お宝映画・番組私的見聞録 -21ページ目

中田博久の出演映画 その3

続けて、中田博久である。
67年は映画出演はなかったようだが、それもそのはずで特撮ドラマ「キャプテンウルトラ」の主役に抜擢されたためである。
円谷プロの「ウルトラQ」「ウルトラマン」は大人気となり怪獣ブームを呼び、視聴率も良かったのだが製作が追い付かなくなり終了せざるを得なかった。放送局のTBSは放送継続を望んでいたこともあり、テレビ特撮番組への参入を目論んでいた東映が企画を持ち込んだ。資本提携下にあったNET(現テレビ朝日)以外で放送枠を獲得したいという狙いもあった。
こうして、ウルトラシリーズ第3弾として「キャプテンウルトラ」がスタートしたが、元々半年間限定であった。円谷プロが制作体制を整える間の繋ぎという意味合いがあり、実際半年後にスタートしたのが「ウルトラセブン」だった。
中田の抜擢は前年に「歌人四十面相」で明智小五郎を演じていたのが大きかったのかもしれない。他にレギュラーとしてアカネ隊員役に城野ゆき、キケロ星人ジョーに小林稔侍、ロボット・ハックに佐川二郎(スーツアクターと声)、ムナトモ博士にベテラン伊沢一郎が配された。城野は65年にスカウトされての入社で、専ら大人向けの映画に出演していたが、初の子供向け作品だった。小林は第10期ニューフェイスではあるが、大部屋役者として活動しておりチンピラ役や悪役がほとんどだった。佐川も大部屋役者で、顔の見えない本作が代表作といえるかもしれない。12話で小林が降板した(させられた)のはアンケートの結果、人気がなかったからというのは有名な話。その後また悪役に戻って行き、現在のような地位を築き始めるのは80年代になってからである。
そういえば、キャプテンの本名は本郷武彦というが劇中でこの名が出たたかどうかは定かでない。後の「仮面ライダー」の本郷猛に似ているが、原作の石ノ森章太郎が考えたとしたら偶然だろうが、東映のプロデューサーは同じ平山亨なので、東映側の命名ではないだろうか。 
本作にも劇場版は存在するが、テレビの2話と5話を再編集したものである。
68年も映画出演は「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」だけのようである。これは、東映オールスターキャストによる戦記物。鶴田浩二、松方弘樹、梅宮辰夫、伊丹十三、千葉真一、山田太郎、待田京介、里見浩太朗、志村喬、山城新伍、池部良、近衛十四郎、藤山寛美、小川知子、佐久間良子、藤純子など。中田は望月少尉という役である。高倉健も出演予定がったが、ギャラで揉めていたことやヤクザ映画ばかり充てられることへの不満、本作も添え物のような役だったということもありドタキャンしたという。
さて、中田博久だが69年以降はテレビでは正義路線に行くことはなく、悪役が目立つようになっていく。それは映画でも同様であり、不良番長シリーズの「練鑑ブルース」「どぶ鼠作戦」、新網走番外地シリーズ「さいはての流れ者」「他人岬の決闘」などで印象のある悪役をこなして行く。この両シリーズには70年代に入っても、たびたび出演している。

