柔道一代 その2
前回に続いて「柔道一代」(62~64年)である。
メインの五人の他に瞬海和尚役の陶隆がレギュラー扱いのようである。他はゲスト扱いになっているが、判明しているところでは飯田覚三、高松正雄、小山明子、柳生博、田崎潤、岸正子(加賀ちか子)、近衛敏明、龍崎一郎、山本豊三、藤田佳子、松本朝夫、小笠原弘、関みどり、磯村みどり、宮城千賀子、江見俊太郎、松村達雄、成瀬昌彦、小林重四郎、清川新吾、牟田悌三、長内美那子、吉田義夫、初名美香、浅見比呂志、上田吉二郎、丘野美子、六本木真、津沢彰秀、高木二朗、高須賀忍(沖竜次)、嵐寛寿郎といったところである。
新東宝の出身者が結構いるが、これは制作がTBS及びNACだからであろう。NACとはニッポン・アートフィルム・カンパニーの略。61年に新東宝が倒産すると清算会社としての新東宝、配給会社の大宝、制作部門のNACの3社に分割された。大宝の配給作品は5作のみで終わったが、NACはテレビドラマに進出し成功を収め、64年に国際放映に改称され、現在も会社は継続中だが、2018年にドラマ制作からは撤退したらしい。
上記の出演者で役柄がはっきりしているのは、嘉納の師匠にあたる飯久保恒春役の飯田覚三、明治天皇役の嵐寛寿郎くらいだ。アラカンの天皇役というのは新東宝の映画でもお馴染み。37話が「明治天皇御前試合」なので、そこに登場するようだ。
脚本は池上金男、七条門、藤川桂介、山浦弘靖などが担当したが、33話のみ大島渚が担当している。これは大島がこの回を担当した監督の中川信夫のファンだからということらしい。監督は仲川の他、柴田吉太郎、小野田嘉幹、山田達雄など。ちなみに、33話のゲストとして大島の妻である小山明子が出ている。
元々は26回の予定でスタートしたと言うが、好評で延長を重ね最終的には全95話となっている。ただ、最後のほうになると嘉納の人生のいつ頃を描いているのか曖昧で、主演の御木本伸介も「演じている自分たちもよくわからない」と語っていたそうだ。
番組主題歌である村田英雄の「柔道一代」も大ヒット。63年に東映で映画化されるが、キャストは全く違っており、村田の主題歌のみそのまま使われた。主演は千葉真一だが、嘉納治五郎ではなく西郷四郎にあたる人物(本郷四郎)が主役だ。嘉納にあたる香野は杉浦直樹、富田にあたる戸田が室田日出男、横山にあたる横川が曽根晴美、山下に当たる中山が山本麟一である。こちらには村田も本郷と友情を結ぶ大村という役で出演しており、しかもクレジットは千葉やヒロインの佐久間良子を差し置いてトップである。
以前、どこかで書いたのだが終盤に嘉納のライバル役で出演していた高須賀忍(新東宝時代は沖竜次)は最終話収録後に、映画の撮影で赤尾関三蔵と手錠で繋がれたまま川を渡るシーンで、共に流されてしまいそのまま行方不明に(二人の遺体は見つからなかった)。「柔道一代」の方はまだアフレコが残っていたが、高木二朗が代役でアフレコしたという。
柔道一代
急に時代が遡るのだが、当時流行った柔道ドラマの中から「柔道一代」(62~64年)である。
柔道と言えば嘉納治五郎というくらい、自分もそうだが柔道を知らん人でもその名は知っているという人は多いのではないか。本作はその嘉納を主人公とした初の映像作品だそうだ。
嘉納と講道館四天王と呼ばれた四人の高弟をモデルとした作品である。ただ、フィクションな部分も織り込まれているので、登場人物は全て(よく似た)仮名となっている。講道館も弘道館となっているが、まあそのままに近い。
嘉納治五郎は真野修五郎、富田常次郎は宮田源次郎、西郷四郎は郷文四郎、横山作次郎は横川耕次郎、山下義韶は山上義郎とそれぞれ変えられている。山下のみ名前に「郎」が付かないが、本作では全員「郎」で終わる名前に統一している。ちなみに「姿三四郎」の作者富田常雄は、富田常次郎の息子で、三四郎のモデルとなったのは父ではなく西郷四郎である。
出演者だが主役の真野には御木本伸介、宮田は黒丸良、郷は高島新太郎、横川は友田輝、山上は宇南山宏となっている。師匠と弟子というとかなりの年齢差を想像してしまうが、実際の嘉納と四天王の年齢差は4~6歳程度なので、キャスティングもそんな感じになっているようだ。
