剣道一本!
もう一つ、あまり知られていなさそうなスポ根もので、「剣道一本!」(72年)である。
まあ当時人気の「柔道一直線」を意識したかどうかは不明だが、剣道もの以外の何物でもないわかりやすいタイトルである。
三浦友和の初主演番組ではあるが、13回の1クールで終了してしまったこともあり、知る人ぞ知る番組になってしまっている。三浦は当時20歳で、デビュー作が「シークレット部隊」(72年)であることは割合知られている気がするが、本作はその「シークレット部隊」が終了した翌週からスタートした番組である。つまり、ドラマ出演2本目にして主役に抜擢されたわけである。しかも、大映テレビ、TBSの制作ではなく、国際放映、フジテレビの制作である。
自分も全く見たことはなかったのだが、ネット上に数話挙げられているのを見ることができた。
三浦扮する伊吹源太郎は紅陽高校に入学したばかりで、バレー部、バスケ部、剣道部を兼部している運動神経万能な少年である。ちばてつや原作の「ハリスの旋風」の石田国松みたいな感じであろうか。幼馴染の中山京子(中田喜子)がいつもそばにいたりするのもちょっと「ハリスの旋風」に似ている。実家は八百屋を営み、母(有沢正子)と暮らしている。
店番をしていると京子とその弟が、女の子が集団リンチに遭っていると言われ、現場に駆けつけると、学生服の集団が一人の娘に竹刀で襲い掛かていた。実はそれは東西高校剣道部の連中で、伝統の行事なのだそうだ。木棒で彼らを追い払った源太郎だったが、その娘・早乙女光(岩崎和子)も同校の新入部員だった。助けたのに「余計な事しないで」と逆に投げ飛ばされる始末だった。
剣道部の顧問である村木(高杉玄)や主将の北島(亀谷雅彦)からは、剣道部一本でやってくれと言われるが、実は母から剣道だけはやるなと言われているので決心がつきかねていた。亡き父は剣道の強豪だったことも源太郎は知っていた。
そんな折、源太郎は東西高校剣道部から呼び出される。そこには、副主将の勝見(鷹市太郎)らが待ち受けており、源太郎に襲い掛かる。多勢に無勢でやられそうになる源太郎。そこに謎の中年男(中谷一郎)が現れ、棒一本で連中を追い払ってしまう。
というのが第1話で、その後中年男は速水と名乗り、源太郎は彼を師匠と呼ぶようになる。実は源太郎の父とは剣道で切磋琢磨した仲なのだが源太郎には秘密であった。また、光の実の父であることも割と早い段階で(視聴者には)明かされるのだ。※登場人物の表記は予想。
ダブルヒロインの京子役である中田喜子は今も活躍中でお馴染みであろうが。光役の岩崎和子は馴染みが薄いと思う。活動期間も5~6年と短い。特撮ファンには「帰って来たウルトラマン」の終盤に、坂田アキ(榊原るみ)に替わって登場する村野ルミ子役が有名かもしれない。
紅陽高校の剣道部員・本多を演じるのは瀬戸幹雄。と言ってもわからないと思うが、まもなく真夏竜に芸名を変え「ウルトラマンレオ」(74年)では主演となる。この「剣道一本」がデビュー作となるようだ。
とんでもない東西高校剣道部の主将・渡は東美行(たぶん)。本作以外に活動歴は見当たらなかった。芸名を変えたのか、これ一作だけなのかは不明だ。前述の鷹市太郎は沢田勝美のこと。この時期の数年だけ鷹名義だったのである。だから役名がカツミ(と聞こえた)なのだろう。「おれは男だ!」でも剣道部員の一人を演じていた。因みに、本作の主題歌の作詞は三浦で、挿入歌は鷹の作詞となっている。後に鷹こと沢田は「三浦友和と仲間たち」のメンバーとなっている。
コートにかける青春 その2
前回の続きである。
「コートにかける青春」(71~72年)だが、前回も書いたとおり一度も見たことはなく、原作「スマッシュを決めろ!」に関しても同様だ。というわけで、大半がWikipediaなどの資料からの情報になる。
原作は全4巻に対して、ドラマは丸1年放送されたので、オリジナル部分がほとんどだと推測される。その両方に登場するキャラ、つまり名が一致しているのがさおり(紀比呂子)のコーチとなる甲山(大出俊)、かつて東城(安井昌二)のライバルだったという田淵(睦五朗)、大学の学長の娘で実力はあるが、勝つためには手段を選ばないという藤沢悦子(戸部夕子)くらいであろうか。後、原作ではさおりと真琴(森川千恵子)ペアとダブルスで対決する高岡姉妹というのが出てくるようだが、ドラマでは高岡美津子(皆川妙子)と言う名のライバルが登場している。原作では大石哲也というさおりとダブルスを組む若者が登場するようだが、自分の予想だがそれっぽい役割を担っているのが水島譲二(小野進也)ではないだろうか。