中田博久の出演映画 その2

前回の続きである。中田博久が65年にカムバックして東映に入社した。
その最初の映画出演が「昭和残侠伝」である。主演は高倉健で、池部良、松方弘樹、梅宮辰夫、三田佳子、菅原謙次らが共演の任侠映画だ。中田は(新人)付きでクレジットされている。役柄は露天商を営む四代目組長(伊井友三郎)の息子。劇中その父が殺されるが五代目を継ぐのは彼ではなく高倉演じる清次である。中田は梅宮や松方と同様の立場で、血気盛んな若衆の一人といった感じである。珍しく水島道太郎が悪役である。この「昭和残侠伝」はシリーズ化され、全8作が作られることになる。    
これと同一日に公開されたのが「かも」であるが、こちらにも中田は出演している。「かも」は梅宮辰夫・緑魔子(不出演あり)主演の「夜の青春シリーズ」の第4作で成人映画に指定されている。共演は大原麗子、原知佐子、蜷川幸雄、玉川良一、藤村有弘など。中田は「根本」という役名は付いているが詳細は不明だ。このシリーズは全8作(7作、9作とする説もある)あり、大原麗子は6作に出演しており、緑魔子に並んでいる。最初の4作は「ひも」「いろ」「ダニ」「かも」というタイトルで「二文字シリーズ」などとも言われている。
65年はもう一作「無頼漢仁義」がある。主演は鶴田浩二で、千葉真一、志村喬、藤純子、高松英郎などが共演。千葉がこの辺の映画に出ているのは珍しい気もするが、志村演じる組長(社長)の息子ではあるが、ヤクザとかではなく大学出の現場監督という役柄だ。中田は「川口」という役名だが、これも詳細は不明だ。
66年は「黄金バット」。人気紙芝居(アニメ)の実写化である。主演は千葉真一で、ヒゲを蓄えヤマトネ博士という役でありバットに変身するわけではない。黄金バットは元からあの姿である。他の出演者は筑波久子、山川ワタル、高見エミリーなどで、中田は泉石捜索隊員の一人を演じている。アニメ版の主題歌がそのまま使用されているが、東映アニメではなく第一動画の製作である。声もアニメ版と同じ小林修が演じている。
66年の映画出演記録はこの1作だけのようだが、テレビでは「名探偵明智小五郎シリーズ 怪人四十面相」の主演つまり明智小五郎役に抜擢されている。東映ではなく「月光仮面」「隠密剣士」などで知られる宣弘社の製作である。当時は「007」の影響でスパイアクションブームでもあり、明智の乗る特殊カーなどそういったテイストが強くなっている。
四十面相は二十面相と同一人物で、原作で一時期バージョンアップ的に使用されたのだが、また二十面相に戻っている。その四十面相を演じたのは「隠密剣士」でも敵の首領を演じた天津敏。他に秘書役の梓英子、小林少年役が関口守一、刑事役の幸田宗丸など。少年探偵団には内田喜郎がいた。梓英子はデビューこそ成人映画であったが、すぐに清純派女優へ転身している。前述の「昭和残侠伝」にも出演していた。
全13回でモノクロということもあり、あまり知られていない作品である。「黄金仮面」「天空魔人」に4話づつ「透明怪人」に5話という配分である。ゲストは牧冬吉、初名美香、国景子、今井健二などであった。

中田博久の出演映画

今回からは中田博久である。「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」の間に放送されたのが「キャプテンウルトラ」だが、そのキャプテンを演じたのが中田博久であった。テレビでの悪役俳優のイメージが強いと思うが、映画への出演も数多い。
中田は43年生まれで、父は戦前の日活で活躍した俳優・中田弘二である。その縁もあってか日大二高在学中の60年に日活に入社し、「俺は流れ星」で映画デビューを飾った。主演は川地民夫で、共演が稲垣美穂子、香月美奈子。中田は「圭三」という名で地元の組員の一人を演じている。クレジット順は同様に60年入社である郷鍈治(宍戸錠の実弟)の一つ前であった。
続いて「南海の狼火」。これは小林旭主演でタイトルからは分かり辛いが「流れ者シリーズ」の3作目である。この時期の小林旭は最も有名であろう「渡り鳥シリーズ」に加え「銀座旋風児シリーズ」「暴れん坊シリーズ」そして「流れ者シリーズ」を並行してやっていたのである。基本タイトルにシリーズ名が含まれているのだが、本作のように無いものもある。キャラは似たようなものなので、主人公名で判断するのが良いと思う。ちなみに渡り鳥では滝伸次、銀座旋風児では二階堂卓也、暴れん坊では清水次郎、流れ者では野村浩次である。その野村は麻薬潜入捜査官だ。
「南海の狼火」での共演者は浅丘ルリ子、宍戸錠、岡田真澄、白木マリ、金子信雄、内田良平と当時の日活でお馴染みの顔が揃っている。中田の役は浅丘ルリ子の兄で、白木マリの恋人という設定だ。前述のとおり中田はまだ高校生であり、浅丘と白木は共に37年生まれで6歳年上であった。年上に見えるくらい老け顔だったのだろうか。
翌61年は1作だけ「街から街へつむじ風」に出演している。主演は石原裕次郎で、裕次郎は旭とは対照的に日活ではシリーズ物がなかった。つまり、いつも違う役だったのである。共演は芦川いづみ、中原早苗、小高雄二、西村晃、東野英治郎、宇野重吉等である。本作で挿入歌として使われたのが「銀座の恋の物語」で、この後大ヒットすることになる。中田の役は木島一郎扮する飯田の子分の一人B。ちなみに子分Cが沢井杏介で、子分Aが待田京介であった。待田は58年に入社した当初は立て続けに主役に抜擢されていたのだが、60年代になると扱いが小さくなっていき、この時期になるとクレジットでは10番手以下がほとんどであった。この61年に日活を退社するとアクションドラマ「月曜日の男」の主役に抜擢され、一気にブレイク。映画でも準主演級にカムバックした。
中田も高校を卒業し、日大芸術学部にすると一旦映画界を離れている。卒業後の65年に、今度は東映に入社。俳優業にカムバックするのである。

