お宝映画・番組私的見聞録 -6ページ目

おれの番だ! その3

おれの番だ!」(64~67年)の続きである。
第17作は植木等主演の「大べらぼう」(全6回)。「ダイ」ではなく「オオべらぼう」である。この枠の植木主演作では初の時代劇。植木職人の源太植木)は、義理人情いは厚いが、何かにつけてヤセ我慢をする男。ある日それが原因で熊五郎夫婦安田伸、石井富子)が大喧嘩になってしまう。共演は横山道代、磯村みどり、木田三千雄、小島慶四郎、如月寛多、花沢徳衛、小林重四郎、小松政夫など。
第18作はハナ肇主演の「お山の大将」(全6回)。正社員になるために、一念発起して中学校に入学した労務者・軍平ハナ)。その中学は東北縦貫道路工事のため廃校の危機にあった。共演は益田喜頓、北沢典子、桜井センリ、高松英郎など。橋田壽賀子が脚本に参加しているようだ。
第19作は谷啓主演の「亭主関白」(全6回)。原作は源氏鶏太家庭との戦い」。熾烈な競争を経て、美人秘書・花子姫ゆり子)を嫁にした太郎(谷)だったが、家庭と仕事の板挟みに悩むことになる。共演は大坂志郎、勝呂誉、角梨枝子、茅島成美、穂積隆信、夏川かほるなど。
第20作は藤田まこと主演の「まないたの恋」(全6回)。本作の途中から67年に突入する。大阪の老舗の料亭のぼんぼん藤田)と東京のレストランの娘池内淳子)の恋物語。館直志の喜劇「東西両家の系図」をテレビドラマ用に脚色したもの。共演は本郷秀雄、雪代敬子、森健二、江戸屋猫八、京塚昌子、小畠絹子、小池朝雄、待田京介など。
第21作は植木等主演の「その一言が多かった」(全6回)。風呂桶のセールスマン南太植木)は成績はトップだが、余計な一言が多く出世ができない。植木が歌う「チョット一言多すぎる」をベースにしたドラマで作詞の中村メイコが共演している。ちなみに、作曲は夫の神津善行。66年の紅白歌合戦でクレージーキャッツはこの曲で出場している。他の共演者は渡辺文雄、高千穂ひづる、安田伸など。
第22作はハナ肇主演の「旅と共に去りぬ」(全6回)。大学出のインテリである洋平ハナ)は、芝居熱が高じて大衆演劇の一座に飛び込み、旅回りを始める。共演は花沢徳衛、市川寿美礼、小林千登勢、曾我町子、犬塚弘など。
第23作は谷啓主演の「身の上相談」(全5回)。大学出たての剛()は、怪しげな易者多々良純)の示唆で人生相談所に勤務し始めるが、その経営者である優子岸田今日子)の魅力に惹かれていく。他の共演者は川地民夫、犬塚弘など。
第24作は「おれの番だ!」最終作となる藤田まこと主演の「ああ漫才二等兵」(全6回)。42年から終戦の45年までを大阪と中国大陸を舞台に展開する異色兵隊ドラマ。漫才師の太郎藤田)を通して軍隊生活を描くようだ。相方の次郎三角八郎が演じる。共演は柳谷寛、藤岡重慶、三原葉子、小川知子など。最終話には植木、ハナ、谷も顔を見せて3年間のフィナーレを迎えた。
で話は前々回にループするのだが、本作終了から約1年後にクレージー、ドリフ、藤田まことを集めて「ドカンと一発!」が始まったのだが、1クールしか持たなかったのである。

