【時代劇局長のズバリ感想文】

今回のタイトルは『将軍誕生』。これは征夷大将軍の徳川家康を指している。米沢に移封された上杉だが、今後は家康とどうからむのか?注目の回と位置づけるが、内容はいかに?

①一度はこう言いました

冒頭の言葉は、『一度はこう言いました』。秀頼に忠誠を尽くすと言いながら、主君を丸裸にして天下を狙おうとする家康の事を言っていた。この時57歳。現代ではリタイアする年だが、この年にして天下を狙うとは!家康は、相当元気だったという事だ。筆者は、正直、家康を尊敬する気にはならない。

②菊姫を”良い子”に描いた大河

跡継ぎが出来ない景勝に仙桃院から側室の話があった。『養子という手もある』と答える景勝だが、『謙信公の二の舞になるのか?』という仙桃院の言葉は景勝の胸に突き刺さったのでは?こうして景勝は側室を迎える事になる。菊姫はその後、子を産む事なく亡くなってしまうが、この時に側室を迎えていなければ上杉家はどうなっていたか?側室は正解であった。しかし、菊姫が側室を持つように薦めるのは原作とは違う設定だった。原作では側室に子が出来て嫉妬に狂う・・・という表記がある。ドラマゆえに、菊姫を”良い子”に描いたという訳だ。

③堤の話をもっと!

堤の話が引き続き出てきたが、出演者の会話だけなので、正直、どれほど深刻なのかが分からない内容になっていた。申し訳ないが、これでは説得力がない。セットでもいいので、ある程度具体的に描いた方が良かったのでは?

④跡継ぎ問題

竹松が病に倒れた。菊姫の配慮でお船は米沢に帰るが、竹松はもう今にでも死ぬかのような状態になっていた。生まれつき病弱で、大坂の陣には病を押して参陣。その翌年の元和元年(1615)に没した竹松。享年18歳であった。後に直江家を継ぐ本多政重は直江家を離れ、結局、直江家は断絶する事になる。この世における”跡継ぎ”という問題は大変なものだったのだと改めて認識した。

⑤兄弟の仲違い

家康は征夷大将軍に任じられ、江戸に幕府を開いた。景勝と兼続は家康の求めに応じて謁見することを決めるが、兼続の弟・大国実頼は反対。兼続は、今は生き残ることが上杉の義であると諭すが、実頼の反発は止められなかった。兄弟であれ、ひとつの出来事がきっかけで仲違いするとは!兼続ともあろう人が!残念でならない。

⑥米沢での政治手腕を見たい

江戸では、兼続が家康に謁見。景勝がいないことを責める家康に、兼続は親子や夫婦がお互いを思いやる心なくして天下を治めることはできないと返した。う~ん、確かに”義”を大事にしている兼続だが、米沢三十万石に移封された立場にありながらここまで強く言えるものなのか。正直、あまりここは兼続の”義”、家康への対抗心を描かなくても良いのでは?むしろ筆者は、兼続の米沢での政治手腕を知りたい。

【来週の展望】

今週のタイトルは、『将軍誕生』であったが、それほどインパクトのあるタイトルではなかった気がする。そして来週は、『実頼追放』。これも、タイトルにするほどしっかり描くのならいいが、タイトルにするほどなのか?と思った。う~ん、米沢での政治話が少ないのが残念。あくまでも対家康になっていて、筆者としては不満足である。