森次晃嗣の出演映画 その5

もう1回だけ、森次晃嗣である。73年以降は森次晃嗣となったので、ブログタイトルも(浩司)の部分を消している。
一つ書き忘れていたが、72年のどのタイミングかは不明だが、松竹所属からフリーになったようである。しかし、73年になってからの出演作は、ほぼ松竹作品であった。
「男じゃないか・闘志満々」は森田健作か沖雅也の項で述べたかもしれないが、この二人が兄弟という役柄で、その父親がフランキー堺だ。ポスター上は、その三人と森昌子が大きく載っているが、彼女は河内桃子の娘という役で、ストーリーの本質にはあまり関わっていないようだ。他に新藤恵美、秋谷陽子、早瀬久美、夏夕介、坂上二郎など森次は山本という役だが、役柄はよくわからなかった。
「としごろ」は夏夕介の項で紹介したと思うが、和田アキ子、森昌子、山口百恵、石川さゆりらホリプロ歌手だけでなく西城秀樹、堺正章なども登場するアイドル映画と思いきやレイプに心中、家庭崩壊といったハードな内容。悲惨な目に遭うのが石川さゆりで、山口百恵は端役である。実質的なヒロインは新人女優の秋谷陽子で前述の「男じゃないか」がデビュー作である。森次はバレー部のコーチで、経済的に苦しい秋谷を自宅に引き取り、学費を工面するなど支援するのだが、彼の妻は実家に帰ってしまう、というような役だ。
「ときめき」は栗田ひろみ、秋谷陽子、海野まさみ、浅田美代子の四人を中心とした青春映画。浅田美代子はデビューしたてで、もちろん映画も初出演だ。栗田、海野、秋谷とは中学時代の同級生で、歌手・浅田美代子として活躍しているという設定だ。つまり役名も浅田美代子だ。桜田淳子も「歌手」の役で出演しているが彼女も映画は初となる。他に沖雅也、小倉一郎、村野武範など。森次は海野の母(河内桃子)と恋愛関係にあるという役。ちなみに河内は当時41歳で、森次は30歳であった。余談だが、本作で共演した小倉一郎と海野まさみはこの年に結婚するのだが、三か月後には離婚している。海野の映画はこれ1作のようだが、翌年ドラマ版の「愛と誠」に出演している。
「必殺仕掛人」は、テレビシリーズ終了後に作られた劇場版である。元締めの半右衛門・山村聰と千蔵・津坂匡章(秋野太作)はテレビ通りなのだが、梅安は緒形拳ではなく田宮二郎、左内は林与一ではなく高橋幸治が演じている。悪役で登場するのは野際陽子、川地民夫、室田日出男、三津田健。川地民夫は「必殺」のテレビシリーズには一度も出演していない。室田は仕掛人第1話の悪役だった。森次は野際、川地、室田が仕置されて、漁夫の利で縄張りを手に入れるが、三津田に殺されてしまうという役だ。
「野良犬」は黒澤映画「野良犬」のリメイク版。三船敏郎、志村喬の刑事コンビは渡哲也、芦田伸介が新たに演じている。森次は新聞記者の役である。

