お宝映画・番組私的見聞録 -22ページ目

黒部進の出演映画 その2

前回に続いて黒部進である。
65年は記録によると全部で5本に出演している。東宝所属なので全て東宝(東京映画含む)の作品である。
まずは「勇者のみ」。これは日米合作の戦争映画で、監督と主演をフランク・シナトラが務めている。シナトラと言えば歌手のイメージが強いが俳優としても多くの作品に出演している。監督を務めるのは本作が初である。特撮部分の監督は円谷英二だ。
ストーリーは太平洋戦争の末期、ある孤島に米軍の輸送機が不時着。そこには戦況から見放された日本軍人数名がおり、両軍が島で唯一の井戸を巡って対立する。次第に友情が芽生えていくのだが、そこに米軍の艦艇が応援に現れる。降伏するように説得するも日本軍は祖国に殉ずることを告げ、両者は戦火を交えることになる、といったもの。
シナトラが演じるのはマローニという衛生下士官で、負傷した日本兵の治療も快く行う。大尉役のクリント・ウォーカーは西部劇ドラマ「シャイアン」の主演で知られる。軍曹役のブラッド・デクスターは「荒野の七人」で、その一人であるハリーを演じた。日本側は上官の黒木中尉に三橋達也、田村軍曹に加藤武で、他に勝呂誉、佐原健二、谷村昌彦、太宰久雄、春風亭柳朝、そして黒部進などといったメンツである。
「太平洋奇跡の作戦キスカ」は東宝男優陣総出演といった感じの戦争映画で女性は登場しない。三船敏郎の海軍少将を筆頭に、志村喬、藤田進、西村晃、田崎潤、中丸忠雄、平田昭彦、土屋嘉男、久保明、船戸順、児玉清、佐藤允、山村聰といった豪華メンバーで、黒部は水兵の役。二瓶正也や阿知波信介も水兵役である。本作も特技監督は円谷英二だ。
「けものみち」は松本清張原作のサスペンス。主演は池内淳子で、彼女は新東宝倒産後は東京映画の所属となっていた。
他に池部良、小林桂樹、小沢栄太郎、伊藤雄之助、大塚道子、森塚敏、千田是也、中丸忠雄、土屋嘉男などで、黒部は黒谷という得体のしれない男を演じた。小沢栄太郎の用心棒で、小林桂樹や主役の池内まで手に掛けるのである。ちなみに、82年のNHKドラマ版は名取裕子の主演で、山崎努、伊東四朗、西村晃、加賀まりこなどが出演。黒部の役は林ゆたかが演じている。
「国際秘密警察 鍵の鍵」は三橋達也主演のシリーズ第4作。黒部は「虎の牙」に次いでシリーズ2度目の登場。ここでは蔡というギャングのボスを演じる。ただの敵役ではなく三橋演じる主人公と共闘したりする。他の出演者は浜美枝、若林映子、中丸忠雄、堺左千夫、天本英世などで、安岡力也がチョイ役で顔を出している。このシリーズは何故か毎回監督が変わっており、本作は谷口千吉が担当。三船敏郎や黒部を東宝に導いた山本嘉次郎監督の弟子にあたる一人で、三船を最初に映画に起用したのは山本でも黒澤でもなく谷口である。
「100発100中」は宝田明主演のアクションコメディ。他には浜美枝、有島一郎、平田昭彦、多々良純、堺左千夫などで、黒部は「サングラスの男」という役名ながらクレジット順は7番目。実は前述以外の出演者はほぼ大部屋役者ばかりで、ノンクレジットや二役の役者も多くいたりするのだ。堺の子分役の伊吹徹や当銀長太郎は東宝ニュータレント二期生で、黒部の一期先輩ということになる。次回に続く。

