ユキ「飛梅泣いてる。」
ゆき「意識が戻って状況が分かって泣いているのよ。」
ゆきは飛梅のそばに行きました。
ゆき「飛梅さん、私よゆきんこのゆき。」
飛梅「まあ、うぐいす姫様。」
ゆき「まだ意識がもうろうとしているわ。私をうぐいす姫と勘違いしているわ。うぐいす姫から預かったうぐいす餅これを食べさせるわ。飛梅さん、これを食べて。」
飛梅「わあ、ありがとう、うぐいす餅大好き♡。」
飛梅はうぐいす餅を食べました。
飛梅「ああ、おいしい。うぐいす餅はいつ食べる♪」
ゆき「うぐいす餅にはうぐいす姫の霊力を封じ込めてあるの、これを食べれば飛梅は元に戻れるのよ。」
飛梅の表情がだんだん変っていきました。
飛梅「あなたはゆきんこさん、私どうしたのかしら。おぼろげにしか思い出せない。風に飛ばされ、、そうだもぐらに捕まって、嫌!もぐらと結婚したくない!」
法師「大丈夫です、私たちと逃げましょう。!」
ゆき「ではみな私のそばに来てまた風に乗って飛んで行きましょう。もう小さくならなくても大丈夫よ。」
その時バタンとドアが開く音がしました。
法師「もぐら福蔵!」
もぐら「ふふふ、やはり梅子を助けに来た連中か。この地下の町は私が作ったのだ。あちらこちらに監視カメラが仕掛けてある。壊れたスマホを集め作らせたのだ。樽と話している姿を部下が発見し知らせたのだ。もしやと思い来てみれば案の定だ。」
法師「うむしくじったか、無念。」
もぐら「さあ梅子殿挙式をいたそう、その後でユキと言う娘、ゆきお前たちも私の第2、第3夫人にしてやるぞ。この地下宮殿で一生楽しい思いをして過ごせるぞ。」
ユキ「冗談じゃないわよ、誰があんたみたいな見かけだけの金持ちを好きになるものですか!女の子のハートは物じゃない!お金じゃ買えないわよ!」
もぐら「言わせておけばこしゃくな娘だ。ものども出あえ、出あえ!」
おー!と言う声と共にもぐらの手下が出て来るわ出て来るわ。
ユキ「昔のチャンバラかしら(^^;)」
もぐら「もぐら福蔵、地下帝国アイドル、いざ見参!」
ユキ「だめだわ、こりゃ。」
ゆき「みんな後ろに下がって!氷の壁を作るわ!」
そういうとゆきは手を前に出しました。ゆきの前から雪が渦を巻いて出てきたちまち床に固い氷の壁ができました。
もぐらの仲間たちは壁の前でうろうろしています。
法師「でも私たちの出ていく場所が無いです。」
ユキ「寒くなってきたわ。」
ゆき「法師、どこか小さな穴をあけて!小さなくなってそこから逃げましょう。」
もぐら「ふふふ、時間を稼いで逃げようってか。オイ、みんなモゲラ28号の出番だ。」
ユキ「モゲラ28号?」
グワグワグワと床が揺れ、入口が壊れ大きなドリルが現れました。
もぐら「どうだ我がモゲラ28号は!穴を開けるのに私が開発したマシンじゃ。UNDER BIRDS ARE GO!」
ユキ「マシンって言ったって電気ドリルをラジコンカーに乗せただけじゃないの(゚_゚i)」
法師「おまけに車はタクシーに迷彩色塗っただけだし。
モゲラは大きな音を出すとガリガリと壁に穴を開け始めました。ガタガタと床も壁も振動します。
臼「揺れるウッス。」
ゆき「しょうがないわよ、みんな泥でできているし、拾ったごみでできたごみ屋敷だし。」
ゆきは必死で壁をふさぎ続けています。
ゆき「法師さん、穴はどう?」
法師「はい、針の穴では大きくしていくのが難しいです。」
飛梅がふらっと倒れ掛かりました。
ユキ「飛梅大丈夫?どうしたの?」
ゆき「梅は寒さに弱いのよ。まさかこんなドリル出て来るとは思わなかったわ。私もゆきんこ、まだ子供だもの力が続かないわ。」
とうとう壁に穴が開きました。
もぐら「フッハハハ、覚悟しろ!」
ユキ「ううう、嫌なひげもぐら。」
その時です、壁がミシミシと音を立てて亀裂が入ってきました。
パラパラと天井も落ち始めています。