おれの番だ! その2

おれの番だ!」(64~67年)の続きである。
第9作は植木等主演の「口から出まかせ」(全6回)である。代議士の熊坂進藤英太郎)の地元・出雲までスポーツカーの陸送を頼まれた小次郎植木)。そこへ熊坂の汚職疑惑を調べようとする謎の女子大生加賀まりこ)が近づいてくる。他の出演者は人見きよし、牟田悌三、七尾怜子、中原早苗、大屋満など。森繫久彌主演の映画「口から出まかせ」(58年)のドラマ化である。脚本は菊島隆三
第10作はハナ肇主演の「花咲く港」(全6回)である。昭和16年の夏、九州の上甑島にやってきたペテン師修造ハナ)と相棒の勝又丸井太郎)。彼等はこの島での一儲けを企んでいた。共演は浪花千栄子、市村俊幸、藤岡琢也など。原作は菊田一夫で、木下恵介の監督デビュー作(43年)でもある。
第11作は藤田まこと主演の「夜明けだよ おっ母さん」(全6回)。共演は京塚昌子、小畠絹子、待田京介、小池朝雄など。ナレーションは一龍斎貞鳳
ここから、66年に突入する。第12作は植木等主演の「男性No.1」(全6回)である。上杉(植木)は家政夫だが、ある日ホテルとは名ばかりの山小屋から仕事が舞い込んでくる。上原ゆかりがその娘役で出演。劇中歌をデュエットしている。共演は多々良純、黒柳徹子、芳村真理、三上真一郎、太刀川寛、有田双美子、岩上正宏、安田伸など。同タイトルの映画(54年)も存在するが、こちらは三船敏郎、鶴田浩二という二大スターの共演でカタギではない世界が描かれており、本作とは関係ないようだ。
第13作は谷啓主演の「喧嘩太郎」(全6回)。これは石原裕次郎主演の日活映画(60年)が有名で、同じく日活のテレビ版では杉良太郎が主人公を演じている。それを谷啓がやるという大胆不敵。実は源氏鶏太の原作は40ページほどの短編小説なので、映画やドラマはそれぞれ内容が大きく異なるのである。共演は横山道代、梓みちよ、曽我町子、桑山正一、十朱久雄、佐山俊二、左とん平、E・H・エリックなど。当時はアニメ「オバケのQ太郎」が人気で、初代オバQ役曽我町子だった。谷に好意を持つ飲み屋の女として出演していた。あと、テレビドラマデータベースを見るとドリフターズの面々も出演していたもようだが、クレジットは改名前の名前だったようだ。つまり、いかりや長一、荒井やすお、高木智文、仲本こうじ、加藤英文というもの。正確な改名時期は不明だが、この直後くらいではないだろうか。
第14作はハナ肇主演の「一等賞」(全6回)。ハナ演じる良介はなんでも一等賞でなければ気のすまない男だが、将棋名人の工藤中村伸郎)にしてやられる。共演は野川由美子、市川和子、なべおさみ、天野新士、三角八郎など。
第15作は藤田まこと主演の「骨までいただき」(全7回)。河内山宗俊の子孫と称するペテン師河内山宗吉藤田)が、大阪では競争が激しすぎるので、東京で一旗揚げようと新幹線に乗り込むが、その車中で陽子(朝丘雪路)を見かける。共演は花沢徳衛、佐山俊二、三條美紀、北川町子など。脚本は藤本義一
第16作は谷啓主演の「マヌケ人間」(全6回)。これは、今までの連作シリーズとは異なり谷が好きなSFやミステリーをコメディタッチで描く一話完結方式がとられているらしい。その第1話の原作は「火星人ゴーホーム」のフレデリック・ブラウン。共演は亀井光代、渡辺文雄、曽我町子、芳村真理、上原ゆかり、黒柳徹子、市川和子、弓恵子、北あけみ、長門裕之、犬塚弘など。2話分のVTRを谷啓自身が所持していたという。次回に続く。

おれの番だ!