黒部進の出演映画

新年第1弾として何をやるか考えたが、結論から言えば昨年と同じスタイル。テレビイメージの強い役者の出演映画を辿って行くというもの。今回は自分が最初に触れたヒーローは何だったか考えたのだが、正直記憶が曖昧なので、ここは無難に「ウルトラマン」ということにした。というわけで、初代ウルトラマンと言えば黒部進である。
黒部進は39年生まれで、本名は吉本隆志。中大4年の時に家賃滞納からホームレス状態となり、靴磨きで生計を立てていた。そこに客としてやってきたのが東宝の山本嘉次郎監督。あの黒澤明、本多猪四郎、谷口千吉の師匠にあたる人物である。山本は黒部に東宝ニューフェイスの受験を勧め、62年に第3期オール東宝ニュータレントに見事に合格。同期には緑魔子がいた。
東宝ニューフェイスの名称は60年の15期まで用いられ、61年からオール東宝ニュータレントの名称が用いられるようになったのだが、後者出身でも東宝ニューフェイスと言われることが多い。ちなみに、そのニューフェイス15期には「ウルトラマン」のスーツアクターとなる古谷敏、イデ隊員役となる二瓶正也、ニュータレント1期にはフジ隊員役となる桜井浩子がいた。桜井は15歳での東宝入社であった。
映画初出演は63年の「六本木の夜 愛して愛して」で本名の吉本隆志名義であった。ちなみに主演は峰健二、後の峰岸徹である。峰岸はこの後、俳優座養成所に演技を学び、68年に大映から再デビューすることになる。
黒部の正式デビュー作とされているのは「暁の合唱」(63年)。ヒロインである星由里子の相手役で、ほぼ主役といえる大役であった。この際に出身地の富山県黒部市にちなんでプロデューサーの藤本真澄から黒部進の芸名を与えられている。他の共演者は宝田明、新珠三千代、山村聰など。この「暁の合唱」は3度目の映画で、41年の松竹版は木暮美千代、近衛敏明、佐分利信、川崎弘子など。55年の大映版は香川京子、根上淳、高松英郎、小沢栄太郎などである。本作で黒部は色々と失敗して信頼を失ったとしている。実際、次回作から藤本ではなく田中友幸や森田信プロデュース作品に回っている。
64年は「恐怖の時間」。これは黒澤映画「天国と地獄」での誘拐犯役で一気に知名度を上げた山崎努が主演。本作も「天国と地獄」と同じエド・マクベインが原作となっている。誤射により恋人を殺された男(山崎)が銃を持って刑事部屋に乱入。その刑事(加山雄三)は不在で、彼の帰りを待つ男と刑事たちとの密室劇だ。加山と同姓(山本)のベテラン刑事役に志村喬で、黒部は若手刑事の一人。係長役が「天国と地獄」で子供を間違って誘拐された運転手を演じた佐田豊で、彼にとって二番目にセリフのある役かもしれない。他に星由里子、土屋嘉男、富田仲次郎、田村奈己、小山田宗徳など。
「国際秘密警察 虎の牙」は三橋達也主演のスパイアクションで本作はシリーズ2作目。黒部は中丸忠雄演じる某国スパイの部下のような役。他に白川由美、水野久美、久保明、藤田進など。
「裸の重役」は森繫久彌主演のサラリーマンもの。星由里子、団令子、児玉清、有島一郎、加東大介、東野英治郎などが出演。黒部は梶本という役。未見で何とも言えないが、若手社員の一人ではないだろうか。
「三大怪獣 地球最大の決戦」。三大怪獣と言いながら、ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラの四匹が登場する。敵役のキングギドラは含まないらしい。出演は夏木陽介、星由里子、若林映子、小泉博、ザ・ピーナッツ、佐原健二、平田昭彦、志村喬など。黒部にとっては初の東宝特撮出演だが、役柄は暗殺団の手下一というもの。伊藤久哉がそのボス役だ。64年は以上だ。デビュー作こそ次期スター候補の扱いだったが、以降は存在感のある若手と言った扱いになっている気がする。