若手女優は大体ライバル役と予想する。もちろん、さおりの友人とかもいるかもしれないけれども。役名とかも判明しているのが柴田靖子(大田黒久美)、堀川絵美(テレサ野田)、田中友子(児島美ゆき)、沢田京子(黒沢のり子)、清水キャプテン(桐生かほる)といったところ。その関係者として靖子の父(下條正巳)、友子の母(塩沢とき)がいる。
他に役柄がよくわからん出演者として、尾崎(中尾彬)、大杉千恵子(南風洋子)、篠田孫八(岡本信人)、川原(阿知波信介)、曽根(立花直樹)など。役名が不明な出演者には牧れい、桜井妙子、岡本茉莉、松谷紀代子などがいたようだ。
大田黒久美は「飛び出せ青春」(72年)が有名だが、やはり東宝が制作したスポ根ドラマ「ワン・ツウ・アタック」(71年)では主役を演じている。ただし、全13話で東京12チャンネル(現テレビ東京)での放送ということもあり、あまり知られていないドラマではないだろうか。内藤洋子主演の「華麗なる闘い」(69年)という映画のオーディションに応募し、最終選考に残った7人(大田黒、皆川妙子、桐生かほる等)はファニーセブンとして売り出され、同映画にも出演し、同時期に東宝に入社している。まもなく東宝テレビ部に所属した。
皆川妙子も大田黒と同様の経緯だが、「アテンションプリーズ」(70年)でも、ヒロイン紀比呂子のライバル役として出演していた。「ワン・ツウ・アタック」にも出演。個人的には「レインボーマン」(72年)における死ね死ね団の女幹部ロリータ役が印象に深い。
桐生かほるは劇団ひまわり出身で60年代前半から子役として活動しており、水谷豊主演の「バンパイヤ」(67年)ではヒロインとなるミカを演じていた。前述のオーディションは知人が知らない間に応募していたものらしい。この「コートにかける青春」にはテニス部キャプテンの役で出演。基本的には脇役で店員とかお手伝いさんの役が多かったようだ。
最終話はどうやら、さおり・真琴ペアが藤沢悦子・田中友子ペアと戦って勝利し、ウィンブルドン行きを勝ち取ることになるようだ。藤沢役の戸部夕子は宝塚歌劇団出身だが、1年程度で退団してしまっているようだ。当時24歳だが、もう少し上に見える。悪女が似合う顔立ちだと思う。田中役は児島美ゆき。「ハレンチ学園」のヒロインもスポ根ドラマではライバル役ばかりであった。
実況アナ役はフジテレビの逸見政孝アナ。当時27歳で、本作だけでなく「金メダルへのターン」(71年)等にも実況アナ役で出演している。
コートにかける青春
もう一つ、女性スポ根もので「コートにかける青春」(71~72年)である。タイトルからテニスものだと想像つくであろう。この欄では取り上げたことはないだろうと思っていたが、19年前にやっていたのである。まあ一度も見たことは無いので、内容については全然触れていないのだけれども。その状態は現在も変わっていない。つい最近、オープニングとヒロイン二人が対決している短い動画を見たのみである。
原作は週刊マーガレットに連載されていた志賀公江「スマッシュを決めろ!」である。今だったら、原作のタイトルを完全に変えてしまうことはないのではないだろうか。その代わり、堀江美都子が歌う主題歌のタイトルは「決めろ!スマッシュ」である。これを番組タイトルにしても違和感はなさそうである。
自分は一度も見たことは無いと書いたが、それは裏番組が「ウルトラシリーズ」だったからである。具体的には「帰ってきたウルトラマン」→「ウルトラマンA」だったので、そりゃ少年だった自分は「ウルトラマン」を見るわなあと思う。まあウルトラシリーズじゃなくても見なかった可能性は高いけれども。しかし、注目しべきは強力な裏番組があったにもかかわらず「コートにかける青春」は全52話、つまり丸一年放送されたのである。それなりに安定した人気があったということだろう。
