決めろ!フィニッシュ その3
もう一回だけ「決めろ!フィニッシュ」(72年)である。
本作は全18話という、中途半端な感じだが打ち切りというわけではないようだ。前々回に書いたように「シルバー仮面」と「アイアンキング」の間の番組なのだが、文字通りその両番組のつなぎで制作されたという見方もあるのだ。「シルバー仮面」は企画がまとまらないうちにクランクインして失敗したという反省から「アイアンキング」の準備期間を設けるために「決めろ!フィニッシュ」を制作したというような発言をプロデューサーの橋本洋二はしているらしい。
つなぎと言っても、視聴率は徐々に上昇していたところでの終了だった。当時の若手俳優中心だが、ゲストは今見ると豪華といえるのである。7~8話には仲雅美。バイクに乗って現れ、みゆき(志摩みずえ)の特訓現場に通りかかり「ヘンテコな特訓などやめろ」と茶々をいれる(実際ヘンテコだが)。実はみゆきの通う東和学園のOBで、そのヘンテコ特訓を見て挫折した水泳を再開するというお話。
9~10話は真山譲次。と言ってもピンと来ない人も多いかもしれないが、「人造人間キカイダー」(73年)に出てくる敵役ハカイダーの人間体を演じた役者だ。ゆえに長髪のイメージが強いが、本作では短髪で柔道着姿で登場。陸上部である次郎(三ツ木清隆)が何故か彼と柔道の秘密特訓をしいてるのをみゆきが目撃するという話。真山は「柔道一直線」(69~71年)では、ライバルの一人・赤月旭役で出演していたので、そのイメージからの出演であろう。彼は、戦前から戦後にかけて活躍した俳優岡譲司の長男である。芸名はもちろん父親から来ている。岡夫婦は晩年離婚しているが、真山の本名は父方の中溝ではなく母方の田中を名乗っている。
12~13話は西城秀樹。当時17歳でまだデビューまもない頃だ。シングルも2枚目の「恋の約束」が発売されたあたりで、まだ大ヒットは出ていないが、クレジットはトメでしかもピンである。しかし「西条秀樹」と誤表記されていた。これが初のドラマ出演と思われるが、さすがにまだ素人演技であった。このエピソードで一緒に出ていたのがコント0番地(車だん吉・岩がん太)である。
17~18話は沖雅也と梅田智子。二人は兄妹の役で牧場を営んでいる。次郎は卒業後はそこで働くと決めていた。妹も体操をやっており、兄はそのコーチでもある。ちなみに17話の出演者は志麻、三ツ木、梅田、沖の4人だけである。16話でみゆきは退部届を出して次郎の元を訪ねたのだが、追い返されるかもという心配をよそに次郎は普通に彼女を歓迎する。実は…というような話だ。
そして最終話。以下ネタバレ。みゆきは新技「スワン四回転ひねり」を編み出し東京に戻るのだが、坂井コーチ(中山仁)は簡単にみゆきの再入部を許さない。ジュニア選手権も出場できず、東和学園からは藤サチ(小林亜紀子)が選抜される。代表選考では強力ライバルの一人・井川啓子(児島美ゆき)が負傷であっさり脱落。結局、代表には星わかば(新井春美)、神かがり(萩生田千津子)、そして藤サチが選ばれる。飛行機で旅だつ三人を見送る中にみゆきの姿はなかった。坂井の指示で一人機材の手入れをやらされていたのである。そこに現れた坂井は「ジュニアなどくれてやれ、四年後のモントリオールで金メダルを目指せ。それができるのはお前だけだ」と言うのだった。
なんとなく、もやっとした終わり方に感じる人もいるかもしれないが、打ち切りではなさそうなので、予定通りなのだろう。
書き忘れていたベテラン出演者だが、白川由美(みゆきの母)、内藤武敏(みゆきの父)、千秋実(次郎の父)、三條美紀(次郎の母)、坂上二郎(一平少年の父)などがいる。ウィキでは一郎少年になっているが、一平少年のようだ。