主演の御木本伸介は当時32歳。大学時代に新東宝の「戦艦大和」(53年)にエキストラ出演したことをっきかけに、55年に新東宝に入社する。主に助演として活躍するが、「三人の女強盗」(60年)では、三人の女強盗犯(万里昌代、星輝美、左京路子)を乗せてしまう主役のタクシー運転手を演じている。新東宝倒産後はテレビを中心に活動するが「新選組始末記」(61~62年)の伊東甲子太郎役が好評で、本作の抜擢に至ったらしい。柔道はほぼ未経験であった。
黒丸良も新東宝の脇役俳優出身だが、詳しいプロフィールは不明で59年にデビューしたと思われる。何と言っても「マグマ大使」(66~67年)の木田記者役が有名だろう。南廣と千波丈太郎を合わせたような顔が特徴だ(個人的見地)。
高島新太郎は当時25歳。東映ニューフェイス5期生出身で、同期は梅宮辰夫、八代万智子、応蘭芳など。映画よりテレビでの活躍が目立ち「雪麿一本刀」「風雲黒潮丸」(61~62年)などでは主役を演じている。本作の放映中63年に東映を退社。主要キャスト5人の中では一番柔道ができたという。「特別機動捜査隊」では山崎刑事を数年に渡って演じたが、その間に新太郎→英志郎→弘行と芸名を変えている。「特捜隊」降板後に姿を消してしまった。
友田輝は当時27歳。大映出身で59年にデビューし、「拳銃の掟」「襲われた手術室」(60年)等では、主役に抜擢されている。テレビでは「黒いパトカー」(61年)の主演や、「隠密剣士」の第二部(63年)では、敵役の頭領・甲賀竜四郎を演じている。「新忍者部隊月光」(66年)で敵の首領・幻影仮面を演じたのが出演記録の最後となっている。
宇南山宏は当時28歳。当時は青年座という劇団に属しており、彼のみ映画会社出身の俳優ではない。地味に脇役として長く活動し、70年代後半は日活ロマンポルノにも数多く出演していた。80年代も結構テレビには出演していたが、84年に突然の鉄道自殺。48歳であった。
役者紹介で終わってしまったので、次回に続く。
赤い靴
もう一つだけ女子スポ根ものを。数回前にちょっと話題に出ているい「赤い靴」(72~73年)である。タイトルだけで想像がつくかどうか微妙だが、バレリーナの世界を描いたものだ。今「赤い靴」で検索すると韓流ドラマがトップに出てきたりするが、どうやらサスペンス的な作品のようで、この「赤い靴」とは何の関係もなさそうである。知らんけど。
等ブログでも15年ほど前に取り上げたことがあった若干間違っている部分もあるようだ。そんなわけで改めてになるが、本放送当時は存在は知っていた気がするが、自分が見るタイプのドラマではないので、まともに見たことは無い。CSでも少なくとも自分が加入してからは、放送されていないし、動画などもOPが挙がっている程度なので、大雑把な部分しか知らないのは15年前と一緒である。
原作と脚本は上條逸雄で、製作はTBSと東宝である。その内容はヒロインの小田切美保がバレリーナだった母の後を継ぎ、「和泉バレエ団」に入団し、プリマドンナを目指していくというお話。
その美保を演じるのは「ゆうきみほ」で当時23歳。この時点では女優だったわけではなく、4歳からバレエを始め、16歳の時にプロのバレエダンサーとしてデビュー。二度にわたりニューヨークにバレエ留学もしているという本格派のバレリーナだったのである。本名は靭(うつぼ)啓子という珍しい名前なこともあり、作家の五味川純平よりゆうきみほという芸名をもらったという。ちなみに「靭」とは矢を入れる容器のことで、魚のウツボは「鱓」と書く。そういえば、この頃の樹木希林の芸名は悠木千帆(ゆうきちほ)で、一字違いである。ちなみに彼女の本名は中谷啓子(旧姓)で、同じ啓子だったのである。
話を戻すと当初から本職のプリマ級の人を起用しようと牧阿佐美バレエ団にいた彼女に目を付け、交渉したが、一時は決裂し企画が延期になったりしたという。ライバルの甲斐鏡子には「金メダルへのターン」で主演だった梅田智子が起用されたが、本作では梅田智美を名乗っていたようだ。ちなみに彼女も10年以上のバレエ歴があった。ライバルイコールいじめ役というわけではなく、先輩の稲村節子(八代るみ子)が、その役を担ったようだ。演じた八代については詳細不明だが、本作がデビューらしく、以降は「太陽にほえろ」や「どてらい奴」にゲスト出演した記録がある程度で、75年頃には引退したと思われる。