2023年回顧録 その2

前回に続いて回顧録である。今回は俳優編だ。
元日に亡くなったのが長谷川哲夫(84)。個人的には「ザ・ガードマン」等に出てくる知的悪役のイメージなのだが、世間一般的には「七人の孫」とか「水戸黄門」の徳川綱吉役のイメージであろうか。13部~28部まで同役を演じている。その間に黄門様は東野英治郎→西村晃→佐野浅夫と変わっている。俳優座養成所10期生で、同期にはやはり知的悪役のイメージが強い西沢利明や中野誠也などがいる。
同じ一月には悪役として活躍した上野山功一(89)も。58年に日活に入社し、鈴木清順監督から「ワルに向いている」と言われて悪役の道に進んだという。65年に日活を離れ大映に移籍する。現代劇だけでなく時代劇の出演も多くなる。大映倒産後はテレビに活躍の場を移し、前述の「ザ・ガードマン」や「キイハンター」「プレイガール」といった人気アクションドラマ、時代劇でも前述の「水戸黄門」や「必殺シリーズ」等の人気番組に何度も登場する悪役として活躍。例外的に「イナズマンF」の荒井役や「超神ビビューン」のダイマ博士など正義側の人間として登場することもあった。
同じ89歳では扇千景。国会議員としてのイメージが強い人も多いかもしれないが、77年に参議院議員初当選するまでは女優であった。ちなみに「おうぎ」ではなく「おおぎ」と読む。54年に宝塚歌劇団に入団し、その年から東宝の時代劇映画へ出演している。ただ、メインヒロインになることはほとんどなかった。58年には映画で共演した二代目中村扇雀(現・四代目坂田藤十郎)と結婚している。60年代からはテレビが活動の中心となっていた。彼女の場合、映画やドラマより富士フィルム「シングル8」のCMでの「私にも写せます」が一番有名かもしれない。
まだ記憶に新しいであろう財津一郎も89歳であった。熊本では伝統のある進学校済々黌高校の出身。平仮名で書くと「せいせいこうこうこう」だ。くりいむしちゅーの二人もここの出身だ。55年に石井均一座に入り、62年から吉本興業へ。64年から吉本新喜劇に参加し、その際に芸名を財津一郎(それ以前は財津肇メ)としている。名付け親は当時の林社長で「吉本では大衆的な名前でなければいかん」という理由から。66年の「てなもんや三度笠」出演から全国的に名が知れるようになった。2011年を最後に活動を休止していたが、タケモトピアノのCMは2000年から同じものが流れ続けていた。そのCM契約が終了した翌月に亡くなったのである。
同じく89歳では勝部義夫。知る人ぞ知る東宝の脇役俳優だ。名前は知らないという人も多いかも。327本もの映画に出演しているが、ゴジラシリーズなど特撮ものの印象が強く、記者や通信担当の軍人の役が多かったりする。「ウルトラセブン」でも通信担当のウエノ隊員として十数回出演している。俳優は76年に引退しており、その後は地元の島根で「しまね映画祭」設立なぢに携わっていた。
ウルトラシリーズでは「帰ってきたウルトラマン」の団時朗(74)。資生堂「MG5」のCMで注目され、68年に映画出演した際の役名である団次郎を芸名とした(本名は村田秀雄)。71年に帰りマンの主役に抜擢されたが、前年の「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」では悪役の黄金仮面を演じていた。昭和のウルトラマン俳優としては初の物故者となっている。
「ウルトラマンタロウ」で最終の3話だけだが、新副隊長を演じたのが三谷昇(90)である。29歳の時、事故で片方の眼を失明したが、俳優活動を続けていた。オファーを受けた時は初めて子供にも言えるような役で嬉しかったと答えていた。
「ウルトラマンレオ」でMACの梶田隊員を演じたのが朝倉隆(71)。MAC隊員は途中で入れ替わったり全滅したりで印象に残っていない人も多いと思うが、梶田は17~40話まで登場している。
後は列記となってしまうが、中真千子(86)、津山登志子(69)、奈良岡朋子(93)、小桜京子(90)、市川段四郎(76)、鈴鹿景子(67)、鈴木瑞穂(96)、中庸助(93)、花ノ本寿(84)など。海外では「0011ナポレオンソロ」のイリヤ役であるディヴット・マッカラム(90)などが世を去っている。
ここに挙げた以外の方にも合掌。
本日は大晦日なので、必然的に2023年最後の更新である。来年も今年ぐらいのペースで更新できればいいなとは思っている。