ヒロインである槇さおり役には紀比呂子で、その妹でライバルとなる東城真琴役には森川千恵子がキャスティングされている。二人の苗字が違うのは両親の離婚によるもの。真琴はテニスの天才プレイヤーだった父・博之(安井昌二)の元で育つ。一方のさおりは母・晴子(稲垣美穂子)の元で育つのだが、実は彼女は実子ではない。亡くなった晴子の姉の子なのだが、実子として育てたのであった。そんな時、博之は病に倒れ
「東京にいる母と姉の元へ行き、二人でウインブルドンの栄光を目指せ」との遺言を残して亡くなる。二人は、実の姉妹ではないことを互いに知らず、特に真琴はさおりに激しいライバル心を燃やすのであった。というような概要である。ただ、原作では実の姉妹だったようで、設定が多少変わっているようである。
紀比呂子は当時21歳。母は女優の三条美紀で、高二の時に劇団若草に入団している。デビュー作は吉永小百合主演のドラマ「風の中を行く」(69年)で、新任教師である吉永の生徒役であった。この作品には三条も吉永のおば役で出演している。彼女を一際有名ににしたのは「アテンションプリーズ」(70~71年)のヒロイン洋子役であろう。当時は職業根性ドラマなどと呼ばれていた。この「コートにかける青春は」は「アテンションプリーズ」終了から半年後にスタートしたドラマである。
森川千恵子は当時19歳。芸能界のスタートはモデルであり、エメロンシャンプーのCMが有名。ドラマデビューは71年の「2丁目3番地」で、当時の芸名は真樹千恵子。この番組からは石坂浩二と浅丘ルリ子、寺尾想と范文雀という二組の結婚カップルが誕生している。そして「仮面ライダー」で、当初のヒロインである緑川ルリ子役に抜擢された。彼女が抜擢されたのはプロデューサーの平山亨が前述のCMを見て気に入ったからだそうだ。しかし、主役の藤岡弘が撮影中のバイク事故で重傷を負い、休演を余儀なくされる。そのため急遽テコ入れが行われ、役柄上藤岡あっての存在だった彼女も降板となってしまったのである。ちなみに彼女の友人役だった島田陽子はもう1クール出演が継続された。
突然の降板は悲しかったという彼女だが、まもなく「コートにかける青春」に抜擢され、芸名も森川千恵子に改めている。 オープニング映像を見た限りでは、シルエットではあるが紀の158㎝に対して、森川の身長は不明だが、10㎝近くは高いように見える。ちょっとアンバランスな感じがした。
決めろ!フィニッシュ その3
もう一回だけ「決めろ!フィニッシュ」(72年)である。
本作は全18話という、中途半端な感じだが打ち切りというわけではないようだ。前々回に書いたように「シルバー仮面」と「アイアンキング」の間の番組なのだが、文字通りその両番組のつなぎで制作されたという見方もあるのだ。「シルバー仮面」は企画がまとまらないうちにクランクインして失敗したという反省から「アイアンキング」の準備期間を設けるために「決めろ!フィニッシュ」を制作したというような発言をプロデューサーの橋本洋二はしているらしい。
つなぎと言っても、視聴率は徐々に上昇していたところでの終了だった。当時の若手俳優中心だが、ゲストは今見ると豪華といえるのである。7~8話には仲雅美。バイクに乗って現れ、みゆき(志摩みずえ)の特訓現場に通りかかり「ヘンテコな特訓などやめろ」と茶々をいれる(実際ヘンテコだが)。実はみゆきの通う東和学園のOBで、そのヘンテコ特訓を見て挫折した水泳を再開するというお話。
9~10話は真山譲次。と言ってもピンと来ない人も多いかもしれないが、「人造人間キカイダー」(73年)に出てくる敵役ハカイダーの人間体を演じた役者だ。ゆえに長髪のイメージが強いが、本作では短髪で柔道着姿で登場。陸上部である次郎(三ツ木清隆)が何故か彼と柔道の秘密特訓をしいてるのをみゆきが目撃するという話。真山は「柔道一直線」(69~71年)では、ライバルの一人・赤月旭役で出演していたので、そのイメージからの出演であろう。彼は、戦前から戦後にかけて活躍した俳優岡譲司の長男である。芸名はもちろん父親から来ている。岡夫婦は晩年離婚しているが、真山の本名は父方の中溝ではなく母方の田中を名乗っている。
12~13話は西城秀樹。当時17歳でまだデビューまもない頃だ。シングルも2枚目の「恋の約束」が発売されたあたりで、まだ大ヒットは出ていないが、クレジットはトメでしかもピンである。しかし「西条秀樹」と誤表記されていた。これが初のドラマ出演と思われるが、さすがにまだ素人演技であった。このエピソードで一緒に出ていたのがコント0番地(車だん吉・岩がん太)である。