「和泉バレエ団」の代表・和泉邦江に南風洋子。宝塚歌劇団出身で、名前は南田洋子に似ているが顔は岸田今日子に似た感じである。「みなかぜ」と読むのが正しいらしい。あと、竜崎勝が(恐らく)勝山というバレエ団のコーチか何かの役で出ている。また「金メダルへのターン」でライバル役だった森田敏子が、ヒロイン美保の憧れの存在である元プリマドンナ・菊村彩子を演じている。
バレエ団のメンバーに、関谷益美、渡辺静、麻衣ルリ子(毬杏双)、佐々木梨里など。関谷は「特捜最前線」の高杉婦警でお馴染みとなる。佐々木は幻の特撮ドラマ「魔神バンダー」の主題歌を歌っている人(のはず)。少年のようなパンチの聞いた歌声である。
他の出演者に有島一郎、草笛光子、佐竹明夫、星十郎、宇南山宏、矢野間啓二、成川哲夫、内田喜郎、小早川純、早乙女ゆう、絹かずみ等である。
番組は好調で、半年の予定が1年52回続いた。ゆうきはその後も「隠密剣士突っ走れ」や「白い牙」などにゲスト出演したが74年限りで女優業を辞め、バレエの世界に戻っていった。しかし「ゆうきみほ」の名はバレエ界でもそのまま使っているおり、現在もバレエの活動を続けているようだ。
紅い稲妻
今回も70年の女性主人公ドラマから「紅い稲妻」を取り上げたい。
とは言っても本作の動画などは一切ネット上には挙がってないし、それも道理でどうやらフィルムの所在が不明らしく、まさに幻のドラマとなっているようだ。
資料と言えるのもウィキペディア情報くらいしかない。あらすじは次の通りだ。
祖父から沖縄空手の手ほどきを受け達人となった沖縄の少女・松村奈美は行方不明となった父を探すため、船で密航という形で上京する。しかし、その行く手を阻む謎の空手家組織が立ちはだかる。奈美は必殺技「くれない三段蹴り」を駆使して、父との再会を夢見て、兄と共に組織との激闘を繰り広げるというもの。
とても非現実的で面白そうな気がする。ジャンルがよくわからんが、変身はしないが特撮ヒーロー(ヒロイン)ものに近いかも。
原作・脚本はその沖縄出身の上原正三。70年だとまだ沖縄は返還されておらず、それで密航という手段で上京という話にしたのだろう。どうせなら主人公一家の苗字も具志堅とか金城とか渡嘉敷とか沖縄っぽくすればいいのにと思ってしまった。音楽は大塩潤となっているが、これは渡辺岳夫のことである。実は本作の裏番組はアニメ「巨人の星」だった。その音楽を担当していたのも渡辺だったため変名が使われたそうだ。
ヒロイン奈美を演じるのは新人の沖わか子で、当時18歳。これが初めてのドラマ出演だったらしい。沖わか子と言えば、「仮面ライダー」(71~72年)に登場する俗に言う「ライダーガールズ」の一人ユリ役が有名だろう。なにしろ2号ライダーが登場した14話から彼女も登場し、最終話まで出演していたので「ライダーガールズ」では一番長かったので、覚えている人も多いかも。沖わか子の芸名は前述の渡辺が名付けたという。単純に沖は沖縄の沖で、わか子は本名(和嘉子)から。ちなみに彼女は東京出身だ。
奈美の祖父・賢才には往年の大スターアラカンこと嵐寛寿郎で、当時68歳。テレビは60年代から顔を出し始めていたが、ほとんどが時代劇でこういった若年齢層向け現代劇への出演は珍しかったかも。
奈美の父(名は不明)に菅原謙次。50年代は大映で主演スターの一人で空手ではなく柔道もので人気があった。60年にフリーとなりドラマ「七人の刑事」にレギュラー出演し、お茶の間でも人気を得た。本作では組織の陰謀を阻止するために師範代として潜入していたという役どころだ。
兄・政彦役は井上紀明。東宝の脇役俳優で、あまり目立った役はないが、特撮ファンには「マイティジャック」(68年)の寺川隊員で知られてるかも。
組織の首領・円徹には松本克平。アラカンと3歳しか違わない65歳であったが、この人はやはり東映の「警視庁物語」シリーズ(56~64年)での捜査課長役が印象に強く、悪役のイメージはない。戦後は俳優座に所属していた。