2023年回顧録

年末なので、恒例の回顧録である。内容は今年亡くなった有名人を偲ぶというものだ(文中敬称略)。
全体の印象として、2023年はミュージシャンが大勢亡くなったイメージを持っている方も多いのではないだろうか。
まずは1月に、YMOのドラマーとして知られる高橋幸宏(70)が亡くなった。そして3月には同じくYMOのメンバーだった坂本龍一(71)も続いた。残された細野晴臣はわずか2カ月で唯一の生存者になってしまったのである。
また1月にはシーナ&ザ・ロケッツのリーダーだった鮎川誠(74)も。このグループはYMOとの関係が深く、鮎川がYMOのツアーにギタリストとして参加することもあった。
7月には、頭脳警察のボーカルであるPANTA(73)。21年に前述のシーナ&ザ・ロケッツとのジョイントコンサートが予定されていたが、自分の肺疾患のため公演を延期する。病状も安定したので、延期していた公演の開催が決定されたところ、今度は鮎川が病気療養のため入院。治療に専念してもらいたいと頭脳警察の単独ライブに変更した。しかし、鮎川は1月に亡くなり、PANTAもその二日後に容態が急変し緊急入院となり、公演自体を中止せざるを得なかった。
まだ記憶に新しいと思うが、10月8日に谷村新司(74)が還らぬ人になった。すると10月18日にもんたよしのり(72)、翌19日にBUCK-TICKのボーカル櫻井敦司(57)、29日のX-JAPANのベーシストHEATH(55)、11月9日に大橋純子(73)、26日にはミッシェル・ガン・エレファントのボーカルだったチバユウスケ(55)と相次いで亡くなっている。何故か70代前半と50代中盤に集中している。
大橋純子は北海道は夕張の出身。財政破綻で有名になった街だが、もう一人夕張出身のアーティストが1月に亡くなっている。双子のアイドルだったザ・リリーズの妹・燕真由美(62)である。大橋と年齢差はあるが、デビューはリリーズが1年遅いだけである(75年)。燕姓は全国で80件程度で、新潟の燕市にルーツがあるらしい。姉の奈緒美は結婚し、3人の子供を育てたらしいが(その後離婚)、真由美は生涯独身だった。
そして、ミュージシャンでもあり俳優でもあるクレージーキャッツの最後の生存者であった犬塚弘(94)も10月に亡くなっている。あまり報道されていなかった気がするのだが、自分がしらなかっただけだろうか。桜井センリが亡くなってから11年、最後のメンバーとして頑張っていたわけである。
声優界では、貴家堂子(87)、飯塚昭三(89)、北浜晴子(85)など。貴家は「サザエさん」のタラちゃん役で有名。69年の番組開始からサザエ役の加藤みどりと共に同役を演じ続けていた。2月2日には通常通り収録していたが、その3日後に急逝した。初見ではまず読めないと思われる名前で問い合わせも多かったことから、エンディングで「さすがたかこ」と読みがなが振られるようになったという。
アニメソング界では黒崎真音(35)。21年の配信ライブ中に倒れ緊急手術を受ける。22年には復活するが、この2月に持病の悪化により急逝した。19年には神田沙也加と音楽ユニットALICesを結成しているが、神田も21年に急逝している。
漫画家では松本零士(85)、寺沢武一(68)、土田よしこ(75)など。
例外的に実業界では東映社長の手塚治(62)。あの漫画の神様と言われた手塚治虫の本名と同じ名前だが、苗字はたまたまで、さんずいのある名前の家系であり漫画家の手塚治虫とは関係なく名付けられたそうだ。とは言え、手塚治虫を知らないはずはないだろうし、多少は意識して付けられたのではないだろうか。東映ではプロデューサーとして活躍し「スケバン刑事」「科捜研の女」などを手掛けた。20年に六代目の東映社長に就任したが、翌年から体調を崩し治療を受けながら業務をこなしていたという。そして、この2月に62歳で亡くなった。手塚治虫も60歳で亡くなっている。
次回はできれば年内に2023年に亡くなった俳優等について触れてみたい。

夏夕介の出演映画 その4

引き続き、夏夕介である。
75年の出演映画はまだある。東宝「花の高2トリオ 初恋時代」は「スター誕生」からデビューして人気となった「花の中三トリオ」こと森昌子、桜田淳子、山口百恵を主演としたアイドル映画。無論、いつまでも中三なわけもなく、当時は高2になっていた。森、山口はホリプロだが、桜田はサン・ミュージックということもあり東宝を加えた三社の提携作品となっている。ちなみに三人揃っての映画は本作だけである。夏はホリプロ映画には必ずといっていいほど出演しており、本作では三人に憧れられる役どころ。他の出演者はフランキー堺、南田洋子、藤田弓子、川口厚、黒部幸英(当時はクロベー)などである。
東映「爆発!暴走族」はタイトル通り暴走族の実態をセミドキュメンタリータッチで描いたもの。バイクチーム・クールスの副団長だった岩城滉一の写真を見て、その主演デビュー作として企画された。
しかし、素人役者で当然名が知られていないこともあり、トップクレジットは千葉真一を据え、予告編も千葉が主演であるかのように作られている。ちなみに千葉は岩城の恋人(藍とも子)の兄という設定。岩城は暴走族ブラックパンサーのリーダーで、メンバーの一人が町田政則で、夏夕介、松平純子が紅バラ会のメンバーを演じる。他に名が知れた役者は名和宏、初井言栄くらいで、暴走族メンバーを演じているのは応募で集まった本物やバイカーで、一回限りの映画出演も多かったようだ。当時の岡田茂東映社長は「新しい企画をまかせられるのは石井輝男しかいない」と石井を監督に抜擢したが、石井本人は暴走族に興味はなく、あまり気乗りしてなかったようだ。藍とも子は「プレイガールQ」にレギュラー出演が決まり、東映に衣装合わせに来ていたところ、たまたま石井が居合わせ、その場で決まっていなかった岩城の恋人役にスカウトされている。
76年はテレビの方で夏は「宇宙鉄人キョーダイン」の主役に佐々木剛と共に抜擢されている。夏の初主演作である「突撃!ヒューマン」の裏番組が「仮面ライダー」で、その2号を演じていた佐々木との共演である。1号の藤岡弘とも後に「特捜最前線」で共演することになるのは周知のことだろう。
また映画の方でも東宝「愛のきずな」という作品の主演に抜擢されている。これはサイパン島を舞台に被ばく二世の青年と米軍パイロットの父を持つハーフの娘との恋を通して戦争の傷痕を描いている重いテーマの作品である。そのヒロインを演じたのが野村パレーという(おそらく)ハーフの人で、出演作はこれ1作のようなので、詳細は不明である。他の出演者は峰岸徹、和田浩治、ケーシー高峰、伴淳三郎などである。
一方で「新・女囚さそり701号」で夏は、恋人(多岐川裕美)を裏切って嘘の証言をして、彼女を刑務所送りにした卑劣な男を演じたりしている。その黒幕を演じたのが中谷一郎で、悪役イメージの薄い二人が悪役を演じているという作品である。