ゆき「振動で建物が壊れ始めてるわ。」
もぐら「しまった!モゲラ28号を使いすぎた!みなのもの天井を支えよ。私は梅子を連れ出す。」
飛梅「嫌だ!来ないで!」
法師「飛梅、私の後ろに。」
法師は針の剣を構えました。
どんどん天井が落ちてきます。
うわー!、モグラや部下たちの上に落下物。
ユキ「どうしよう今がチャンスだけど逃げ出せない。」
臼「ユキさん打ち出の小づちを振ってください私が天井を支えます。」
ユキはうなずくとスマホの打ち出の小づちを振りました。
ユキ「大きく、大きく、大きくなあれ!」
みるみる臼は大きくなり天井を支えています。そしてさらにさらに大きく大きくなりました。
きゃあーーーーー、うわーーー
臼は天井を突き破りそれでも大きくなって、とうとう地面の上に頭が出ました。光が穴の中に差し込み、光に当たると地下の者たちはみな倒れてしまいました。
ゆき「みんな飛ぶわよ!法師、みんなの大きさを元に戻して!」
臼「私もたのみまウッス」
みんな空に舞い上がりました。
後には土に埋もれたもぐらと部下たち。
飛梅「ちょっと待って、もぐらたちを土から出してあげて。いきなり光にあたって弱っているわ、地面から出て来れないのよ。このままじゃ死んじゃうわ、かわいそうよ。」
ゆきはうなずくと下に降りました。
ゆき「つむじ風!」
ゆきが起こしたつむじ風はもぐらたちを埋めた土を舞い上げました。
飛梅「もぐら、しっかりしなさい。」
もぐらは意識を取り戻し
もぐら「梅子さん、、助けてくれたのですか。」
飛梅「生きているものをむやみに死なせたくないわ。あなたのことは嫌い、でも倒れている私を助けてくれたりしたもの、そのお礼です。」
もぐら「すまない、、あなたは本当に良い方だ。私は日陰者、地下の者、醜いもぐら。恋すれど恋すれど嫌われやがて金で何でもできるような気持ちになっていました。金目当てで寄って来たおなごは本気では愛してくれませんでした。」
もぐらの涙はサングラスからボロボロこぼれています。
飛梅「あなたは地下の生き物たちを助けているではありませんか。あなたのおかげで地下の生き物たちはどこに行くのにもあなたのトンネルを利用して助かっているし、お仕事ももらってます。あなたは本当は心優しいもぐらですよ。」
ユキ「飛梅やさしいね。」
ゆき「誰でも愛されないと本当の愛が分からなくなるのよ。」
法師「もぐらは案外いいやつなのですね。」
みんなはもぐらたちに別れを告げると再び空に舞い上がりました。
空をゆく飛梅を見ながらもぐらはつぶやきました。
もぐら「たわむれに恋はすまじだなあ。」
こうして皆はたわむれの町を後にしました。
ユキ「このまま隠れ里に帰れるのね。おじいちゃん、おばあちゃん元気かしら。」
法師「人間の時間にしたら何カ月も旅したことになります。人間の世界ではまだ数分も経っていません。でもこの場所では誰も変化しないし、年も取りません。」
ユキ「おばあちゃんのご飯食べたくなったわ、隠れ里にはどのくらいで着くの?」
ゆき「それがまだ帰れないのです。」
ユキ「えっ、どうして、どうして帰れないの?!飛梅を助けたじゃないの。」
いつか行った隠れ里① いつか行った隠れ里② いつか行った隠れ里③
いつか行った隠れ里④ いつか行った隠れ里⑤ いつか行った隠れ里⑥
いつか行った隠れ里⑦ いつか行った隠れ里⑧ いつか行った隠れ里⑨
いつか行った隠れ里⑩ いつか行った隠れ里⑪ いつか行った隠れ里⑫
いつか行った隠れ里⑬ いつか行った隠れ里⑭ いつか行った隠れ里⑮
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いつか行った隠れ里⑲ いつか行った隠れ里⑳ いつか行った隠れ里㉑
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