泣くな青春 その2
前回に続いて「泣くな青春」(72~73年)である。
ヒロイン役の教師となるのが、有村校長(二谷英明)の娘である千秋(武原英子)である。教員の一人ではあるようだが、いつも父親のそばにいて秘書のように見える。当然、大和田(中山仁)とは相性が悪いのだが、5話から出演しなくなる。4話から7話までしか見ていないので、断定はできないのだが、このまま最後まで出てこないかもしれない。その替わり登場するのが佐伯先生(岩本多代)である。でもヒロインという感じではない。失礼ながら実年齢より、上に見えるタイプで主婦感があったりする(当時32歳)。中山は30歳だ。逆に年を重ねても見栄えはあまり変わらず、いつしか年齢が追い越した感がある。ちなみに「多代」は「ますよ」と読む。個人的には、ずっと「たよ」だと思っていた。
工藤教頭役は渥美国泰だが、この人のレギュラードラマというのは記憶にない。同時期に放送されていた「飛び出せ青春」の江川教頭役の穂積隆信は俳優座の同期である。
ゲストに目を向けると、4話に小林文彦、5話に千葉裕、7話に児島美ゆきと出演しているが、彼らの共通点がわかるだろうか。そう「ハレンチ学園」である。小林はテレビ版、千葉は映画版の山岸役で、児島は両方でヒロイン十兵衛(柳生みつ子)を演じている。D組生徒でレギュラーの福崎和宏(イキドマリ役)と合わせて、意識的なキャスティングであろうか。
小林はD組の生徒・大内を演じているが、突然自殺してしまう役である。過去の役柄のイメージからそういうタイプには見えないのが狙いかも。本作は基本的にはシリアスなドラマなのである。児島はA組の転校生・木宮役だが、彼女には売春の容疑がかかる。刑事として登場するのが、大和田も世話になったという島村(安部徹)である。真相は彼女の父親(小瀬格)が元ヤクザで、その時の子分と偶然再会したことで、過去を黙っていて欲しい彼女が売春行為をさせられそうになったというわけで、まあ結局はめでたしめでたしで終えている。
5話はD組の生徒・河野(粕谷正治)の裏口入学の話で、6話もD組の島(小原秀明)と光子(森るみ子)の恋愛話である。8話は予告だけ見たが、金貸しの生徒(藤間文彦)が登場し、彼に金を借りた女生徒(京春上)との話のようだ。藤間文彦は藤間勘十郎と藤間紫の息子で、スポ根ドラマ「ガッツ・ジュン」(71年)で主役を演じている。京春上は「きょうはるえ」と読み、本名は石濱春上。中国人ではない。彼女の両親が川端康成と知り合いで「春上」と言う名は川端が付けたものだという。芸名も川端が考えたもの。彼女も当時は関根恵子同様に際どいシーンを結構やっていた記憶がある。
他の回はほぼ見てないのだが、ゲストは平田昭彦、宮口精二、仲谷昇、地井武男、加藤武などで、おそらく生徒役で二瓶康一(火野正平)、松岡きっこ、鷹市太郎(沢田勝美)、沖田駿一などが出演している。
16話には「飛び出せ青春」から青木英美、最終の17話には武岡淳一、頭師佳孝、剛達人が登場したようだ。頭師や剛はカメオ出演だそうだ。
本作の後は全8話の「青春家族」という番組が放送されているところからも、17話で打ち切りであったと考えられる。シリアス展開が受けなかったのだろうか。
※次回の更新は、(おそらく)一週間後になる予定。