他には敵対するライバル役として石橋正次。恐らく敵役であろう亀石征一郎や安岡力也などが出演していたことが判明している。
本作の制作は新国劇映画社。辰巳柳太郎、島田正吾でお馴染みの新国劇の映像部門とでも言うのだろうか。当時フジテレビと提携していたが、72年には解消している。前述の二人以外には緒形拳や若林豪も出身者だが、本作には石橋正次くらいしか出演していない。
前述のとおり、裏番組に「巨人の星」があったこともあり、視聴率も伸び悩み早々と13話での終了が決定した。主題歌は堀江美都子で、アニメの印象しかなかったが、ドラマも結構やっていたようだ。主演の沖はそのご、高梨わか子と芸名を改めたりしたが、74年には引退してしまったようだ。印象より活動期間は短かったのである。
レモンの天使
前回にちょっとだけ触れたのだが「金メダルへのターン」の後番組が「レモンの天使」(71~72年)である。スポ根ではないが、職業養成根性ドラマとでも言うのだろうか。看護婦を目指す少女の物語である。今は女性看護師というべきなのだろうか。つまり、舞台は看護学校である。
ヒロインである原ゆかりには吉沢京子。「柔道一直線」で人気を得て、当時は本作と「さぼてんとマシュマロ」にも並行して出ていたくらい大人気であった。「少年ジャンプ」連載でアニメ化もされた人気マンガ「ど根性ガエル」のヒロインもフルネームは吉沢京子だった。
吉沢京子は当時17歳だったが、ゆかりの設定は15歳。中学を卒業してそのまま看護学校へ入学したわけである。本作では中卒組と高卒組の対立みたいなのもあるようだ。ゆかりのライバルとなるのが矢島明美(青木英美)である。演じる青木は大人びた顔立ちだし、おそらく高卒組だろう。ゆかりと仲良しになるのが石川珠子(松原麻里)で、ドラマはこの三人が中心になるという。本作には相原ふさ子も(おそらく生徒役)で出演しており、青木、松原、相原と「飛び出せ青春」(72~73年)のメイン女生徒がここで顔を揃えていたのである(相原は前半で降板するが)。
他のレギュラーだが先生役で竜雷太、島田多江、夏海千佳子、先輩役で赤座美代子、(おそらく)生徒役で小林亜紀子、瀬川由紀、荻生田千津子、深沢裕子、ゆかりの母に風見章子、明美の母に東美恵子、竜の弟役で大矢茂など。大矢は加山雄三、喜多嶋修らで結成されたザ・ランチャーズのギタリストだが、68年頃から俳優活動も始め、「若大将対青大将」(71年)では二代目若大将に任命されている。しかし、結局大矢主演の若大将が制作されることはなかった。ただ、この時点では「二代目若大将」の称号が活きていたこともあり、本作では多分吉沢の相手役だったと思われる。
ゲストでは「金メダルへのターン」ではヒロインだった梅田智子や同番組出演の水谷邦久、前田吟、藤山律子、塩沢とき、他にも藤田進、北村総一朗、原田大二郎、船戸順、山内賢、まだ子役だった坂上忍など。
声優・ナレーターとして知られる納谷悟朗や中江真司も役者として出たらしく、本作のナレーターは前半は藤子アニメでお馴染みの太田淑子、後半は「スプーンおばさん」の瀬能礼子が担当している。
ところで、本作はCSでもいまだに放送していないようである。動画も挙がっていないようなので、正確な設定など不明点も多い。ただ近年、DVDがマイナードラマの宝庫であるベストフィールドから発売されている。自分はこのドラマを子供の頃見かけた記憶はあった。ドラマの中身を見た覚えはなくおそらくOPだけだが、それも日曜日の朝だったように覚えていた。実際調べたら北海道では日曜の朝9時から放送されていたようで、自分の記憶は正しかったのだ。この時点では北海道にはフジテレビ系列の局はなかったので、日テレ系のSTVで月曜19時のドラマを6日遅れで放送していたのである。ちなみに、本作の最終話直後の72年4月にフジ系列のUHBが開局している。
金メダルへのターン その2
前回に続いて「金メダルへのターン」(70~71年)である。
