翌日ユキは駅にいました。

ユキ「お爺さん、おばあさんお世話になりました。」

お爺さん「またおいでね、お正月にはみんなで餅つきをしようね。」

おばあさん「はい、これ。畑で取れたお野菜で作った漬物よ。お父さんお母さんへのお土産よ、ユキのぶんもちゃんと入っているからね。」

ユキ「ありがとう!また来るね。絶対に。」

列車は駅を離れ、ユキは窓の外の景色を見ていました。

『色んなことがあったわ、まるで夢でも見ているみたい。本当は夢だったのかなあ?だって一昨日来たばかりだもの。』

 

ユキを見送った後家に戻ったお爺さんとおばあさんは二人そろって縁側にいました。

よっこらしょと座った二人、いつの間にかそこにはたぬきとうさぎが座っていました。

たぬき「ユキのお母さんとお父さんも昔はユキのように”もの”を見る力があったのに都会へ出てからはすっかり消えてしまったようだね。」

うさぎ「ええ、幼いころ身よりの無かった二人を引き取って育ててた頃はまだ里の力があったのにね。」

たぬき「都会の学校に行かせて今じゃ里の記憶はすっかり消えている、でもユキは違ったようだなあ。」

うさぎ「里で育くまれた力が両親を通じてユキにたくわえられたのね。それにユキは早くにゆきんこたちに会っているからね。」

たぬき「人間と”もの”はお互い助け合っていたのに、文明が発達していつのまにか人間は自分たちだけが世界を動かしていると思うようになった。」

うさぎ「私たちは妖怪だとか化け物とか、お伽噺だけに出てくる架空の存在にされてしまったわ。」

たぬき「人の心が荒むと里の”もの”たちの力も衰える。私たちの力が衰えると人間の心はますます”あやし”すらこえたすさんだ心に支配される。」

うさぎ「そう、人と”もの”は一心同体、どちらが倒れてもダメ。」

たぬき「ユキは二つの世界の橋渡しをしてくれそうだね。」

たぬきとうさぎは嬉しそうに空を見上げていました。

 

ユキもまたおなじ空を列車の窓から眺めていました。

ユキ「あっ!」

空の上そこには、ゆき、一寸法師、ミー、臼、がキントン雲に乗って手をふつているのです。そしてうぐいす姫がその上に浮かんでました。

ゆき「また来てね。」

ミー「また一緒に遊ぶニャア。」

臼「ユキさんいない、さびしいウッス。」

法師「困ったことがあったら打ち出の小槌アプリで呼んでください。」

ユキ「えっ?」

ユキが見るとメール着信、開くと「打ち出の小槌予備用アプリ」と書いてあります。

うぐいす姫「あなたはもう隠れ里の住人です、外の世界からいつでも来ることができますよ。」

 

ユキは窓の外に手を振りました。これからの生活、ユキは人間と”もの”の仲立ちとして生きていくのです。

 

 

 

去年の7月から始めて7カ月経ってしまいました。

最初は意気込んで毎日書いていたりしましたが、だんだん回数が少なくなり、一か月に一回とかになってしまいました。

途中で母が亡くなったりもろもろ多忙だったこともあります。

幼いころ育った田舎の光景、母が与えてくれた民話の本。そうあの頃は童話というと昔話だったのです。

身近に民話に出てくる光景がありました。でも今では都会ではその姿が無くなってしまいました。

 

それでもしも身近に昔話の世界があったなら、そんな思いから書き始めました。

手塚治虫の「不思議旅行」エノケンの「西遊記」などパロディのオムニバスが好きだったことも影響しています。

アニメやコミックの世界もそれと同じだと思うのです。

刺々しい時代、夢のある世界をもう一度身近に感じられたら、そんな思いもあります。

一応最終回ですが、本当はもも太郎や浦島太郎、あるいは西洋の童話のキャラクターをもっともっと登場させたかったです。

またユキに民話や童話の世界を旅させたいと思っています。

お粗末様でした。

 

 

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いつか行った隠れ里㉕ いつか行った隠れ里㉖ いつか行った隠れ里㉗

いつか行った隠れ里㉘ いつか行った隠れ里㉙ いつか行った隠れ里㉚

いつか行った隠れ里㉛ いつか行った隠れ里㉜ いつか行った隠れ里㉝

 

 

 

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