夏夕介の出演映画 その3

今回も夏夕介である。
73年の映画出演は前回紹介した2本だけだが、10月から「顔で笑って」「ラブラブ・ライバル」という2本の大映テレビ制作のドラマのレギュラーを務めている。どちらも脇役のようだが、翌74年の3月まで続いている。
その74年の映画出演は調べたところ1本もなかったようだが、ドラマのゲスト出演が多かったようだ。そして10月になり「純愛山河 愛と誠」がスタートし、夏は主演の誠役に抜擢されている。愛役は当時15歳の新人だった池上季実子である。高校生役だが、夏は当時24歳で、岩清水役の中島久之も22歳であった。ちなみに、映画版も第1作がこの74年に公開されたが、誠役は西城秀樹で、愛役は役名をそのまま芸名にした早乙女愛が務めている。
ドラマ版の他の出演者は平泉征、高橋昌也、鳳八千代、苅谷俊介、名古屋章、子役だった戸川京子、そして原作・梶原一騎の実弟である真樹日佐夫が特別出演。真樹はケンカシーンの監修も担った。製作はアニメでお馴染みの東京ムービーで、本作が唯一のテレビドラマ製作となっている。2クール26話で終了したが、スタッフへのギャラ未払い騒動などがあったための打ち切りだったという。
75年3月にドラマ「愛と誠」が終了した直後から、前年はゼロだった映画出演が相次いでいる。まずは日活の「襟裳岬」。森進一のヒット曲を基にした歌謡映画である。主演は山口いずみで、その相手役として神有介、そして夏夕介である。夏と字面の似ている神有介だが、映像出演作は多くない。その中では同年の「男組青春大革命」での神竜役が目立つ。専ら舞台方面で活動しており、現在も劇団を主宰したりプロダクションの代表だったりする。他の出演者は天知総子、金田龍之介、ハナ肇、そして森進一が本人役で登場する。撮影は実際に襟裳岬周辺で行われたようだ。
本作は、当時はロマンポルノが主軸となっていた日活の製作配給となっているが、実はたまに一般映画を製作することもあったのである。ただ併映作品が製作中止などで中々決まらず、結局東映が7年前にお蔵入りにしていた「雪夫人絵図」を買い取って上映したという。主演が佐久間良子で、共演が山形勲、丹波哲郎、谷隼人、浜木綿子などであった。お蔵入りの理由は当時の東映はエロとヤクザ映画が全盛で東映調の作品ではなかったから。他社から譲ってくれという話もあったが、佐久間の主演作を他社には渡せないと断っていた。その佐久間が東映を退社したタイミングで日活に売ったため公開まで7年かかったというわけである。良質作の二本立てではあったが、興行的に失敗したという。
次が東宝「お姐ちゃんお手やわらかに」。これはホリプロ15周年記念作品であり、ホリ企画制作の製作となっている。主演は和田アキ子で、夏夕介、鈴木ヒロミツ、森昌子といったホリプロのタレントがメインとなっている。山口百恵も本人役で登場。ちなみに同時上映は山口主演の「潮騒」であった。山口百恵が東宝作品で脇役なのは本作だけだそうだ。他はホリプロのタレントではなく、番組上の繋がりでの出演者もいる。せんだみつお、デストロイヤー、ラビット関根(関根勤)、マジシャンの伊藤一葉などは和田メインのバラエティ「うわさのチャンネル」からの出演だ。他に堺正章、研ナオコ、坊屋三郎、小林亜星、藤村有弘、多々良純、砂塚秀夫、塩沢ときといった面々が出演している。
正直、初耳の作品で恐らくソフト化もされていないと思われる。情報も少ないし、レア度の高い作品ではないだろうか。、