前回に続き、クレージーキャッツ関連のテレビドラマから「おれの番だ!」である。
ドカンと一発!」は13話で打ち切られたのだが、「おれの番だ!」は64年から67年の丸三年続いたのである。と言ってもロングランドラマというわけではなく、「おれの番だ!」というのは枠の名前なのである。植木等、ハナ肇、谷啓、藤田まことの四人が交替で主演を務める6~8話完結のドラマが同枠(月曜21:30~22:00)で続いていく形式なのである。
主題歌は四人で歌っているが、誰が主演かで歌う順番が変わるスタイル。たとえば、植木主演ならハナが歌い出しで、締めは植木の「おれの番だ!」というセリフだし、谷が主演なら藤田が歌い出しで、締めは谷になる。藤田バージョンのみ締めは「俺の番やでぇ!」になっている。
その第1作となるのが植木主演の「気まぐれ野郎」(全8回)である。原作は星新一で、共演は野川由美子、扇千景、三遊亭円生、中村是好、渡辺文雄、ハナ肇など。今回のハナのように主演以外の三人も時間が許せばゲストで出演したりしていた。本エピソードは大雑把に言うと植木と野川が偶然出会って、意気投合して…、という話だが、野川の役柄がテレビドラマデータベースではセールスレディ、前回も紹介した『植木等ショー!クレージーTV大全』という書籍では女子大生となっている。どっちが正解かは不明だ。
第2作はハナ主演の「馬鹿まるだし」(全8回)である。63年にハナの主演で映画化された同作のドラマ化である。その監督であった山田洋次が今回は脚本で参加しているらしい。共演は桜町弘子、永井秀和、犬塚弘、中尾ミエ、高野通子、森健二など。犬塚は映画版にも出演しているが、その時と同役かどうかは不明だ。
第3作は藤田主演の「元禄あだうち男」(全8回)。詳細は不明だが、タイトルから察するに時代劇であろうか。共演は葉山葉子、水島道太郎、高原駿雄、潮万太郎、瞳麗子、柳谷寛、舟橋元、そしてクレージーキャッツのメンバー七人全員が出演したようである。
65年になり、第4作は「鍵にご用心」(全8回)。ようやくが主演で、原作はフランク・グルーバー走れ盗っ人」。谷が扮する天才的な錠前師が金庫破りの一味に目を付けられてしまう話だ。共演は芳村真理、待田京介、そしてハナ肇犬塚弘、石橋エータローなど。
第5作は植木主演の「大穴」(全6回)。万年落第生の植木はカンニングペーパーを作って後輩たちに売りつけている。その手腕を就職試験に発揮するという「無責任男」をイメージさせる話。共演は清水まゆみ、安田伸、遠藤辰雄(太津朗)、藤原釜足、田中春男など。
第6作は藤田主演の「快男児浪花太郎」(全6回)。昭和の初め、藤田扮する太郎が借金の取り立てを命じられて旅回りの劇団に向かうが、芝居にのめり込んでしまい一行とともに地方巡業へ出てしまう。黒柳徹子が民放の連続ドラマに初出演するのが話題となった。共演は遠藤辰雄(太津朗)、南原宏治など。
第7作はハナ主演の「ボラ安の唄」(全6回)。山田洋次が落語「らくだ」をベースに脚本を担当。後に山田はハナや谷と組んで「喜劇一発大必勝」(69年)をやはり「らくだ」をベースに撮っている。共演は進藤英太郎、三ツ矢歌子、沢たまき、桜井センリ、なべおさみなど。
第8作は主演の「一匹野だいこ」(全6回)。舞台は大正時代の浅草。野だいことは俗に言う「たいこもち」のこと。実家の米問屋が潰れ、野だいことなった谷啓。昔その女中だったお花賀原夏子)とばったり出くわす。共演は中尾ミエ、福田豊土、朝丘雪路、三遊亭円生、立川談志、オペラ歌手の田谷力三など。脚本は池田一朗(隆慶一郎)。次回に続く。

ドカンと一発!