本作は全65話、つまり5クールに渡って舗装されており、中々人気があったのだろう。主題歌は「プールに賭けた青春」というどこかで聞いたようなタイトルだが、38話までは佐々木早苗、それ以降は堀江美都子の歌唱となっている。堀江美都子は14歳になったばかりの頃だ。
佐々木早苗については、大雑把にしかわからないが、68年19歳の時に「最後の人/私の宝」でデビュー、69年には「恋の味/あなたがこわい」等をリリース、そして70年「プールに賭けた青春」という流れになっているようだが、なぜ彼女が抜擢されたのかは不明だ。ちょっとビブラートが利いた感じの歌い方に聞こえる。翌71年に「嵐の夜の愛」というシングルが出ているが、それがラストになっているようだ。
放送時間も変動があり、70年7月のスタートかから3カ月は月曜19時、70年10月から半年間は木曜19時、71年4月から半年間は再び月曜19時からとなっている。ちなみにそれぞれの後番組は「のらくろ」「さすらいの太陽」とアニメが入っており、次番組となったのは吉沢京子主演の「レモンの天使」である。
また、1~32話まではサブタイトルがなく、33話からサブタイトルがついたようである。
前回。挙げなかった出演者に木原光知子がいる。元水泳選手で、64年の東京オリンピックに出場している。引退後はタレントに転向し、本作が初のドラマ出演だったようだ。ちなみに本人の役であり、本名の木原美知子名義である。あと、出演者として名前が挙がっているのが、船戸順、森秋子、真理アンヌ、江角英明、菱見百合子、高野浩幸、夏純子、四方晴美、桂木美加、西條康彦、岡本富士太、浜畑賢次など。東宝製作だけあって、特撮系で見かける名前が多い。浜畑賢次は名前でわかると思うが、賢吉の弟である。そして、実況アナとして若き日の逸見政孝が出演している。
スキー場で鮎子とぶつかったことで大腿部に傷を負い、鮎子に辛くあたるのがライバルの御園泉(森田敏子)である。演じた森田敏子は聞いたことのない名前だったので、調べて見ると日劇ダンシングチームの出身で、67~68年頃は水着モデルや多くの雑誌のグラビアや表紙を飾ったりしていたようだ。画像を見ると外国人っぽい顔立ちだが、祖父がロシア人だそうだ。ドラマ出演は本作と「赤い靴」(72年)くらいのようだ。
ストーリー上は主役の鮎子(梅田智子)の相手役となるのは進介(水谷邦久)のはずだが、終盤でその座を奪うのが55話から登場する立花一平(沖雅也)である。一平は鮎子に好意を抱き、積極的にアプローチしてくるというキャラのようで、だんだんと進介の影は薄くなっていくようだ。
梅田と沖と言えば「決めろ!フィニッシュ」(72年)では兄妹の役だった。
沖と水谷と言えば、本作の放送中に火曜日の女シリーズ「クラスメート-高校生ブルース-」(71年)でも共演している。二人とも高校生役で沖は不良の一人、水谷は優等生の役で刺されたりもする(死んではいない)。
ちなみに最終話で鮎子はミュンヘンオリンピック代表決定戦で優勝。しかもこの時点で世界新記録と、めでたしめでたしな終わり方だったようだ。まあ1年以上放送されていたのだから、そうでもしないと終われないと思う。
金メダルへのターン
順番としては「コートにかける青春」の次あたりにやればよかったのだが、女性スポ根ものから「金メダルへのターン!」(70~71年)である。制作は「コートにかける青春」や「フィニッシュを決めろ」と同じ東宝である。
割合に有名なドラマだと思うが、よく考えたら個人的には見たことがなかった。まあ、水泳でオリンピック(ミュンヘン)を目指す少女の物語である。
簡単なあらすじだが、主人公の千葉鮎子(梅田智子)は、母よしえ(三ツ矢歌子)と二人暮らしだが、明るい性格の将来を期待される水泳少女だった。しかし、ある日ボートで転覆事故に遭い、黒木進介(水谷邦久)に助けられるのだが、水恐怖症になってしまう。進介はやはり有望な水泳選手であり、その指導で彼女は恐怖症を克服し、オリンピックを目指すことになる。最大のライバルがスイミングクラブの速水四郎会長(小泉博)の娘である理恵(青木英美)だった。しかし彼女は病気で腹部を手術し選手生命を絶たれてしまう。その後、速水とよしえは何故か再婚することになり、理恵と鮎子は姉妹になってしまい、名前も速水鮎子に変わる。ちなみに鮎子が妹だ。理恵は鮎子に協力するようになり、水島コーチ(前田吟)の指導のもと、鮎子は頭角を表していくのであった。