17~18話は沖雅也と梅田智子。二人は兄妹の役で牧場を営んでいる。次郎は卒業後はそこで働くと決めていた。妹も体操をやっており、兄はそのコーチでもある。ちなみに17話の出演者は志麻、三ツ木、梅田、沖の4人だけである。16話でみゆきは退部届を出して次郎の元を訪ねたのだが、追い返されるかもという心配をよそに次郎は普通に彼女を歓迎する。実は…というような話だ。
そして最終話。以下ネタバレ。みゆきは新技「スワン四回転ひねり」を編み出し東京に戻るのだが、坂井コーチ(中山仁)は簡単にみゆきの再入部を許さない。ジュニア選手権も出場できず、東和学園からは藤サチ(小林亜紀子)が選抜される。代表選考では強力ライバルの一人・井川啓子(児島美ゆき)が負傷であっさり脱落。結局、代表には星わかば(新井春美)、神かがり(萩生田千津子)、そして藤サチが選ばれる。飛行機で旅だつ三人を見送る中にみゆきの姿はなかった。坂井の指示で一人機材の手入れをやらされていたのである。そこに現れた坂井は「ジュニアなどくれてやれ、四年後のモントリオールで金メダルを目指せ。それができるのはお前だけだ」と言うのだった。
なんとなく、もやっとした終わり方に感じる人もいるかもしれないが、打ち切りではなさそうなので、予定通りなのだろう。
書き忘れていたベテラン出演者だが、白川由美(みゆきの母)、内藤武敏(みゆきの父)、千秋実(次郎の父)、三條美紀(次郎の母)、坂上二郎(一平少年の父)などがいる。ウィキでは一郎少年になっているが、一平少年のようだ。
決めろ!フィニッシュ その2
引き続き「決めろ!フィニッシュ」(73年)である。
スポ根と言えばライバル。本作もヒロインの白鳥みゆき(志摩みずえ)の前に、次々とライバルが登場する。1話から登場しているのは鷹羽高校の1年・星わかば(新井春美)である。みゆき同様に体操界隈では天才少女として名高い。演じている新井春美は当時20歳で、スポーツ紙主催の「ミス赤い靴コンテスト」で優勝したのをきっかけに16歳で女優デビューしている。ただ本作においては、男っぽい短髪のせいもあってか、失礼ながらあまり華がない。この4年後にNHKの連続テレビ小説「風見鶏」のヒロインになるとは、全然想像できないのである。その姉が夏子(中山麻里)で、鷹羽高校のコーチでもある。中山麻里も中山仁同様に「サインはV」で、お茶の間に知られるようになった。美形のライバルと言えば彼女というイメージがあり、当時25歳で、さすがに女子高生役ではないが、ライバルの姉としてキツさ満開の鬼コーチを演じている。
ライバルは同じチームにもいた、ということでクローズアップされるのがみゆきの1年先輩である藤サチ(小林亜紀子)である。みゆきが所属する東和学園の体操部は1年と2年の仲が悪い。キャプテンの大川町子(森るみ子)以外の2年生は1年生に意地悪なのである。サチとみゆきの関係も良くはないが、態度が冷たいだけで、攻撃を加えるわけではない。演じる小林亜紀子は前述の中山麻里と同じ当時25歳であったが、こちらは女子高生役でも通るタイプ。大学在学中にスカウトされ、卒業後の71年よりドラマに出演し始め、高橋英樹主演の「おらんだ左近事件帖」(71~72年)に準レギュラーとして数回出演。「決めろ!フィニッシュ」の後は、ポーラテレビ小説「薩摩おごじょ」(73年)のヒロインに抜擢されたが、その終了をもって引退してしまう。これは元々、両親との間で女優は3年間だけという約束があり、実業家と見合い結婚して家業(機械金属商)を継ぐことが決められていたからなのだが、74年に結婚した相手は髙橋英樹であった。前述のとおり「おらんだ左近」に小林は4回ほど出演しただけだが、高橋は初対面の時に「結婚の文字が浮かんだ」と後に語っている。
話を戻すが、第5話にて木の上からサルのようにみゆきとサチの前に現れたのが井川啓子(児島美ゆき)である。「ハレンチ学園」で人気を得たこともあって、セクシー系女優と見られていたと思うが、東映児童研修所出身でありばがら「プレイガール」等に出演することはなかった。代わりに?研修所の同期で東映ニューフェイスとなった片山由美子がレギュラーになっていた。
もう一人、この回から登場したのが高山ひろ子(四方正美)である。突如、剣道部から体操部へ転部してきて、みゆきの友人となる。4話までその役目は丸顔の娘(宮前ゆかり)が担っていたが、4話かぎりで姿を消している。