前回の「S・Hは恋のイニシァル」(69年)が制作されるきっかけとなったのが「ドカンと一発!」(68~69年)である。
この番組については15年ほど前に発売された「植木等ショー!クレージーTV大全」という本に多少解説が載っていたので、そこから紹介したい。
本作はクレージーキャッツと人気上昇中だったドリフターズ、そして藤田まことを一堂に集めたというドラマなのである。全員が当時は渡辺プロの所属だったから可能だったわけだが、とにかく鳴り物入りで始まったことは間違いない。
当時は霞ヶ関ビルの36階建てというのが日本で一番高いビルだったが、本作の舞台は39階建てビルの最上階にあるという商事会社「日乃本物産」。その人員構成は、大塚社長犬塚弘)、花山副社長兼総務部長ハナ肇)、植田第一営業部長(植木等)、谷口第二営業部長谷啓)、藤井第三営業部長藤田まこと)、桜田総務課長桜井センリ)、営業部員・安原安田伸)、営業部員・石山石橋エータロー)となっており、その仕事を一手に引き受けている「東西運送」の社員がザ・ドリフターズ(いかりや長介、荒井注、高木ブー、仲本工事、加藤茶)となっている。いかりや長介の役名は刈谷というらしい。
キャラ設定だが、大塚は富豪の娘・とみ子春川ますみ)と結婚。彼女の親が39階ビルの持ち主だったので、大塚はビルのオーナーに収まった。その話を聞きつけた悪友たちが、大塚をおだてて「日乃本物産」を設立してしまったのである。
植田はアメリカから一文無しで帰国した猛者で、その信条は「何事もドカンと一発やれ」という大言壮語な人物という植木が映画でやっていたのと同じようなキャラである。花山は義理人情に厚く、会社の実権を握っている。谷口はインテリのお坊ちゃんで、母親(小桜葉子)や妹(山東昭子、佐々木愛)と暮らしている。藤井は関西出身で、元車のセールスマン。新入社員募集でやって来たのが桜田、安原、石山で、彼らはひやかしで面接を受けに来たつもりだったが、植田の口車に乗せられて入社する羽目になったのだった。役柄は不明だが、他にレギュラーとして挙がっていりのが、島かおり、中村メイコ、北林早苗、笠置シヅ子など。
映画のノリにかなり近いがシリーズ構成が、クレージー映画も手掛けた田波靖男で、田波と社長シリーズの笠原良三がメインライターである。エピソードごとに主人公は替わっている。
1話…植木等、2話…ザ・ドリフターズ、3話…クレイジー・キャッツ、4話…藤田まこと、5話…植木等、6話…谷啓、7話…ザ・ドリフターズ、8話…ハナ肇、9話…藤田まこと、10話…藤田まこと、11話…ザ・ドリフターズ、12話…谷啓、13話…ハナ肇
これだけのメンバーが揃っていながら低視聴率にあえぎ、13話で終了することになった。これは、クレージー人気に既に翳りが見え始めていたことや、ドリフを超人気者に押し上げた「8時だヨ!全員集合」はまだ始まっていなかったこともあるだろう。テレビドラマデータベースの解説には12話で終了とあったが、ちゃんと13話放送されたようである。後番組の「こんにちは!そよ風さん」が12話で終わったので、「S・H~」が全14話ということになったのではないだろうか。
 

S・Hは恋のイニシァル

唐突だが「S・Hは恋のイニシァル」(69年)である。
前回までの中心だった中村竹弥が出ているというところから思いついた。長いこと当欄をやっているが、これは取り上げたことなかったと思う。何故なら、単純に情報不足だから(取り上げていたらスミマセン、完璧に忘れている場合もあるので)。出回っている動画と言えば、「テレビ探偵団」で流れた2分弱のもののみ。この状態は今世紀に入ってから変化はないはずである。CSでの放送はないし、ベストフィールドあたりからのDVDも発売はされていないようだし。
再放送に関しては不明だが、少なくとも50年近くはされていないのではないだろうか。
さて「S・Hは恋のイニシァル」だが、まずタイトルは「イニシャル」ではなく「イニシァル」が正しいらしい。確認できるタイトルバック映像では、確かに「イニシァル」となっている。そして、放送枠は「ナショナル劇場」である。しかも、急遽決定した穴埋めドラマだったのである。どういうことかというと、渡辺プロが26回の予定で受注した「ドカンと一発!」が12回で終了。残り14回分を埋めるために、「ナショナル劇場」から離れていた松下電器のプロデューサー逸見稔が再登板の運びとなったのである。ちなみに、「ドカンと一発!」の後番組は「こんにちはそよ風さん」という酒井和歌子主演のドラマが全12話放送されており、その次が「S・Hは恋のイニシァル」だったわけである。
結城一平布施明)は毎朝新聞文化部でテレビ・ラジオ欄を担当することになった新米記者。入社式の朝、通勤バスの中でチンピラが乗客にからんでいる場に遭遇する。同僚である坂田龍馬石立鉄男)とともに、チンピラどもを成敗する。微かに血を滲ませた結城に、サッとハンカチを差し出す謎の美女(伊東ゆかり)、そのハンカチにはS・Hのイニシャルが織り込まれていた。このS・Hの美女にほのかな恋心を抱く一平と、彼の前に次々と現れる美女たち、みな奇遇にもイニシャルはS・H、平山節子梓英子)、羽佐間小夜ジュディ・オング)、羽佐間すみれ小山ルミ)、はたして一平はどのS・Hと結ばれるのであろうか。というのが大雑把なあらすじ。つまり、メインヒロインは伊東ゆかりということになるのだが、彼女の役名は北条しのぶという。他のレギュラーだが、平山文化部長大坂志郎)、羽佐間静子月丘千秋)、坂田金五郎中村竹弥)結城重太郎森繫久彌)と結構豪華な顔ぶれだ。
あと、大原麗子もレギュラーのようだ。「テレビ探偵団」の映像では、彼女が映ったあと、「ホンダソノミ、S・Hだ」と布施明が声にするので、大原もS・Hの一人だったこもしれない。後はゲストか一回限りかよくわからんが、左とん平、中村晃子、いしだあゆみ、砂塚秀夫、森進一、竹脇無我、毒蝮三太夫、戸川昌子などが出演していた。中村晃子は本人の役で、毒蝮は「金原亭金馬(字は適当)」と名乗っていた。
主演の布施明は当時22歳で、本作が初の主演作である。布施もヒロイン役の伊東ゆかりも当時は渡辺プロ所属の歌手であった。
ドラマは好評だったようだが、予定通り14話で終了。翌週からスタートしたのが国民的人気番組となる「水戸黄門」なのである。