森次晃嗣(浩司)の出演映画 その4

引き続き森次浩司である。
72年は「可愛い悪女」以外にも4作ほど出演している。まずは「喜劇・誘惑旅行」は森田健作の所で取り上げたかもしれないが、旅行シリーズの9作目である。主演はフランキー堺と倍賞美津子。舞台はフィリピンのマニラである。他の出演者は森田健作、尾崎奈々、川口まさみ、佐藤允などで森次の役は「司会」となっている。クイズ番組の商品がフィリピン旅行なので、その司会ということだろう。
「あゝ声なき友」は原作を読んだ渥美清が映画化実現のため「渥美清プロダクション」を作り、松竹と提携製作をした作品だ。戦友たちの遺書を預かって一人生還した男が、その全国の遺族を訪ね歩くという内容だ。渥美は企画の他、当然主演でもある。ポスターには渥美を先頭に、それ以外の出演者は五十音順で30人近くの名前が並んでいる。新克利(アタラシカツトシ)がいなければ、どちらにしろ渥美が先頭だったのだが。主な出演者は倍賞千恵子、小川真由美、市原悦子、大滝秀治、江原真二郎、長山藍子、長門裕之、香山美子、田中邦衛、財津一郎など。森次の役柄はよくわからないが、松村達雄の息子のようである。
「祭りだお化けだ全員集合‼」は、松竹ドリフ映画の第9作。クレージーキャッツからもハナ肇、犬塚弘、安田伸、桜井センリの四人が出演している。他の出演者は藤岡琢也、林美智子、早瀬久美、三遊亭金右など。森次はヒロイン役である林の恋人といった役のようだ。
ここまでは松竹作品だが、ATGの「音楽」にも出演している。三島由紀夫の原作で、成人映画に指定されており「猥褻か神聖な愛の儀式か-女の性と心理の深奥をえぐる衝撃作」と謳われていた。主演は黒沢のり子で、精神科医に細川俊之、他に高橋長英、松川勉、森秋子、藤田みどり、三谷昇など。森次は黒沢の恋人役だ。黒沢は高校卒業後の66年、黒沢妙子の名で東映「浪曲子守唄」に女給役で出演したのが映画デビューのようである。その後「網走番外地」シリーズなどに出演。72年に「木枯し紋次郎」の第3話で足の不自由な娘役でメインゲストとして出演したが、それを見たATGのプロデューサーである葛井欣士郎が彼女を本作に抜擢したという。ちなみに彼女は67~70年までは後に児玉誉士夫邸にセスナで突っ込んで死亡する前野霜一郎(光保)と結婚していた。
さて森次だが、翌73年に一つの出来事があった。浩司からの改名である。近所に萬屋錦之介、甲にしき夫妻が住んでおり姓名判断に凝っていた二人から改名を薦められたのだ。森次晃嗣の誕生である。読みは一緒だが、字面は難しくなった。ただ早いうちの改名だったので、もうこちらの字に慣れた人がほとんどだろう。

