決めろ!フィニッシュ その2
引き続き「決めろ!フィニッシュ」(73年)である。
スポ根と言えばライバル。本作もヒロインの白鳥みゆき(志摩みずえ)の前に、次々とライバルが登場する。1話から登場しているのは鷹羽高校の1年・星わかば(新井春美)である。みゆき同様に体操界隈では天才少女として名高い。演じている新井春美は当時20歳で、スポーツ紙主催の「ミス赤い靴コンテスト」で優勝したのをきっかけに16歳で女優デビューしている。ただ本作においては、男っぽい短髪のせいもあってか、失礼ながらあまり華がない。この4年後にNHKの連続テレビ小説「風見鶏」のヒロインになるとは、全然想像できないのである。その姉が夏子(中山麻里)で、鷹羽高校のコーチでもある。中山麻里も中山仁同様に「サインはV」で、お茶の間に知られるようになった。美形のライバルと言えば彼女というイメージがあり、当時25歳で、さすがに女子高生役ではないが、ライバルの姉としてキツさ満開の鬼コーチを演じている。
ライバルは同じチームにもいた、ということでクローズアップされるのがみゆきの1年先輩である藤サチ(小林亜紀子)である。みゆきが所属する東和学園の体操部は1年と2年の仲が悪い。キャプテンの大川町子(森るみ子)以外の2年生は1年生に意地悪なのである。サチとみゆきの関係も良くはないが、態度が冷たいだけで、攻撃を加えるわけではない。演じる小林亜紀子は前述の中山麻里と同じ当時25歳であったが、こちらは女子高生役でも通るタイプ。大学在学中にスカウトされ、卒業後の71年よりドラマに出演し始め、高橋英樹主演の「おらんだ左近事件帖」(71~72年)に準レギュラーとして数回出演。「決めろ!フィニッシュ」の後は、ポーラテレビ小説「薩摩おごじょ」(73年)のヒロインに抜擢されたが、その終了をもって引退してしまう。これは元々、両親との間で女優は3年間だけという約束があり、実業家と見合い結婚して家業(機械金属商)を継ぐことが決められていたからなのだが、74年に結婚した相手は髙橋英樹であった。前述のとおり「おらんだ左近」に小林は4回ほど出演しただけだが、高橋は初対面の時に「結婚の文字が浮かんだ」と後に語っている。
話を戻すが、第5話にて木の上からサルのようにみゆきとサチの前に現れたのが井川啓子(児島美ゆき)である。「ハレンチ学園」で人気を得たこともあって、セクシー系女優と見られていたと思うが、東映児童研修所出身でありばがら「プレイガール」等に出演することはなかった。代わりに?研修所の同期で東映ニューフェイスとなった片山由美子がレギュラーになっていた。
もう一人、この回から登場したのが高山ひろ子(四方正美)である。突如、剣道部から体操部へ転部してきて、みゆきの友人となる。4話までその役目は丸顔の娘(宮前ゆかり)が担っていたが、4話かぎりで姿を消している。
11話から登場するのは神かがり(萩生田千津子)である。一瞬「カミガカリ」に見えるが「ジンカガリ」である。演じていた萩生田は文学座の所属。82年に交通事故に遭い生涯寝たきりを宣告されたというが、数年後に車椅子女優として復活している。
最終話には三田洋子(青木英美)も登場するが、セリフはなかった。