11話から登場するのは神かがり(萩生田千津子)である。一瞬「カミガカリ」に見えるが「ジンカガリ」である。演じていた萩生田は文学座の所属。82年に交通事故に遭い生涯寝たきりを宣告されたというが、数年後に車椅子女優として復活している。
最終話には三田洋子(青木英美)も登場するが、セリフはなかった。
決めろ!フィニッシュ
前回の「泣くな青春」が始まる前日に終了した、やはり中山仁が出演していたドラマがある。それが「決めろ!フィニッシュ」(72年)である。
タイトルは知っていたが、一度も見たことはなく、スポ根ドラマであることは予想できたが、何の競技なのか考えたことは無かった。まあ「フィニッシュ」という言葉が出てくるスポーツと言えば、まずは体操であろう(他にもあるかもしれんが)。これは、高校女子体操部を描いたドラマである。本作もネット上で飛び飛びだが見ることができた。
中山仁の他、三ツ木清隆、森るみ子、四方正美、木村由貴子、高橋ひとみ(61年うまれの高橋ひとみとは別人)らがレギュラー出演しており、そのまま「泣くな青春」にスライド出演した形になっている。両番組は放送局も日時も違うが、共に東宝製作で、プロデューサー(香取擁史)は同じなので、こういう形になったのだろう。前述のように「決めろ!フィニッシュ」の最終話は72年10月1日放送だったが、翌10月2日に「泣くな青春」の第1話が放送されたのである。
「決めろ!~」は、TBS系日曜夜7時、あのタケダアワーでの放送であり。「シルバー仮面(ジャイアント)」の後番組として放送されたのである。個人的には「シルバー仮面」の後番組って「アイアンキング」だとずーっと思っていたので、驚きであった。前述のとおり「決めろ~」は全く見た記憶はないので、普通に裏番組だった「ミラーマン」を見ていたのかもしれない。なにしろ若手女優が劇中ほぼレオタード姿なので印象に残らないはずはないのだ。、
中山仁と言えば、「サインはV」の鬼コーチぶりが有名だったが、本作でも鬼コーチ役なのである。クレジットも中山がトップだが、主役というわけではない。女子体操なのだから、女子が主役でなければ困る.
まあ当時は主役が新人や若手の場合、トップクレジットじゃないことは結構あった。たとえば同じタケダアワーの「ウルトラマン」(66年)では主役は黒部進だが、トップ扱いは隊長役の小林昭二だったし、「ウルトラセブン」(67年)も同様で、主役の森次浩司(康嗣)ではなく隊長役の中山昭二がトップだった。
ヒロインの東和学園1年白鳥みゆきを演じたのは、ほぼ新人であった志摩みずえ(当時19歳)である。70年代に活躍した女優で、こういいうスポ根よりもお嬢様役が似合うようなイメージがあった。その幼馴染で、ナレーションでは「親友」と紹介しているが、ほぼ恋人関係と言っていいのが小野次郎(三ツ木清隆)である。彼は同じ高校の3年で、棒高跳びの選手だ。1話はこの二人の特訓シーンから始まる。みゆきは既に結構な実力者として描かれている。ゼロから始めて次第に頭角を現していく、という様にゆっくり描いているヒマはなかったらしい。その次郎が3話で突然長野に転校することになり、みゆきがスランプに陥り、かと思えば次郎は大けがをして、東京の病院に運びこまれてきたりするというジェットコースター的なドラマなのである。
相手役の三ツ木清隆も当時19歳。14歳で「光速エスパー」(67年)の主役としデビュー。70年代に入ってからは、実年齢どおりの青春ドラマへの出演が多かった。本作の翌73年には「白獅子仮面」でも主演に抜擢さたが1クールで終了してしまった。並行して「ウルラマンタロウ」にも西田隊員役で出演していたが(白獅子仮面の撮影は終了していたらしい)、新たに大河ドラマ「国盗り物語」への出演が決まり、「タロウ」も1クールで降板することになった。「タロウ」は主役候補でもあったらしいが、8話ほどしか出演していないため、出ていたことを知らない人も多いかもしれない。
※次回の更新も1週間後になる予定。
泣くな青春 その2
前回に続いて「泣くな青春」(72~73年)である。
