【時代劇局長のズバリ感想文】


”大河はホームドラマである”その表現を否定はしないが、今回は典型的なホームドラマであった。正直、コメントがないので、あらすじを元にコメントしていくというスタイルを取る。

①二人の野望

冒頭の言葉は、『二人の野望』。秀吉の朝鮮出兵の解説だった。インド、フィリピンまで支配しようとしていたから驚きだ。もしそんな事が実現していたら、今の日本はどうなっていただろうか。想像しただけで恐ろしい。『二人の野望』の”二人”とは?と、それは信長の事であった。思えば、日本、いや世界の長い歴史に争い事がない時代はなかった。今でも海外では紛争が絶えない。戦争をしない日本だが、人を殺すニュースは日常茶飯事であったりする。日常生活でも”人と人との確執”が常にある。いずれも戦争に比べたら可愛いものかもしれないが、争い事のない時代なんて永遠にこないんだろうなぁ~と、少しセンチメンタルになってしまった筆者であった。

②大名の奥方の苦労

天正13年(1591年)7月、菊姫とお船が上洛した。景勝と兼続は秀吉の命で出羽庄内の一揆の鎮圧にあたっていた。捕らえられた者から『殺せ~』という声が出ていたが、一揆の鎮圧は好きでやっている事ではない。早く平和な世に・・・景勝と兼続の願いはひとつであった。一方、京では菊姫とお船が、北政所や淀、大名の奥方たちとの付き合いに追われていた。そんな中、菊姫は北政所の『我に果たせぬ事は他に任せればいい』という精一杯の優しさを受けるが、納得出来ずに反発してしまう。そして、今度は淀からヒメサユリを集めるよう命じられ、越後から大量のヒメサユリを集めさせた。各大名の奥方はこのようなつまらない要求に四苦八苦していたのだろう。これはあくまでもほんのちょっとした出来事であるが、日常茶飯事だったと思われる。それにしても、たくさんのヒメサユリ。これだけでも相当な制作費(予算)を使ったであろう。


③信玄の娘が信長の姪を励ます

秀吉と淀の子・鶴松が三歳でなくなった。秀吉は関白を甥の秀次に譲り、自らを太閤と名乗り、そして、朝鮮出兵を決意する。越後ではその様子を心配していたが、おっと!景勝が口髭をたくわえていた。一国の主であり、一大名であるという象徴であろうか。そして京では、鶴松を亡くした淀に他の側室らからの非難が集中していた。そんな悲しみの中にいた淀の前に菊姫が現れ、『太閤殿下が大事に思っている・・・』と、まるで自分の事と重ね合わせるかのように淀を励ます菊姫。『信玄の娘が信長の姪を励ますか・・・私はくじけてなどおらぬ』精一杯の強がりであっただろうが、淀の顔は菊姫への感謝の気持ちで満ち溢れていた。確かに、天下が統一された今、そんな事があってもおかしくないが、これは面白い巡りあわせだ。そんな事が果たしてありえたのかは疑問だが・・・。


④奥方の上洛を表現


文禄元年(1592年)3月、上杉軍は朝鮮出兵に備えるため京に入った。菊姫とお船は京で景勝、兼続と再会したが、再会する直前に鏡を見てドキドキしていた菊姫は可愛かった。怖い顔でじっと菊姫を見る景勝に対して、微笑み合う兼続とお船。本当に対照的な夫婦だ。現代だったら抱擁モノだろうが・・・。『再び会える日をどんなに待った事か・・・菊は嬉しゅうございます』。この言葉に笑みを浮かべる景勝であった。景勝もなかなか可愛いではないか(笑)。そして、半年ぶりの再会を喜ぶ兼続とお船。このような例は、景勝、兼続だけにあらず。各大名も同じような場面があったであろう。それぞれシチュエーションの違いはあれど、上洛していからの奥方の暮らしぶりなどが、簡単でもよく表現されていたと思う。


⑤花戦とは?


兼続は三成に朝鮮出兵を思いとどまるよう進言したいと頼んだ。しかし、三成は国の礎をさらに固めるためだ!と拒み、殿下の一声で日本各地の大名が馳せ参じるしくみをつくりたいと言い放った。やりとりはここで終わったが、何を言っても三成は聞く耳を持たないといった感じであった。大丈夫か三成?
一方、北政所は景勝と家康に、秀吉が朝鮮に渡らぬよう監視してほしいと頼んだ。秀吉は淀も連れて行くと言う。これを受けて、家康は、『愛やら義とかを唱えておったら、大怪我もしかねんぞ~』。またも挑発的なコメント。とにかく家康にいろいろ言われたくないというのが正直なところだが、何も言い返さなかったのは、景勝と兼続もさすがに朝鮮出兵に不安を抱えていたのであろう。兼続の死を考えて臨む戦に、お船が叱咤激励!さらに、出陣前に家康からまたまた嫌味な一言。ここはじっと我慢の景勝、兼続だ。景勝は、花戦のようだと言う。花戦とは、珍しい花を集めて優劣を競う事・・・。既に戦をする事の価値を感じていない景勝。だからこそ、こんな戦で命を落としてなるものか?!景勝と兼続は強い気持ちを持って海を渡る事になった・・・。

【来週の展望】


来週のあらすじを見る限りでは、来週もホームドラマ的な話になっている。仕方がないといえば仕方がないが、もしコメントしにくい内容だったら来週はもっと簡単に書くとしよう。