夏夕介の出演映画 その2

引き続き夏夕介である。
71年は、日活の野良猫ロックシリーズ以外にも、松竹の「おんなの朝・あまから物語」に出演している。女性が主人公のようなタイトルだが、主演扱いは加東大介である。その妻が京塚昌子で、その子供たちが森次浩司、尾崎奈々、そして夏夕介である。他に三木のり平、フランキー堺、河内桃子、美川憲一、水前寺清子など。ほとんど東宝の作品のようなキャスティングだが、五者協定が事実上崩壊した頃というのもあるのだろう。ちなみに美川憲一は大映ニューフェイス(17期)に合格していたが入社はしていない。
72年は映画出演はなかったようだが、初のテレビ主演を得ている。それが「突撃!ヒューマン」である。舞台公開形式のヒーローものという斬新なスタイルで、人気絶頂だった「仮面ライダー」の裏番組として放送されたが、受け入れられることはなく1クール(13回)で打ち切られている。自分も子供ではあったが、存在すら知らなかった(実際北海道では放送されていなかったようだ)。再放送は直後に1度だけされたらしいが、その後はソフト化も含め、映像が世に出たことはない。これは収録がVTR形式で行われた為、当時はテープは高価で上書きする慣習があったことから、その上書きにより映像は世に残っていないからだと言われている。
出演は夏のほか、西島明彦、八代駿、キャンディーズのスーちゃんこと田中好子などである。ちなみに、キャンディーズは既に結成されていたが、本格デビューは翌73年のことである。
73年は、まず松竹の「男じゃないか 闘志満々」に出演。これは森田健作の項で書いたと思うが、森田と沖雅也が兄弟の役である。夏の役柄はよくわからないが、どちらかの友人といった感じだろうか。
続いて、松竹「としごろ」に出演。本作はホリプロとの提携作品で同社の歌手・タレントが多数出演しており、主役扱いが和田アキ子そして森昌子である。加えて石川さゆり、山口百恵そして当時はホリプロだった堺正章といった顔ぶれで華やかそうに思えるが、あらすじを見た限りでは暗い映画である(未見なので)。
和田アキ子は中学バレー部のコーチで、その部員が森昌子、石川さゆり、秋谷優子で、山口百恵もバレー部だがストーリーにはあまり絡まない。秋谷は当時16歳だが松竹の女優である。デビュー作は前述の「男じゃないか~」である。
森昌子は進学せず工場勤務となるが、そこで知り合うのが夏夕介である。夏は彼女をかばって大けがをするが、二人は惹かれ合うようになる。一方、秋谷は高校バレー部コーチ(森次浩司)の力添えもあり進学するが、その妻はその関係を良く思わず実家に帰ってしまう。しかも秋谷は足を骨折しバレーを断念せざるを得なくなる。そして石川は不良たちに絡まれレイプされるという衝撃展開(おそらく吹替あり)。そして悩み多き同級生(川口亮)と一緒に心中してしまうのである。川口は後に阿部健太→柴本浩行と名を変え主に声優として活動している。
石川さゆりは森昌子と同い年でこの時点ではデビューしたばかりなのにこの扱い。やはり同い年の山口百恵は歌手デビュー直前で、出番も少ないが、映画タイトルの「としごろ」は彼女のデビュー曲のタイトルでもあるのだ。ただし挿入歌として使われているわけではない。森、山口、石川のホリプロ三人娘で売り出す計画だったそうだが、石川はサンミュージックの桜田淳子にとって代わられ「中三トリオ」として人気になってしまったのである。ちなみに本作での石川の役名は「淳子」だった。デビュー時の石川さゆりは不遇だったのかなと今になって感じてしまう。
夏夕介から大きくそれたが次回に続く。
 