ヒロイン役の教師となるのが、有村校長(二谷英明)の娘である千秋(武原英子)である。教員の一人ではあるようだが、いつも父親のそばにいて秘書のように見える。当然、大和田(中山仁)とは相性が悪いのだが、5話から出演しなくなる。4話から7話までしか見ていないので、断定はできないのだが、このまま最後まで出てこないかもしれない。その替わり登場するのが佐伯先生(岩本多代)である。でもヒロインという感じではない。失礼ながら実年齢より、上に見えるタイプで主婦感があったりする(当時32歳)。中山は30歳だ。逆に年を重ねても見栄えはあまり変わらず、いつしか年齢が追い越した感がある。ちなみに「多代」は「ますよ」と読む。個人的には、ずっと「たよ」だと思っていた。
工藤教頭役は渥美国泰だが、この人のレギュラードラマというのは記憶にない。同時期に放送されていた「飛び出せ青春」の江川教頭役の穂積隆信は俳優座の同期である。
ゲストに目を向けると、4話に小林文彦、5話に千葉裕、7話に児島美ゆきと出演しているが、彼らの共通点がわかるだろうか。そう「ハレンチ学園」である。小林はテレビ版、千葉は映画版の山岸役で、児島は両方でヒロイン十兵衛(柳生みつ子)を演じている。D組生徒でレギュラーの福崎和宏(イキドマリ役)と合わせて、意識的なキャスティングであろうか。
小林はD組の生徒・大内を演じているが、突然自殺してしまう役である。過去の役柄のイメージからそういうタイプには見えないのが狙いかも。本作は基本的にはシリアスなドラマなのである。児島はA組の転校生・木宮役だが、彼女には売春の容疑がかかる。刑事として登場するのが、大和田も世話になったという島村(安部徹)である。真相は彼女の父親(小瀬格)が元ヤクザで、その時の子分と偶然再会したことで、過去を黙っていて欲しい彼女が売春行為をさせられそうになったというわけで、まあ結局はめでたしめでたしで終えている。
5話はD組の生徒・河野(粕谷正治)の裏口入学の話で、6話もD組の島(小原秀明)と光子(森るみ子)の恋愛話である。8話は予告だけ見たが、金貸しの生徒(藤間文彦)が登場し、彼に金を借りた女生徒(京春上)との話のようだ。藤間文彦は藤間勘十郎と藤間紫の息子で、スポ根ドラマ「ガッツ・ジュン」(71年)で主役を演じている。京春上は「きょうはるえ」と読み、本名は石濱春上。中国人ではない。彼女の両親が川端康成と知り合いで「春上」と言う名は川端が付けたものだという。芸名も川端が考えたもの。彼女も当時は関根恵子同様に際どいシーンを結構やっていた記憶がある。
他の回はほぼ見てないのだが、ゲストは平田昭彦、宮口精二、仲谷昇、地井武男、加藤武などで、おそらく生徒役で二瓶康一(火野正平)、松岡きっこ、鷹市太郎(沢田勝美)、沖田駿一などが出演している。
16話には「飛び出せ青春」から青木英美、最終の17話には武岡淳一、頭師佳孝、剛達人が登場したようだ。頭師や剛はカメオ出演だそうだ。
本作の後は全8話の「青春家族」という番組が放送されているところからも、17話で打ち切りであったと考えられる。シリアス展開が受けなかったのだろうか。
※次回の更新は、(おそらく)一週間後になる予定。
泣くな青春
東宝の学園青春シリーズが「飛び出せ青春」(72~73年)で復活し、人気を呼んだ。これは日テレだが、フジテレビでも同時期に東宝製作の学園青春ドラマ「泣くな青春」(72~73年)を放送していた。しかし前者は全43回に対して強者は全17回とマイナーな存在である。
その「泣くな青春」だが、ここでも6年ほど前に(あまり見ていない状態で)取り上げているが、数話だけだが見ることができたので、改めて解説したい。
父の後を継いで有村学園の校長に就任した有村秀太郎(二谷英明)は、学園を有数の進学校へと躍進させた。また、問題児たちを3年D組に一まとめにして、担任として卒業生で不良学生でもあった大和田英一(中山仁)を起用する。というのが始まりであるが、第1話は見たことがると思うが、はっきりとは覚えていない。いつも教室に空席が目立ち、15人くらいのクラスのようで、まさに隔離クラスという感じなのだ。
その番長格が守屋親造(水谷豊)で、彼を含め男子のほとんどがバイク通学だ。名前がわかっているのが浅岡鶴吉(福崎和宏)、島三郎(小原秀明)、寺田正史(川代家継)、河野宏(粕谷正治)で、もう一人ほぼセリフがなく名前も不明な男子(朝倉隆)がいる。
