢が必要だったんだなぁ~と思うと、兼続ら当時の人たちみんなを尊敬した気持ちでいっぱいだ。

【来週の展望】

早くも30回になった『天地人』。残り17話はどのように物語が配分されるのだろうか?巷では前田慶次を誰が演じるのか?と話題になっているが、未だに発表はない。本当に前田は出るのだろうか?そんな不安を抱えながらも、NHKの発表を待つ事にしよう。