ヒロインの梅田智子は東宝ニュータレント8期生で、当時18歳。東宝テレビ部に所属し、「炎の青春」(69年)では、生徒の中でも中心的存在だったバスケ部主将を演じていた。水泳は得意だったので、他の出演者が顔の見えない場面では吹き替えだったが、彼女は吹き替えなしで演じていたという。
青木英美は当時17歳。姉役だが実際は1歳下である。ミスヤングインターナショナル世界大会に日本代表として出場したことを機に東宝テレビ部に所属。その4か月後に始まったのが本作だったのである。彼女は「飛び出せ青春」(72年)で人気を得るが、人気を二分した大田黒久美(当時は美波)や地味な女生徒約だった小椋寛子も出演している。
水谷邦久と言えば「レインボーマン」(72年)だが、本作が初レギュラーだったようだ。水谷も学生時代に水泳部に所属していたようで、そこからの抜擢かもしれない。本作には「レインボーマン」で共演することになるメンバーも多い。小泉博は父親役だし、全日本監督役の長沢大、同コーチ役の塩沢とき、役柄は不明だが同じ回に出たらしい平田昭彦と「死ね死ね団」の面々が顔を揃えている。ちなみに、平田昭彦は三ツ矢歌子の義弟になる(年齢は平田が9歳上だが)。もう一人、大河役の多田きみ子とは藤山律子のことである。彼女も「レインボーマン」では女幹部だ。
本作はタイトル通り「ターン」が見どころだが、鮎子の「飛び魚ターン」を筆頭に、ライバルである聖園泉(森田敏子)の「渦巻ターン」、海門政美(吉田未来)の「無呼吸泳法」、有田陽子(服部妙子)の「風車ピッチ泳法」、日向勝子(夏海千佳子)の「ロケットターン」などが登場する。この中では服部妙子は現在も活動中で、夏海千佳子も82年頃までは活動していたようだ。「特別機動捜査隊」によくゲストで出ていた印象がある。可能かづ子名義でピンク映画などにも出演していた。
千葉周作 剣道まっしぐら その3
もう一回だけ「千葉周作 剣道まっしぐら」(70~71年)である。
27話から登場するのが、周作(岩下亮)にとって最大のライバルとなる高柳又四郎(田村高廣)である。実在した剣客であり、「音無しの剣」の使い手として知られる。さすがの周作も勝てる相手ではないのであった。師匠である浅利又七郎(大瀬康一)にも勝ったことがあるというくらいなのである。
又四郎に又七郎と名前が似ているが、どちらも通称だそうだ。又〇郎は強い剣客の代名詞だったのだろうか。そして、この回では周作の母・嘉乃(小山明子)が病死してしまう。こういったドラマには珍しく優しい両親の下で育った周作だったが、最初の悲劇が訪れたのである。
他のゲストだが、29話は柳家小さん。30~32話にかけては佐々木剛が登場する。藤岡弘が「仮面ライダー」等で出演しなくなったと思ったら、2号ライダーをやることになる佐々木がここにも顔を見せていた。武家の子ではなく三吉が本名だが、教えたらすぐに出来てしまうという天才肌の男で、東海坊玄信(川合伸旺)との出会いによって腕をあげ、不破鉄太郎を名乗り周作とも互角にやり合うようになる。川合伸旺が演じているだけあって怪しい風体の玄信だが、悪人ではない。
33話は長谷川明男、左時枝。34話は高城丈二、市川小太夫。35話は工藤堅太郎、嘉手納清美と続く。
37話にはミラーマン・石田信之が登場する。その「ミラーマン」で共演することになる和崎俊哉や工藤堅太郎も出演済だ。ただし、クレジットは石田博之となっている。この時期に芸名を変えていたことはなさそうなので、単純に誤植であろう。後には石田新、石田延之を名乗った時期はあるけれども。
39話は蜷川幸雄、原保美など。後に演出家として有名になる蜷川だが、この当時は普通に役者としてよく見かけた。
40話は倉丘伸太郎、山下恂一郎、原建策。山下は桃井道場の息子だが、短筒に魅せられ六連発銃を持ち歩いている。周作にも「剣など時代遅れだ」と言い放つが、悪人というわけではない。倉丘は直参旗本の役だが、山下とは恋のライバル関係にある。その倉丘に周作は「小百合(佐藤燿子)さんをあきらめてもらえませんか」などとおっせかいぶりを発揮する。