丹下左膳(中村竹弥版)

もう一つ、中村竹弥主演の時代劇である。
燃ゆる白虎隊」(65年)終了から三か月後にスタートしたのが、誰もが知っているであろう「丹下左膳」(65~66年)である。隻眼隻手の時代劇ヒーローだ。現代では片目片腕などと言ってはいけないのである。片手落ちという表現も控えた方が良い、とマスコミ界ではなっているようだ。
テレビドラマ化は、この時点で4度目であり、中村は丹波哲郎、辰巳柳太郎、大村崑に続く4人目の左膳ということになる。この後も松山英太郎、緒形拳、高橋幸治と続くが、70年代後半くらいからか、こういったハンディキャップ時代劇のレギュラー放送は難しくなり、80年代以降はSPドラマとして、仲代達矢、藤田まこと、そして2004年に中村獅童が演じたのが最後となっているようだ。
映画界では無声映画時代の団徳磨、嵐寛寿郎、大河内伝次郎、トーキー時代になっての月形龍之介、戦後の水島道太郎、大友柳太郎など、錚々たる時代劇スターが演じていたが、一番好評だったのは、やはり中では一番長く演じていた大河内伝次郎のようだ。「しぇい(姓)は丹下、名はしゃぜん(左膳)」という独特のセリフ回しが人気を呼んだようだ。
今回のドラマ化は、中村竹弥がどうしても左膳をやりたいとTBSに頼み込んだらしく、そしてTBSから宣弘社に話が行ったものだという。宣弘社と言えば、「月光仮面」「隠密剣士」。本作でもその監督であった船床定男を始めとしたそのスタッフが集結している。しかし、脚本は伊上勝ではなく「月光仮面」の原作者でもある川内康範が担当することになった。主題歌の作詞を担当した川内和子とは川内康範のこと。
中村以外の出演者だが、中原早苗(おふじ)大森俊介ちょび安)、小山明子(おれん)、光本幸子萩乃)、砂塚秀夫鼓の与吉)、菅貫太郎柳生源三郎)など。大森俊介は「隠密剣士」の周作少年だ。他の船床キャスティングは、牧冬吉月形左門)が後半はほぼレギュラー、天津敏流十次郎)は一回のみ。
複数回登場する役者が多く、瑳川哲朗峰丹波)、戸上城太郎蒲生泰軒)、黒丸良高大之進)、伊達正三郎伊吹大作)、江見俊太郎鷹丸)小林重四郎津田玄蕃)、藤原釜足一風宗匠)、花沢徳衛愚楽老人)、楠トシエおきん)などセミレギュラーみたいなものだ。
ところで、丹下左膳というキャラは有名だが、そもそもどういう話なのか知っている人は少ないのではなかろうか。ひょっとしたら、悪を退治する正義の素浪人と思っている人がいるかも。
八代将軍徳川吉宗の時代、柳生の里に、日光東照宮の造営という役目が申しつけられた。藩主の相談を受けた僧正は、柳生家に代々伝わる「こけ猿の壺」には先祖が隠した幾百万両もの黄金のありかが隠されていると明かす。しかしその壺は、すでに、藩主の弟が婿入りする際の引き出物として、江戸に渡っていた。さらに、偶然そのことを知った者たちが壺を狙い、動き出す。偶然壺を手にした少年は、丹下左膳のいる小屋に飛び込んだ。丹下左膳を中心に、柳生家、幕府の手の者が争奪戦を繰り広げていく。というような話なのである。
番組は半年で終了するが、中村竹弥はこのタイミングでTBS専属を離れたようである。本作が主役を演じた最後になったようだ。
※四年ほど前にも取り上げている番組だが、内容は多少違うのでご容赦。