水谷豊は「炎の青春」(69年)では優等生役だったが、本作では一転して不良番長に。約2年役者業から遠ざかっており、本作が復帰作である。と言われているが、実は本作よりも「太陽にほえろ」の第1話の犯人役や火曜日の女シリーズ「いとこ同志」の古坂役の方が放送時期は早い。福崎和宏は「ハレンチ学園」、小原秀明は「流星人間ゾーン」でレギュラーで、この後「われら青春」でも生徒役を演じる。朝倉隆は「ウルトラマンレオ」(74年)でMACの梶田隊員を演じることになる。
女子生徒は新谷邦子(四方正美)、新城文子(木村由貴子)、田村光子(森るみ子)、後は名前は不明の藤田美保子、田沢純子、高橋ひとみらがレギュラー生徒だ。四方正美は名前でわかると思うが四方晴美の姉である。妹の方も「高校教師」(74年)で似たような役をやっている。森るみ子は当時、歌手として4枚ほどレコードを出していた。レーベルは東宝なのである。藤田美保子はあの藤田美保子(現・三保子)である。本作がデビューとなるようで、4話までその名が見える。5話以降はクレジットに名がないが、その姿は見える。実は5話以降は浅田京子名義で出演しているのである。まさか彼女がこの2年後にはNHKの連続テレビ小説「鳩子の海」でヒロインになるとはだれも予想していないだろう。一方、高橋ひとみは、あの高橋ひとみではない。61年生まれなので、当時小学生のはずである。前述の「高校教師」にも出ていたようだが、同姓同名の別人だろう。
3Dとは対照的な優等生のクラスとして3Aが登場。所属するのは生徒会長でもある高木明子(関根恵子)や宮崎洋介(三ツ木清隆)などがいる。関根恵子はこの頃「太陽にほえろ」と掛持ちだったはずである。実年齢は17歳だから、女子高生役は普通だが、方や女刑事をやっていたわけである。三ツ木清隆も10年以上後になるが、二谷の部下として「特捜最前線」に参加することになる。
この番組、後にレギュラーとして刑事役を演じることになる人が多い。二谷、三ツ木、関根に加え、中山仁、水谷豊、藤田美保子、藤木悠(大和田の下宿先の主人役)もそうだ。中山は「七人の刑事(新)」、藤田と藤木は「Gメン75」、水谷は「相棒」は言うまでもなく「夜明けの刑事」他、数作ある。
炎の青春 その2
前回に引き続き「炎の青春」(69年)である。
本作で前4作と違う点といえば、放送時間がそれまでの日曜20時ではなく、月曜20時だったことである。どうやらこれは日曜20時に「コント55号!裏番組をブッ飛ばせ‼」を放送することになったからのようである。あの野球拳などで人気を呼んだ番組だ。実際に裏番組のNHK大河「天と地と」の視聴率も追い抜いてしまったようなので、局的には成功だったのだろう。
もう一つはプロデューサーに岡田晋吉がいないこと。日テレで青春ドラマと言えば岡田だったのだが、本作も企画段階では絡んでいたということだが、結局降りているようだ。
脚本家も今までの須崎勝弥、井出俊郎、鎌田敏夫、田波靖男などから押川国秋、白山進、後に「三年B組金八先生」でお馴染みとなる小山内美江子に一新されている。
とまあ、新たな体制で臨んだわけだが、視聴率は振るわず、10話で打ち切られることになる。「進め!青春」も打ち切りといえ、それなりに形をつけていたが、本作は大筋と無関係なエピソードで、ゲストの三益愛子、長谷川明男が主役という感じになっている。ヒロインである柏木由紀子も出番はなく、まさに急な打ち切りという感じだった。実はこの翌週である69年7月21日はアポロ11号の月面着陸の様子が午前中から伝えられていて、その関係番組の放送のため、急に終わりにしたという可能性もあると思う。
シリーズ次回作となる「飛び出せ青春」(72年)までは、約3年待たねばならない。
ところで、主演の東山敬司だがデビューの経緯についてはスカウトか一般公募かわからないのだが、普通の大学生であり劇団に所属するでもなく、ちゃんとした芝居のレッスンは受けていないと思われる。その素人感満載の演技もマイナスに作用したかもしれない。