森次晃嗣(浩司)の出演映画 その3

今回も森次晃嗣の改名前・森次浩司時代の出演映画である。
71年の森次と言えば、ボウリングドラマ「美しきチャレンジャー」での熱血コーチ役が印象に残っている人も多いのではないだろうか。ヒロイン役の新藤恵美も松竹の女優だったが、ドラマが松竹製作というわけではない。新藤自ら歌う主題歌も印象に深いが、この歌はレコードが競作で堀江美都子版、藤田淑子版、中村晃子版などがあったりする。
このドラマが始まる直前に公開されたのが「めまい」である。主演は辺見マリで、そのポスターでの表情とタイトルからエロい映画なのかと勘違いした人がいたかどうかは不明だが、「めまい」は辺見のシングル曲のタイトルで、つまりは歌謡映画である。辺見はこれが初の主演作だ。これも未見なのだが、あらすじを見た限りでは、辺見と森次、萩原健一とジャイアント吉田が高校の同級生という設定のようだ。辺見と萩原は同じ50年生まれだが、森次は43年、吉田にいたっては36年生まれでかなり無理があると思う。萩原はテンプターズ解散後で、当時はPYGに所属していた。萩原がソロで映画に出たのは本作が最初である。
ちなみにPYGとは、テンプターズ(萩原、大口広司)、スパイダース(井上堯之、大野克夫)、タイガース(沢田研二、岸部一徳)という大人気だった3グループのメンバーで結成されたグループ。ショーケンとジュリーがいながら人気にならなかったが、後に井上堯之バンドへと発展していく。ジャイアント吉田は元ドリフターズのメンバーだが、リーダーのいかりや長介のワンマンぶりに反発し、小野ヤスシ、猪熊虎五郎、飯塚文雄と共に脱退し、ドンキー・カルテットが結成された。そのドンキーは70年に解散。芸名はジャイアントだが、かなり小柄であった。
話が大きく逸れたが、他の出演者は范文雀、小川ひろみ、城野ゆき、ケーシー高峰、有島一郎など。
「喜劇・夜光族」は三木のり平主演の風俗喜劇。その娘役が倍賞美津子で、その恋人役が森次だ。劇中で彼が働くバーの店名が「セブン」である。他に長山藍子、早瀬久美、殿山泰司、伴淳三郎、悠木千帆(樹木希林)などである。
「可愛い悪女」は当時の風俗とエロティシズムを盛り込んだサスペンスと解説にはある。主演はおそらく初であろう范文雀。「プレイガール」や「サインはV」などで人気があり、映画も東宝、日活、そして松竹と各社に登場していた。彼女は週刊誌のカメラマン役で、編集長が中丸忠雄、社長が滝田裕介、その妻が生田悦子で、森次は編集部員であり、范のベッド・フレンド(あらすじより)でもあるという設定だ。ちなみに監督は井上梅次である。
その3か月後年を跨ぎ72年になるが、シリーズ2作目である「可愛い悪女 殺しの前に口づけを」が公開されている。主演は同じ范文雀だが、役名も設定も違う。ここではGSのボーカルだ。森次は役名は前作と同じ「旗」だが、今回は刑事の役である。他は前作とは違うキャストで、入川保則、藤村有弘、赤座美代子、財津一郎、フランキー堺など。殺害されるプレイボーイを演じるのが巽千太郎。「光速エスパー」で研究所員を演じていたのは記憶にあるが、そのプロフィールは不明だ。「ゴルゴ13」に同名のキャラが出てくるらしい。「ナショナルキッド」や「特別機動捜査隊」の初期に活躍した巽秀太郎とは特に関係はなさそうである。
 