燃ゆる白虎隊 その2

 

引き続き「燃ゆる白虎隊」(65年)である。
本作では白虎隊以外にも、娘子(婦女)隊というのも登場する。これは名前の通り、中野竹子らにより自発的に組織された女性だけの郷里防衛隊である。本作では中野竹子を中川竹子中西杏子)、妹の優子を中川夕子勝間典子)としている。主人公である日向外記中村竹弥)の娘・美音佐々圭子)も参加する。また、参加者の神保雪子(加藤澄江)は実在の人物で、軍事奉行添役・神保修理の妻である。何故かそのままの名前で登場している。
10話で白虎隊では最年少となる永井雄介佐久間三雄)が功名に焦って、戦死してしまう。演じた佐久間三雄の詳しいプロフィールは不明だが、「火曜日の女シリーズ」の「あの子が死んだ朝」(72年)で、ホームジャックする少年グループの一人を演じていた。水谷豊、火野正平、沖田駿一らが仲間だが、気難しそうな佐久間が一番怪しい雰囲気があった。この家(水谷演じる少年の家)の主婦を演じたのが「燃ゆる白虎隊」では外記の妻役である加藤治子である。佐久間の活動記録はこの72年頃までである。
最終話前、和平工作は失敗に終わり、外記は中二番隊を率いて出陣することになる。この後の外記の行動が物議を醸すことになったのである。
外記のモデルである日向内記だが、長いこと卑怯者だの言われていた人物らしい。8月22日夜、日向隊長は敢死隊へ軍議のため一人隊を離れたのだが、行方不明となり翌日になっても戻って来なかったのである。代わりに小隊長である篠田儀三郎が指揮をとった。その後、三人が戦死し、残った17人は飯盛山に辿り着くが、若松城からの煙を見て、全員が自死を選んだのである(一人は蘇生する)。その後、内記が帰還したため、一人だけ逃げたと批判されることになったようなのだ。
本作は、その内記(外記)を主人公しているので、ちゃんと理由(事情)あっての行動であり(敵に遭遇し身動きが取れなかった)、卑怯者なんかではないという内記の名誉回復を訴えようとする番組なのかもしれない。
最終話では、娘子隊に加わっていた美音が戦死したり、篠田清川新吾)を慕う小夜高野通子)も銃弾に倒れる。実際の娘子(婦女)隊では中西竹子や神保雪子は戦死したが、中西優子は生き延び結婚もしている。
一人、はぐれる形となった外記は戦火の中、外記は中二番隊を探しまわる。戦況不利の中、出会った老兵に「何故ご家老は腹を切らないのか」のかと批判されても、「わしは彼等(白虎隊)に遭わねばならんのだ」というスタンスを崩さない。やっと飯盛山に辿り着いた外記が見たものは、彼らの果てた姿であった。すぐに後を追うことを示唆して番組は終わるのである。
実際の日向内記はというと、自ら死んだりはせず、明治18年に59歳で亡くなったのである。実際どんな人物だったかわかるはずもないが、批判されがちな人物像が見直される風潮にあるようだ。