夏夕介の出演映画

今回からは、「特捜最前線」繋がりで夏夕介である。彼もテレビで専ら活躍していたイメージが強いと思うが、70年代には映画出演も結構あるのだ。
夏夕介は50年生まれで、本名は田浦久幸という。出生地は熊本で、小学校は千葉、中高は大阪と各地を転々としている。大阪で、グランプリーズというバンドでオルガンを担当しており、その時のボーカルが和田アキ子である。69年ホリプロにスカウトされ上京し和田はソロデビューする。その頃、人気絶頂だったGSであるオックスのオルガン担当赤松愛が失踪し、そのまま脱退。その後釜に選ばれたのが夏であった。本名から一文字抜いた田浦幸(ユキ)として参加するが、赤松のファンからは誹謗中傷を受けていた。
70年、オックスに在籍中だったが芸名を夏夕介と改めソロ歌手デビューを果たし、同時に俳優業をスタートさせた。デビュー作となったのが日活の「野良猫ロック」シリーズ第2弾である「野良猫ロック ワイルド・ジャンボ」である。このシリーズはホリ企画つまりホリプロが製作に絡んでいることもあり、ホリプロのタレントが多く出演している。
シリーズ第1作「女番長野良猫ロック」の主演は和田アキ子だし、夏もその流れからの出演であろう。「ワイルド・ジャンボ」はペリカンクラブという不良の若者集団が主役でメンバーが梶芽衣子、藤竜也、地井武男、前野霜一郎そして夏夕介だ。そんな彼らに范文雀扮するアサ子が、とある宗教団体の寄付金・三千万円の強奪を持ちかける。彼女はその教祖の愛人だったのである。その計画にのった彼等だったが、警官隊と銃撃戦となり、ついには全滅してしまうというストーリーである。個人的にも、中学生だか高校生の頃に確か日曜夕方にテレビで放送されたのを見た記憶があるというくらい印象に残っている作品だ。
和田アキ子は特別出演扱いでポスターにもでかでかと顔が載っているのだが、実はほんのわずかの登場で、しかも前作のフィルムの引用だったりする。
続けて夏が出演したのが71年の1月に公開されたシリーズ第5作にて最終作の「野良猫ロック 暴走集団'71」である。今回は不良ではなく、新宿をネジロにするヒッピー集団という設定。そのメンバーが藤竜也、梶芽衣子、地井武男そして夏夕介というワイルド・ジャンボ同様の顔ぶれに加え、常田富士男、司美智子、青木伸子、小磯マリ、高野沙里、そしてリーダー格が原田芳雄である。地井は来海町々長(稲葉義男)の息子であり、町長は彼を連れ戻そうとブラックSSという怪しげな集団(メンバーは郷鍈治、藤木孝、前野霜一郎、安岡力也など)を使う。地井と梶が二人でいる際に襲われ、地井は弾みで力也を刺殺するが連れ去られる。梶が殺人者に仕立てられ女子救護院に送られるが、久万里由香を伴って脱走。梶は単身で来海町に乗り込むが他のメンバーも後を追う。そしてヒッピーグループと町長、ブラックSS団との戦いが始まると言ったストーリーだ。
71年5月にオックスは解散し、夏は役者業に力を入れ始めている。ドラマ「美人はいかが?」にレギュラー出演したり、藤岡弘や佐々木剛も学んだ劇団NLTの研修生になったりしている。

誠直也の出演映画 その3

今回も誠直也である。
73年はファイヤーマンとしてヒーローを演じた誠だったが、東映が絡んでいなかったからなのか、74年になっても東映で誠が出演する映画はヤクザ映画ばかりであった。特にこの年は出演作が多い。
「安藤組外伝 人斬り舎弟」はタイトル通り安藤昇主演で、菅原文太、梅宮辰夫、渡瀬恒彦などが共演。「山口組外伝 九州進攻作戦」は菅原文太が主演で、梅宮辰夫、松方弘樹、渡瀬恒彦に加え、津川雅彦そして志村喬なんかも出演している。「唐獅子警察」は小林旭が主演で、安藤昇、渡瀬恒彦、志村喬などが共演。「暴力街」は安藤昇が主演で、小林旭、夏八木勲、菅原文太、丹波哲郎が共演という、似たような顔ぶれが代わる代わる主役をやっていたという感じ。ちなみに「暴力街」には誠が「ファイヤーマン」で共演した平泉征も出演している。その誠だが、これらの作品では、いずれも組員の一人を演じているようだ。
「任侠花一輪」は藤竜也主演の唯一のヤクザ映画。藤はこれが初の主演作だという。当時、藤竜也が語りだけのレコード「花一輪」を出しており、それを基に映画化したものである。原案の小谷夏とは「花一輪」の作詞者である久世光彦のペンネーム。その久世が演出していた「時間ですよ」の中で、一人シリアスで寡黙な男・風間のイメージで藤は演じているようだ。共演は多岐川裕美、宮園純子、名和宏、梅宮辰夫など。誠の役(高原健太)は未見なので、よくわからないがやはり組員の一人ではないだろうか。
「衝撃!売春都市」はヤクザ映画ではなくアクション映画である。梅宮辰夫が麻薬Gメンで、他に中島ゆたか、山城新伍、白石襄、そして宮内洋の項でも説明したが、三悪追放協会の代表でもある菅原通済が本人役で出演している。白石襄は「ブラバス」のCMなどにも出演していたモデルだが、短期間ではあるが役者もやっていた。「特別機動捜査隊」にも白石刑事としてレギュラー出演していた時期があった。本作では愚連隊のリーダーを演じているが、誠は(予想だが)その仲間の一人ではないだろうか。これも未見なので。
そして何と言っても「仁義なき戦いシリーズ」。誠はそのうちの三本に若手組員役で出演しているのだ。
「仁義なき戦い頂上決戦」で、誠は山城新伍率いる江田組の若衆。「仁義なき戦い完結編」では宍戸錠率いる大友組の若衆。「新仁義なき戦い」では、若山富三郎率いる青木組の組員。八名信夫と共に中谷一郎演じる難波組長を射殺するが、後に殺されるという役だ。つまり三作とも違う役である。
ほぼヤクザ映画に明け暮れた74年であったが、75年になって「秘密戦隊ゴレンジャー」の主役アカレンジャー役に抜擢されたのである。現在も延々と続く「スーパー戦隊シリーズ」の第1作である。これが人気を呼び、誠もすっかりヒーロー役者としてお茶の間に認識されたと思われる。これを境にヤクザ映画に出演することがほぼなくなったのである。そして77年からは「特捜最前線」で吉野刑事役に抜擢。藤岡弘、荒木しげる、夏夕介、三ツ木清隆といったヒーロー役者が集結し「特撮最前線」などと言われていた。誠は8年の間出演し続けたのであった。