42話は目黒祐樹。本作のレギュラーである江夏夕子と後に結婚することになるが、この時点では既に交際中だったようだ。ちなみに結婚は80年で、11年の交際を経てのことだそうだ。その江夏が演じる奈々江に最終話で悲劇が。
44話が最終回で、以下ネタバレである。本作のダブルヒロインである綾(岩井友見)と奈々江。共に武家の娘だが、綾はいかにもという感じで毅然としているが、奈々江はその辺の町娘と変わらない感じなのである。しかし、ほぼ本筋と関係なく奈々江は金目当ての浪人(諸口旭)に襲われ唐突に命を落とす。悲鳴を聞いて駆けつけた高柳が浪人を斬り捨てる。死に際に奈々江は周作への遺言を高柳に伝える。それは「高柳に勝ってくれ」というものだった。それを高柳本人から聞いた周作は勝負を挑むのだが、勝つことはできなかった。周作は新たな修行の旅に出るのだった。とまあ、ハッピーエンドとは言えない終わり方だったのである。
岩下亮だが、この後大映末期の映画「若き日の講道館」(71年)に主演。剣道ではなく柔道である。この作品以降の出演記録がないので、これを最後に引退してしまったようだ。
その後はフリーライター兼コラムニストとして活動しているらしい。
千葉周作 剣道まっしぐら その2
前回に続いて「千葉周作 剣道まっしぐら」(70~71年)である。
ゲストについて触れてみたい。毎回のように強い奴が現れ、周作(岩下亮)と戦うといのが、こういったドラマのお困りのパターンである。
第5話にヤクザの用心棒として登場するのが堀場甚内(岸田森)である。槍の使い手で、青白い顔をした不気味な男を岸田が怪演。周作は足を負傷し、思う様に戦えない。師匠の浅利(大瀬康一)に、足に頼らない戦いを考えろと言われ、編み出したのが一本足打法ならぬ一本足剣法である。現役時代の王貞治のように構えるのだ。周作は右打者のようだが。
第6話には、岩下が映画デビューした「しいのみ学園」(55年)で、兄弟役を演じた河原崎建三が出演。
第8話には、周作の父・寿貞役である千秋実の息子・佐々木勝彦が登場。親子共演ではるが、会話や絡みなどはないようだ。
第9話は、奉納試合の代表を決める予選の決勝戦で周作は梶原京之進(田村亮)とあたることになる。普段は大人しい京之進だが、強い奴と立ち会うと狂ったように向かってくるのである。かつて、父・百鬼(天本英世)を(事故ではあるが)立ち合って死なせてしまったことから父の亡霊を見るようになり、正気を失ってしまうのである。梶原道場の師範である叔父・兵部(守田学哉)は「キチガイだから勝てるのだ」と言い切る。
「周作と試合をすれば、殺してしまうから出ない」と京之進は試合を回避しようとする。というような話で地上波なら音声がカットされるところである。田村三兄弟(正確には四兄弟)の末弟・亮だが、声質は兄・正和によく似ているなと感じた。
第10話は奉納試合で、その相手は平田数馬(桜木健一)だった。桜木と言えば、当時は「柔道一直線」の一条直也のイメージ。もちろん、周作が勝利し、その名が世に響き渡ることになる。ちなみに、本作は「ブラザー劇場」枠での放送(TBS系月曜19時半)。本作の後番組となるのが桜木主演の「刑事くん」である。
第11話には殺人剣の狼之介(森次浩司、後に晃嗣)が登場。赤ん坊の時に捨てられ盗賊に育てられたという彼は、既に何人もの人を斬っていおり、周作は真剣で対決することになるが、初めて人を斬ることになったのである。森次はまだ「ウルトラセブン」のイメージが強かったと思うが、この頃から既にこういった悪役もやっていたのである。この後「美しきチャレンジャー」で新藤恵美のコーチ役をやることになる。
第12話は、あおい輝彦。ジャニーズ解散後、俳優として活動していたが、当時やっていたのはアニメ「あしたのジョー」での主役・矢吹丈の声。藤岡重慶との俳優コンビが見事にハマっていた。あおいはジョー以外には声優の仕事はほとんどやっていない。あおいは25話にも別の役で出演している。
第19話には夏八木勲、和崎俊哉が登場。和崎は辻斬りの役で、これも真剣勝負で周作に斬られたのである。