燃ゆる白虎隊

週二更新を基本としているが、今週も含めてこれからは週一の時もあるかも。
というわけで、前回の「青年同心隊」と同様に、近年CSで放送された激レアな時代劇「燃ゆる白虎隊」(65年)を取り上げたい。やはり国際放映の制作で、全13回のモノクロ30分ドラマということもあり、再放送などの機会にはほぼ恵まれなかったと思われる。
タイトルにある通り白虎隊を描いたドラマなのだが、個人的には白虎隊関連のドラマって一度も見たことは無いと思う。年末か年始かの長時間スペシャルドラマとかでやっているイメージ。日本史でも軽く触れる程度だった気がするので、基礎的なことしか知らない領域なのである。
慶應4年、鳥羽・伏見の戦いにより戊辰戦争が勃発。会津藩主松平容保が江戸幕府側で活動してきたため、会津藩は佐幕の中心とみなされ、新政府軍の仇敵となった。そこで、会津藩は武家男子を集めて、玄武隊、朱雀隊、青龍隊、そして白虎隊らを結成。年齢別で分けられており主に15~17歳の少年で組織されたのが白虎隊である。
よくドラマとして取り上げられるのは、その中の士中二番隊で本作もそうである。で、その隊長が家老でもある日向内記である。「燃ゆる白虎隊」では、創作部分も多く含まれているからか、松平容保板垣退助以外は実名は使われておらず主人公も日向内記(ひなたないき)を模した日向外記(ひゅうがげき)となっている。その外記を演じたのが中村竹弥である。本作では何故か松平容保との二役である。
中村竹弥と言えば「大江戸捜査網」の内藤勘解由のイメージが強いが、元々は名前の通り歌舞伎役者である。と言っても無名に近い存在で、映画に招かれることなどもありえなかった。しかし53年のテレビ開局に伴って、すぐにテレビ時代劇に進出(当時35歳)。KRテレビ(現・TBS)の専属俳優となり「半七捕物帳」「右門捕物帳」「旗本退屈男」「新選組始末記」など人気時代劇で立て続けに主役を演じ、一躍人気俳優となった。ゆえに、歌舞伎出身で、テレビが生んだ時代劇スターの第1号と言われている。
で、その中村演じる日向外記は会津藩家老で、藩校日新館の館長。この日新館の生徒が白虎隊のメンバーでもある。その講師でもある河原田健吉天野新二)は士中二番隊副隊長だが、藩命により白虎隊を離れて出陣していく。その代わりに副隊長となったのが篠田勇三清川新吾)である。
以下は主な白虎隊士だが、梶原和馬三田明)、原圭次郎高島稔)、種部虎之助立花伸介)、井草達馬伊藤健雄)、林田八十治浜こうじ)、永井雄介佐久間三雄)など。
三田明は当時18歳で、言わずと知れた人気歌手。橋。舟木、西郷の御三家に彼を足して四天王と言うこともあった。本作の主題歌も彼が担当している。三田が演じる和馬は家老である梶浦大作神田隆)の息子だが、和馬は父より外記を慕っていた。外記は戦争反対派だが、大作は主戦派であった。大作は実在の家老・梶浦平馬がモデルとなっている。
他のキャストだが、外記の妻・志保(加藤治子)、外記の娘・美音(佐々圭子)、小夜(高野通子)、西条頼母(佐々木孝丸)、板垣退助(神山繁)などである。

青年同心隊 その2

引き続き「青年同心隊」(64~65年)である。今回はドラマの中身についてである。
主演四人それぞれのキャラだが、林兵馬西島一)はその背景は語られることはなかったが、真面目人間で庶民側にたって物事を考えるタイプ。特に通称はない。黒木荘司高島英志郎)は、御家人の息子だがぐれて、武士ではない不良仲間とつるんでいた。その時についたあだ名が「ノラさん」(野良犬から)。気性は一番荒っぽい。佐野金六石川進)は武家ではなく、みそ卸問屋「佐野屋」の息子。同心株を買って役人になったため、剣術・武術は全くダメ。コメディリーフ的な存在。通称「サノ金」。関口信吾石間健史)は他の三人と仲が悪いわけではないが、己の考えを貫くタイプで、一人別行動をすることも多い。口癖が「御意」であることから「ギョイさん」と呼ばれる。
第1話では彼らの指南役は堅物の田倉伊十郎南廣)だったのだが、辻斬りに斬られて殉職。何故か刀を抜いていなかったが、実は竹光だった。自分が捕まえた人間の家族に密かに支援したりしていた為、生活は困窮していたのだった。普通なら下手人を捕まえて一件落着となるところだが、相手は身分の高い侍だったようで、事件は闇に葬られることになった。これが奉行所の限界であることを与力の久保田佐野周二)は四人に隠さなかった。何とも後味の悪いスタートをきったのである。
第2話では四人に仮配属が言い渡される。は御赦免人別係、黒木は隠密回り、佐野は高積見回り役、関口は吟味方である。日頃時代劇を見ている人なら分かるであろう役回りだろう。隠密回りは変装して事件を探る、高積見回りは言葉通り道端に高く積まれている荷物を計って指導する役。「影同心」で渡瀬恒彦がやっていた表の仕事だ。
第3話は黒木のかつての仲間だった英次椎名勝巳)が殺人事件を起こす。二人だけで会いたいという英次に黒木が一人で向い自首を促すが、関口が独断で捕方を引き連れて英次を捕らえる。それで、黒木と関口が対立するという話。
第4話は元同心の榊(庄司永建)が、かつての同僚加川戸浦六宏)を付け狙う話。他に山東昭子、近石真介がゲスト。
第7話は江戸を離れての話だが、「柔道一代」でレギュラーを務めた黒丸良が八州回り役で登場。黒木や佐野が八州回りの領域に踏み込んでしまうのだが、八州は「目的は同じだ」と物わかりの良い人物であった。
第9話は誘拐の話で進藤英太郎、江戸家猫八、穂積隆信などがゲスト出演。この回で四人は見習いから正式な同心となる。林と佐野は定町回り、黒木は隠密回り、関口は吟味方と2話で言い渡された役を踏襲している。
第10話は65年元日の放送だったようで、劇中でも大晦日から元旦が描かれている。大辻伺郎、石浜朗がゲストで、牢破りの話である。
第12話は克美しげるがゲスト出演。書き忘れていたが、本作の主題歌は克美が歌っている。当時は人気絶頂だったが、ご存知と思うがこの10年後に殺人事件を起こすのである。
最終話は水島道太郎がゲストだが、主役も水島が持って行ってしまった感じであった。
監督・企画の飯島敏宏によれば、米の戦争ドラマ「コンバット」をイメージした時代劇だったという。つまり小隊長が佐野周二で、軍曹が戸浦六宏ということだったようだが、「コンバット」を感じた人はあまりいなさそうな気がする。

