【時代劇局長のズバリ感想文】

今回を入れて残り7話。は、はやい!今年は異常に早い!それもそのはず。『坂の上の雲』を同じ時間に放送するため、11月末で終了とする異例の事態となったのだ。う~ん、あと数話余裕があればもっと詳しく描けた所があったのでは?まぁ、そんな事を言っても仕方がない。今週の感想文にいきましょう。

①敗戦から立ち上がる

冒頭の言葉は『敗戦から立ち上がる』。関ヶ原で西軍に付いた武将は次々と処分され、上杉も会津百二十万石から米沢三十万石へと移された。領土は減っても家臣は手放さない上杉。考えられない事だが、ここからが兼続の腕の見せ所である。米沢では、戦略では政治手腕が発揮される。

②米沢はいいところです

米沢入りした上杉。『ここが米沢か。なかなか良いところじゃ』とあったが、米沢に10年住んだ筆者から言わせると、まさしくその通り!しかし、筆者が住んだ時代と上杉が米沢入りした時の時代背景は全く違うわけで・・・。あの米沢の街は兼続が作った事を考えると感慨深いものがある。

③惣右エ門が若すぎる!

米沢の街がCGで描かれていたが、いくらなんでも綺麗過ぎるのでは?そんな事を言っても仕方ないが、綺麗すぎるのも不自然な気がする。米沢城は現在、上杉神社となっているが、是非、訪れて欲しい場所だ。兼続が不在の間は、兼続の父・惣右エ門が守っていたが、惣右エ門の見た目が若すぎるのでは?

④上杉家廟所を是非!

米沢移封と同時に、上杉謙信の遺骸も越後春日山城から移された。家臣を勇気づけようとする景勝の配慮との事だが、越後に入った堀秀治が『頼むから引き取って欲しい』と要請したという話もある。でも、遺骸があるのとないのとでは志気が全然違う。上杉謙信祠堂跡『御堂』に置かれ、のちに上杉家廟所に移されるが、廟所も是非訪ねて下さい。謙信公が眠っているのを想像するだけでキンチョウします!

⑤直江石堤

米沢に入った最初の回なのに、『松川に石堤!』と、兼続の政治的な行動が目立ったが、これは直江石堤の事。当時の米沢は、大雨が降れば城下が水に浸かり、大変な目にあった。そこで兼続は、町を洪水から守ろうと石を積み上げ2本の頑丈な堤防を造ろうとしたのである。松川を支える堤防は谷地河原堤防という名前だが、直江兼続が築いたので、直江石堤と言われている。ここは上杉神社からかなり遠いが、ここへも是非訪れて下さい。

⑥鯉の甘煮を是非!

農地の開墾という発言もあった。直江兼続は街づくりばかりでなく農地の整備ににも力を注いだ。うこぎ、里芋、根菜類など様々な野菜の栽培を推奨した。鯉もどんどん育て、鯉の甘煮は米沢の名物になっている。これも美味!日本酒に合います。米沢に行かれた際には必ず買って下さい。

⑦加藤清史郎くんの存在が大きい

今日は、惣右エ門と竹松が中心の回となった。家督の話をきっかけに、惣右エ門と竹松、兼続と竹松などの組み合わせで描かれたが、兼続の幼少の頃を竹松演じる加藤清史郎くんが演じているので、ちょっと違和感・・・。子役の再登場は珍しくないが、これも清史郎くんの存在感が大きすぎるからであろう。

⑧惣右衛門をもっと出して欲しかった

惣右衛門が息を引き取った。兼続の父だからか?じっくり描いていたが、欲を言えば惣右エ門をもっと出して欲しかった。火坂雅志先生の『天地人』では、度々、惣右エ門が兼続をサポートするシーンが描かれる。その割合に比べたらちょっと少なかったかな?

⑨外のシーンはないの?

やはりホームドラマなのか?屋敷の外に出てのシーンがほとんどなかった。開墾の際は領民と土を一緒に舐めたというエピソードが残る兼続だが、そんなシーンさえも出てこないような・・・。予算の都合があるのかもしれないが、むしろ米沢に移ってからは外のシーンが重要!出来るだけ外でのシーンを描いて欲しいものだ。

【来週の展望】

来週は、家康が将軍になるらしい。今後は兼続の米沢での街づくりが描かれるが、天下の動きも同時に描くと、どうしても家康を描かざるを得ないのか。大坂の陣を挟んで兼続がどう描かれるのか?注目だが、やはりホームドラマになりそうである。