森次晃嗣(浩司)の出演映画 その2

引き続き森次晃嗣(浩司)である。
70年の前半は「ヤングアクション プロフェッショナル」や「青春太閤記 今に見ておれ」といったドラマレギュラー出演のせいか、前半に映画出演はない。
7月になって1本目が公開された。森次は松竹と専属契約を交わしているのでこの年は松竹作品のみである。その「風の慕情」は、オーストラリアとマニラでロケを行ったサスペンス・ラブロマンで橋田壽賀子のオリジナル脚本である。主演は吉永小百合と石坂浩二。吉永小百合と言えば日活の看板女優だが、この70年は他社作品にも出演できる契約を交わしており、本作が初の松竹出演となる。香山美子が吉永の姉役で、入川保則が吉永に求婚する男。他に尾崎奈々、渚まゆみなど。渚も大映の女優であったが、この70年から他社にも出始めたようである。森次は吉永に忠告を与える謎の商社マンといった役である。
4度目の映画化となる「姿三四郎」。43年の東宝・黒澤明の監督デビュー作として初映画化(続編あり)、55年の東映版(主演波島進)、65年に再び東宝で(主演加山雄三)、そして今回の松竹版で主演は竹脇無我である。4度目と書いたがそれは「姿三四郎」というタイトルでの話。前回書いたとおり、森次の映画デビュー作「柔旋風 怒涛の対決」も中身は「姿三四郎」なのである。そこでは津崎公平役だった森次だが、今回は同じ四天王でも戸田雄次郎の役だ。矢野正五郎役は高橋幸治、乙美役は尾崎奈々、村井半助役は堀雄二、檜垣源三郎役が高城丈二である。他に加賀邦男、白木マリ、曾我廼家明蝶など。
「波止場女のブルース」は森進一のシングル曲を題材とした歌謡映画で、主演は岡田茉莉子。当時37歳だが、この時点で既に出演映画は130本を超えていた。ポスターを見ると岡田と森進一の姿が大きく載っているので、この二人のラブロマンスかなと思いきや、岡田の相手役は森次なのである。森進一は森次の友人という役柄なのだ。当時、森は24歳で岡田とは年が離れすぎかなとも思うが、森次だって27歳で、10歳の差がありバランスが良いとは言えない。岡田は美人ではあるが、既にベテランの風格のようなものがあった気がする。他の出演者だが、小川ひろみ、西尾三枝子、野々村潔、西村晃などである。
もう1本は年末に公開されたドリフ映画「誰かさんと誰かさんが全員集合」である。以前ドリフ映画として紹介したと思うが、ドリフターズ以外の出演者は岩下志麻、倍賞美津子、内田朝雄、早瀬久美など。付き人だった頃の志村けん(志村康徳名義)やその相方だった井山淳もチョイ役で出演している。森次は村山という役だが、その役柄まではわからなかった。

森次晃嗣(浩司)の出演映画

黒部進の次となると、やはり「ウルトラセブン」で森次晃嗣ということになろうか。
森次は43年北海道滝川市生まれ。滝川の有名人と言えば、脚本家の鳥海尽三や比佐芳武、タレントの藤本美貴や大政絢などがおり、大政は高校の後輩にあたる。ちなみに水谷豊は近隣の芦別市生まれ。個人的なことを言えば、自分もこの辺り(空知地方)の出身だ。あと、何故か元横綱の白鵬は滝川の観光大使だそうだ。
61年の高校卒業後に上京。デザイナー志望だったが、ジャズ喫茶で働いていた時に客として新劇の関係者が来ていたことから俳優を意識。店に黒部進や二瓶正也が来たこともあったという。詳しい経緯は不明だが、65年にテレビドラマ「青春をぶっつけろ」でデビュー。当初の芸名は森次浩司だ。当時流行っていた柔道ドラマで制作は宝塚映画と東宝で、出演者は金光満樹、黒沢年男、古川ロック、いしだあゆみ、磯村みどり、寺島達夫、夏圭子など。黒沢は東宝ニュータレント4期生で既に映画デビューはしていたが、ドラマデビューは本作のようである。
また同じ年に、やはり柔道映画である「柔旋風 怒涛の対決」で映画デビューも飾っている。松竹配給だが、製作は日本電波映画。主演の和崎俊哉を初め、同社の作品に出演していた倉丘伸太郎、平井昌一、佐治田恵子なども共演。他に内田良平、御木本伸介、中原早苗、河津清三郎など。姿三四郎(和崎)が主人公で、森次は四天王の一人である津崎公平役である。
若干の間が空き、67年はやはり柔道を題材としたドラマ「天下の青年」に出演。制作は東宝とフジテレビ。主演は原田芳雄で、初の主演作。他に沢井桂子、富士真奈美、小山田宗徳、土屋嘉男、そして菱見百合子。彼女もこれが初のレギュラードラマで、森次と菱見は既にここで共演していたのである。
終了後すぐに「ウルトラセブン」となるわけだが、当初ダン役は「ウルトラマン」同様に東宝所属の俳優から選ぼうとしていたが、適役が見つからなかったという。噂を聞いた円谷プロ演技課の新野悟が「天下の青年」の撮影を見学し、森次を候補の一人とした。そしてオーディションの末、彼が選出されたという流れだ。
セブン終了後の69年に森次は東宝ではなく松竹の所属となっている。これは68年から始まった松竹製作のホームドラマ「丸太と包丁」にレギュラー出演していたということもあるかもしれない。
そして4年ぶりに出演した映画が「夕陽の恋人」だ。主演は森田健作なので、彼の項で紹介したと思うが、森次は森田の兄役である。他の出演者は尾崎奈々、久保菜穂子、柳沢真一、岡田英次、黛ジュンなどである。
69年はもう一作あり「海はふりむかない」で、西郷輝彦、尾崎奈々主演の悲恋映画だ。タイトルは西郷のシングルと同題
で、当然本作の主題歌でもある。他の出演者は中山仁、勝部演之、夏圭子、由美かおる、美川憲一などで由美や美川は歌手(流し)の役である。森次は尾崎の兄役である。