青年同心隊

人気を呼んだ「柔道一代」の後番組だったのが「青年同心隊」(64年)という時代劇なのである。
TBSのプロデューサーだった飯島敏宏の企画であった。飯島は3年に渡って放送された「月曜日の男」(61~64年)では、プロデューサーでありながら演出や脚本も担当。63年から国際放映に出向し、「柔道一代」の途中から監督として参加するようになり、その流れでの「青年同心隊」である。この後、円谷プロに出向し「ウルトラQ」を皮切りに「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」で監督・脚本を務めることになる。
さて「青年同心隊」だが、数年前にCS(時代劇専門チャンネル)で放送されたのである。60年も前の誰も知らないような作品の映像がよく残っていたなと(しかも全話)思う。国際放映は結構映像が残っているイメージがある。
端的に言うと四人の見習い同心の成長物語である。その四人とは林兵馬西島一)、黒木荘司高島英志郎)、佐野金六石川進)、関口信吾石間健史)である。彼等の上司となるのが次席同心の加川隼人戸浦六宏)であり、与力の久保田雅之佐野周二)である。加川は隻眼で、鬼と恐れられる存在だが、逆に久保田は平素は穏やかな人物である。久保田の娘が志乃紫志乃)で、レギュラーと言えるのはこの七人。後は岡っ引きの八十吉土屋靖雄)や伸六柳谷寛)、魚屋の娘おけい裕圭子)が2~3度づつ登場している。
この中では佐野周二は言わずと知れた映画スターだが、58年頃からテレビドラマにも進出。見習い同心の役名が佐野や関口(本名・関口正三郎)なのは偶然ではなさそうだ。
戸浦六宏は既にベテラン感があったが、当時34歳で、映画やテレビに出始めたのは60年になってからである。京都大学時代から演劇はやっていたが、卒業後は高校の英語教師に。同窓だった大島渚が監督する「太陽の墓場」(60年)に出演することになったのがデビュー作となる。悪役のイメージが強いが「新選組始末記」(61~62年)では土方歳三を演じており、当時はまだそのイメージが強かったかもしれない。
石川進は当時31歳。53年にハワイアンバンドのメンバーとしてデビューし、ダニ飯田とパラダイスキングのボーカルとしてしられるようになる。62年にソロとなり歌手だけでなく俳優や声優、司会者としての活動もスタートさせている。
高島英志郎は前作「柔道一代」から引き続きの出演。東映ニューフェイス高島新太郎としてデビューしたが、「柔道一代」の途中で英志郎に変更したようだ。スピンオフではないが、その時間に馴染みのある役者がいた方がいいと思ったのだろうか。石間健史は詳細不明だが、テレビドラマデータベースでは60年頃からその名が見られ、79年まで出演記録がある。
西島一紫志乃はオーディションで選んだ全くの新人である。飯島は予算の関係と清新なイメージを強調したくて二人を選んだが、それが裏目に出たと後に語っている。佐野や石川のギャラは高そうな気がするけれども。視聴率は振るわず13話で終了してしまうのである。