第20話はウィキペディアによると、CSで放送されたOPクレジットと本編の内容が合っていないとある。実際その通りで、18話の出演者がクレジットされているようだ。ゆえに20話のゲスト出演者で判明しているのは、見て判断できる神田隆と真山譲次くらいなのである。そして、前回10話以降出てこないと書いた森川新之助(片岡五郎)が出ていた。何故か神田演じる三浦兵部の屋敷にいたりしたのである。また、寸でところで逃げてしまうのだが。
千葉周作 剣道まっしぐら
「剣道一本!」とほぼ同時期で、「剣道」がタイトルに付く番組に「千葉周作 剣道まっしぐら」(70~71年)がある。
まあ「千葉周作」がタイトルに入っているのでわかると思うが、スポ根ではなく時代劇である。まあ時代劇スポ根と言えるかもしれんが、一昨日までCSで放送されていた。原作は山岡荘八で、若き日の千葉周作を描いた物語である。江戸時代後期の剣術家で、北辰一刀流の流祖である。大体の人は「赤胴鈴之助」の師匠として知った人が多いのではないだろうか。
CSで放送されたと書いたが、恐らく今回が初放送だったので、自分もそうだが初めて見たという人や約50年ぶりに見たという人も多いであろう。
主役の千葉周作を演じるのは岩下亮。早くに引退してしまったようなので、知らない人も多いかもしれないが、岩下志麻の実弟である。岩下志麻よりデビューは早かったようである。正確なプロフィールは実は、その姉であるわからず、何年生まれかも不明だが、姉(41年生まれ)より後なのは当たり前だ。
当初、子役として活動しており、デビュー作と思われるのは映画「しいのみ学園」(55年)である。主人公である夫婦(宇野重吉、花井蘭子)の二人の息子の弟役だ(兄は河原崎建三)。そして宇津井健主演の「鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)」(57年)シリーズのうち3本に出演している。
そしてテレビの方はNHKの「君たちはどう生きるか」(58年)という全3回のドラマに主役として出演しているようだ。その母親役の山岸美代子は実母でもある。
実はここで出演記録は途絶えており、約12年のブランクを経て、本作で復活したという感じになっている。学業に専念というような理由だろうか。
父である浦山寿貞こと千葉幸右衛門は千秋実、母・嘉乃は小山明子、幼馴染の荒尾奈々江が江夏夕子で、その兄・春太郎が藤岡弘、で周作の師匠となる浅利又七郎に大瀬康一で、その妹である綾が岩井友見、息子の蔵太郎に蔵忠芳だ。この中では、浅利又七郎(義信)は実在の人物で、実際に周作の師匠だった。演じる大瀬はずっと主役続きだったが、今回から脇(といってもメインの一人だが)に回っている。
第Ⅰ話では、まだ千葉於兎吉だった頃の周作が描かれている。藩の指南役だった父・幸右衛門が何者かに撃たれ右手が不自由になり、代わりに荒尾宮内(大坂志郎)が指南役に。於兎吉はその犯人を息子の春太郎だと疑い、斬りかかり怪我を負わせる。その直後に荒尾の屋敷で失火があり、指南術書が消失。石を投げ込んだ於菟吉が犯人とされた。それを救ったのは飛かならぬ宮内であった。というような話。
詳細ははぶくが、佐藤狐雲(辰巳柳太郎)に「周作」の名をもらい、松戸の浅利道場へ旅立つのだった。2話からはもう千葉周作となり、父の幸右衛門も町医者・浦山寿貞を名乗るようになる。宮内の娘・奈々江が周作を追って家を飛び出してしまい、それを周作の手引きと考えた春太郎と森川新之助(片岡五郎)が後を追う。
春太郎と新之助は序盤だけの登場で、新之助は10話で汚い手を使って周作をはめようとするが、当然失敗し逃げたしたまま以後姿を見せない。春太郎は14話で盗賊と間違えられて奉行所に捕らえられる。そこを周作や奉行(東千代之介)の息子(近藤正臣)によって救われ、以降は姿を見せなくなる。
本作の制作は松竹なので、まだ松竹所属だった藤岡弘が出ていても不思議はない。多分「ゴールドアイ」終了の後、本作でそのあと「めくらのお市」そして「仮面ライダー」へと続いており、この頃既に売れっ子状態になっていたようである。