黒部進の出演映画 その4

今回も引き続き黒部進である。
67年はもう一本あって、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」にも出演している。ゴジラの息子つまりミニラの登場である。まあゴジラも生物なので子供が居ても不思議ではないだろうが、母親は?つまりママゴジラがいるということになるが、そこを疑問に思ってはいけないのだろう。完全に子供を意識した作品というイメージだが、本編そのものはシリアスだったりする。観客動員も前作を大きく下回ったという。
主演は高島忠夫で、共演は前田美波里、久保明、平田昭彦、佐原健二、土屋嘉男など。撮影ではグアム島ロケが行われたが、高島は大の飛行機嫌いで、実はこのロケには参加していない。代役を使って遠目から撮影し、後からアップの部分を挿入したようだ。前田美波里は当時19歳。66年に資生堂のキャンペンガールとして有名になったが、実は64年に東宝現代劇に入団(東宝ニュータレント5期生)しており、モデルが先というわけではない。翌68年にはマイク真木と結婚している。黒部は気象観測機の機長という役。「ウルトラマン」で人気を得ているが、メインとしての登場ではない。ミニラの中の人は小人のマーチャン(深沢政雄)。当時46歳にして、初のスーツアクターを務めた。
68年に入ったが、公開された出演映画は3本と少ない。まずは、岡本喜八監督の時代劇「斬る」。ちなみに英語版タイトルは「Kill!」で、音は同じだが意味は違う(広い意味では同じだが)。原作は山本周五郎「砦山の十七日」で、侍をやめた男と百姓から侍になろうとする男の物語。主演は仲代達矢と高橋悦史。高橋は67年の「日本のいちばん長い日」から岡本作品に続けて出演しているが、主役級の役どころは本作が初めて。上州の小比木藩領で二人は偶然出会うが、その頃圧政を行っていた城代家老が七人の若侍(中村敦夫、中丸忠雄、地井武男、橋本功、久保明など)に暗殺される。次席家老(神山繁)は藩政をわが物にしようと浪人隊(岸田森など)を差し向ける。若侍たちは砦山にたてこもり、仲代は彼らの味方になるが、高橋は浪人隊に加わり敵味方として戦うことになるといった感じの展開である。地井武男はこれが映画初出演で、中村敦夫はブレイク前だが60年代終盤からそれなりに活躍していた。黒部は神山と同じ苗字(鮎沢)なので、恐らく息子の役だろう。他に星由里子、東野英治郎など。ちなみに、大映の「斬る」は62年で市川雷蔵が主演。こちらは柴田錬三郎が原作である。
「怪獣総進撃」はゴジラシリーズ第9作で、怪獣が全部で11体登場しキラアク星人という女性に擬態した宇宙人も登場する。主演は久保明、小林夕岐子で、他に田崎潤、佐原健二、土屋嘉男、伊藤久哉など。黒部はコントロールセンター所員Aという役だが、資料によっては黒岩という名前が付いている。ヒロインの小林はこれが本格的な映画デビュー作。東宝ニュータレント6期生で、父は水島道太郎だ。キラアク星人役の愛京子は女優としての活動期間は3年程度で、歌手としてもシングル3枚を出している。本作以降の出演記録はなく、詳細は不明だ。同じキラアク星人を演じる宮内恵子(牧れい)、高橋厚子、佐川亜梨は小林と同じ東宝ニュータレント6期生である。
「連合艦隊司令長官 山本五十六」は東宝男優陣総出演といった感じの戦記映画。主演は三船敏郎で、以下藤田進、加山雄三、森雅之、柳永二郎、宮口精二、安部徹、加東大介、佐藤允、平田昭彦、土屋嘉男、佐原健二、田村亮、黒沢年男、久保明、辰巳柳太郎、松本幸四郎(初代松本白鸚)などが登場し、女優も司葉子、酒井和歌子、豊浦美子などが出演している。黒部は陸軍少佐参謀Bといった役。
「ウルトラマン」以降、特撮映画への出演が増えたが、メインとは言い難い役ばかりであった。