デビューは69年3月公開の「恋にめざめる頃」で、酒井和歌子の相手役。「炎の青春」放送中の6月には酒井に加え、黒沢年男とトリプル主演で「俺たちの荒野」。12月の「娘ざかり」では主演の内藤洋子の相手役と、東宝の看板となる女優との共演が続き期待されていたことがわかる。しかし、翌70年は「社長学ABC」とその続編に出演したのを最後に姿を消してしまう。当時の東宝が俳優の専属制度を解消し出していたいう事情もあるかもしれないが、デビューからわずか1年半足らずで、引退してしまったのだ。と思いきや、1度復活しているのである。「京都清水五条坂」(74年)という村松英子主演で、東宝系の宝塚映画が制作したドラマで復活したのである。他にも桜木健一主演の「虹のエアポート」(75年)では、桜木演じるパイロットの同僚として出演していたようだ。そして記録上最後となっているのは松本留美主演の昼メロ「誰が故郷を思わざる」(77年)への出演である。彼の演技が上達していたかどうかはいずれも未見なので、何ともいえない。
余談だが、本作の生徒役では一番目立っていた梅田智子だが、やはり生徒役の大谷直(黒ぶちメガネの男)と結婚しのだという。共に「でっかい青春」(67~68年)から生徒役をやっているが、その「でっかい青春」で二人がカップルになるようなエピソードがあったらしいが、それをきっかけに結ばれたという。このシリーズの生徒役同志で結婚したのはこの一組だけらしい。
炎の青春
「進め!青春」(68年)終了から五カ月、東宝青春学園シリーズの第5弾となるのが「炎の青春」(69年)である。「進め!青春」同様に短期(全10回)で打ち切られ、再放送もほとんどされず、CSでの放送も今世紀に入ってからはない。加えて、浜畑賢吉は売れっ子役者になって行ったが、こちらの主演である東山敬司は早くに引退してしまったので、余計にマイナー感が強い。視聴が難しい番組ではあるが、これも最近になってネット上で見ることができた。
私立陽光学園3年C組の担任がベテラン和田先生(佐藤英夫)から、新任の猪木豪太郎(東山)に替わることが決定した。和田は女子バスケット部の顧問でもあったが、その主将で3Cの生徒でもある大村映子(梅田智子)は特に反発。高井教頭(平田昭彦)の意向が強く働いていると主張するが、クラス1の秀才である中本勇(水谷豊)は、それは関係なく授業中に他の科目をやっていた野村(池田忠男)を停学にしたしたことが大きく担任交替もやむなしというスタンスで、クラスも二つに割れていた。
その頃、学校に向かっていた豪太郎は学生のデモ隊に逆らって歩いてた所を機動隊に連行されてしまう。すぐに釈放されることになり、高井は少し先に同校に赴任した西村先生(柏木由紀子)を警察署まで迎えによこすのだった。
学園に辿り着くと映子を中心とした和田先生派の生徒から反発を受け、反対デモをされる始末。しかし、多少のことにはめげない豪太郎は敢えてバスケット部の顧問に就任するのだった。というのが第1話だ。
主演の東山敬司は東宝期待の新人で、実際はまだ20歳の大学生であった。だから、実際は生徒役の役者同い年だったり年下だったりしたわけだ。その生徒役だが、前述の梅田智子や徳永礼子、中沢治夫(剛達人)、大谷直、鍋谷孝喜などは前作「進め!青春」や「でっかい青春」から生徒役でお馴染みの顔ぶれだ。加えて新顔だったのが水谷豊。前年には手塚治虫の「バンパイヤ」(68年)で主役も演じていたが、まだ知名度は高くなかった。後藤ルミ子は後藤留美名義で「スペクトルマン」(71年)で4回だけ怪獣Gメンとして出演している。他に君島清美、沢宏美、藤本真智子など。
先生役に目を向けるとヒロイン役の柏木由紀子は当時21歳で東山より1歳上。平田昭彦は「進め!青春」の江島教頭と同じようなキャラクターを演じる。学園長(北沢彪)はどこか気弱で、事実上教頭が学園を牛耳っている。他に花岡先生(梅津栄)、富永先生(美川陽一郎)など。この二人は高井に豪太郎を警察まで迎えに行くように振られると「どうも警察は苦手でして」と断るのだが、美川と言えば当時は「七人の刑事」(63~69年)の小西刑事役でお馴染みだった。番組が終了したばかりの時である。そういえば、佐藤英夫も「七人の刑事」で南刑事を演じていた。
他に豪太郎の下宿先の主人である林伸介(名古屋章)、その長女良江(北川めぐみ)、ルミ子(徳永礼子)の姉・紅子(浜木綿子)、紅子の店の従業員(関口昭子)、赤木(中沢治夫)の父・伝助(森川信)、勇の父・中本医師(太宰久雄)などが出演している。梅田、徳永、関口は揃って東宝ニュータレント8期生である。他の同期に「スペクトルマン」でお馴染みの成川哲夫がいる。次回に続く。