誠直也の出演映画 その2

前回に引き続き誠直也である。
72年は「不良番長シリーズ」以外の出演作も何本かある。「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」は菅原文太、川地民夫による人気シリーズの第4作である。共演が渡瀬恒彦、北林早苗、殿山泰司、北村英三で、悪役が待田京介、天津敏、遠藤辰雄、高宮敬二などで、誠は待田演じる矢東会会長の運転手つまり組員という役柄だ。
「人斬り与太 狂犬三兄弟」も菅原文太主演のバイオレンスであり、こちらの相棒は田中邦衛。三兄弟(もちろん肉親ではない)というから、もう一人は誰かと思えば三谷昇という意外なキャスティング。悪役は今井健二、内田朝雄、室田日出男などで、誠は博という役である。
「狼やくざ葬いは俺が出す」は千葉真一が主演のバイオレンスもの。この時代の東映はこんな作品ばっかりである。「葬い」で「とむらい」と読ませているが国語的には「弔い」。まあイメージとしては「葬い」の方が分かりやすいかも。本作は千葉扮する拳銃密売屋が取引の際に裏切りに合い成田三樹夫演じる刑事に逮捕され、相方の北川恵一は殺される。取引相手だった深江章喜、土山登志幸も諸角啓二郎らによって海に突き落とされる。事件の黒幕は内田朝雄で、出所した千葉は藤竜也、渡瀬恒彦、内田良平、堀田真三、そして誠直也らを仲間にして殴り込みをかけるという話。後に実は生きていた深江、土山も仲間に加わる。敵役の多い深江や堀田が味方側というのも新鮮な感じ。またニューフェイス出身ながら大部屋のような役ばかりの土山や北川(すぐ殺されるけど)が、ポスターに名が載るような役を演じている。
とまあ72年は東映の集団アクションとでも言うのだろうか。そんな作品ばかりに出ていた誠直也に翌73年、転機が訪れる。円谷プロ10周年記念作品「ファイヤーマン」の主役抜擢である。その経緯について誠は円谷粲Pがオーディションで選んだと聞いているが記憶にないと語っている。実の所は円谷が写真を見て決めたらしい。地球科学特捜隊SAFの誠の他は睦五郎(隊長)、岸田森、平泉征(現在は成)、栗原啓子の五人。当時の誠は九州訛りが強く、岸田森に厳しく指導されたという。栗原も新人で誠同様に岸田や睦の厳しい指導があったという。
やはり「ファイヤーマン」で忙しかったせいか73年の出演映画は「番格ロック」の1本だけである。山内えみ子主演のスケ番映画だが、太和屋竺脚本ということもあってか他のスケ番映画とは少し違ったムードになっているようだ。山内が少年院帰りの「番格・音無の由紀子」で、総番長「ハンター朱美」が片山由美子。個人的にはどちらも好きな女優だった。山内のかつてのライバル「アラブの鷹」が柴田鋭子で、恋人だったのが誠直也である。誠はヒーローを演じたばかりであったが、ここではヤクザの三下。兄貴分が鹿内孝だ。柴田鋭子は映画出演は本作含め2本しかないようである。
本作の主題歌はキャロルで、出演もしている。本作は11年にDVD化される寸前までいったが、矢沢永吉の事務所から反対があり、販売は中止となっている。ウィキペディア情報では、主題歌がジョニー大倉のソロパートが多いことに不仲である矢沢が不満を持ち、もめ事を避けたい東映が自主規制をしたのが真相だという。