黒部進の出演映画 その3

引き続き黒部進である。
66年に入り最初の映画は「暴れ豪右衛門」。三船敏郎主演の時代劇である。東宝で三船の主演とくれば、黒澤映画のイメージが強いが、本作の監督は稲垣浩。東宝版の「宮本武蔵」や「無法松の一生」など稲垣監督で三船を主演とした作品は結構あるのだ。三船はタイトルにある農民の郎党である加賀七党の首領・豪右衛門を演じる。その妻が乙羽信子で、弟が佐藤允と田村亮、他に大空真弓、星由里子、西村晃、平田昭彦、加東大介などで、黒部は神保十郎という役。未見なのでその役柄はわからないけれども。本作は田村亮の映画デビュー作。本人は役者でやっていくつもりではなかった為、芸名を稲垣に付けてもらった(本名・田村幸照)という。
黒部に戻るが、続いては「狸の王様」。裸(はだか)ではない狸(たぬき)である。狸シリーズの3作目で、監督は黒部をスカウトした山本嘉次郎である。小林桂樹主演のコメディ作品で、小林が演じるのは車上あらし。つまり窃盗犯である。他に草笛光子、伴淳三郎、団令子、藤木悠、高橋紀子などで、黒部は鹿島という役。これも未見なので詳細は不明だ。黒部が山本作品に出演するのは本作が最初で最後である。次作の「狸の休日」が山本の最終監督作品になってしまったからである。なお、シリーズ3作目の本作までは小林が主演だが、「狸の休日」は高島忠夫の主演となっている。
「奇岩城の冒険」は山本門下生である谷口千吉が監督する冒険映画。黒部には2本目の谷口映画だ。本作は太宰治の「走れメロス」を原案としている。主演は三船敏郎で、他に中丸忠雄、有島一郎、三橋達也、白川由美、平田昭彦、佐藤允、若林映子、黒沢年男、田崎潤、浜美枝、桜井浩子などが出演している。黒部は「武官長」という役で、まあメインキャストではないだろう。なお本作は三船プロダクションが製作として東宝と併記されている。
とまあ、脇役続きの66年であったが、ここで転機が訪れる。そう「ウルトラマン」の主役抜擢である。
実はここまでで黒部が出演した特撮作品は「三大怪獣地球最大の決戦」の一本だけで、イメージと違ってあまり縁のないジャンルだったのである。円谷が絡む戦争映画への出演はあったけれども。当時はそういう番組がなかったこともあり、主役とはいえ、あまりやりたくなかったという。フジ隊員の桜井浩子は「ウルトラQ」からの流れで、イデ隊員の二瓶正也は石川進降板による急遽の抜擢。彼も「ウルトラQ」に三度ゲスト出演していたところからの流れであり、東宝特撮映画の出演は少なかったのである。
66年の後半から67年前半は「ウルトラマン」に終始したようで、映画への出演はない。
67年7月に公開されたのが「長編怪獣映画ウルトラマン」で、これはテレビ版の再編集なので、必然的に黒部が主演ということになる。当時はカラーテレビの普及率が低かったこともあり「カラーでウルトラマンを見よう」と宣伝では煽っていた。
その同時上映は「キングコングの逆襲」で、主演は宝田明、浜美枝。他に天本英世、田島義文、堺左千夫などで、黒部は天本演じるドクター・フーの部下という役で登場。サービス的な出演かもしれないが、もう少しいい役でもと思ってしまう。浜美枝の役名はマダム・ピラニアだ。